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**さよならフシギダネ! かことのけつべつ! ◆LXe12sNRSs
(非登録タグ) [[パロロワ]] [[ニコニコ動画バトルロワイアル]] [[第百四話⇔第百五話]] [[第百五話⇔第百六話]]
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人間は勝手だ。いつだって自分たちの都合でオレたちを捨てていく。
面倒になった、経済的余裕がなくなった、飽きた、嫌いになった、etc.……。
理由なんて、オレたちには関係ない。
奴らはみんな、オレたちの声なんかには耳も傾けない。
オレは、そんな捨てポケモンたちの嘆きの声をたくさん聞いてきた。
昨日可愛がってくれたご主人が、明日には蹴飛ばしてくる。
いつもはもらえたごはんが、永遠にもらえなくなる。
いくら鳴いても、主人は迎えに来てくれない……。
その苦しみが、奴らにわかるか? ……いや、わかりゃしないさ。
じゃなきゃ、誰だって幸せにやっていける。
奴らが俺たちを裏切らなきゃ、こんなことにはならなかったんだ。
そう、サトシが……オレを捨てなきゃ。
オレが初めてサトシと出会ったのは、捨てポケモンたちが集められた保護施設だったろうか。
初めは変な奴だと思ったさ。オレを見るや否や、ゲットしたいなんて言ってきたんだから。
ゲットね……言い方を変えようが、それはつまり、捕獲ってことだろ?
捕まえて、家畜にして、戦わせるのも働かせるのも悪さをさせるのもトレーナーの自由。
餌を抜くのも、ストレス発散に虐待するのも、捨てたりするのもトレーナーの自由さ。
モンスターボールなんてものを発明したのは、いったいどこのキチガイなんだろうな。
まったくいい迷惑だ。勝手な人間たちのせいで、どれだけのポケモンが迷惑を被ってることか。
……でも、あいつは、サトシはちょっと違ったんだよな。
馬鹿でお調子者、猪突猛進で後先考えない、主人にはしたくないタイプの人間だった。
ポケモンバトルだって我武者羅に攻めて攻めての繰り返し、戦略なんて考えやしない。
そのくせ危ないことには首を突っ込みたがる。オレが何回あいつをつるのむちで助けてやったと思ってるんだ。
取り柄といえば……まぁ、自分の手持ちポケモンに対しては優しかったさ。
餌だってちゃんとくれたし、無茶な命令もしてはこなかった。そこだけは評価してやる。
だが、それも今さらな話さ。あいつはオレを捨てたんだ。
こんな、人間やポケモンが入り乱れて殺し合うなんていう、わけのわからない場所に。
それだけでこれまで築いてきた評価は暴落。あいつは最低のトレーナーだ。
そのサトシが、どうやら死んだらしい。
眠気まなこで、オレは確かに聞いたんだ。放送で呼ばれる、サトシの名を。
サトシだけじゃない。あいつの最初のポケモンだったピカチュウまで死亡者として呼ばれていた。
……そっか。あいつら、死んじまったんだな。
いい気味だ。ああいい気味さ。きっと、オレをこんなところに捨てた罰が当たったんだな。
感傷なんてありゃしないさ。あいつは、とっくのとうに赤の他人なんだから。
オレはオレの道を行く。これからは、野生のポケモンとして生きていくんだ。
もう、サトシのフシギダネじゃない。
……そうさ、オレは野生のポケモンなんだ。
もう、タケシの作ったポケモンフーズを食べることも、
ロケット団の連中とバトルすることも、
ピカチュウやヒトカゲやゼニガメと遊ぶことも、
サトシの指示通りに動いて、
サトシの指示通りにわざを出して、
サトシのよっしゃーという声を聞いて、
サトシに頭を撫で回されて、
サトシによくやったなと褒めてもらうことも、
もう、ないんだな。
……ダネ。
ちくしょう、オレはもう、ただのくさポケモンじゃないんだぞ!
最初にあの人間を殺したとき誓ったじゃないか!
オレは、あくポケモンになったんだ! サトシのフシギダネはやめたんだ!
憎めよ! オレを捨てたあいつを憎めよ! 馬鹿かオレは!?
オレはあいつの命令もなしに、人間やポケモンを殺したんだぞ!?
それなのに……なのに。
なのに、どうしてこんなに悲しいんだよッ!
ダネ、ダネ、ダネェ~……。
そもそも、なんであいつら死んでんだよ!?
あいつはオレをここに捨てたんだろ!?
なのに、なんでサトシがここで死ぬんだよ!?
オレと一緒に捨てられたのか? 馬鹿、誰にだよ!?
ひょっとしたらロケット団の陰謀か? 馬鹿、あいつらにそんなことできるか!
じゃあ、いったいなんだってんだよ!?
誰がオレを捨てて、誰がサトシとピカチュウを殺したんだよ!?
……わからねぇよ。オレそんなに頭よくねぇし、ダネしか言えない低知能ポケモンだし。
だから、誰か教えてくれよ。誰が……誰が悪いんだよ……どうすりゃいいんだよ……サトシィ!
ダネェ! ダネェ……ダネ、ダネダネダネダネダネェェェ~!
ちくしょう、ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう!
わけがわからないけど、なんだか涙が出てくる。なんで……こんな気持ち……。
もうこんなの嫌だ。モンスターボールに戻って寝て忘れちまいたい。
くそっ、オレがこんな状態だってのに、サトシはなにやってんだよ?
ああ、死んだんだったな。知ってるよ馬鹿野郎! もういないってことだろ!?
オレが殺したあの人間みたいに、青ざめた顔で眠ってやがるんだろ!? んで、もう起きないんだ!
そんなの……そんなの嫌だぁ~! サトシ、サトシ、サトシサトシサトシサトシサトシサトシサトシサトシ!
ダネ…………ダ、ネェ……………………。
返事をしてくれよ……もう一度オレに指示をくれよ……もっとオレのこと褒めてくれよ……。
サトシ……会いたいよ…………。
………………それと、ごめんなさい。
◇ ◇ ◇
割り切ろう。もう、オレにはそれしか方法がないから。
だけど、今度こそちゃんと覚悟を済ませよう。もう、やり直すことなんかできないのだから。
だから、オレは、ここで正式に『サトシのフシギダネ』をやめる。
人間もポケモンも殺す、あくポケモンよりもっと悪いポケモンに、オレはなる。
だからゴメン。お別れだ、オレ。
でも、サトシやピカチュウのところにはいけないんだ。
オレ、生まれ変わるんだよ。
それじゃ。
――さよなら。サトシのフシギダネ。
◇ ◇ ◇
一頻り泣いた後、民家から出てきたのは、生まれ変わった彼の姿だった。
背中に背負っていた種は、その姿を『蕾』へと変化させ、目つきは銀狼のように鋭くなっていた。
これは、彼にとっての決意の表れなのだろう。主人の分まで、悪に染まってでも人生を生き抜くという。
それまでずっと拒み続けていた進化を、彼は受け入れた。過去との決別を果たすために。
そこには、凶悪な野生ポケモンの姿しか残っていなかった。
【E-3 町・一軒家/一日目 日中】
【フシギダネ(フシギソウ)@ポケットモンスター】
[状態]:静かなる決意
[装備]:バールのようなもの@現実
[道具]:支給品一式、白菜@テニミュ
[思考・状況]
1:サトシやピカチュウの分まで生き抜く。どんな手段を使ってでも
※TASが死んだと思ってます
※弾幕を開発中のようです
※本が無くても、コツを掴んだので開発は可能です。
※進化したため、状態異常(眠気)及び傷が治りました。
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