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そうか真のラスボスはアグネスと石原だったのかwwwwwwwwwwwww
*青の炎Ⅳ ~キラキラにしてやんよ!~ ◆jVERyrq1dU (非登録タグ) [[パロロワ]] [[ニコニコ動画バトルロワイアル]] [[バーサーカーソウル]] [[第232話]] ---- ▼ ▼ ▼ 場面は変わる。ここは最終決戦の地、ホール。 『いい様だなマルク』 『ほんとに……ピエモンは頭が悪過ぎる……お願いだからボクの邪魔をしないで欲しいのサ……』 思い出せ、ピエモンの言葉を……。ボクはラスボスになるんだ。 ニコニコで人気者になるんだ。ピエモンの言葉を思い出せ。 あいつが励ましてくれたのを思い出せ! 墜落した後もマルクは諦めてはいなかった。必死に地面を蹴り、立ち上がろうとする。 だが瀕死の体は思うように動いてくれない。今にも意識が飛びそうになるのを懸命に堪える。 瀕死のマルクがこの時思い出した事は、客席でのピエモンとの会話。ジャイアントスイングでぶん殴られた後の会話 『誰が邪魔しているんだ? ふん!頭が悪いのは貴様の方だ!私は貴様の邪魔などしていない!』 『何を……言っているのサ……ピエモンは余計な事ばかりしてるのサ……ほんとバカ……頼むからどっかに消えてろなのサ…』 『貴様がそれだけやられているのはただ単に弱い所為だ。私の所為ではないぞ?』 『ここまで……ボクを思い切りぶん投げた奴が……よく言えるのサ……』 『……誰がわざわざ遠回りして遊戯とつかさの到着を遅らせてやったと思ってる。  私はお前の事を気遣って、対主催達の合流を遅らせてやったんだ。お前が長く戦えるようにな』 『…………は!?』 場面は変わり、ここはメインコンピュータ室。 ピエモン様は大儀そうに語り出す。 「アイスデビモンは、最後まで私とマルクが仲直りすることを望んでいた。  今までの私は心理的に盲目だったから、アイスデビモンの言葉もほぼ聞き流していたんだ。  私は……ずっとマルクが私の事を裏切ったんだと思い込んでいた」 「そんな事……ありません」 何があってピエモン様がマルク様を疑ったのかは分からない。ただ俺は悲しかった。 「アイスデビモンは最後の最後、『自分はただ二人に仲よくして欲しかった』と言った。  最後の言葉だ。今までのように聞き流すなんて出来ないさ……だから私は、もう一度考えてみようと思った。  マルクが本当に私を裏切ったのかどうかをな……。その時、対主催達には、仲間のふりをしていた。  アイスデビモンの最後の言葉を曲解し、あえて道化を演じた。レナと遊戯にばれなかったのは僥倖だったな」 「そんで考え直して、マルクが裏切ってないって気づいたのか」 KASが結論を急ぐ。ピエモン様は、あわてるな、と言いKASを窘める。 「ただマルクが裏切っていないと分かり、元の鞘に私が収まろうとしているのなら、ここでお前と仲良く話しているわけがないだろう?  我々は元々敵どおしなのだからな」 「……そう言えばそうか」 KASは納得したようだ。 「事態はもう少し複雑だったんだ。私は、アイスデビモンの最後の言葉を何度も咀嚼した。  アイスデビモンは最後まで純粋だった。目的は一貫してぶれなかった。最後まで私とマルクを繋ぎ合わせようとした。  そう、自分の目的に関しては純粋だったのだ、私達は全員な。アイスデビモンの最後の言葉でそれに気づけた。原点回帰というやつだ。  アイスデビモンも、そしてマルクも、私も、コイヅカも、自分の目的に関しては純粋だったのさ」 「どんな風に……純粋だったんですか?」 俺は慎重に質問する。 「アイスデビモンは、さっきも言ったんだ。言うまでもないな?  コイヅカは、奴はニコニコオールスターを殲滅させるために殺し合いを開いたのだ。あくまで純粋。  そして執拗、目的達成のためには全てをかなぐり捨ててきた。  あの執念のような気迫を感じさせたジアースは、ひょっとしたらコイヅカが操縦してたのかもしれないな。  私の目的は、世界征服だ。恥ずかしながら途中で少しぶれたがね……」 「世界征服なんて見逃せないっていう」 KASが口を挟む。ピエモン様は獰猛な笑みをKASに見せつける。 「ニコロワが終わった後、いつかまたどこかで会うかもしれないな。今度は純粋な敵として」 「望むところだと言わざるを得ないけど、ニコロワの分の恨みをきっちり清算させるつもりだからもう会わないかも」 うーん……KASの言っている意味がいまいち理解出来ないな。 もうちょっと分かりやすく言って欲しいものだ。 「最後に、ここが一番肝心、マルクの目的は何だったかと言うと、これはさっき確認したから完全に把握してある。  やはり奴も純粋だったわけだ。全くぶれていなかった。  私は過去のマルクの行動を必死に思い出し、マルクの目的が何か推し量る事が出来たんだ」 ここまで言うと、急にピエモン様の顔が暗くなり、声の調子も変わる。 「私はマルクに悪い事をしたのだ……」 続けてマルクは思い出す。記憶の続きを──── 『アイスデビモンが、マルクは裏切っていないというものだから、少し考えてみたんだ。  お前確か、ニコロワが始まった頃からずーっと『ただ楽しみたい』とか言ってたな』 ボクはここで、こくりと頷いた。 『頭の固い私にはその『楽しみたい』というのが具体的にどういう事なのかよく分からなかった。  だからお前はただ私とコイヅカの足を引っ張って楽しんでるくらいにしか考えていなかった』 『全然違うのサ……』 ピエモンはしばらく沈黙する。やがて、言い難そうに話し始めた。 『……対主催の連中と関わっているうちに、『楽しむ』というのが少しずつ分かってきたような気がする。  奴らは何でもない時に笑う。どうでもいい事で泣く。そして力を合わせて戦い、勝利すれば喜び合う』 『…………何が言いたいのサ……』 『正義の味方は何でもない事で笑える、泣ける。いや、それがおかしいわけではない。  レナ達の感性は今までずっと悪に手を染めてきた私から見ると異常だが、  ニコニコ動画でヒットしている動画から学んだ感性に照らし合わせてみると、レナ達は至極普通だったんだ』 ボクはしばらく沈黙していた。 『すなわちエンターテインメント!!人を楽しませる事!!ニコロワ動画が、主催者を打倒して完結したら、これ以上なく伸びる動画になる!  ニコ厨の私が言うんだから間違いない!!正義が悪を滅ぼして綺麗に完結する物語、なんと爽快な事だろう。  私は理解した。遊戯とつかさとで他の対主催達を探している時、エンターテインメントを理解した!  お前とコイヅカがこれ以上なくエンターテイナーだと言う事を!』 『……こ、コイヅカ君も?』 この時のピエモン。あまりに自信満々で否定できなかったのサ。コイヅカ君は関係ないよ。 ほんとバカな奴なのサ。 『私はもう一度考え直してみた! Nice boat.!あれがなければ参加者は首輪を外せなかったかもしれない!  ゆめにっき!あれがなければ数々の名場面は生まれなかったし、三国志状態でニコロワを盛り上げたハルヒ達のチームも生まれなかった!  そして私のジアース!私は踏みつけられたがな……そう言えばあれは、どうして私は踏みつけられたのだ?』 『知らないよ……』 なんか知らない間にピエモンの心の地雷を踏んでしまったらしい。この時のピエモンは、ボクに対して久しぶりに懐疑的な視線を向けていた。 『まあ、いいさ。ジアースをコイヅカに渡した理由もなんとなくだが理解できる。  確かに生身でもかなりの戦闘能力がある私が乗るより、一般人のコイヅカを乗せた方がいい』 『コイヅカ君は死んじゃったけどね……』 『まあ、仕方ないさ……』 ピエモンが身を乗り出し、本題に移る。 『つまりお前とコイヅカは私に嘘を吐いて、初めから対主催でニコロワを終了させるつもりだったのだ!  何故ならそっちの方が盛り上がるから!そうだろ!?そうなんだろ!?』 この時は本当に驚いた。あのバカなピエモンが不完全で推測交じりの推理で、とうとう真実に辿り着いたからだ。 コイヅカ君の事は完全に間違ってるけど…… 『…………その通りなのサ……ピエモン、騙してすまなかったのサ……』 『気にするな。ロワが始まった頃の頭の固い私では、真実を話されてもエンターテインメントなど理解出来なかっただろう。  ニコロワでの運営、対主催と共に行動した経験。そしてアイスデビモンの真摯な態度が、私を真実に辿り着かせたのだ』 『それで……結局ボクをどうするつもりなのサ……  ボクの力量では、対主催達を殺さずに名バトルを演じるなんて無理だって分かったのサ……もうどうにでも……』 ピエモンは弱気なボクを見下して、偉そうに言った。 『ふん!やはり貴様はラスボスを務めようとしていたんだな。まあその事に関しては何の文句もないさ。  ラスボスの役になんぞ私は興味ないからな。ただ貴様が弱気なのは気に入らん。  こうなったら私もお前に加勢してやろうか?』 『そんなのダメなのサ!ラスボスはボク一人!それだけは譲らないのサ!』 『だろうな……そこでだ!一つお前に別の方法で協力してやる。何せ、私はお前に悪い事をしたからな。  それにアイスデビモンの事も……』 アイスデビモン? 隊長がどうかしてくれたのだろうか。それに悪い事とは? ボクはそう思った。 「マルクにした悪い事ってなんなのさ」 KASは適当な布で傷口を塞いだりしながら、先を促す。 「私はマルクを心の底から疑い、憎しみ、そして裏切ったからだ」 「でも、結果としてマルク様には何の実害も与えてないじゃないですか」 「馬鹿め。アイスデビモンの忠誠心を見習え。レナ達の結束力を間近で見てみろ。そうすればお前もなんとなく分かる。  いいか? 普通の、一般的な常識では、友達を疑い、云われもない憎しみを抱くのは恥ずべき行為なのだ。  無実の仲間を疑った事、それが私が犯した罰だ」 KASと私はしばらく呆気に取られて沈黙した。その、なんというその…… 「お前……本当にバトロワ開いた大悪党なのか?」 KASの一見、間抜けな質問にピエモンは笑う。しかしすぐにKASを鋭い目つきで睨み、口を開いた。 「漸く世間の常識というのを知った大悪党だ。私の事をあまり勘違いするな」 ふーん、とKASは納得したような表情を見せる。 「それに、私の罪もあるし、そして、アイスデビモンの事もある。  何度も言うが、奴は最後まで私とマルクが友達として元に戻る事を願っていた」 俺は深く深く頷いた。 『アイスデビモンは私の右腕だぞ!?私の一番の部下だ!忠臣の最後の頼みを聞いてやらねば、上司失格だ!』 ボクはこの時、正直言ってアイスデビモン君に感謝した。しっかりと仕事をこなしてくれたのだ。 ピエモンの誤解を解けないようなら倒しても構わないと言ったが、アイスデビモンはしっかりと、完璧に仕事をこなしていた。 「いいか?正直言って私はマルクの事がそれほど好きではない」 『正直言って私は別にお前なんか好きとも思わん。アイスデビモンに友達と言われてもピンと来ない』 「だがな、アイスデビモンがそう願うなら、私はマルクと仲良くしようと思ったのだ」 『だが、他ならぬアイスデビモンが言うのなら、私とお前は仲良しだ!それでいい!』 「私は思った。友達なら、協力してやるのが普通だ。ましてや私が犯した罪もある。  だから私はマルクに言った!ラスボスに固執しているマルクに言ってやった!」 KASと俺は息を飲む。いよいよ結論に近づいて来ているのか? 『だから私はお前に協力してやる。早とちりするなよ、協力すると言っても二人でラスボスを務めようと言うのではない』 恥ずかしいのか知らないが、ピエモンの顔が見る見るうちに紅潮していく。 しばらくもじもじした後、ピエモンはこう言った。この言葉が、今でもボクの心に残っている。 「『私は対主催を裏切らない!あくまでラスボスであるお前の敵になり切り、お前を影から支えてやる!   私がお前をラスボスとして輝かせてやる!!!   ────キッラキラにしてやんよ!!────』」 『さあ、手初めに私を殴れ!幼女である私をぶっ飛ばしたら、ロリコンの怒りを買えるはずだ!ラスボスは憎しみの対象でなければ!』 『ピエモン……ボク、なんて言ったらいいのか……』 『構わん!さっさとぶっ飛ばせ!いい加減早くしないと対主催達に色々怪しまれるぞ!』 この時ボクはピエモンに感謝した。勿論アイスデビモンにも。2人のために絶対にラスボスを演じきろうと思った。 だからボクは、ピエモンに向かって全力全開の攻撃を仕掛けた。 『サンクス!! ピエモンA!!!ボクは絶対に名悪役になるのサ!』 ピエモンは『ぬわーーー』とか言いながら見事に吹っ飛んで行った。 ボクの記憶の旅は終わりを告げた。そう、ボクは……ピエモンのためにも、アイスデビモンのためにも、最高のラスボスにならないといけない。 誰も殺せなくてもいい。だけど、絶対に!名悪役になってやる! ボクは名悪役として!ピエモンは幼女としての可愛さで!絶対に二人揃ってニコロワオールスターに仲間入りするんだ! 軋む体をなんとか時間をかけて起こし、ボクはレナ達を睨みつける。 「そんな事があったのか……」 「マルクは生粋のエンターテイナーなんだ。これで意味が分かったと思う。  お前達二人の質問に対する答え、それはイエスでもありノーでもある。  私にはマルクを殺す意志は、ある。何故なら私はまだ対主催だからな。特殊な対主催だがな……くくく」 ピエモン様は満足そうに笑っていた。疑心暗鬼が解消したおかげなのだろう。 本当に爽やかな表情をしている。ピエモン様はおもむろに立ち上がり、未だにゆとり達にフルボッコされているハルヒの元へ歩く。 「どうしたんのビエモン?」 「だから、こいつは本当に鬱陶しかったんだ。マルクからラスボスの座を奪おうとするこいつが」 ピエモン様はゆとりを掻き分け、ハルヒの元に迫る。俺とKASもそれを追う。ハルヒの顔は見るからにぐちゃぐちゃだった。 ゆとり達に踏まれまくったのだろう。顎は完全に砕け、片目は飛び出している。もう片方の目はどこかあらぬ方向へ向いて全く光がない。 歯はすでにない。顔中ドロドロのぐちゃぐちゃで、まるで汚物のような有様だった。 胸の千年パズルは未だに蠢き、ハルヒのエネルギーを奪い取っている。 「死んでいるようだな……とうとう」 ピエモンはとどめにハルヒの顔を思い切り踏みつけた。 ゆとりよりも遥かに強烈なピエモンの蹴りは、ハルヒの歯を全てへし折り、鼻を潰し、目玉を陥没させた。 「行くぞKAS!レナ達と合流だ!」 ピエモン様がKASに呼びかける。しかし、KASはピエモン様の言葉を無視して、ハルヒを見ていた。 「どうした?」 「……出来れば自分の手で仇を討ちたかったっていう……閣下と博之……それに……」 KASはエリートデジモン達の死体の山を見つめる。 「……そうやって死んだ連中の思いを引き継ぎ、力に変える。対主催、いや、正義とは恐ろしいな。  世界征服に向けてのいい勉強になった」 「まあいいから行くぞ。ハルヒを殺しきるのにずいぶんと時間がかかった。早くマルクの元に急がねば」 「そうだ!レナ達の所に行く!今思ったら俺ずっとあいつらに会ってねェェーーーーーッッ!!」 ピエモン様とKASは二人揃ってだばだばとホールに向かって走って行った。 「ゆとり共!ハルヒは念のためにしっかりとバラバラに刻んでおけ!  エリート!お前は引き続きメインコンピュータとノヴァの守護を頼む!」 え? メインコンピュータ? あっ!!! ピエモン様とKASは廊下を曲がり、見えなくなった。 俺は完全に忘れていた。メインコンピュータが壊されてしまったんだ。もう動画編集は出来ない。 つまりもう…………!! 「あのぉエリートさぁん」 慌てている俺に、突然ゆとりが話しかけてきた。どうした、と俺はぶっきらぼうに言う。 ゆとりは怪訝な表情をしている。何があったのか知らないが、今はメインコンピュータの件が何よりも大事な事だ。 「なんかぁ、ハルヒのぉ胸に着いてるぅ。千年リングって奴?それがなんか急にハルヒの体に埋まっていったみたいな?  もう訳分かんないけど、なんか一応伝えといた方がいいのかなって思って、てかそれが当然みたいな」 千年リングがハルヒの体に埋まっていった……!? 何故!? 俺は後々、俺の全てが崩壊した後に気づいたのだが、ピエモン様がハルヒを踏みつけた際、踵の辺りが千年リングに届いていたのだ。 つまり、ピエモン様は、ハルヒの顔と一緒に、リングまで同時に踏みつけたという事。 それによってリングはハルヒの体内に完全に埋まり、そして──── 瀕死のハルヒの体は、体内に侵入してきたリングに対して、驚くべき対応をとった。 俺はその直後思い知る。ハルヒに不可能はない。ハルヒは神だから、殺す事もまた不可能なのである。 (神の力をせいぜい利用させて貰いますね!ぐぎゃ) (絶対に全部元通りにして!貴方は死んでもいいからみんなを生き返らせて!!) (まあ貴方の力があれば主催者に頼る必要はないです。便利ですよ涼宮さんは) 「黙れこのドグサレ共!!!究極の正義である私に纏わりつくな!この惨めな極悪人どもめ!!」 俺は開いた口が塞がらなかった。あのズタズタのハルヒが突然大声で叫んだのだ。 ゆとり達もまたぽかんとしている。ハルヒの胸を見ると、ゆとりの言うとおり、確かに千年リングが埋まっている。 これはいったいどういう事だ。どういう事態なんだ。頭がどうにかなってしまいそうだ。 「ピエモンのクソ野郎めッ! 私が『作られた』だと!? 私が『可哀そう』だと!?ふざけるなッ!  私は同情の対象なんかじゃ断じてない!!この世のありとあらゆる生物から畏怖され、崇められる存在だ!!  私は宇宙一の幸せ者! 成功者だッ!!」 相変わらず倒れたまま叫び続けている。ハルヒの様子がおかしい。いや、以前からおかしかったのだが、さらにおかしくなっているような…… 「私は望んで『こう』なった!!!貴様らなんか関係ないッ!!」 「い、一斉攻撃だッ!!」 ハルヒがぴくりと動いたのを見て、俺は咄嗟にゆとり達に指示を飛ばした。 ゆとり達の大半はビビっていて、俺の命令に従おうとしない。 しかし、事態の深刻さに気付いた一部のゆとり達は、俺の命令通り一斉に飛びかかった。 「消えされえええぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!」 ハルヒの叫びと共に、何かよく分からないエネルギー波がハルヒから発射された。 それにより、飛びかかったゆとり達は皆吹き飛ばされ部屋の壁にぶち当たり、疾走する車にぶち当たったトンボのように体がぶっ潰れた。 部屋の壁は一瞬にして赤く染まり、臓物の匂いが再び部屋を満たす。 「私は神だッ!! 究極にして唯一の絶対的な神だ!!!」 そして、ハルヒがゆっくりと立ち上がる。加速的スピードでハルヒの傷が回復していく。 ハルヒがセイバーっぽい服を掴み、自ら引き千切り、全裸になった。 普段のゆとり達なら、生唾ものの光景かもしれないが、今はそれどころではない。 「見ろゆとり!」 ハルヒがゆとりを一匹捕まえ、自らの胸を見せつける。千年リングが埋まっていった跡が残っている。 「私は以前、この邪悪なリングにとり殺されかけたが、今度は完璧に勝った!  邪神ゾーク・ネクロファデス……千年リングにはまがい物の神が潜んでいたが、本物の神様には敵わない!!  私は千年リングを、中の邪神ごと吸収してやったんだよ!クヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!  おら死ねえぇッッ!!」 ハルヒは捕まえたゆとりの口に手を突っ込み、そこから思い切り引き裂いた。 後に残ったのは血と肉と臓物だけだった。 「誰か言いたい事があるなら言ってみろ!私は作られたのか!?私は可哀想なのか!?  言いたい事があるなら言ってみろォォォーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!」 「お、お前ら全員逃げろォッ!」 俺は恐怖で頭がどうかしてしまったのだろうか。訳も分からないまま、叫ぶ。 それを切欠に、ゆとり達が恐怖の声を上げながら皆出口へと走り出す。 しかしハルヒがそれを許すわけがない。 ハルヒの体を中心にして、またよく分からないエネルギー波が発射された。 さっきのとは段違いの威力だ。メインコンピュータ室が完璧に吹き飛ぶほどの──── 「死ねええぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!」 「う……」 少しの間、気を失っていたのだろうか。俺はゆっくりと目を開く。 周りには沢山のゆとり達がそれぞれ重傷を負い、倒れていた。 上を見ると、空が見えた。反則的なまでに青く、美しい空だ。向こうから朝日が昇って来ている。 まさかノヴァのコアも吹き飛んだのか?と一瞬思ったが、どうやら無事のようだ。 コアの周りは強力な装甲があり、メインコンピュータ室の地下に埋められている。 ハルヒが直接攻撃するならともかく、今のような全体攻撃では破壊される事はない。 ゆとり達と俺は、ほぼ円状に倒れていた。その円の中心には、ハルヒがいた。 「楽しいんだから私は楽しんでるんだから。退屈な日常からは圧倒的にかけ離れた世界に居るんだから……  だからそれでいい。今の体は楽しいわ。けひゃひゃ……ピエモンの戯言に惑わされすぎたわね。  そうよ。私は今まで好き勝手にやってきた。楽しいから、楽しいから。何より神だから。私は最高の幸せ者だわ  くくく……けひゃひゃ……ヒャハハハハハ!そうよ!私は正しい!答えは、答えはいつも────」 ────答えはいつも私の胸に 「誰か私の事を『可哀そう』だなんて言ってみなさい。これ以上なく残酷な方法で殺してあげる。ピエモンのようにね。けひゃ」 『ピエモンのように』その言葉に俺は反応し、血を吐いた。ピエモン様とマルク様だけは絶対に殺させない。 アイスデビモン様が命をかけた取り戻した二人の絆。ここで終わりにさせてたまるものか。 血を吐いた俺をハルヒが邪悪に微笑み見つめてくる。そしてつかつかとこちらに歩いてきた。 「あんた、確かさっきKASを助けるなら『何でも言う事を聞く』って言ったわよね。  いいわ。今からピエモンを殺しに行くけど、一緒に居るであろうKASは、一度だけ見逃してあげるわ。  その代りあなたには、あなたとその他数人のゆとり達は────最初のHAL厨にさせてあげる」 「駄目だ……!KASだけじゃなくピエモン様も殺すな……!さっきまで瀕死だったんだからいきなり戦闘するのはしんどいだろ!?  だから、だからお願いだ……!!」 俺はハルヒの脚に縋りついて必死になって訴える。しかしハルヒは嘲笑するだけだ。 「ちょっと待ってなさい。ピエモンを殺したらすぐにHAL厨として調教してあげる。  あんた意志が強そうだから、調教の時に耳とか鼻とか千切る事になると思う。けひひ。でも大丈夫。  素直にHAL厨になれば怪我を治してあげるし、調教で死ぬ事もない……」 そう言うとハルヒは四枚の羽を生やし、ピエモン様とKASが消えて行った方へ向けて飛び立った。 俺は最後まで叫び続けたが、全てハルヒに無視された。 どうすれば……どうすればいいんだ。俺は足の怪我が酷くてハルヒを追いかけられそうにない。 絶望だ。絶望以外ない……。俺はKASもピエモン様もマルク様も好きだ。誰も死んでほしくない…… いったいどうすれば…… 「エリート殿!」 ゆとりの声が俺の耳に届いた。 「俺達ゆとりの何人かは!充分動けますです!俺達はマルクたんもピエモンたんも大好きです!  二人でいちゃいちゃして欲しいんです!!だから────」 軽傷のゆとり達が声を合わせて叫ぶ。 「「「「俺達がハルヒを倒して、ピエモンたんを守ります!!!」」」」 正直言って、俺は涙が出そうになった。あの臆病で駄目すぎるゆとり達があんな事を言っている。 俺はゆとり達の心意気に応えるべく、声を張り上げ叫んだ。 「頼んだ!俺達重傷組も後で駆けつける!!」 「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」 ゆとり達はだばだばと走って行った。 ピエモン様とKASがもうホールに着いているのなら、それが一番いい。ホールにはレナ達がいる。 レナ達ならあの不死身のハルヒもなんとかして…… 俺は起き上がろうとする。全身が悲鳴を上げるがへこたれている暇などない。 ピエモン様、KAS、無事でいてくれ……! 「ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! 軽い!体が軽い!  神だ!私は元から神だ!完全復活パーフェクトHAL様だッ!! ひゃはッ!」 ハルヒの頭の中にはもう、ピエモンに言われた事は完全に残っていなかった。 「作られた」「可哀そう」この二つの言葉は、今の彼女にとってこれ以上ないほどの侮蔑の言葉である。 しかしハルヒはもう気にしない。都合の悪い事は忘れて、立ち直る事が出来る。 何故なら彼女は神だから、何でもありなのだから……。どんな時でも前向きなのだ。 ハルヒの視界に、全力で走るKASとピエモンが映った。ハルヒはにやりと顔を歪め、二人を追いかけ加速する。 ハルヒのスピードに比べれば、二人の手負いの速度など虫同然。あっという間に追いつき、二人の前に降り立った。 KASとピエモンは笑ってしまうほど間抜けた表情で、ハルヒを凝視する。二人とも唖然としている。 「バカなあ……!」 漸くピエモンが声を出したかと思うと、次の瞬間、ハルヒに思い切りぶん殴られた。 口から血を噴出させながら吹っ飛ぶピエモン。KASは未だに反応すら出来ない。 「お前、ハルヒ……チートすぎるだろ!!」 「ハルヒと呼ぶなあッッ!!」 叫ぶKASに対してさらに大きな声で叫び返す。歯を獰猛に向きだし、KASを睨みつける。 恐ろしい表情だったが、KASは怯まない。 「いい加減死ねよハルヒッ! みんなが!みんながお前の死を望んでいるんだっていう!!!」 「知った事か!それに私はもう『ハルヒ』じゃないッ!!私はHALだッ!HALと呼べ!!」 「それこそ知った事かーーーーーーーーーーー!!!」 「ハルヒッ!!!」 ピエモンがふらふらと立ち上がり叫ぶ。ハルヒはすぐにピエモンの方を向き、キバを向いて威嚇する。 「だからハルヒと呼ぶなと何度言えば……!!」 「悲しいからか!」 ピエモンは叫ぶ。よく見ると首に石材が突き刺さり、大出血をしている。 吹っ飛ばされた際に傷つけたのだろう。早急に手当てをしないと死ぬ。 だがピエモンは叫び続ける。こうなっては、ピエモンの武器は話術しかない。 さっきと同じようにハルヒが食いつく話を続け、隙を見て殺す。 難易度は前よりも遥かに高いだろう。何故なら殺す手段が今のところ思いつかないからだ。 千年リングすらハルヒは取り込んでしまった。 「悲しいからだろうハルヒ!HALという名前に拘るのは!自分は進化したと思い込みたいからだ!実際は退化しているというのに!」 「それ以上歯糞臭い口を開くんじゃない……!!」 ハルヒの顔に幾筋も皺が入る。完全に切れている。 「いいか!? ハルヒは死んだんだ!!あの橋の下で、デーモンと会った時になあ!!」 ピエモンの話を遮り、ハルヒを叫ぶ。 「そして私、HALが生まれた!地上最強究極無敵絶対美麗天上天下唯我独尊……HAL様が生まれたのよッ!!  ピエモン!貴様はこれ以上なく残酷な殺し方で塵にしてやる!この私は憧れや畏怖の対象だ!  私は同情の対象ではない!人を勝手に不幸者扱いしやがって貴様はァ~~~!!」 「違う!お前は、お前はまだ……!! 私はマルクをラスボスにしなければ……!!」 「ビエモン逃げろおお!!」 ハルヒがピエモンに飛びかかる。重傷のKASはただ叫ぶ事しかできなかった。 「「「「ピエたんを殺す奴は許さねええッ!!」」」」 ハルヒがピエモンに飛びかかるのとほぼ同時に、追いついたゆとり達はハルヒに突撃する。 しかしいくら雑兵が飛びかかったところで、何の意味もない。ハルヒは一撃でゆとり達を吹き飛ばし、ピエモンに迫る。 「マルクが大切か!ヒャハハハハハ大切なんだなこの超絶ヘタレB野郎!!」 ハルヒの拳がピエモンの心臓をとらえる。その一撃で、ピエモンは呆気なく絶命してしまった。 残されたのは、幼女の死体と、その背中に着いている萌えもんぱっち。 ▼ ▼ ▼ 「あいつ……まだ……」 日吉がぽつりと呟く。気持ちは他の五人も同じだ。 レナ達は複雑な気持ちで瀕死の体を必死に起こそうとするマルクを凝視する。 どう見てももう戦える体ではない。 「どうして逃げないのかな……かな」 レナが思ったままの事を率直に口にする。 「確かにそうよね。どっち道、もう殺し合いは完全に破綻しているわ。どうしてあそこまで必死になる必要があるの」 「劣勢なんだから逃げればいいのにな」 だが逃がさないけどな、と遊戯は続ける。 殺し合いはとうの昔に破綻している。ではマルクは何に執着してあそこまで必死になって戦っているのだろうか。 私達も知らない陰謀がこのデスゲームには隠されているのか、レナは考える。 そこまで考えると、マルクが漸く地面に二本の足をつけ、立ち上がった。今は偽フランの格好になっている。 レナは決心して口を開いた。 「マルク! もうどうやっても、あなたの負けだよ?これ以上戦うと、死ぬ事になるよ?」 それに対するマルクの返答は、沈黙だった。いや、口を開く事すら出来ないのだろうか。 「レナ、お前、マルクを見逃すつもりか?主催者だぞ?」 「……分からない。マルクに戦う意思がまだあるのかどうか……分からないし」 レナの返答は曖昧だ。日吉は複雑な面持ちでレナの顔を見る。 「か、か、、か…………」 「!? 静かに……!」 マルクが何かを喋ろうとしている。それにいち早く気づいた霊夢は他の五人に注意を促す。 「か、、かかって……来いなの……サ…………全力全開で……」 マルクは言い終わった後、ふらりとバランスを崩し、倒れた。 「ちょっと、遊戯君!?」 「俺に任せてくれ……」 遊戯がマルクの元に歩いていく。プチモスとカタパルト・タートル、二匹のモンスターを連れて。 「これ以上やったら死んじゃうよ?」 「レナ、お前だって本当は殺したいくらいマルクが憎いだろ?」 遊戯の言葉にレナは沈黙する。その通り、マルクの事が憎くて憎くて仕方がない。 しかし、いくら悪人でも殺すのは駄目な事。ましてや相手は瀕死。正当防衛ですらない。 そんな気持ちがレナを惑わせているのだ。 「お前の気持ちは分かるぜ。多分、みんな同じ気持ちだ」 遊戯はマルクへと歩み寄る。 「俺達はみんなマルクが、主催者が憎くて仕方がないんだ。だけど、殺すのはいけない事。  罪を憎んで人を憎まず。そういう考えがレナ、お前を悩ませているんだ。だけどな……」 遊戯がポケットから一枚のカードを、デイパックからデュエルディスクを取り出す。 「理屈じゃない。そういう倫理みたいなのではどうにもこの気持は治まってくれない。  何故なら、俺達の大切な人たちがみんなマルクのせいで死んでしまったんだからな……  だからこれでケジメをつけようッ!!」 遊戯は闇マリクのデッキが入ったデュエルディスクを身につける。 「俺が今からマルクを死なない程度にぼこぼこに痛めつける。勿論何か反抗してきたら殺すけどな。  それで……ちゃらにしようぜ?」 振り返って、五人の仲間達に問う。 「マルクに贖罪させるんだ。マルクが大人しく罪を認め、俺の罰を真摯に受け止めれば、それでお終いだ。  どうだ?」 少しの間、全員無言だった。色々言いたい事もあるだろう。 絶対にマルクを殺さなければ気が済まない者もいるかもしれない。 一人、口を開く。 「私は賛成よ」 霊夢である。 「そんな弱い奴を殺したら、寝覚めが悪くなるわ。死んだ人達もきっとそんな事……」 「俺も賛成だ」 続いて日吉が口を開いた。 「私も。私だってみんなは許してくれた。殺さないでいてくれた。だから……」 つかさも賛成を示す。 「私も賛成だよ」 レナが散々悩み、遊戯に言う。 「マルクにも罪滅ぼしのチャンスをあげないと……」 にこりと笑う。続いてカービィがぽよっ、と叫び、賛成を示した。 全員の同意を確認した遊戯はマルクの方に向き直る。 相変わらずマルクはボロボロである。だが、罰なんだから容赦してはならない。 例え死んでもだ。 「マルク、ちゃんと自分の罪を認めて、罰を素直に受け入れるか?」 一応聞いてみる。マルクは返事すら出来ない。遊戯はマルクの服の中に手を突っ込み、ドラグーンのパーツを回収する。 「こいつは……先に頂いておくぜ」 マルクは相変わらず無言である。 (上手い事言ったもんだねもう一人の僕) 「…………」 (これで自分の手でマルクにとどめを刺せる) 「相棒。俺はそういうつもりでこの案を提案したんじゃないぜ」 遊戯は意識の裏に潜む主人格に向けて話しかける。 「折り合いをつけたかった。憎むばかりじゃ何も解決しないのさ」 (……ふふ。マルクがもっと強かったら殺すしかなかっただろうね) そうだろうな、と遊戯は呟き、カードを持つ手に力を込める。 「行くぜマルク……」 「速攻魔法発動! バーサーカーソウル!!!」 そう叫んだ直後、遊戯は物凄い勢いでデッキからカードをドローし、片っ端から墓地に捨てて行った。 捨てるたびにプチモスやカタパルト・タートルが襲いかかる。 「ドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロ泥ドロドロドロドロまだまだアァッ!」 物凄い勢いでモンスター二体が連続攻撃を仕掛けていく。 マルクは吹っ飛ばされ、サッカーボールのようにあちこちに飛びまわっている。 デッキのカードは後残り僅かだ。 「もうやめるんだ!遊戯!」 突然、どこから現れたのか、異様にぼろぼろな幼女ピエモンが遊戯に掴みかかった。 「HA☆NA☆SE!!」 「とっくにマルクのライフは0だ!もう勝負はついたんだよぉ」 ピエモンの制止を無視してさらにカードをドローしようとする遊戯。 だがしかし、もうデッキにはカード一枚たりとも残っていなかった。 遊戯は息を荒くしながらピエモンを振り払う。 「はぁ……! はぁ……!」 「もういい……!もういいだろ遊戯!」 涙ながらに遊戯に訴えるピエモン。遊戯はしばらく興奮していたが、やがてピエモンに向けて「ああ」と呟く。 「処罰は終了だ……ニコニコ動画バトルロワイアルは……終了だ」 ドローしすぎて相当疲れたのだろう。遊戯はふらふらしながら、振り返り、レナ達の元に帰っていく。 ────終わった。 一部の者はほっと一息を吐く。後は脱出するだけだ。 もう障害はない。凄惨な殺戮ゲームは今、とうとう終わりを告げたのだ。 しかし、未だに表情を緩めない者が二人いた。 (やっぱりあいつ……) 「どうしたんだ相棒?」 表の遊戯と──── 「やっぱりBちゃんは……」 レナである。 ピエモンはもはや死んでいるのか生きているのか分からないマルクをずっと抱きしめていた。 今まで散々恨み言を言い、戦いの途中、派手に吹っ飛ばされたピエモンがどうして……? 数時間前からピエモンの様子が明らかにおかしい。 「Bちゃん。貴方はマルクの事が殺したいくらい憎かったんじゃないのかな? かな?」 「お前はどちら側だ?……と相棒が言っている」 「こちら側だ!」 ピエモンはますます強くマルクを抱きしめた。 一見すると感動的に見えない事もない光景だが、ピエモンの返答はレナ達にとってはとても都合の悪い言葉だった。 レナは困った表情で問う。 「私達と戦うつもり……あるの?」 ピエモンは涙ながらに答える。 「今は、ないさ……くそう……!マルクをこんな風にしおって……!! 私の大切な大切なマルクをよくも……!!  こいつが何をしたって言うんだ……!!別にいいじゃないかクソ……!!」 「ないさ」と言った割にはずいぶんな言い草である。 表の遊戯は不快に思ったが、それは彼だけの事。他の対主催達は特に怒った様子はなかった。 あの二人にも色々あったのだろう。なにせ二度裏切ったくらいだから……きっと何か深い事情が。 対主催達の持つ優しさが、ピエモンへの不快感を遮ったのである。 「二人にしてくれ。大丈夫だ。もうお前達に反抗したりしないから……」 「わかった……」 ピエモンの頼みを素直に聞き、レナ達は踵を返す。 KASを探そうか、誰とはなしにそう言い、彼らは新たな道のりへと歩み始める。 「もう、終わりなんだよね……帰れるんだよね?」 つかさが涙目になって言う。 「……勿論だよつかさちゃん!!」 レナがそれに元気よく答えた。それを切欠に6人の頬が緩んでいく。 本当にもう全てが終わった。沢山の犠牲を出してしまったが、見事自分達は『打開』に成功したのだ。 レナは心の中で呟く。沢山の仲間達が死んだが、今は、今だけは『打開』に成功した達成感がある。 つらいのはきっとこれからなのだろうけれど……。 (圭一くん、外山さん、みんな……終わったよ────) レナ達は誰も知らない。まだ最狂の『神』が生き残っている事に──── |sm232:[[青の炎Ⅲ ~フタエノバトルアッー!(後編)~]]|[[時系列順>ゲーム終了までの本編SS]]|sm232:[[青の炎Ⅴ ~マルクとピエモンを結ぶ絆~]]| |sm232:[[青の炎Ⅲ ~フタエノバトルアッー!(後編)~]]|[[投下順>201~250]]|sm232:[[青の炎Ⅴ ~マルクとピエモンを結ぶ絆~]]| |sm232:[[青の炎Ⅲ ~フタエノバトルアッー!(後編)~]]|マルク|sm232:[[青の炎Ⅴ ~マルクとピエモンを結ぶ絆~]]| |sm232:[[青の炎Ⅲ ~フタエノバトルアッー!(後編)~]]|ピエモン|sm232:[[青の炎Ⅴ ~マルクとピエモンを結ぶ絆~]]| |sm232:[[青の炎Ⅲ ~フタエノバトルアッー!(後編)~]]|竜宮レナ|sm232:[[青の炎Ⅴ ~マルクとピエモンを結ぶ絆~]]| |sm232:[[青の炎Ⅲ ~フタエノバトルアッー!(後編)~]]|柊つかさ|sm232:[[青の炎Ⅴ ~マルクとピエモンを結ぶ絆~]]| |sm232:[[青の炎Ⅲ ~フタエノバトルアッー!(後編)~]]|武藤遊戯|sm232:[[青の炎Ⅴ ~マルクとピエモンを結ぶ絆~]]| |sm232:[[青の炎Ⅲ ~フタエノバトルアッー!(後編)~]]|日吉若|sm232:[[青の炎Ⅴ ~マルクとピエモンを結ぶ絆~]]| |sm232:[[青の炎Ⅲ ~フタエノバトルアッー!(後編)~]]|クラモンD|sm232:[[青の炎Ⅴ ~マルクとピエモンを結ぶ絆~]]| |sm232:[[青の炎Ⅲ ~フタエノバトルアッー!(後編)~]]|博麗霊夢|sm232:[[青の炎Ⅴ ~マルクとピエモンを結ぶ絆~]]| |sm232:[[青の炎Ⅲ ~フタエノバトルアッー!(後編)~]]|カービィ|sm232:[[青の炎Ⅴ ~マルクとピエモンを結ぶ絆~]]| |sm232:[[青の炎Ⅲ ~フタエノバトルアッー!(後編)~]]|KAS|sm232:[[青の炎Ⅴ ~マルクとピエモンを結ぶ絆~]]| |sm232:[[青の炎Ⅲ ~フタエノバトルアッー!(後編)~]]|涼宮ハルヒ|sm232:[[青の炎Ⅴ ~マルクとピエモンを結ぶ絆~]]| ----

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