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**StarsStrike(前編) ◆CMd1jz6iP2 (非登録タグ) [[パロロワ]] [[ニコニコ動画バトルロワイアル]] [[第156話 1/2]] [[第百五十五話⇔第百五十六話]] [[第百五十六話⇔第百五十七話]] ---- ハルヒ(と名乗った永琳)の情報を元に、ハルヒ(本物)と名乗った女を殺すために進む富竹。 建物の影に隠れながら、慎重に進む。 (おそらくは、この先に多数の主催者側の人間がいる……敵地だ) その思考は正しい。実際に、主催者の居城へと繋がる電車が通ってたりする。 雛見沢症候群の発症者は、疑心暗鬼に陥ったり、支離滅裂な思考をする割には、なぜか真実に最も近い解答にたどり着く場合が多いようだ。 ……だとしても、大きく歪曲した思考の中に極一部に過ぎないのだが。 「ッ……誰か、来る!?」 物陰にじっと潜む。 塔の方角から、集団が歩いてくる。 (間違いない……主催者の仲間達だ!) 塔から来て、集団で行動している。それだけで主催者側の人間だと判断するには十分だった。 「それで……ケンタくんがね……」 暗く、遠目からでは良く見えないが、その声に聞き覚えがあった。 (レナちゃんの声だ!) 富竹は考える。主催者の仲間が、レナに何もしていないはずがないと。 (くそっ!既に投薬された跡か! 僕と同じ薬か、それとも本当に雛見沢症候群になってしまったのか?) どちらにしろ、周りの人間はレナの様子を観察してデータでも取るつもりなのだろう。 (それだけじゃない。きっと、僕のことを偽ハルヒから聞いて、殺しに来たんだな!) レナは騙され、富竹はゲームに乗ったとでも聞かされたのだろうと怒り狂う。 銃を確認する。残りは3発……3人しか殺せない。 富竹フラッシュも、あの人数に必ず効くとは限らない。 (レナちゃんを助けるには、それじゃあ駄目だ。どうすれば……) 再び見ると、なにやら立ち止まっている。 チャンスだというのに、助ける方法がない。 「……いや、これが使えるか?」 ディパックの中を開く。 ハルヒと別れて少し歩いたところで、民家の脇に転がっていた物。 「……思い通りになんてさせないぞ!」 「おっ、と」 「博之さん、大丈夫ですか!」 全員が立ち止まる。博之が転んだのだ。 「おお、スマンスマン。やっぱり目が見えんと歩くのも大変や」 「ちょっと、アキバぁ? 博之に肩貸してたんじゃないのぉ?」 「悪い、ちょっと水飲もうとディパック弄ってた」 博之に再び肩を貸すキバ。 「ちゃんとしてもらわないと困るわぁ。ねぇ、妹……」 ふと水銀燈は妹に話しかけるが、反応がない。 「……え、あ、うん」 「ちょっとぉ……大丈夫?」 「だ、大丈夫、なんでもないよ」 そういう妹だが、体調が悪いのは誰の目から見ても明らかだった。 「……ねぇ、ティアちゃん」 「……そうね」 そのやり取りだけで、レナとティアナは意志の疎通を完了したようだ。 「薬草、まだあったわよね? ちょっと簡単に治療しましょう」 「ティアナちゃん、わたしは大丈夫だよ!」 妹は、元気な素振りを見せるが、レナは首を横に振る。 「だ、大丈夫だよ! 今は、早くお城に……」 「ゲームに乗った人が襲ってきて……そんな状態じゃ、逃げ切れないわ」 ティアナがそう言うと、妹も黙った。 「……頭が、少しボーっとするの。で、でも……大したことないんだよ?」 「……あんな鉄の塊で、殴っちゃったんだもんね」 レナが顔を伏せる。 「ここじゃ丸見えね……どこか、奥の家の中で治療しましょう」 大通りに面した家では、狙撃される恐れもあると考えたからだ。 「そうねぇ……さっさと移動しましょ」 「あー、それなんだけどね。私とレナちゃんで、誰か来ないか監視することにするよ」 移動を開始する一行に、そう切り出すこなた。 「こなたさん?」 「ほら、朱い月、じゃなくて月の頭脳とか危なそうな人がいるかもしれないからさ。 誰か来たとき、すぐに連絡できるようにってね」 「こなたも、休まんと平気なんか?」 「ふっふっふ、貫徹当たり前のネトゲオタの力を甘く見ちゃあいけない。 日付が変わる前に疲れるなどという感覚は、小学生のときに通過しているッ!」 「い、威張ることじゃないでしょぉ?」 「私だけじゃ不安だしね。レナちゃんとコロネには、一緒に見張りをしてもらうけど、いいよね?」 「いいけど……それで平気?」 二手に別れるのは危険だと言い出したのはこなた自身だ。 一瞬、こなたが震えたのをレナは見逃さなかった。 「別れるわけじゃないよ。それに、見張りは必要じゃん?」 「そうね、家の周りに見張りを立たせるのは当然として…… ここからも見張っててもらえれば、危険人物が来ても、すぐ逃げる支度ができる、か」 大人数でここにいてもすぐ見つかってしまうが、少人数ならその心配も少ない。 「……わかった。それじゃあ、こなたさんとレナに任せるわ……気をつけてね」 ピッピや妹が時折振り返ったが、全員が奥の家の影へと消えていった。 こなたとレナは、大通りに面した家の中へと移動していた。 空からは、コロネが周囲を見張っている。 「こなたちゃん、聞いていいかな?」 「なんだね、レナちゃん。おねーさんに何か御用かな?」 「……うん。ちょっとだけ、聞きたいことがあって」 真面目な話だと、こなたもふざけた調子を戻す。 「……どうして、見張りになんて?」 「うん……なんていうのかな。自分がさ、本当にみんなのことなんて考えてるのかなー、なんて思ってさ」 「……どういうこと?」 こなたの言うことを、レナは理解できない。 「……つかさをね、助けたくなるんだ。みんなを放っておいてでも」 「こなたちゃん……」 「私が一人で暴走したって、何もできないのはわかってる。 つかさがどこにいるのか見当もつかないけど、助けたい。だけど、圭ちゃんの意志だって継ぎたい。 だから……こうやって、自分がいる理由を作ってるんだと思う。 ……こんなに迷ってる私がさ、みんなの輪の中にいていいのかな?」 こなたなりに、悩んでいるのだろう。 圭一が死んで、二つの思いに悩んで――― 「―――なら、出てっていいんじゃないかな?」 「―――え?」 最後に、こなたはレナに答えを求めた。だから、レナは答えを与えた。 「いいよ、行ってきなよ。つかさちゃん、大事な仲間だもんね。 あ、なら私も抜けようかな。はぅ~魅ぃちゃんを早く探さないと。 魔法使いのティアナちゃんがいれば、みんな守ってくれるもん、危ない鉈女なんか必要ないよね。 私達一般人に、救えるものなんて何一つありはしないんだから。 ほら、これで私達は晴れて役立たず。ここにいる「理由」なんてなくなったよ ―――あれ、喜ぼうよ。あっけなく、悩みは解決したんだよ、泉こなた?」 世界が凍りついたかのように、静かになった。 「私は……」 「―――ごめん、聞いてる暇はないや」 レナは、銃を二人が入ってきたドアに向ける。 そこには、何もない。何も―――なかったはずなのに。 「制限ギリギリまで、存在感を散らしたのに、あっさりと気づかれるなんてな」 迷彩を解いたかのように、そこに小さな少女は存在していた。 本来、伊吹萃香は自らの体を霧状に散らすことが出来る。 制限のかかった今、石ころ帽子をかぶった程度に、存在感の密度を変えるのが精一杯だ。 「お酒臭いのも、消すべきでしたね。それで、何のようですか? 私たちを殺すつもりなら、とっくに襲ってきてますよね」 「お前に用はない。用があるのは、そっちの胸の小さい子だけだ」 「わ、私?」 こなたは身構える。 「手荒な真似をするつもりはない。私は、つるぺ……小さな子を守るために集めてる。 悪の巨乳には用は無い。連れとの約束があるから、大人しく引くなら見逃してやる」 「鬼が子供を攫うのを、見逃すと思うのかな?かな?」 小さな体から溢れ出る強大な力を前に、レナは立ちふさがった。 「レ、レナちゃん?」 「コロネには、このまま見張りを。―――こなたちゃんは、後ろに下がってて」 「鬼に挑む模範解答だな。―――しかし良かった、大人しく引かれたら、どうするかと思ってたところだ」 レナは、銃をしまう。残り一発の銃弾で、どうにかなる相手ではないと感じ取っていた。 取り出したのは、鉈。 「こっちも、妖力魔力共に不足気味だ。肉弾戦とさせてもらうぜ!」 二人が床を蹴ったのは、ほぼ同時。 鉈を横薙ぎに振り切るレナ。 それを、萃香は左手に握ったミニ八卦炉で防ぎきる。 「うおりゃああ!」 鉈を制しながら、開いた右手に力を篭める萃香。だが ―――それを、散弾銃のような拳が中断させた。 「ち ッぃいい!」 避けて、避けて避けて、全て避けきるのは無理だと判断した。 後ろに下がろうとして……悪寒に身をよじる。 コンマ数秒前まで萃香の顔面があった場所を、拳が通過する。 二人の距離は、元に戻った。 「驚いたよ、巨乳女。お前、強いじゃないか」 「かぁいい鬼さん、レナには、竜宮レナって名前があるんだよ、だよ?」 「そうかい、悪かったな竜宮レナ。ちなみに私も伊吹萃香って名前がある」 お互い、一歩も動かず隙をうかがう。 構えたまま、レナは動かず、口だけを動かした。 「こなたちゃんは……悩んでいる自分が悪いみたいに言うけど、悩んでない人なんていないんだよ? 私も、こなたちゃんに、妹ちゃんに……本当はどう思われてるのか、怖くてたまらない」 こなたが黙ったままでも、レナは言葉を止めない。 萃香は、呼吸を整え、次の攻防に備える。 「私は言ったよね。疑心暗鬼になっちゃいけないって。 それは、他人を疑うことはもちろん、信念を得たなら、もう自分を疑っても駄目。 自分を、信じて。貴女は、どうしてここにいるのか、思い出して」 そう言い切って……二人は、先ほどのリプレイのように動き出す。 鉈の一撃は、やはり左手に握られたミニ八卦炉で防がれ、 「くッ――!」 渾身の拳は見切られ、その手を掴まれる。 レナを蹴り上げようという萃香の攻撃は 「フタエノ……キワミー!」 全力の防御を必要とする一撃に阻まれた。 「私の……私の仲間に手を出すな!」 それが答え。 自分には、誰かを助ける力などないと理由を探し出した時点で間違いだった。 「仲間」を守るのに、肩を並べるのに。「仲間」だからという他に何がいるというのか。 圭一の死に、仲間との結束と同時に手に入れた、間違った決意は氷解する。 「驚いたな、お前も強いつるぺたか。……でも、いいのか? もしお前が、私についてくるっていうなら……お前の仲間、探すの手伝ってやるぞ?」 「ううん、結構です。……多分、私はどうやったって後悔する。 ここで皆と別れても、私の知らないところでつかさが死んでしまっても。 だから、私はここに残るって「自分」で決めた。何も出来なくたって、私は仲間達と行くんだって」 他人に選択を求めて、その結果が最悪ならば耐え切れないだろう。 だから、自分で選んだ。どんな罪も後悔も、受け入れるために。 「振られた、か。……ますます気に入った、弱い人間に任せるわけにはいかないな」 「弱い人間って、誰のことかな、かな?」 くうき砲を構えたこなたの前に、レナが出る。 「レナちゃん、わ、私も」 「ううん、これは私が挑まれた勝負だから。そうじゃないと、納得してくれなさそうだもの」 「良いこと言うけど、殺されかけても同じことが言えるかね」 そういう萃香に、先ほどまでの殺気は薄れている。 「さっき、悪の巨乳とか言ってたけど、間違いじゃないかも。 だってほら、私……こんな状況なのに楽しくてしょうがないんだもの」 「ふん、胸に頭の養分吸われてるのか? この緊迫感……楽しまずにいられるか!」 三度目の激突。 レナが繰り出す音速の拳を萃香片手でいなす。 次に来るであろう鉈の一撃を防ごうとして、萃香に再び悪寒が走る。 鉈を握っていたはずの手は、徒手空拳。 鉈を用いる意味はない。 鉈が完全に防がれてしまうなら、鉈より速い一撃を繰り出せばいい。 八卦炉を持った左手を掻い潜り、「回避不能」と称された一撃が萃香に迫る。 ―――100年の経験。 それは、人間の人生とも同等の時間。 竜宮レナは、そしてその仲間達は、その長い時間の多くを死と隣り合わせに「繰り返してきた」。 全力を尽くして、遊んだ。殺し合いをしたことがあった、一方的な虐殺もあった。仲間との戦いがあった。 戦闘のプロである部隊から、逃げ、戦い、しかし死んでいったことが何度あっただろう。 それは、覚えていなくとも全て積み重ねられる。肉体ではなく、精神が全てを覚えている。 その100年は、達人の領域へとレナを踏み込ませた。 ―――だが、それすらも萃香は防いだ。 顔面へと迫る一撃を、片膝で受けきった。 100年など、鬼にとっては取るに足らない年月に過ぎない。 鬼の力は、レナが100年で得た領域で相手に出来るものではない。 修羅場を越えた数も、戦い得た経験も、レナの繰り返し濃縮された100年でようやく互角。 つまり、純粋な力の差がある限り、レナに勝ち目はない。 唯一あるとすれば、リーチの差。 萃香はそれを埋めるべく、懐へと飛び込む。 これで差は無くなった。 先ほどは、距離があったために拳の威力が完全には届かなかった。 だが、この距離ならば100%の一撃を篭められる。 ―――高町なのはを殺した時のように、貫くほどの一撃を。 (死んでも恨むなよ、竜宮レナッ――!) 全力全開。拳を放つことへの集中。 だから気づかない。レナの構えが違ったことに。 そして、間に合わなかった。 攻撃が、ではない。防御が、でもない。 「悪寒」が間に合わなかった。 萃香に悪寒……危険信号が届いたとき、萃香の体は宙を舞っていた。 接近戦に分があるのは、萃香だけではなくレナも同じことだった。 本気の拳、「知覚不可」とさえ称された一撃。  レナ フラッシュ インパクト  R   F   I レナ本人は、そんな命名をされているとは露とも知らない、レナ非公認の必殺技。 レナの拳に慣れ親しんだ圭一ですら光としか認識できない光速の拳。 ―――だが、これはお遊びの一撃だ。 本来なら、ふざけて軽く(本人談)放つからこそ、この速さで打てる「軽い(本人談)」拳。 レナは、何故か今なら本気でも放てるような気がして……実際にやってのけた。 それを知る術は、レナにはない。 ―――身体能力に乏しいはずの圭一が、学校の屋上でレナと互角の死闘を演じられる力を得ていたことも。 ―――学校の爆発を阻止できなかった世界で、遠い未来に魅音が銃弾を切り伏せるほどの力を得ていることも。 今のレナの状態と関係しているのかもわからないし。 なにより、「今の」竜宮レナには、もはや永遠に関係のない世界の話だ。 「レナちゃん、大丈夫?」 「平気だよ、こなちゃん。……さっきはごめんね」 その呼び方に、こなたは一瞬つかさとレナが重なって見えた。 「う、ううん、こちらこそ。シリアスな展開に慣れてないから、考えすぎちゃったみたい ……騒ぎを聞きつけて、誰か来るかもしれない。皆に知らせに行こう」 「そうだね。でも、その前にこの人を……」 このまま放置するわけにいかないと、思った矢先。 「……え?」 そう遠くない場所から爆発音が響いた。 「レナちゃん!」 「みんなの向かった方角だよ!」 二人は家から飛び出す。 屋根から飛び降りたコロネが追いかけてくる コロネに誰か見たか聞くが、答えは否。 「見逃したのかな」 「ううん、単純にここを通ってないか……鬼の子みたいに、特殊な力があるか、かな。 それに、それなりにドタドタしてた私達を無視したってことは…… 町の外側から来た人か、始めからティアナちゃん達を狙っていた人がいたんだと思う」 考察なんて、今はどうでもいい。そう離れてはいないのだから、間に合う。 そう、信じて走る。 時間は、レナたちが萃香に会う少し前まで戻る。 「包帯、あったわよ」 ティアナたちは比較的周囲を確認しやすい民家へと入っていった。 外では、ヲタチとピッピが見回りをしている。 「ッ~!」 薬草を磨り潰したものを、妹の傷に塗りこむ。 「薬草磨り潰しながらイ~ヒッヒッヒ~……とか、翠星石辺りなら言いそうねえ」 「いや~、見えんけど水銀燈にも似合ってそうな台詞やぞ?」 無言で磨り潰した薬草を博之の傷口に塗りこむ水銀燈。 「ゴ――痛~、何すんぞー!」 「はぁ? 治療でしょうが、ばぁかじゃないのぉ? その様子をため息をつきながら見ていたティアナは、妹の前に座り、頭に包帯を巻く。 「どう、調子のほうは?」 「う、うん……良くなったよ」 「嘘だッ!……なーんて、ね。似てたかな、かな?」 「相変わらず、似すぎやぞ」 それはともかくとして、みんなが妹の様子を心配する。 「……軽い脳震盪かもね」 レナ本人が言っていたように、大人の身長ほどもある鉄塊で殴ったのだ。 あの状態のレナが、どれだけ手加減したのかも疑わしい。 頭へのダメージが、何時間もあとに出てくるなんてよくある話だ。 「ティアナちゃん、レナちゃんは悪くないよ!わたしが、レナちゃんのことを殺そうとしたから……」 「違うわ、妹ちゃん。どっちも悪かったのよ。だから、現地の判断で両成敗。 でも、それと妹ちゃんが無理するのは別の話よ」 「そうやぞ、それで倒れたり、最悪死んだりしたら、原因作ったレナが、病気抜きで壊れてしまうぞ」 シュンとなる妹。 「そう、だよね。それにわたしが死んだら……私が塔で殺したあの人への償いも、出来ないんだよね」 「そういうことだ。俺も、死んだ蟲野郎の分まで……いや、うーん……」 「どうしたのぉ?聞いた話だと、ろくでもない蛆虫みたいな奴だったんでしょ?」 「そうなんだよ。それに俺、あいつのことアニメでみたことある気がする。 アニメであいつのことを見たとき、痛い目に遭う姿を見て「ざまぁwww」とか思った。 でも、実際に目の前で死なれると……アニメ見てるときは、主人公に感情移入してたりするけど、本来は全然恨んでないわけだしなぁ」 アニメという言葉に、ティアナは何か考える始める。 「その、アニメの話なんだけど……あなたは知ってる?」 「ぼんやりとはな。……しかし、アニメもゲームも原作者がいるけど、どうなってんだろうなあ」 「そうねえ……単なる偶然って線を除けば……原作者本人は、気づいてないんじゃないかしらぁ?」 水銀燈の発言に、みんなが耳を傾ける。 「仮説に過ぎないけど、聞きなさい。夢の世界にはね、世界樹っていう大きな樹があるの。 その樹は、全ての人の夢と夢を繋いでいて、心が通い合った人同士の夢が繋がったりするときもあるのよ。 原作者とか、そういう人は……夢で見た世界のことを、無意識に描いてるんじゃないかしらぁ? 声優とか、そういう人も、ティアナやレナと繋がってて、だからイメージ通りだとかって理由で選ばれてるとか?」 たしかに、それだと辻褄があってるように思える。 実際見たものをお話として書くわけだから、アニメが現実と同じなのは当然ということか。 「妄想に過ぎないから、忘れていいわよぉ。あのピエロを締め上げれば、答えが出るでしょうしねぇ」 そういいながら、磨り潰していた薬草をビンにつめた。 傷薬の代わりになってくれるだろう。 「出来ることなら、妹ちゃんを安静にしておきたいけど……町を離れるのが先決よ。 ごめんね、背負ってってあげるから……ここから抜け出して、安全なところに行きましょ」 酷いことを言っていると、ティアナ自身反吐が出そうになる。 「うん、ありがとうティアナちゃん」 だから、笑顔でこう言ってくれた事が嬉しかった。 ガンッ 「今のは?」 右隣の家……その屋根の辺りから音がした。 「だ、誰か上にいるんか?」 緊張が走る。ヲタチとピッピが向かったようだ。 「妹ちゃん、私から離れないで」 「う、うん……ヒッ!?」 妹の悲鳴に、全員が振り向く。 妹の視線の先……窓の外に、誰かが立っていた。 「そこにいるのは誰!」 ティアナとキバが銃を構える。 だというのに、人影は微動だにしない。 「……?」 逃げるなり、襲ってくるなり、何の反応も無いことを不審に思いながらも、窓に近づいていく。 「……?」 無用心に、水銀燈が窓のそばまで寄り……口を開く。 「これ……ただのマネキンよ!」 ほっと、胸を撫で下ろした者と、戦慄した者がいた。 そのマネキンが、自分たちの注意を引くためのトラップだと気づいたか、否か。 ―――どちらにせよ、手遅れだった。 何かが、反対の窓から飛び込んできた。 飛んできた何か―――『インセクター羽蛾の首輪』に、隠れていた富竹の放った銃弾が命中する。 直後、周囲は白い閃光と、爆音に支配された。 作戦が成功した富竹は、だというのに進入して混乱していた。 (どうなってるんだ、レナちゃんがいない!?) 身を潜めながら、富竹は遠くから二手に分かれた彼女達の会話を聞いていた。 その内容は聞き取れなかったが、声の主だけははっきりしている。 (偽ハルヒめ、やっぱり混ざっていたな!) もちろん、この一団にハルヒなどいない。 暗闇で見えないため、こなたの声をハルヒの声と認識したのだ。 ―――雛見沢症候群である彼ならば、姿が見えてもハルヒだと信じたかもしれないが。 二手に分かれたのを確認する。富竹は偽ハルヒが見張りだと声で確認した。 (あいつは下っ端ということか……なら、こんな小物に構っている暇はない) ハルヒを殺したくて仕方のない富竹だが、彼はハルヒを地位の低い存在だと決め付けた。 (それよりも、今はレナちゃんを助けなければ。きっと、これから何かを始める気だ) そう、これが更なる間違い。 ティアナの声を、レナと勘違いしたのだ。 レナは、このときあまり多く喋っていなかったため、レナだと認識されなかった。 見張りがいる場所がわかっていれば、死角になる場所を探すことなど、自衛隊員である富竹には簡単なことだった。 尾行し、敵のアジトを突き止める。 見張りがいるが、ここで銃を使うわけには行かない。 持っていたマネキンの腕を天高く放り投げる。 富竹がいる場所とは反対の家の屋根にぶつかり、見張りのモンスターはそちらに向かった。 窓まで近づき、マネキンの本体を置く。 この暗がりなら、注意をひきつけることができるはずだ。 案の定騙された。その間に富竹は、違う窓の近くに移動した。 そして、この首輪を使うときが来た。 首輪が落ちているのを見たときは、どういうことか混乱した。 しかし、首輪と辺り一面の血しぶきが凄惨な何かがあったことを物語っている。 (主催者どもめ……随分と色々な実験をしているようだな) 首輪を拾い、その構造を確かめた。 残念ながら、自分の知識では首輪について理解できることは少ない。 だが、どうやら首輪は外周に比べて内周……首に面した部分は装甲が薄いらしい。 爆発した際、首を確実に吹き飛ばすためだろう。 首にぴったりフィットしているため、自分の首輪もそうなのかは分からない。 (そうか、そういうことか) なぜ、首を痒くする薬なんて作っているのか富竹は理解した。 首を掻くときに、首輪を誤作動させるためだ。 おそらく、フィットした内周に大きな刺激を――たとえば外そうと掴んで――与えると爆発しやすくなっているのだろう。 外周部分は、拳銃の弾ですら弾くだろう。 参加者を殺すのが目的なら、これを破壊するほどの一撃を与えるより、参加者自体を殺したほうが簡単だ。 反対に、内周部分に大きな衝撃を与えれば……爆弾として使えるということだ。 そして、僕は首輪を投げた。 拳銃で狙うは、首輪の内周部分……楽勝さ! 銃弾は、弧を描く首輪の内周部を打ち抜き……予想通り爆風が室内を包み込む。 内へと爆発力が向かう設計であるため、殺傷能力は低い。 だが、その爆風は、油断していた奴らを壁に飛ばす程度はあった。 部屋に突入し、レナちゃんを保護しようとして……いないことに気がついた。 「いない、だと! そんなはずはない!」 たしかに、レナちゃんの声を確認したのにと狼狽する。 部屋の中の誰もが、床に倒れるか、壁に激突し気を失っている。 だが、のんびりはしていられない。 すぐに見張りどもが、ハルヒもやってくるに違いない。 (どうする、逃げるか?) 「ヒッ……」 悲鳴。―――ああ、そうだ。ここまで危険を犯したんだ、奴らの手駒を減らすくらいしなければ、割に合わない。 「死ね」 蒼白の幼女に銃弾をお見舞いする。 脳天を直撃、するはずだった銃弾は、幼女を庇うように飛び出した誰かに当たった。 「くそ―――ぐあッ!?」 横から誰かが富竹に掴みかかる。 ほとんど体当たりのような形だったが、鍛え上げられた富竹を倒すことは出来ない。 「うおおおおおお!!!」 その男……爆発地点から最も遠くにいた博之は、爆発の衝撃で尻餅こそついたが、それだけだった。 何が起こったのか把握はできない。 それでも、「死ね」という声と、銃声がした方角に、全力で向かっていった。 「ガッ―――」 糸が切れたように、博之は倒れた。 バチバチと音を立てるスタンガンを、首筋に当てられたのだ。 顔面を蹴り飛ばし、銃の引き金に指をかける。 だが、この僅かな時間は爆発の衝撃から立ち直る時間としては十分だった。 炎を纏った羽が、メタルブレードが富竹を襲う。 それでも、富竹は目の前の男を射抜くことを試みて ―――そのどちらとも違う、正面からの銃弾に、その腕を射抜かれた。 「GYAAAAAAAAAAAAAAAA!!」 銃弾は、見当違いの方向に飛んでいく。 もう、富竹の頭の中にレナや殺意はなかった。 生き延びることだけを考え、家から飛び出す。 外には、異変に気がついたピッピとヲタチがいた。 「機関車は無敵さあぁぁぁぁあぁぁ!!」 富竹は何も考えずに突進した。 ヲタチが炎を纏った拳を放つ。 ピッピは指をふる。 顔面に炎のパンチを浴び、酷い火傷を負うが、ヲタチを吹き飛ばして逃げる。 ピッピの指を振るは、効果が表わさず……富竹は走り去った。 こなたとレナが飛び込んできたのは、それとほとんど入れ替わりだった。 「いやぁあああ!あ、ァァアアアアア!!!」 半狂乱の妹の叫び。 その体は、頭から血で真っ赤に染まっている……もちろん、妹の血ではない。 「ティアナ!」 頭からおびただしい量の血を流し、倒れているティアナ。 荒い呼吸が、まだ生きていることを示すが……明らかな致命傷だった。 この傷で、富竹の腕を銃で射抜いたなど……誰も信じられなかった。 「いもお、ちゃ……ぶ、じ?」 妹がティアナの手を握る……冷たくなりはじめていた。 「だ、大丈夫だよ、ティアナちゃん」 安心させなければと、無理やり落ち着いた声を出した。 「だれか、いもうと、ちゃんがぶじ、……みんな……」 ―――気づいていない。 強く手を握っているのに、その目は妹も、仲間も映してはいない。 懸命に、目の前にいる仲間を探して、妹の安否を確かめようとしている。 「どうして」 こなたの悲痛な声。 これから、仲間と共に歩むと心に刻んだばかりなのに、その決意をあざ笑うかのように、仲間の命は終わろうとしている。 レナとて、同様だ。 萃香を撃退し、安心したところからの落差も激しい。 早く楽にしてあげるべきではないかとすら、考え……怖くて、そんなことは出来なかった。 タオルで傷口を止血しようとしても、止まる気配はない。 水銀燈が解放していた博之が、目を覚ます。 どうなったのか、説明を求めた博之に水銀燈は説明をする。 その絶望感を含んだ口調と内容に、博之は崩れ落ちた。 「くっそぉぉぉ……なんでぞ、なんで俺みたいな役立たずが生きて、ティアナが」 「わたしが死ねば、わたしみたいな役立たずが……」 パァン 博之の頬を水銀燈が叩く。キバが、妹の頬を叩く。 「二度と言ってみなさい。そんなふざけたことティアナの前で、よくも……!」 泣いているのか、水銀燈の言葉は続かない。 「……すまんかった、水銀燈」 キバも何も言わない。言葉にできないのだろう……ただ、泣いていた。 「ごめん、なさい。わたし……でも、わたしどうすれば……」 「ピィ!!」 戻ってきていたピッピの声、そしてヲタチも威嚇の声を上げた。 家の入り口に、人影があった。 これ以上絶望に追い討ちをかけるのかと、しかし全員が敵意を露にした。 入り口に立つ人影も、それに匹敵する戦意を露にして。 「な のは、さ ん?」 ティアナの声で、全てが掻き消された。 もう、自分は死んだのだと思った。 だけど、違った。 まだ、周りには結束を誓い合った仲間達がいることが感じられた。 そして、新たに入ってきた人の魔力を、私は忘れるはずもなかった。 近づいて、手を握ってくれて、それは確信へと変わった。 「いきていて、くれたんですね」 心のどこかで、信じていなかった。死体を見るまで信じることはできなかった。 だからこそ嬉しい。この最悪のタイミングで、最高の追い風が吹いたことが。 「わた、わたしのなかまを、おねがいしま、す。そ、それから……こ、こーじをいきかえらせてください」 呂律も怪しい、そんな言葉を、彼女は聞き取ってくれている。 「ゲームに、乗れってことなの?」 ああ、大変だ。勘違いさせてしまう。 「ちが、います。あ、あいつらをたおしたら、きっといきかえらせるちからも、みつか、る。 だ、だから、そのときに わたしはいいから、こーじのこと、を……いもうとちゃんのお兄さんも、みんな、を」 こんな違反を、なのはさんは許しはしないだろう。 駄目だよと。優しく、しかし厳しく私を非難するだろう。 「うん、任せて」 だから、この言葉を聞いて、私は安心してしまった。 もう、とても眠いのを我慢しなくて良いのだと、思った瞬間から眠くなってくる。 「すみませ、ん、なのはさん。あとは、おまかせします。 ほんの少しですけど、わたし、のまりょく……うけとって、ください。 ―――機動六課の意地……主催者どもに、見せてやってください、ね?」 ディバイドエナジー。魔力を他人に分ける魔法……多少なりとも役立てて欲しい。 「―――わかってる。ティアナは良く頑張ったね。少し、休憩するといいよ」 「はい……おやすみ、なさい」 疲れが、嘘のように取れた。 「ティア、よう頑張ったな」 聞きたかった声が聞こえて、自分がどうなったのかよくわかった。 迎えに来てくれたのいいけど、タバコの吸殻が足元に落ちまくっている。 死に待ちと思うと、あまり良い感じがしなかった。 「ポイ捨ては、罰金の対象よ。―――あれ?」 光の奥に、誰かが逃げるように消えていった。 なんだろう、なのはさんに似ていたような……そんなはずは…… 「ま、まあ深く考えるな、気にせんで行くぞ」 何か怪しい。 まあ、いいか。どうせ私に出来ることはない。 「レナ、博之、みんな……運命の打開を、夢で終わらせないでね」 そして、浩二と一緒に光の先へと進んでいった。 |sm155:[[『殲滅計画YOKODUNA』(後編)]]|[[時系列順>第四回放送までの本編SS]]|sm156:[[Stars Strike(後編)]]| 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