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**王様「HA☆NA☆SE!このガチホモ野郎!!!」 ◆jVERyrq1dU (非登録タグ) [[パロロワ]] [[ニコニコ動画バトルロワイアル]] [[第197話]] - ---- 「―――貴方は優勝したら何を望む? 返答次第では殺さずにいてあげる」 派手な格好をした女が問いかけてくる。遊戯は薄ぼんやりとした意識の中、その言葉を聞いた。 女の隣にはこれまた妙なマスクを着けた男がいる。二人とも、真剣な面持ちで遊戯を観察している。 これはいったい……どういう事なんだろうか。まず、ここはどこなんだろう。 遊戯が混乱するのは当然である。彼はデーモンにミラーフォースを使った後、全身に火傷を負い、気絶してしまったからだ。 瀕死のロールが、目の前にいる二人に遊戯を託したなど知る由もない。 遊戯は永琳の持つ刃物に目をやり、冷静に現状を認識しようとする。 ロールとデーモン、そしてハルヒはどこへ行ったのだろうか。 目の前の二人は誰だろう。僕ともう一人のボクは、ロールとデーモンの戦いに割り込み、ロールに加勢したはずなのに……。 どうして、見も知らない女に刃物を突き付けられているんだろうか。 遊戯は胸のあたりに違和感を感じた。いつも身に着けている物がない。 彼にとって本当に大切なもの、千年パズルの事だ。 どうやら何者かに奪われてしまったらしい。もしかすると、目の前の二人が奪ったのだろうか。 どちらにしても、このままではもう一人の僕が危険だ。 一刻も早く取り戻さなければならない。 遊戯は次々に湧きあがる疑問を抑え、冷静に思索を巡らせた。 これは、慎重に言葉を選ばないといけないな……。 女は僕が優勝した後の事を聞いた。僕がゲームに乗っていない事を見抜いた上で、だ。 そして返答次第では殺す、と。彼女は何を狙っている? 一人しか優勝出来ないんだからこんな事聞いても仕方ないのではないか? 「さっさと答えなさい」 女が急かす。こんなの理不尽だ。訳の分からない状況で、意味不明な質問を投げかけられ、返答次第では殺される。 そして解答を急かされるんだ。こんな理不尽な事ってあるのかよ。僕はどう答えたらいいんだ。 「願い事くらい聞かせてもらっていいじゃないですか。君はゲームに乗っているんでしょう?彼女は嘘だと言ってましたが」 男まで急かしてきた。……仕方ない。これ以上返答を渋る訳にはいかないだろう。 普通に、在り来たりな、よくある願い事。そんなのを言おう。 「僕は優勝して、人を生き返らせたいんだ。琴姫って言う人なんだけど」 本音を言うと、別にわざわざ生き返らせたいなんて思わない。適当に頭に浮かんだ名前を言っただけだ。 「琴姫っていう人とは親しかったの?」 「親しくないなら蘇生させようなんて思わないよ。勿論親しかった。殺された時はつらかったな」 なるべく悲しそうな顔をする。 「殺された、ですか……」 「貴方達はゲームに乗っているんだよね?」 「乗っているなら、わざわざ貴方を生かしておくと思う?」 ……乗っていないのか。だったら嘘つくんじゃなかった。 しかし、それにしてはさっきから様子が殺伐としているような気がする。 あくまで勘だけど。まあここは、話を合わせておこう。 「じゃあ乗ってないんだね。僕をどうする気?」 「いいえ、乗ってるわ。貴方と同じように優勝を目指している。協力してくれないかしら?」 ……なんなんだよこの女。 「ははは、マイッタナー。そりゃあ勿論協力するよ」 「有難う、本当に」 女が剣を鞘に収め、僕の手をしっかりと握る。マスクを着けているのではっきりとは分からないが、女は嬉しそうだ。 何故かは分からない。ただ、そう感じた。 「良かったですね。三人もいれば事を進めやすい」 意見が合い、談笑する三人。一見、仲の良いチームに見えないこともない。 遊戯はこの時、第五放送の内容を知った。予想外な事に、春香は生きていた。 そして予想通り、と言えば不謹慎かもしれないが、やはり魅音は死んでいた。 もう一人のボクが悲しむだろうな、遊戯の感想はそれだけだ。 そんな事よりも、もっと真剣に考えなければならない事がある。 どうも違和感を感じる。 遊戯は、笑顔を振りまき、これからの殺しはうまくいきそうだと笑う。 当然そんな事は思っていない。余りにも事がスムーズに進みすぎている。 まるで二人とも、遊戯が何と答えるか分かっていたかのような振舞い。 初めから遊戯を迎え入れるつもりだったのだろうか。そんな気配すら窺える。どこか不気味だ。 訳の分からない状況は相変わらずだし、ますます不安が募る。 「ちょっといいかな?聞きたいことがあるんだけど」 二人は遊戯に視線を向ける。好意的なようで、懐疑的な眼差し……。うーん、何考えているのか全然分からない。 この二人はハルヒよりもずっと頭がよさそうだ。 「僕、どうしてここにいるのかな」 遊戯の問いかけを聞き、古泉は永琳の瞳を見た。 彼に全てを話すかどうか。つまり、ロールの事を話すかどうか。 慎重に判断した方がいい。遊戯を城への内通者として送り込むならば、与える情報は選ばないといけない。 そういった思いを込めて、古泉は永琳の瞳を注視した。 「知らないわ。貴方はここに倒れていたもの。今までどこで何していたのよ」 永琳は、ロールについて話さないつもりらしい。しらを切るつもりのようだ。 「良ければ今までの事について話してくれませんか?私達も話しますから」 古泉がにこやかに言った。 「あ、うん。いいよ」 遊戯は頭を高速で回す。無論、全てを正直に話すつもりなどない。 どうやら古泉と永琳は本当にゲームに乗っているらしい。倒すべき敵だ。 彼らに与える情報は選ばなければならない。悪の中に潜む正義として、彼らを破滅に導かなければならない。 どう伝えるべきか……。あまりに嘘を吐き過ぎれば後々困るだろう。 相手を騙すには、多数の下手くそな嘘を吐くより、たった一つの効果的な嘘を事実の中に混ぜる方がいい。 「そうだなぁ。それじゃあ大樹にいた辺りから話そうかな。僕は昨日の昼ごろハルヒ、富竹、ロック、ロール、ニートといたんだ」 ハルヒと聞いて、二人の眼の色が変わった。しかし、遊戯はそれに気付かない。 遊戯は嘘を吐く箇所を決め、そこに至るまでは、とりあえず正直に話す事にした。 目の前の二人はゲームに乗っている。嘘がばれてしまえば簡単に殺されるだろう。 とりあえず正直に話すというのは、そういった考えがあっての判断だ。 「僕は……とりあえずはゲームに乗っているんだけど、誰も殺せてないんだ。 集団の中に紛れて、暗殺してやろうと思ったけどなかなかチャンスがなかった」 僕はゲームに乗っている奴を演じているんだから、こういう事も言っておかないとな……。 遊戯は話しながら気づいた。自分が今まで出会った参加者は、ほとんど死んでいる。 目の前の二人を除くと、デーモンとハルヒ、つかさそして春香しか生き残っていない。 そのうち二人はゲームに乗っている。そしてつかさもまた、手放しには信用出来ない人物だ。 自分の不運な境遇に気づき、遊戯は少しだけ気が滅入った。 「そして……僕は気絶する前、ハルヒって奴を殺そうとしたんだ」 さてここからだ。ここから嘘を吐こう。ゲームに乗っている奴らを皆殺しだ。 「ハルヒはゲームに乗っていない奴だよ。 あいつ、武器をいっぱい持っていて、デーモンっていう凄く強い仲間と共に行動してるんだ。 さっさとあいつを殺さないと僕達の優勝が危うくなるよ」 表情一つ変えずに、きっぱりと言いきる。永琳古泉コンビをハルヒデーモンコンビにぶつける。 これが遊戯の狙いだ。運が良ければ、目下の敵は勝手に全滅してくれるかもしれない。 古泉は遊戯が言った言葉を心の中で範唱してみる。 さてさて、遊戯君はいったい何を考えているんでしょうか。ハルヒはゲームに乗っている。おそらく、今もだ。 ハルヒの力を自覚させ、優勝=元通りと理解させたのだ。彼女にとって優勝する事こそがゲーム参加者を全員救う手段だ。 改心はしないだろう。キョン君を生き返らせようと必死に頑張っているはずだ。 途中で諦めるような女ではない。それに、万が一改心したのなら、レナ達のチームが崩壊するわけがない。 八意さんの判断によると、遊戯君は本当はゲームに乗っていないらしい。僕もそう思う。ロールの尋常ではない最後がそれを物語っている。 遊戯はおそらく、僕達を誘導しようとしているのだろう。つまり、今言った事は十中八九嘘だ。 「貴方はハルヒに返り討ちにあったってわけね」 「多分そうなんだろうね。あんまり記憶にないけど……」 曖昧な口調で言う。 「どこで、襲いかかったんですか?」 「橋の近くだよ」 「ちょうど、邪悪な気配が感じられた方向ね」 永琳がすました顔で言った。邪悪と聞いて、遊戯は焦る。 この二人に、ハルヒは強力な敵だと信じ込ませたいのに……。 邪悪な気配なんて、まるでハルヒが悪い奴である事を知っているみたいじゃないか。 そうじゃない。ハルヒは正義の味方で、お前らはなんとしてもハルヒとデーモンを殺さなければならないんだ。 「そうねぇ。だったら橋の方に行くべきかしら……」 永琳は古泉をじとりと見た。言外の意を込めて 「そうだね。ハルヒとデーモンはさっさと殺さないと」 「ええ、ハルヒには会うべきです」 古泉と永琳が見つめあっている。何か様子がおかしい。遊戯はそう感じた。 二人はおそらく、自分の知らない何かを知っている。 遊戯は、まさかこの二人がハルヒと繋がっているなどと夢にも思っていないだろう。 元々持っている情報の少なさゆえに、遊戯は情報戦にあっさりと破れてしまった。  ▼ ▼ ▼ 「どうする?このままじゃ合流する時困るわ。私は……ロールの事もあるから…… 彼を死なせたくない。協力させたい。これは絶対よ」 ロールのせいと言うより、ニートのせいだろう。ニートに影響を受けたロールが命がけで助け、他でもないこの私に遊戯の保護を頼んできた。 今まで、ニートなんていざとなればいつでも切り捨てられると思ってきた。ニートが優勝への障害となれば、何のためらいもなく殺せる。 そう考えていた。しかし、私は認識を誤っていたようだ。ニートは私にとって予想外に大きな存在だったらしい。 ロールが命をかけて守った遊戯の命。私は出来るだけ守ってやりたい。だから、どんな手を使ってでも、遊戯をこちら側へ引き込んでやる。 「仕方ありませんねぇ……今のままでは煩わしい騙し合いが続くだけですし、色々と話してもいいんじゃないですか? そうしないと、守るのも難しいでしょう」 遊戯は二人の会話を聞き、ますます焦る。遊戯にとって、まるで意味不明な会話だ。 永琳は遊戯の顔が次第に青くなっていくのを眺め、決意したように遊戯の肩を掴んだ。 古泉よりも遥かに小さく、女の子よりも華奢な体。仲間になるのだから、可能な限り守ってやらねばならない。 ニートの、ロールの、意志を継ぐ。そして優勝する。両方こなさなきゃならないところが月の頭脳の辛いところね。 「貴方、ハルヒからこんな名前聞いてないかしら。古泉一樹と八意永琳」 「……聞いたけどそれが」 遊戯は明らかに怪訝な表情を見せた。頭は悪くない。遊戯は私達が怪しいと気づいている。 「私達がその……」 遊戯の呆気にとられた顔を一瞥して、私は被っていたゾンビのマスクを脱いだ。古泉もそれに続く。 「八意永琳と古泉樹よ」 遊戯はしばらく放心状態だった。私達以外の、ゲームに乗った者なら、遊戯の言葉を信じ、ハルヒと同士討ちしたかもしれない。 これは幸運だったわね。 「そ、そんな……」 遊戯は言葉を詰まらせている。 「ハルヒと私達は仲間なの。あいつが改心するなんてありえない、とまでは言わないけど、おそらくないわよ。 ハルヒの場合、優勝=ハッピーエンドだから」 衝撃が遊戯の心を激しく揺さぶる。遊戯は思う。 なんてこった。これでは僕はただ、こいつらに役に立つ情報を与えただけだ。 「それに貴方がゲームに乗っていない事も分かってる。乗っていないのに抵抗者側であるハルヒを殺せというのはおかしいわよね? ここでも嘘と推察出来る。 加えて言うなら、あいつが改心したのならレナ達のチームが崩壊するのはおかしいわ。 ま、私達の知らない第三者がレナ達を殺しまくった可能性も捨てきれないけどね。 色々と決め手には欠けるけど……ハルヒはまだゲームに乗っているわ。多分ね」 「遊戯君。貴方は色々と嘘を吐いていたわけだ。 確認の意味でもう一度言いますが、涼宮さんがゲームに乗っていないなんて嘘は、貴方が本当にゲームに乗っているのなら吐く必要はありませんよね?」 遊戯は依然として沈黙している。 古泉の問いに、何も答えない。言葉を失っているようだ。 「貴方は間違いなくゲームには乗っていない。そうでしょう?」 「そんな事は……初めから分かっていたけどね。ロールの最後の様子からでも充分分かるわ」 「ロール……?」 遊戯にとって聞き覚えのある名前が出てきた。そういえばさっきも言っていたような気がする。 彼は、ロールと共に神に反逆した。そして今ここには遊戯しかいない。 ずっと気になっていた事だ。ロールは今どこにいる?八意永琳は『最後の様子』と言ったが、もう死んでしまったのか。 「ロールはどこにいる!?」 漸く言葉を取り戻し、強い口調で質問する。 「死んだわ。貴方を私達に預けた後でね……」 「預けたとか……そんな突拍子もない嘘はやめろ!お前達が殺したんだろ?」 「いいえ、彼女は重症だったから……勝手に死んだの。ハルヒ達との戦闘によって受けた傷かしらね、あれは」 私は淡々と説明する。ロールはもういない。ニートもロールも過去の存在だと、自分に言い聞かせるように…… 永琳のあまりに冷静な口調に、さすがの遊戯も困惑した。嘘かどうかの判別がつかない。 この女、ハルヒよりもずっと策士だ。 「貴方達の狙いは……何なの?預けるとか言って……どうして僕を殺さないのかな」 私は頭を下げ、遊戯の視線に合わせる。そのため、私の目の前に遊戯の顔があった。 私は出来るだけ優しい声を出そうと努めた。遊戯の信頼を得なければならない。 無理やり従わせるなんて方法は出来るだけ避けたい。 「私達は本当の事を話すわ。だから貴方にも真実を話してほしい。ハルヒの事を教えて」 「情報が欲しいから、僕を生かしているの?」 そんなわけない。貴方を生かしているのは、はっきり言って自分のためだ。 ニートとの繋がりを断ち切れない弱い自分の心を守るため。私のエゴだ。 「いいえ、そうじゃないわ。私は……貴方だけは絶対に殺さない」 遊戯は困ったような表情を見せた。 「だから……それはどうしてなんだよ……」 「遊戯君。君は僕達の仲間になるんです。さっきまでのような騙し合いをする関係なんかじゃない。 本当の意味での仲間、運命共同体です。猫の手も借りたい状況なんですよ」 「……嫌だ」 遊戯はきっぱりと言った。その言葉は直接、私の心を刺激する。 気にするな、信頼されないのは当たり前だ。少しずつ少しずつ、信頼を築いていくしかない。 「貴方は断れる立場ではないんですよ」 古泉は遊戯に拳銃を見せる。 「やめなさい古泉。その手はまだ早いわ」 私は手で古泉を制した。 「……私達はレナ、ゲーム抵抗者の中心人物なんだけど、彼女とは違う方法で……全員の救済を目指している。 優勝して主催者を脅すという方法よ。私達の仲間になれば、絶対に貴方は助かる。仮に死んだとしても、生き返らせてみせる」 説得を聞き、遊戯は困惑の表情を見せた。彼はこんな事を言う人物を以前見ている。 死んでも生き返らせやるとか、絶対にあり得ない馬鹿な事を言う参加者を少し前に見た。 「あんたはハルヒと一緒だ。馬鹿な事ばっかり言って……生き返るなんてそんな事ありえないよ」 「あり得るわよ。主催者はそれだけの力を持っている。だから私達に手を貸して────」 「嫌だ!」 遊戯は肩を優しく掴んでいた私の手を振り払った。 遊戯には武器も何もない。本来、私達の申し出を断れる立場ではないのだ。 それでも、それでも強く強く拒絶する。私たちは完全に敵とみなされている。それも、仕方ないと言えば仕方ない。 「お願いだから……私の言う事を聞いて」 「来るな、近寄るな。僕は、主催者打倒に邪魔になる人を殺す事は……それほど抵抗ない。 だけど、お前らみたいな、主催者の言う事を聞く殺人鬼の言いなりには絶対にならない!」 私の伸ばした手を思いきり叩く。負けるものか。ここで何かしなければ、もう二度と遊戯はこちら側へは来ない。 それでは駄目だ。古泉と遊戯、そして私。三人で優勝する。絶対にしてやる。 「遊戯君。これ、貴方のですよね?」 一人、沈黙していた古泉が唐突に話しかける。遊戯は古泉の方をきつく睨む。 古泉は遊戯の見覚えのある物を持っていた。 「それは……!!」 「これ、大切なんでしょう?サトシ君もこれとよく似た物を大切そうに身に着けていました。 あまり役に立ちそうにないのに、何故か肌身離さず……ね」 古泉は千年パズルを弄ぶ。遊戯の顔が赤くなっていく。 古泉……そんな事しては……遊戯は絶対に私たちに…… 千年パズルを遊戯に見せつける。 「貴方にとっても……大切なものなのでは?」 遊戯は目を血走らせて古泉を睨んだ。古泉はそんな遊戯を見て、狡猾に微笑んだ。 古泉がパズルを分解しようと────指に力を込める。 「HA☆NA☆SE!」 「八意さん!」 武器も持たない遊戯が、古泉に襲いかかる。 そんな遊戯を見て、私は瞬時に彼に飛びかかり、地面に抑え込んだ。 「返せ!もう一人のボクを返せッ!」 遊戯が叫んだ。目を血走らせ、顎が外れそうなほど口を大きく開けている。 私も、さすがに驚く。まずい事になった。この反応は少々異常だ。 そんなに大切なものだったのか……。 「古泉ッ!さっさと返してやりなさいッ!あんた何考えてんのよ!?遊戯は私達の仲間になるのよ!?」 「八意さん、やはり貴方は心を乱されている!もっと頭使って下さいよ。ここまで勧誘して断られるのなら、少々強引な方法でいった方がいい」 「いいですか遊戯君!」 古泉は地面に抑え込まれている遊戯に、千年パズルを見せつける。 遊戯は必死にもがいたが、私はまがりなりにも古代中国で勇将と謳われた女だ。 こんな子供に撥ね退けられるわけがない。 「私達の……仲間になって下さい。さもないと……分かりますね?」 遊戯の顔が歪む。 「卑怯だ……!!卑怯だぞ……!!畜生ッッ!」 変態に襲われ、ムスカに騙し打ちをされ、遊戯の心は相当に荒れていたが、友を思う気持ちは変わっていない。 ましてや、もう一人の遊戯となれば、それはとてつもなく大きな存在だ。 千年パズルが、遊戯を一人ぼっちの世界から解放し、城之内や杏子といった仲間達と出会わせたのだ。 彼にとって、もう一人の遊戯とは、千年パズルとは、彼が漸く手に入れた友情の象徴。かけがえのない親友。 そんな大切のものを人質に取られては、どうする事も出来ない。 「永琳さん。もう大丈夫みたいですよ」 私は古泉の言葉を聞き、目を赤く腫らして、泣いている遊戯からゆっくりと離れた。 なんとも言えない、悲しげな表情をしている。私も遊戯と同じように、悲しかった。 「古泉……」 「仕方ない……仕方ない事なんですよ。彼の信頼を得られないのなら、無理やり従わせるしかない」 「分かってる……でも、時間がかかってでも、彼に信用されたかったわ……ロールの思いはどうなるのよ」 「時間なんてもうないんですよ。いい加減しっかりして下さい。ロールの思いなんかは、忘れて下さい。 今はとにかく無理矢理でも、遊戯君を協力関係に引き込む事、それが重要なんです。こうする他無かったんですよ」 そうね、と私は呟き、下を向いた。 大切な大切な人、ニートの遺志を継いだロールとの約束。 反故にする訳にはいかないのだが、まさかこんな手段を取る事になろうとは…… 「信用するもんか……!お前ら、いつか絶対に殺してやる!隙を見て!必ず!」 遊戯が顔を上げて、睨んだ。 「遊戯君、言葉は選んだほうがいいと思いますよ?」 再び、千年パズルに指をかける。遊戯の目の色が変わった。 怒りに染まっていた遊戯の瞳から、次第に生気が抜けていく。 「そう、それでいいんです。さて、それでは情報交換の続きを始めましょうか。 念のために言っておきますが、さっきのような嘘は吐かないように。貴方の話に偽りがあると分かった時点で、このパズルを破壊しますからね。 さて、それでは涼宮さんについて教えてもらいましょうか。 ……っとその前に、貴方が嘘を吐いた箇所は、涼宮さんのところと、貴方がゲームに乗っていると言ったところだけなんですかね?」 古泉は意気揚揚と喋る。遊戯は唇を噛みしめて、その言葉を聞いた。 この後に及んで、嘘を吐くという選択肢もある。嘘はばれなければ嘘ではない。 絶対にばれないような嘘を吐けば、二人を誘導出来るし、千年パズルも破壊されないだろう。 しかし、そんな事は不可能だ。絶対にばれない嘘、そんなものがあるわけがない。 遊戯は、絶対に見破られないと思い、ハルヒはゲームに乗っていないと嘘を吐いた。しかし、それはいとも簡単に見破られてしまった。 永琳は遊戯に対して寛容なところがあるが、古泉はおそらくどんな小さな嘘も見逃さない。 些細な、どうでもいい嘘でも、千年パズルは破壊される。そんな気がする。 怖い……怖い……もう一人の僕と永遠に別れるのは、絶対に嫌だ。 初めて千年パズルを完成させた時は数年かかった。御伽君の父親に破壊された時は、なんとか組み立てられたけど、あんなの狙ってできる芸当じゃない。 こんな殺し合いの中で千年パズルを再構築するなんて……そんな事 僕は……千年パズルが、もう一人の僕が大事だ。命を賭けてでも守りたい。 「嘘は……吐いてない。その二か所だけだよ」 「本当ですか?」 「千年パズルは大切なんだ。言う通りにするよ」 「……ごめんなさい遊戯、貴方には普通に協力して欲しかったけど」 私は遊戯に手を伸ばす。しかし、遊戯は再び、その手を弾いた。 「触れるな……今は仕方ないから、あんた達に従ってあげるよ。だけど、千年パズルが僕の元に戻ってきたなら、お前らは絶対に殺してやる」 私は項垂れ、遊戯から手を引いた。頭を、ハンマーで思い切り殴られたような感覚だ。 遊戯の言葉はそれだけ深く、私の心を抉った。 「さっさと話してあげるよ」 遊戯は悲しむ永琳を無視し、早口で話し始める。 「ハルヒは神になったんだ。訳分かんないよね。僕も意味不明だった」 遊戯は語る。ハルヒが豹変した事について、デーモンという名の脅威について。 古泉と永琳は遊戯の話を一言一句逃さずに聞いた。 「なんだか調子乗っているみたいですねぇ。あのクソ女」 「そうね……でもデーモンっていう奴は戦力になるわ。合流出来たら、優勝が見えてくるかも」 「無駄だよ。あんた達はハルヒと和解できない。僕がいるからね」 遊戯は、自分を指差し、得意げに笑った。確かに、ハルヒ達に逆らった遊戯を仲間にして連れていけば、少なくともハルヒは大いに怒るだろう。 調子に乗っている分いつもより激しく怒りそうだ。うまく和解できるのだろうか。 「ハルヒと合流したいなら、僕を殺せばいい。だけど殺せないんでしょう?八意さん?」 こうなったら徹底的に、奴らを苛立たせてやる。遊戯は思う。 「ええ、勿論よ……貴方は殺さない。いつか必ず、本当の意味で仲間になってもらう」 絶対に信頼させてやる。ニートの、ロールの、思いを無視するわけにはいかない。 「うざいよ、あんた」 遊戯が残酷な言葉を吐いた。言葉が胸に突き刺さる。 「殺人鬼のくせにさ。さっきから全員救済するだの、僕だけは殺さないだの……くだらない。 善人のふりはもうやめなよ。この偽善者」 「────ッ! わ、私はそんなつもりなんかじゃ……そ、そんな」 舌がうまく回らない。偽善者、偽善者。遊戯の言葉が私の心に響く。私は青ざめ、平静を失う。 「わ、私はそりゃあ、い、今のところは悪人よ! だけど、そんなつもりじゃない。理由があるもの、切迫した理由が!」 私はずっと前、心に誓った。このゲームで優勝し、主催者と交渉して…… 「黙れ偽善者! 悪人なら悪人らしくしてろよッ!」 「遊戯ッ!」 古泉が遊戯を思い切り殴り飛ばした。遊戯は衝撃でよろめいたが、なんとかふんばり、転ぶには至らなかった。 そしてそのまま古泉を睨む。 「そうだよ。いくらうまい事を言ったってあんたらはそうなんだ。都合が悪ければ暴力を使う。 人を殺して優勝した方が都合がいいからゲームに乗る。あんた達は紛れもない悪だ!やさしい言葉や態度なんか僕にはいらないッ! 鬱陶しいだけだ!悪人なら悪人らしくしろッ!」 遊戯の叫びが響き渡る。彼の言葉は私の心の中を暴れまわり、傷つけた。 偽善者……私は偽善者。自覚はしていたつもりだ。やらない善よりやる偽善だと、納得したはずだった。 「遊戯君、口を慎んでください」 古泉が身につけている千年パズルを弄る。遊戯はすぐに口を閉じた。しかし、反抗的な表情は相変わらずだ。 「どうしましょうか、八意さん」 私はしばらく放心していた。古泉の言葉をたっぷり数秒間無視し、漸く口を開いた。 しかし、まだ頭の方は思うように動いてくれない。 落ち着け。遊戯の言葉なんて気にするな。ある意味その通りじゃないか。私は偽善者。都合のいい事を言って、結局人を殺す極悪人だ。 所詮それが事実だし、それでいいと思う。私は極悪人。もう少し柔らかい言い方をすれば偽善者。自覚していたはずだ。 遊戯に言われたとて、今更心を乱すな。怜悧冷徹な精神で人を殺す。そして最後に偽善行為をすればいい。 私は、心を落ち着かせ、口を開く。大丈夫よ古泉、策はまだある。 「幸い、解決方法があるわ。遊戯を早速城に送って、その間にハルヒ達と合流し、遊戯についての弁明を図る つかさという新たなネタを仕入れる事が出来たのは僥倖ね。遊戯を城に送り込んだ時は、以前のハルヒのように……」 「離間の計2ndってところですか。確かにネタは結構揃ってますね。ですが遊戯君が危険に晒される事になりますよ?」 私は顎に手を当て考え込む。 「それはない、と思うわ。相手はレナ達よ。派手に動かなければ殺される訳がない。 遊戯を送り込む目的はあくまで情報収集のため、つかさの件はあくまでついでよ。以前のハルヒ程、遊戯は荒らすネタを持っていないわ。 静かに城に忍び込ませ、用が済んだら気づかれないようにスタコラサッサでいいわよ」 「そんなところですかね。しかし……ハルヒにどう言い訳しましょうか」 「そこよね……問題は。でも、理攻めでいけばなんとかなるわよきっと」 私、古泉、ハルヒの三人は知略を用いて、数々の参加者を淘汰してきた。理攻めでいけば、案外ハルヒは折れるかもしれない。 しかし不安な点もある。ハルヒが神となった(正直わけが分からない)今では、行動が読めない。未知の存在デーモンもいる。さてどうしたものか。 「遊戯君。聞いてましたよね?」 「城にスパイだね?それで情報収集して、つかさは危ない奴だって言う……でもさ、そんなので大丈夫なの?」 「何がですか?」 「僕、また貴方達に嘘の情報を流すかもしれないよ?」 「ああ、その点は大丈夫です。実は城の情報に関してはあらかた把握してあるんです。永琳さん、あれを」 古泉が私に手を差し出す。私はすぐに古泉の意図を読み取り、デイパックからメモ用紙の束を取り出し、渡す。 「遊戯君、見て下さい。私達はこれだけ沢山の情報を持っているんですよ?」 遊戯はメモに顔を近づける。メモには文字がびっしりと書かれている。 薬屋の地下通路の事、レナ達の会話から聞こえてきた駅と塔についての考察を纏めたものだ。 遊戯はあまりの文字の密度に驚いた。古泉は遊戯が文字を読む前に、彼の眼前から取り上げ、私に返した。 いいタイミングだ。私達が書いたのは1ページ目だけで、次のページからはずっと白紙なのだ。 レナ達が持つ情報に関しては、正直ほとんど把握していない。しかし古泉の機転により、遊戯は私達が大量の情報を持っていると錯覚しただろう。 つまり、遊戯は下手な嘘を吐けなくなったというわけだ。嘘が発覚すれば、大切な千年パズルが破壊されてしまうのだから。 「……畜生、マイッタナー……」 遊戯が諦めたような、悲しげな表情をする。 「いいですね遊戯君。私達は情報を持っている。貴方の話が嘘だと分かればこのパズルは破壊します。 何にも話さない、もしくは的外れな事を話しても破壊します。レナ達は首輪をどう解除しようとしているか、 この場所から、どう脱出しようとしているかなどの情報を持ってきてください。このパズルが大切ならば正直に話すことですね」 「分かったよ……」 完全に脅しだ。未だに胸が痛い。とはいえ、遊戯が素直に従わないのだから仕方がない。ハルヒとデーモンという戦力が手に入れば、優勝は目前だ。 「遊戯君。これ、あげます」 古泉は遊戯にデイパックを投げ渡した。 「中には睡眠薬が入っています。城を抜け出すのが難しい場合、使うといいでしょう」 「使わないよ。城の人達が寝ている間に殺すんでしょ?あんた達はどうせ」 「遊戯、これも持って行きなさい。一応の、護身用よ」 私は遊戯に小型爆弾を手渡す。古泉が驚いた表情で私を見た。 「武器なんか持たせていいんですか?こいつは僕達を敵視しているんですよ!?」 「ええ、でも万が一城に行く途中ハルヒ達に会ったら困るでしょ?」 古泉は狂人でも見るような目つきで私を凝視する。遊戯がくすくす笑い出した。 「有り難く貰っとくよ。偽善者さん」 「ええ、偽善者でいいわ。仕事が終わったら橋に来なさい。私達はいずれ城に向かうつもりだから、多分行き違う事もないわ」 遊戯は私を小馬鹿にしたように一瞥し、城へ向かって行った。 「八意さん、やっぱり相当心を乱されてますね。正直言って心配ですよ」 「確かに……乱されているわね。でも大丈夫。遊戯の偽善者って言葉で逆に踏ん切りがついた。 遊戯は可能な限り保護する。そして……絶対に優勝する。悪人になって、そして最後に偽善をするわ」  ▼ ▼ ▼ 仕方ない、仕方ない事なんだと言い聞かす。千年パズルを守るため、もう一人の僕を守るためなんだ。 城で情報収集を行う、これはそれ程心が痛まない。罪悪感を感じるのは次だ。 つかさは危ない奴だと言い、悪人扱いする。これが歯がゆい。つかさはおそらくゲームには乗っていない。 デーモンと戦うつかさを見て、直感的に感じた。もう一人の僕もそう言ってた。 そんなつかさを悪人に仕立て上げるのは、嫌だ。虫唾が走る。 遊戯の思考をそこに行き着き、ストップした。頭を振って考え直す。 違う、そうじゃない。例え罪悪感を感じても、何が何でもしなくちゃダメなんだ。 「やってやる……やってやるぞ」 全く……イライラする。 あの二人は大嫌いだ。絶対にいつか殺してやる。 遊戯は歩きながら、デイパックの中を確認する。中には古泉が言っていた通り、睡眠薬の包みが入っていた。 いや、それだけじゃない。何か、紙が入っている。あれはメモ用紙だ。 「なんだろ……」 メモを摘み、読む。相当悪い環境で書いたのだろうか。文字は酷く汚い。 【古泉です。初めに言っておきますが、私達を裏切るような行為をすれば、容赦なくパズルを破壊します。 貴方の任務は城に向かい、情報収集をし、つかさの過去を利用して城組を撹乱させる。 その後、城にいる人達に気づかれないようにしてD-2の橋に帰って来て下さい。私達は今から六時間後ぐらいまで、橋で貴方を待っています。 こちらから城に行くかもしれませんが、まあ貴方は気にせず普通に橋に来て下さい。 そして─────】 そして?どういう事だろう。僕に課せられた任務はそれだけだ。 この続きがあるなんて話は聞いていないぞ。 僕は続きを読む。何故か知らないが、物凄く嫌な予感がした。  ▼ ▼ ▼ 古泉と永琳は橋に向けて歩く。遊戯が帰って来るまでに、ハルヒを説得しなければならない。 ハルヒは神になった。正直、どんな対応をとればいいか、今のところ見当もつかない。 古泉は、ポケットにメモ用紙の束をねじ込む。メモは、一番初めのページが荒々しく破り取られていた。 八意さんの目から逃れ、苦労してメモを書いた甲斐があった。 八意永琳のニートを思う気持ちは本物だったというわけだ。 ロールがニートの思いを継ぎ、ニートに関わりのある遊戯を助け、我々に保護を求めてきた。 言ってしまえば、たったそれだけの繋がりだ。細い糸のような繋がりにも関わらず、八意さんは遊戯に心を奪われている。 本当にまずい兆候だ。 (出来れば、城で死んでくれませんかね……武藤遊戯) 死ねば八意さんは悲しむだろう。しかし、城で遊戯が死んだとなれば、その悲しみは後々必ずいい方向へ働くはずだ。 八意さんは所謂城組に対して、より明確な殺意を抱くようになるだろう。 遊戯君、貴方は僕達にとって……少なくとも僕にとって邪魔なんですよ。 だからこそ僕は、貴方に城で死んでもらうために、新たな任務を設けた。 なにせ相手はあの鋭いレナです。遊戯君が動けば動くほど、彼女はきっと怪しむはず。 即ち、それは遊戯君の死ぬ確率がアップするという事。 それでも……貴方が無事全てのミッションをこなし、僕達の元に帰ってきたその時、その時こそ僕は貴方を本当の意味で迎え入れてあげます。 八意さんのように、貴方を仲間にするために四苦八苦してやっていい。 さて、どうなりますかね。遊戯君は見事に任務をこなすのか。 あまりに無茶な命令を出せば遊戯君は言う事を聞かないでしょうから、難しかった。 それにしても、これは明らかに八意さんの気持ちを無視した、言わば背信行為。 遊戯君が無事帰って来た時は……素直に謝りましょうかね……。 【E-2 荒地/二日目・午前】 【武藤遊戯@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】 [状態]:中度の精神疲労、全身に傷と火傷(手当て済み)、SOS団名誉団員、闇AIBO、マーガリンに対する殺意 [装備]:小型爆弾 [道具]:支給品一式 睡眠薬一包み [思考・状況] 基本行動方針:自分に危害を加える者は容赦なく殺す 1.嫌だけどやるしかねぇ。城に行って情報収集&つかさネタで撹乱&古泉がメモに書いてあった命令????をする。その後、D-2の橋に戻る 2.仕方ないのでマーガリンに従う。千年パズルを取り返したら、絶対に殺してやる 3.阿部、マーガリンは許さない。永琳うぜーな 4.海馬と仲間の友達を見つけたい 5.ゲームを終わらせ、主催者を倒す 6.E-4の塔で仲間達と合流する 7.あの夢についての情報を得る ※闇AIBO  ニコニコの闇AIBOタグで見られる、腹黒AIBO。 AIBOの持ち味である優しさが欠損して、笑顔で毒舌を言ってくれます。 ルールとマナーを守らずに楽しくデュエルしますが、過度の僕ルールは制限されるかも。 ※古泉に命令された????を城で実行します。簡単な任務かもしれないし、派手で難しい任務かもしれない。 どんな命令かは次の書き手に任せます。 【備考】第五回放送をマーガリンから聞きました。 【八意永琳@東方シリーズ&新世紀 東方三国志~ひぐらしの憂鬱~】 [状態]:肩に怪我(手当て済み)、体力消耗・中、背中に火傷(手当て済み)、古泉を信頼 [装備]:王者の剣@DQ3(刃毀れ)、小型爆弾*3、ベレッタM92F(12/15) ゾンビマスク@現実(ゾンビーズ)、ヲタチ(残りHP60%)@ポケットモンスター [道具]:支給品一式*3(食料四食分・水二食分消費)、蒼星石のローザミスティカ ゴム@思い出はおくせんまん、自動ぶんなぐりガス(残り1/5)@ドラえもん、ヴェルタースオリジナル*1@ヴェル☆オリ 真紅のローザミスティカ@ローゼンメイデン、くんくん人形@ローゼンメイデン、ヤクルト@乳酸菌推進委員会、水銀燈の体 包丁、デジヴァイス@デジモンアドベンチャー 、生乾きの北高の制服@涼宮ハルヒの憂鬱、テニスボール 毒入りパン、千年パズル、DCS-8sp*6、予備弾薬各100発@現実(ベレッタM92F用26発消費、トカレフTT-33用8発消費) 《DMカード》真紅眼の黒竜(夜まで仕様不可)、プチモス、カタパルト・タートル、 ブラックマジシャン(夕方まで使用不可)、魔導戦士ブレイカー(午後まで使用不可)、 聖なるバリアミラーフォース(次の朝まで使用不可)、 [思考・状況] 1.D-2の橋に行ってハルヒ達を探し、遊戯を仲間にするよう説得する。 2.遊戯の信頼を得たい。いずれ本当の仲間になってもらう。 3.遊戯から生前のニートの様子を聞きたかったけど、気まずくて聞けなかった…… 4.古泉一樹と武藤遊戯、三人で協力して優勝を目指したい。 5.ゲームに優勝し、悪魔と取引をして皆が元通りになれることを願う 6.優勝しても元通りと言う願いが叶えられるかどうかが少し不安 ※もしレナ達が脱出に成功したなら仕方ないので優勝を諦め、それに便乗しようと考えています。 ※ハルヒの能力については半信半疑です ※遊戯の持つ情報を全て把握しました。 【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:頭部鈍痛、八意永琳を信頼、 グロッキー(わりと) [装備]:ゆめにっき@ゆめにっき(手の形に血が付着) 、トカレフTT-33(8/8) アニマルマスク・サラブレット@現実、 逆刃刀@フタエノキワミ アッー!(るろうに剣心 英語版) [道具]:支給品一式*3(食料一食、水三本消費)、 赤甲羅@スーパーマリオシリーズ、笛@スーパーマリオ3 糸(あと二メートルほど)、裁縫針、武器になりそうな薬物、小型爆弾、DCS-8sp、退魔の剣@怪~ayakashi~化猫 [思考・状況] 1.D-2の橋に行ってハルヒ達を探し、遊戯を仲間にするよう説得する。 2.千年パズルを人質にして遊戯を無理やり従わせる。 3.ゆめにっきを上手く使って闘う。 4.殺し合いにのっていない参加者を優先的に始末。相手が強い場合は撤退や交渉も考える。レナ達のゲーム破壊を防ぐためにも、他のマーダー達に協力を呼びかける 5.八意永琳、涼宮ハルヒと協力する。八意方はかなり信頼 6.涼宮ハルヒと一緒に脱出できるのなら脱出でも悪くはない 7.優勝して「合法的に愛しの彼とニャンニャンできる世界」を願う(ただし、生き返らせることを優先) 8.遊戯うぜぇ……でも遊戯が無事に帰ってきたらもう邪魔者扱いしない。永琳にも謝るつもり ※古泉は絶対に脱出なんて出来ないと考えています。  が、万が一、レナ達が脱出に成功したならそれに便乗しようと考えています ※ゆめにっき@ゆめにっき  本編には出てこない日記、絵本の形式で書かれています。  2m以内で最後のページを見た人は強制的にゆめにっきの世界に飛ばされます。出てくるには日記が開いている状態で頬を抓れば出てこられます。  一部監視が行き届いていない所がありますが2人は知りません。あと薬が塗られているので並大抵の事じゃあ燃えません。 ※主催者側に強い疑いを持っています ※遊戯の持つ情報を全て把握しました。 + + + +|sm196:[[Ontology]]|[[時系列順>第六回放送までの本編SS]]|sm200:[[変態という名の幼女]]| +|sm196:[[Ontology]]|[[投下順>150~200]]|sm198:[[組曲『ニコニコ動画』を歌ってみた]]| +|sm195:[[迷走Mind]]|武藤遊戯|sm205:[[『まだステルス対主催のターン!/ステルス主催ターンエンド!』(前編)]]| +|sm195:[[迷走Mind]]|八意永琳|sm204:[[D-2草原大炎上戦(前篇)]]| +|sm195:[[迷走Mind]]|古泉一樹|sm204:[[D-2草原大炎上戦(前篇)]]| +-sm[[196>Ontology]]←時列順に見たい人はコチラ→sm[[200>変態という名の幼女]] -sm[[196>Ontology]]←投下順に見たい人はコチラ→sm[[198>組曲『ニコニコ動画』を歌ってみた]] -キャラ順に見たい人はコチラ↓ -sm[[195>迷走Mind]]←武藤遊戯→sm[[205>『まだステルス対主催のターン!/ステルス主催ターンエンド!』(前編)]] 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**王様「HA☆NA☆SE!このガチホモ野郎!!!」 ◆jVERyrq1dU (非登録タグ) [[パロロワ]] [[ニコニコ動画バトルロワイアル]] [[第197話]] ---- 「―――貴方は優勝したら何を望む? 返答次第では殺さずにいてあげる」 派手な格好をした女が問いかけてくる。遊戯は薄ぼんやりとした意識の中、その言葉を聞いた。 女の隣にはこれまた妙なマスクを着けた男がいる。二人とも、真剣な面持ちで遊戯を観察している。 これはいったい……どういう事なんだろうか。まず、ここはどこなんだろう。 遊戯が混乱するのは当然である。彼はデーモンにミラーフォースを使った後、全身に火傷を負い、気絶してしまったからだ。 瀕死のロールが、目の前にいる二人に遊戯を託したなど知る由もない。 遊戯は永琳の持つ刃物に目をやり、冷静に現状を認識しようとする。 ロールとデーモン、そしてハルヒはどこへ行ったのだろうか。 目の前の二人は誰だろう。僕ともう一人のボクは、ロールとデーモンの戦いに割り込み、ロールに加勢したはずなのに……。 どうして、見も知らない女に刃物を突き付けられているんだろうか。 遊戯は胸のあたりに違和感を感じた。いつも身に着けている物がない。 彼にとって本当に大切なもの、千年パズルの事だ。 どうやら何者かに奪われてしまったらしい。もしかすると、目の前の二人が奪ったのだろうか。 どちらにしても、このままではもう一人の僕が危険だ。 一刻も早く取り戻さなければならない。 遊戯は次々に湧きあがる疑問を抑え、冷静に思索を巡らせた。 これは、慎重に言葉を選ばないといけないな……。 女は僕が優勝した後の事を聞いた。僕がゲームに乗っていない事を見抜いた上で、だ。 そして返答次第では殺す、と。彼女は何を狙っている? 一人しか優勝出来ないんだからこんな事聞いても仕方ないのではないか? 「さっさと答えなさい」 女が急かす。こんなの理不尽だ。訳の分からない状況で、意味不明な質問を投げかけられ、返答次第では殺される。 そして解答を急かされるんだ。こんな理不尽な事ってあるのかよ。僕はどう答えたらいいんだ。 「願い事くらい聞かせてもらっていいじゃないですか。君はゲームに乗っているんでしょう?彼女は嘘だと言ってましたが」 男まで急かしてきた。……仕方ない。これ以上返答を渋る訳にはいかないだろう。 普通に、在り来たりな、よくある願い事。そんなのを言おう。 「僕は優勝して、人を生き返らせたいんだ。琴姫って言う人なんだけど」 本音を言うと、別にわざわざ生き返らせたいなんて思わない。適当に頭に浮かんだ名前を言っただけだ。 「琴姫っていう人とは親しかったの?」 「親しくないなら蘇生させようなんて思わないよ。勿論親しかった。殺された時はつらかったな」 なるべく悲しそうな顔をする。 「殺された、ですか……」 「貴方達はゲームに乗っているんだよね?」 「乗っているなら、わざわざ貴方を生かしておくと思う?」 ……乗っていないのか。だったら嘘つくんじゃなかった。 しかし、それにしてはさっきから様子が殺伐としているような気がする。 あくまで勘だけど。まあここは、話を合わせておこう。 「じゃあ乗ってないんだね。僕をどうする気?」 「いいえ、乗ってるわ。貴方と同じように優勝を目指している。協力してくれないかしら?」 ……なんなんだよこの女。 「ははは、マイッタナー。そりゃあ勿論協力するよ」 「有難う、本当に」 女が剣を鞘に収め、僕の手をしっかりと握る。マスクを着けているのではっきりとは分からないが、女は嬉しそうだ。 何故かは分からない。ただ、そう感じた。 「良かったですね。三人もいれば事を進めやすい」 意見が合い、談笑する三人。一見、仲の良いチームに見えないこともない。 遊戯はこの時、第五放送の内容を知った。予想外な事に、春香は生きていた。 そして予想通り、と言えば不謹慎かもしれないが、やはり魅音は死んでいた。 もう一人のボクが悲しむだろうな、遊戯の感想はそれだけだ。 そんな事よりも、もっと真剣に考えなければならない事がある。 どうも違和感を感じる。 遊戯は、笑顔を振りまき、これからの殺しはうまくいきそうだと笑う。 当然そんな事は思っていない。余りにも事がスムーズに進みすぎている。 まるで二人とも、遊戯が何と答えるか分かっていたかのような振舞い。 初めから遊戯を迎え入れるつもりだったのだろうか。そんな気配すら窺える。どこか不気味だ。 訳の分からない状況は相変わらずだし、ますます不安が募る。 「ちょっといいかな?聞きたいことがあるんだけど」 二人は遊戯に視線を向ける。好意的なようで、懐疑的な眼差し……。うーん、何考えているのか全然分からない。 この二人はハルヒよりもずっと頭がよさそうだ。 「僕、どうしてここにいるのかな」 遊戯の問いかけを聞き、古泉は永琳の瞳を見た。 彼に全てを話すかどうか。つまり、ロールの事を話すかどうか。 慎重に判断した方がいい。遊戯を城への内通者として送り込むならば、与える情報は選ばないといけない。 そういった思いを込めて、古泉は永琳の瞳を注視した。 「知らないわ。貴方はここに倒れていたもの。今までどこで何していたのよ」 永琳は、ロールについて話さないつもりらしい。しらを切るつもりのようだ。 「良ければ今までの事について話してくれませんか?私達も話しますから」 古泉がにこやかに言った。 「あ、うん。いいよ」 遊戯は頭を高速で回す。無論、全てを正直に話すつもりなどない。 どうやら古泉と永琳は本当にゲームに乗っているらしい。倒すべき敵だ。 彼らに与える情報は選ばなければならない。悪の中に潜む正義として、彼らを破滅に導かなければならない。 どう伝えるべきか……。あまりに嘘を吐き過ぎれば後々困るだろう。 相手を騙すには、多数の下手くそな嘘を吐くより、たった一つの効果的な嘘を事実の中に混ぜる方がいい。 「そうだなぁ。それじゃあ大樹にいた辺りから話そうかな。僕は昨日の昼ごろハルヒ、富竹、ロック、ロール、ニートといたんだ」 ハルヒと聞いて、二人の眼の色が変わった。しかし、遊戯はそれに気付かない。 遊戯は嘘を吐く箇所を決め、そこに至るまでは、とりあえず正直に話す事にした。 目の前の二人はゲームに乗っている。嘘がばれてしまえば簡単に殺されるだろう。 とりあえず正直に話すというのは、そういった考えがあっての判断だ。 「僕は……とりあえずはゲームに乗っているんだけど、誰も殺せてないんだ。 集団の中に紛れて、暗殺してやろうと思ったけどなかなかチャンスがなかった」 僕はゲームに乗っている奴を演じているんだから、こういう事も言っておかないとな……。 遊戯は話しながら気づいた。自分が今まで出会った参加者は、ほとんど死んでいる。 目の前の二人を除くと、デーモンとハルヒ、つかさそして春香しか生き残っていない。 そのうち二人はゲームに乗っている。そしてつかさもまた、手放しには信用出来ない人物だ。 自分の不運な境遇に気づき、遊戯は少しだけ気が滅入った。 「そして……僕は気絶する前、ハルヒって奴を殺そうとしたんだ」 さてここからだ。ここから嘘を吐こう。ゲームに乗っている奴らを皆殺しだ。 「ハルヒはゲームに乗っていない奴だよ。 あいつ、武器をいっぱい持っていて、デーモンっていう凄く強い仲間と共に行動してるんだ。 さっさとあいつを殺さないと僕達の優勝が危うくなるよ」 表情一つ変えずに、きっぱりと言いきる。永琳古泉コンビをハルヒデーモンコンビにぶつける。 これが遊戯の狙いだ。運が良ければ、目下の敵は勝手に全滅してくれるかもしれない。 古泉は遊戯が言った言葉を心の中で範唱してみる。 さてさて、遊戯君はいったい何を考えているんでしょうか。ハルヒはゲームに乗っている。おそらく、今もだ。 ハルヒの力を自覚させ、優勝=元通りと理解させたのだ。彼女にとって優勝する事こそがゲーム参加者を全員救う手段だ。 改心はしないだろう。キョン君を生き返らせようと必死に頑張っているはずだ。 途中で諦めるような女ではない。それに、万が一改心したのなら、レナ達のチームが崩壊するわけがない。 八意さんの判断によると、遊戯君は本当はゲームに乗っていないらしい。僕もそう思う。ロールの尋常ではない最後がそれを物語っている。 遊戯はおそらく、僕達を誘導しようとしているのだろう。つまり、今言った事は十中八九嘘だ。 「貴方はハルヒに返り討ちにあったってわけね」 「多分そうなんだろうね。あんまり記憶にないけど……」 曖昧な口調で言う。 「どこで、襲いかかったんですか?」 「橋の近くだよ」 「ちょうど、邪悪な気配が感じられた方向ね」 永琳がすました顔で言った。邪悪と聞いて、遊戯は焦る。 この二人に、ハルヒは強力な敵だと信じ込ませたいのに……。 邪悪な気配なんて、まるでハルヒが悪い奴である事を知っているみたいじゃないか。 そうじゃない。ハルヒは正義の味方で、お前らはなんとしてもハルヒとデーモンを殺さなければならないんだ。 「そうねぇ。だったら橋の方に行くべきかしら……」 永琳は古泉をじとりと見た。言外の意を込めて 「そうだね。ハルヒとデーモンはさっさと殺さないと」 「ええ、ハルヒには会うべきです」 古泉と永琳が見つめあっている。何か様子がおかしい。遊戯はそう感じた。 二人はおそらく、自分の知らない何かを知っている。 遊戯は、まさかこの二人がハルヒと繋がっているなどと夢にも思っていないだろう。 元々持っている情報の少なさゆえに、遊戯は情報戦にあっさりと破れてしまった。  ▼ ▼ ▼ 「どうする?このままじゃ合流する時困るわ。私は……ロールの事もあるから…… 彼を死なせたくない。協力させたい。これは絶対よ」 ロールのせいと言うより、ニートのせいだろう。ニートに影響を受けたロールが命がけで助け、他でもないこの私に遊戯の保護を頼んできた。 今まで、ニートなんていざとなればいつでも切り捨てられると思ってきた。ニートが優勝への障害となれば、何のためらいもなく殺せる。 そう考えていた。しかし、私は認識を誤っていたようだ。ニートは私にとって予想外に大きな存在だったらしい。 ロールが命をかけて守った遊戯の命。私は出来るだけ守ってやりたい。だから、どんな手を使ってでも、遊戯をこちら側へ引き込んでやる。 「仕方ありませんねぇ……今のままでは煩わしい騙し合いが続くだけですし、色々と話してもいいんじゃないですか? そうしないと、守るのも難しいでしょう」 遊戯は二人の会話を聞き、ますます焦る。遊戯にとって、まるで意味不明な会話だ。 永琳は遊戯の顔が次第に青くなっていくのを眺め、決意したように遊戯の肩を掴んだ。 古泉よりも遥かに小さく、女の子よりも華奢な体。仲間になるのだから、可能な限り守ってやらねばならない。 ニートの、ロールの、意志を継ぐ。そして優勝する。両方こなさなきゃならないところが月の頭脳の辛いところね。 「貴方、ハルヒからこんな名前聞いてないかしら。古泉一樹と八意永琳」 「……聞いたけどそれが」 遊戯は明らかに怪訝な表情を見せた。頭は悪くない。遊戯は私達が怪しいと気づいている。 「私達がその……」 遊戯の呆気にとられた顔を一瞥して、私は被っていたゾンビのマスクを脱いだ。古泉もそれに続く。 「八意永琳と古泉樹よ」 遊戯はしばらく放心状態だった。私達以外の、ゲームに乗った者なら、遊戯の言葉を信じ、ハルヒと同士討ちしたかもしれない。 これは幸運だったわね。 「そ、そんな……」 遊戯は言葉を詰まらせている。 「ハルヒと私達は仲間なの。あいつが改心するなんてありえない、とまでは言わないけど、おそらくないわよ。 ハルヒの場合、優勝=ハッピーエンドだから」 衝撃が遊戯の心を激しく揺さぶる。遊戯は思う。 なんてこった。これでは僕はただ、こいつらに役に立つ情報を与えただけだ。 「それに貴方がゲームに乗っていない事も分かってる。乗っていないのに抵抗者側であるハルヒを殺せというのはおかしいわよね? ここでも嘘と推察出来る。 加えて言うなら、あいつが改心したのならレナ達のチームが崩壊するのはおかしいわ。 ま、私達の知らない第三者がレナ達を殺しまくった可能性も捨てきれないけどね。 色々と決め手には欠けるけど……ハルヒはまだゲームに乗っているわ。多分ね」 「遊戯君。貴方は色々と嘘を吐いていたわけだ。 確認の意味でもう一度言いますが、涼宮さんがゲームに乗っていないなんて嘘は、貴方が本当にゲームに乗っているのなら吐く必要はありませんよね?」 遊戯は依然として沈黙している。 古泉の問いに、何も答えない。言葉を失っているようだ。 「貴方は間違いなくゲームには乗っていない。そうでしょう?」 「そんな事は……初めから分かっていたけどね。ロールの最後の様子からでも充分分かるわ」 「ロール……?」 遊戯にとって聞き覚えのある名前が出てきた。そういえばさっきも言っていたような気がする。 彼は、ロールと共に神に反逆した。そして今ここには遊戯しかいない。 ずっと気になっていた事だ。ロールは今どこにいる?八意永琳は『最後の様子』と言ったが、もう死んでしまったのか。 「ロールはどこにいる!?」 漸く言葉を取り戻し、強い口調で質問する。 「死んだわ。貴方を私達に預けた後でね……」 「預けたとか……そんな突拍子もない嘘はやめろ!お前達が殺したんだろ?」 「いいえ、彼女は重症だったから……勝手に死んだの。ハルヒ達との戦闘によって受けた傷かしらね、あれは」 私は淡々と説明する。ロールはもういない。ニートもロールも過去の存在だと、自分に言い聞かせるように…… 永琳のあまりに冷静な口調に、さすがの遊戯も困惑した。嘘かどうかの判別がつかない。 この女、ハルヒよりもずっと策士だ。 「貴方達の狙いは……何なの?預けるとか言って……どうして僕を殺さないのかな」 私は頭を下げ、遊戯の視線に合わせる。そのため、私の目の前に遊戯の顔があった。 私は出来るだけ優しい声を出そうと努めた。遊戯の信頼を得なければならない。 無理やり従わせるなんて方法は出来るだけ避けたい。 「私達は本当の事を話すわ。だから貴方にも真実を話してほしい。ハルヒの事を教えて」 「情報が欲しいから、僕を生かしているの?」 そんなわけない。貴方を生かしているのは、はっきり言って自分のためだ。 ニートとの繋がりを断ち切れない弱い自分の心を守るため。私のエゴだ。 「いいえ、そうじゃないわ。私は……貴方だけは絶対に殺さない」 遊戯は困ったような表情を見せた。 「だから……それはどうしてなんだよ……」 「遊戯君。君は僕達の仲間になるんです。さっきまでのような騙し合いをする関係なんかじゃない。 本当の意味での仲間、運命共同体です。猫の手も借りたい状況なんですよ」 「……嫌だ」 遊戯はきっぱりと言った。その言葉は直接、私の心を刺激する。 気にするな、信頼されないのは当たり前だ。少しずつ少しずつ、信頼を築いていくしかない。 「貴方は断れる立場ではないんですよ」 古泉は遊戯に拳銃を見せる。 「やめなさい古泉。その手はまだ早いわ」 私は手で古泉を制した。 「……私達はレナ、ゲーム抵抗者の中心人物なんだけど、彼女とは違う方法で……全員の救済を目指している。 優勝して主催者を脅すという方法よ。私達の仲間になれば、絶対に貴方は助かる。仮に死んだとしても、生き返らせてみせる」 説得を聞き、遊戯は困惑の表情を見せた。彼はこんな事を言う人物を以前見ている。 死んでも生き返らせやるとか、絶対にあり得ない馬鹿な事を言う参加者を少し前に見た。 「あんたはハルヒと一緒だ。馬鹿な事ばっかり言って……生き返るなんてそんな事ありえないよ」 「あり得るわよ。主催者はそれだけの力を持っている。だから私達に手を貸して────」 「嫌だ!」 遊戯は肩を優しく掴んでいた私の手を振り払った。 遊戯には武器も何もない。本来、私達の申し出を断れる立場ではないのだ。 それでも、それでも強く強く拒絶する。私たちは完全に敵とみなされている。それも、仕方ないと言えば仕方ない。 「お願いだから……私の言う事を聞いて」 「来るな、近寄るな。僕は、主催者打倒に邪魔になる人を殺す事は……それほど抵抗ない。 だけど、お前らみたいな、主催者の言う事を聞く殺人鬼の言いなりには絶対にならない!」 私の伸ばした手を思いきり叩く。負けるものか。ここで何かしなければ、もう二度と遊戯はこちら側へは来ない。 それでは駄目だ。古泉と遊戯、そして私。三人で優勝する。絶対にしてやる。 「遊戯君。これ、貴方のですよね?」 一人、沈黙していた古泉が唐突に話しかける。遊戯は古泉の方をきつく睨む。 古泉は遊戯の見覚えのある物を持っていた。 「それは……!!」 「これ、大切なんでしょう?サトシ君もこれとよく似た物を大切そうに身に着けていました。 あまり役に立ちそうにないのに、何故か肌身離さず……ね」 古泉は千年パズルを弄ぶ。遊戯の顔が赤くなっていく。 古泉……そんな事しては……遊戯は絶対に私たちに…… 千年パズルを遊戯に見せつける。 「貴方にとっても……大切なものなのでは?」 遊戯は目を血走らせて古泉を睨んだ。古泉はそんな遊戯を見て、狡猾に微笑んだ。 古泉がパズルを分解しようと────指に力を込める。 「HA☆NA☆SE!」 「八意さん!」 武器も持たない遊戯が、古泉に襲いかかる。 そんな遊戯を見て、私は瞬時に彼に飛びかかり、地面に抑え込んだ。 「返せ!もう一人のボクを返せッ!」 遊戯が叫んだ。目を血走らせ、顎が外れそうなほど口を大きく開けている。 私も、さすがに驚く。まずい事になった。この反応は少々異常だ。 そんなに大切なものだったのか……。 「古泉ッ!さっさと返してやりなさいッ!あんた何考えてんのよ!?遊戯は私達の仲間になるのよ!?」 「八意さん、やはり貴方は心を乱されている!もっと頭使って下さいよ。ここまで勧誘して断られるのなら、少々強引な方法でいった方がいい」 「いいですか遊戯君!」 古泉は地面に抑え込まれている遊戯に、千年パズルを見せつける。 遊戯は必死にもがいたが、私はまがりなりにも古代中国で勇将と謳われた女だ。 こんな子供に撥ね退けられるわけがない。 「私達の……仲間になって下さい。さもないと……分かりますね?」 遊戯の顔が歪む。 「卑怯だ……!!卑怯だぞ……!!畜生ッッ!」 変態に襲われ、ムスカに騙し打ちをされ、遊戯の心は相当に荒れていたが、友を思う気持ちは変わっていない。 ましてや、もう一人の遊戯となれば、それはとてつもなく大きな存在だ。 千年パズルが、遊戯を一人ぼっちの世界から解放し、城之内や杏子といった仲間達と出会わせたのだ。 彼にとって、もう一人の遊戯とは、千年パズルとは、彼が漸く手に入れた友情の象徴。かけがえのない親友。 そんな大切のものを人質に取られては、どうする事も出来ない。 「永琳さん。もう大丈夫みたいですよ」 私は古泉の言葉を聞き、目を赤く腫らして、泣いている遊戯からゆっくりと離れた。 なんとも言えない、悲しげな表情をしている。私も遊戯と同じように、悲しかった。 「古泉……」 「仕方ない……仕方ない事なんですよ。彼の信頼を得られないのなら、無理やり従わせるしかない」 「分かってる……でも、時間がかかってでも、彼に信用されたかったわ……ロールの思いはどうなるのよ」 「時間なんてもうないんですよ。いい加減しっかりして下さい。ロールの思いなんかは、忘れて下さい。 今はとにかく無理矢理でも、遊戯君を協力関係に引き込む事、それが重要なんです。こうする他無かったんですよ」 そうね、と私は呟き、下を向いた。 大切な大切な人、ニートの遺志を継いだロールとの約束。 反故にする訳にはいかないのだが、まさかこんな手段を取る事になろうとは…… 「信用するもんか……!お前ら、いつか絶対に殺してやる!隙を見て!必ず!」 遊戯が顔を上げて、睨んだ。 「遊戯君、言葉は選んだほうがいいと思いますよ?」 再び、千年パズルに指をかける。遊戯の目の色が変わった。 怒りに染まっていた遊戯の瞳から、次第に生気が抜けていく。 「そう、それでいいんです。さて、それでは情報交換の続きを始めましょうか。 念のために言っておきますが、さっきのような嘘は吐かないように。貴方の話に偽りがあると分かった時点で、このパズルを破壊しますからね。 さて、それでは涼宮さんについて教えてもらいましょうか。 ……っとその前に、貴方が嘘を吐いた箇所は、涼宮さんのところと、貴方がゲームに乗っていると言ったところだけなんですかね?」 古泉は意気揚揚と喋る。遊戯は唇を噛みしめて、その言葉を聞いた。 この後に及んで、嘘を吐くという選択肢もある。嘘はばれなければ嘘ではない。 絶対にばれないような嘘を吐けば、二人を誘導出来るし、千年パズルも破壊されないだろう。 しかし、そんな事は不可能だ。絶対にばれない嘘、そんなものがあるわけがない。 遊戯は、絶対に見破られないと思い、ハルヒはゲームに乗っていないと嘘を吐いた。しかし、それはいとも簡単に見破られてしまった。 永琳は遊戯に対して寛容なところがあるが、古泉はおそらくどんな小さな嘘も見逃さない。 些細な、どうでもいい嘘でも、千年パズルは破壊される。そんな気がする。 怖い……怖い……もう一人の僕と永遠に別れるのは、絶対に嫌だ。 初めて千年パズルを完成させた時は数年かかった。御伽君の父親に破壊された時は、なんとか組み立てられたけど、あんなの狙ってできる芸当じゃない。 こんな殺し合いの中で千年パズルを再構築するなんて……そんな事 僕は……千年パズルが、もう一人の僕が大事だ。命を賭けてでも守りたい。 「嘘は……吐いてない。その二か所だけだよ」 「本当ですか?」 「千年パズルは大切なんだ。言う通りにするよ」 「……ごめんなさい遊戯、貴方には普通に協力して欲しかったけど」 私は遊戯に手を伸ばす。しかし、遊戯は再び、その手を弾いた。 「触れるな……今は仕方ないから、あんた達に従ってあげるよ。だけど、千年パズルが僕の元に戻ってきたなら、お前らは絶対に殺してやる」 私は項垂れ、遊戯から手を引いた。頭を、ハンマーで思い切り殴られたような感覚だ。 遊戯の言葉はそれだけ深く、私の心を抉った。 「さっさと話してあげるよ」 遊戯は悲しむ永琳を無視し、早口で話し始める。 「ハルヒは神になったんだ。訳分かんないよね。僕も意味不明だった」 遊戯は語る。ハルヒが豹変した事について、デーモンという名の脅威について。 古泉と永琳は遊戯の話を一言一句逃さずに聞いた。 「なんだか調子乗っているみたいですねぇ。あのクソ女」 「そうね……でもデーモンっていう奴は戦力になるわ。合流出来たら、優勝が見えてくるかも」 「無駄だよ。あんた達はハルヒと和解できない。僕がいるからね」 遊戯は、自分を指差し、得意げに笑った。確かに、ハルヒ達に逆らった遊戯を仲間にして連れていけば、少なくともハルヒは大いに怒るだろう。 調子に乗っている分いつもより激しく怒りそうだ。うまく和解できるのだろうか。 「ハルヒと合流したいなら、僕を殺せばいい。だけど殺せないんでしょう?八意さん?」 こうなったら徹底的に、奴らを苛立たせてやる。遊戯は思う。 「ええ、勿論よ……貴方は殺さない。いつか必ず、本当の意味で仲間になってもらう」 絶対に信頼させてやる。ニートの、ロールの、思いを無視するわけにはいかない。 「うざいよ、あんた」 遊戯が残酷な言葉を吐いた。言葉が胸に突き刺さる。 「殺人鬼のくせにさ。さっきから全員救済するだの、僕だけは殺さないだの……くだらない。 善人のふりはもうやめなよ。この偽善者」 「────ッ! わ、私はそんなつもりなんかじゃ……そ、そんな」 舌がうまく回らない。偽善者、偽善者。遊戯の言葉が私の心に響く。私は青ざめ、平静を失う。 「わ、私はそりゃあ、い、今のところは悪人よ! だけど、そんなつもりじゃない。理由があるもの、切迫した理由が!」 私はずっと前、心に誓った。このゲームで優勝し、主催者と交渉して…… 「黙れ偽善者! 悪人なら悪人らしくしてろよッ!」 「遊戯ッ!」 古泉が遊戯を思い切り殴り飛ばした。遊戯は衝撃でよろめいたが、なんとかふんばり、転ぶには至らなかった。 そしてそのまま古泉を睨む。 「そうだよ。いくらうまい事を言ったってあんたらはそうなんだ。都合が悪ければ暴力を使う。 人を殺して優勝した方が都合がいいからゲームに乗る。あんた達は紛れもない悪だ!やさしい言葉や態度なんか僕にはいらないッ! 鬱陶しいだけだ!悪人なら悪人らしくしろッ!」 遊戯の叫びが響き渡る。彼の言葉は私の心の中を暴れまわり、傷つけた。 偽善者……私は偽善者。自覚はしていたつもりだ。やらない善よりやる偽善だと、納得したはずだった。 「遊戯君、口を慎んでください」 古泉が身につけている千年パズルを弄る。遊戯はすぐに口を閉じた。しかし、反抗的な表情は相変わらずだ。 「どうしましょうか、八意さん」 私はしばらく放心していた。古泉の言葉をたっぷり数秒間無視し、漸く口を開いた。 しかし、まだ頭の方は思うように動いてくれない。 落ち着け。遊戯の言葉なんて気にするな。ある意味その通りじゃないか。私は偽善者。都合のいい事を言って、結局人を殺す極悪人だ。 所詮それが事実だし、それでいいと思う。私は極悪人。もう少し柔らかい言い方をすれば偽善者。自覚していたはずだ。 遊戯に言われたとて、今更心を乱すな。怜悧冷徹な精神で人を殺す。そして最後に偽善行為をすればいい。 私は、心を落ち着かせ、口を開く。大丈夫よ古泉、策はまだある。 「幸い、解決方法があるわ。遊戯を早速城に送って、その間にハルヒ達と合流し、遊戯についての弁明を図る つかさという新たなネタを仕入れる事が出来たのは僥倖ね。遊戯を城に送り込んだ時は、以前のハルヒのように……」 「離間の計2ndってところですか。確かにネタは結構揃ってますね。ですが遊戯君が危険に晒される事になりますよ?」 私は顎に手を当て考え込む。 「それはない、と思うわ。相手はレナ達よ。派手に動かなければ殺される訳がない。 遊戯を送り込む目的はあくまで情報収集のため、つかさの件はあくまでついでよ。以前のハルヒ程、遊戯は荒らすネタを持っていないわ。 静かに城に忍び込ませ、用が済んだら気づかれないようにスタコラサッサでいいわよ」 「そんなところですかね。しかし……ハルヒにどう言い訳しましょうか」 「そこよね……問題は。でも、理攻めでいけばなんとかなるわよきっと」 私、古泉、ハルヒの三人は知略を用いて、数々の参加者を淘汰してきた。理攻めでいけば、案外ハルヒは折れるかもしれない。 しかし不安な点もある。ハルヒが神となった(正直わけが分からない)今では、行動が読めない。未知の存在デーモンもいる。さてどうしたものか。 「遊戯君。聞いてましたよね?」 「城にスパイだね?それで情報収集して、つかさは危ない奴だって言う……でもさ、そんなので大丈夫なの?」 「何がですか?」 「僕、また貴方達に嘘の情報を流すかもしれないよ?」 「ああ、その点は大丈夫です。実は城の情報に関してはあらかた把握してあるんです。永琳さん、あれを」 古泉が私に手を差し出す。私はすぐに古泉の意図を読み取り、デイパックからメモ用紙の束を取り出し、渡す。 「遊戯君、見て下さい。私達はこれだけ沢山の情報を持っているんですよ?」 遊戯はメモに顔を近づける。メモには文字がびっしりと書かれている。 薬屋の地下通路の事、レナ達の会話から聞こえてきた駅と塔についての考察を纏めたものだ。 遊戯はあまりの文字の密度に驚いた。古泉は遊戯が文字を読む前に、彼の眼前から取り上げ、私に返した。 いいタイミングだ。私達が書いたのは1ページ目だけで、次のページからはずっと白紙なのだ。 レナ達が持つ情報に関しては、正直ほとんど把握していない。しかし古泉の機転により、遊戯は私達が大量の情報を持っていると錯覚しただろう。 つまり、遊戯は下手な嘘を吐けなくなったというわけだ。嘘が発覚すれば、大切な千年パズルが破壊されてしまうのだから。 「……畜生、マイッタナー……」 遊戯が諦めたような、悲しげな表情をする。 「いいですね遊戯君。私達は情報を持っている。貴方の話が嘘だと分かればこのパズルは破壊します。 何にも話さない、もしくは的外れな事を話しても破壊します。レナ達は首輪をどう解除しようとしているか、 この場所から、どう脱出しようとしているかなどの情報を持ってきてください。このパズルが大切ならば正直に話すことですね」 「分かったよ……」 完全に脅しだ。未だに胸が痛い。とはいえ、遊戯が素直に従わないのだから仕方がない。ハルヒとデーモンという戦力が手に入れば、優勝は目前だ。 「遊戯君。これ、あげます」 古泉は遊戯にデイパックを投げ渡した。 「中には睡眠薬が入っています。城を抜け出すのが難しい場合、使うといいでしょう」 「使わないよ。城の人達が寝ている間に殺すんでしょ?あんた達はどうせ」 「遊戯、これも持って行きなさい。一応の、護身用よ」 私は遊戯に小型爆弾を手渡す。古泉が驚いた表情で私を見た。 「武器なんか持たせていいんですか?こいつは僕達を敵視しているんですよ!?」 「ええ、でも万が一城に行く途中ハルヒ達に会ったら困るでしょ?」 古泉は狂人でも見るような目つきで私を凝視する。遊戯がくすくす笑い出した。 「有り難く貰っとくよ。偽善者さん」 「ええ、偽善者でいいわ。仕事が終わったら橋に来なさい。私達はいずれ城に向かうつもりだから、多分行き違う事もないわ」 遊戯は私を小馬鹿にしたように一瞥し、城へ向かって行った。 「八意さん、やっぱり相当心を乱されてますね。正直言って心配ですよ」 「確かに……乱されているわね。でも大丈夫。遊戯の偽善者って言葉で逆に踏ん切りがついた。 遊戯は可能な限り保護する。そして……絶対に優勝する。悪人になって、そして最後に偽善をするわ」  ▼ ▼ ▼ 仕方ない、仕方ない事なんだと言い聞かす。千年パズルを守るため、もう一人の僕を守るためなんだ。 城で情報収集を行う、これはそれ程心が痛まない。罪悪感を感じるのは次だ。 つかさは危ない奴だと言い、悪人扱いする。これが歯がゆい。つかさはおそらくゲームには乗っていない。 デーモンと戦うつかさを見て、直感的に感じた。もう一人の僕もそう言ってた。 そんなつかさを悪人に仕立て上げるのは、嫌だ。虫唾が走る。 遊戯の思考をそこに行き着き、ストップした。頭を振って考え直す。 違う、そうじゃない。例え罪悪感を感じても、何が何でもしなくちゃダメなんだ。 「やってやる……やってやるぞ」 全く……イライラする。 あの二人は大嫌いだ。絶対にいつか殺してやる。 遊戯は歩きながら、デイパックの中を確認する。中には古泉が言っていた通り、睡眠薬の包みが入っていた。 いや、それだけじゃない。何か、紙が入っている。あれはメモ用紙だ。 「なんだろ……」 メモを摘み、読む。相当悪い環境で書いたのだろうか。文字は酷く汚い。 【古泉です。初めに言っておきますが、私達を裏切るような行為をすれば、容赦なくパズルを破壊します。 貴方の任務は城に向かい、情報収集をし、つかさの過去を利用して城組を撹乱させる。 その後、城にいる人達に気づかれないようにしてD-2の橋に帰って来て下さい。私達は今から六時間後ぐらいまで、橋で貴方を待っています。 こちらから城に行くかもしれませんが、まあ貴方は気にせず普通に橋に来て下さい。 そして─────】 そして?どういう事だろう。僕に課せられた任務はそれだけだ。 この続きがあるなんて話は聞いていないぞ。 僕は続きを読む。何故か知らないが、物凄く嫌な予感がした。  ▼ ▼ ▼ 古泉と永琳は橋に向けて歩く。遊戯が帰って来るまでに、ハルヒを説得しなければならない。 ハルヒは神になった。正直、どんな対応をとればいいか、今のところ見当もつかない。 古泉は、ポケットにメモ用紙の束をねじ込む。メモは、一番初めのページが荒々しく破り取られていた。 八意さんの目から逃れ、苦労してメモを書いた甲斐があった。 八意永琳のニートを思う気持ちは本物だったというわけだ。 ロールがニートの思いを継ぎ、ニートに関わりのある遊戯を助け、我々に保護を求めてきた。 言ってしまえば、たったそれだけの繋がりだ。細い糸のような繋がりにも関わらず、八意さんは遊戯に心を奪われている。 本当にまずい兆候だ。 (出来れば、城で死んでくれませんかね……武藤遊戯) 死ねば八意さんは悲しむだろう。しかし、城で遊戯が死んだとなれば、その悲しみは後々必ずいい方向へ働くはずだ。 八意さんは所謂城組に対して、より明確な殺意を抱くようになるだろう。 遊戯君、貴方は僕達にとって……少なくとも僕にとって邪魔なんですよ。 だからこそ僕は、貴方に城で死んでもらうために、新たな任務を設けた。 なにせ相手はあの鋭いレナです。遊戯君が動けば動くほど、彼女はきっと怪しむはず。 即ち、それは遊戯君の死ぬ確率がアップするという事。 それでも……貴方が無事全てのミッションをこなし、僕達の元に帰ってきたその時、その時こそ僕は貴方を本当の意味で迎え入れてあげます。 八意さんのように、貴方を仲間にするために四苦八苦してやっていい。 さて、どうなりますかね。遊戯君は見事に任務をこなすのか。 あまりに無茶な命令を出せば遊戯君は言う事を聞かないでしょうから、難しかった。 それにしても、これは明らかに八意さんの気持ちを無視した、言わば背信行為。 遊戯君が無事帰って来た時は……素直に謝りましょうかね……。 【E-2 荒地/二日目・午前】 【武藤遊戯@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】 [状態]:中度の精神疲労、全身に傷と火傷(手当て済み)、SOS団名誉団員、闇AIBO、マーガリンに対する殺意 [装備]:小型爆弾 [道具]:支給品一式 睡眠薬一包み [思考・状況] 基本行動方針:自分に危害を加える者は容赦なく殺す 1.嫌だけどやるしかねぇ。城に行って情報収集&つかさネタで撹乱&古泉がメモに書いてあった命令????をする。その後、D-2の橋に戻る 2.仕方ないのでマーガリンに従う。千年パズルを取り返したら、絶対に殺してやる 3.阿部、マーガリンは許さない。永琳うぜーな 4.海馬と仲間の友達を見つけたい 5.ゲームを終わらせ、主催者を倒す 6.E-4の塔で仲間達と合流する 7.あの夢についての情報を得る ※闇AIBO  ニコニコの闇AIBOタグで見られる、腹黒AIBO。 AIBOの持ち味である優しさが欠損して、笑顔で毒舌を言ってくれます。 ルールとマナーを守らずに楽しくデュエルしますが、過度の僕ルールは制限されるかも。 ※古泉に命令された????を城で実行します。簡単な任務かもしれないし、派手で難しい任務かもしれない。 どんな命令かは次の書き手に任せます。 【備考】第五回放送をマーガリンから聞きました。 【八意永琳@東方シリーズ&新世紀 東方三国志~ひぐらしの憂鬱~】 [状態]:肩に怪我(手当て済み)、体力消耗・中、背中に火傷(手当て済み)、古泉を信頼 [装備]:王者の剣@DQ3(刃毀れ)、小型爆弾*3、ベレッタM92F(12/15) ゾンビマスク@現実(ゾンビーズ)、ヲタチ(残りHP60%)@ポケットモンスター [道具]:支給品一式*3(食料四食分・水二食分消費)、蒼星石のローザミスティカ ゴム@思い出はおくせんまん、自動ぶんなぐりガス(残り1/5)@ドラえもん、ヴェルタースオリジナル*1@ヴェル☆オリ 真紅のローザミスティカ@ローゼンメイデン、くんくん人形@ローゼンメイデン、ヤクルト@乳酸菌推進委員会、水銀燈の体 包丁、デジヴァイス@デジモンアドベンチャー 、生乾きの北高の制服@涼宮ハルヒの憂鬱、テニスボール 毒入りパン、千年パズル、DCS-8sp*6、予備弾薬各100発@現実(ベレッタM92F用26発消費、トカレフTT-33用8発消費) 《DMカード》真紅眼の黒竜(夜まで仕様不可)、プチモス、カタパルト・タートル、 ブラックマジシャン(夕方まで使用不可)、魔導戦士ブレイカー(午後まで使用不可)、 聖なるバリアミラーフォース(次の朝まで使用不可)、 [思考・状況] 1.D-2の橋に行ってハルヒ達を探し、遊戯を仲間にするよう説得する。 2.遊戯の信頼を得たい。いずれ本当の仲間になってもらう。 3.遊戯から生前のニートの様子を聞きたかったけど、気まずくて聞けなかった…… 4.古泉一樹と武藤遊戯、三人で協力して優勝を目指したい。 5.ゲームに優勝し、悪魔と取引をして皆が元通りになれることを願う 6.優勝しても元通りと言う願いが叶えられるかどうかが少し不安 ※もしレナ達が脱出に成功したなら仕方ないので優勝を諦め、それに便乗しようと考えています。 ※ハルヒの能力については半信半疑です ※遊戯の持つ情報を全て把握しました。 【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:頭部鈍痛、八意永琳を信頼、 グロッキー(わりと) [装備]:ゆめにっき@ゆめにっき(手の形に血が付着) 、トカレフTT-33(8/8) アニマルマスク・サラブレット@現実、 逆刃刀@フタエノキワミ アッー!(るろうに剣心 英語版) [道具]:支給品一式*3(食料一食、水三本消費)、 赤甲羅@スーパーマリオシリーズ、笛@スーパーマリオ3 糸(あと二メートルほど)、裁縫針、武器になりそうな薬物、小型爆弾、DCS-8sp、退魔の剣@怪~ayakashi~化猫 [思考・状況] 1.D-2の橋に行ってハルヒ達を探し、遊戯を仲間にするよう説得する。 2.千年パズルを人質にして遊戯を無理やり従わせる。 3.ゆめにっきを上手く使って闘う。 4.殺し合いにのっていない参加者を優先的に始末。相手が強い場合は撤退や交渉も考える。レナ達のゲーム破壊を防ぐためにも、他のマーダー達に協力を呼びかける 5.八意永琳、涼宮ハルヒと協力する。八意方はかなり信頼 6.涼宮ハルヒと一緒に脱出できるのなら脱出でも悪くはない 7.優勝して「合法的に愛しの彼とニャンニャンできる世界」を願う(ただし、生き返らせることを優先) 8.遊戯うぜぇ……でも遊戯が無事に帰ってきたらもう邪魔者扱いしない。永琳にも謝るつもり ※古泉は絶対に脱出なんて出来ないと考えています。  が、万が一、レナ達が脱出に成功したならそれに便乗しようと考えています ※ゆめにっき@ゆめにっき  本編には出てこない日記、絵本の形式で書かれています。  2m以内で最後のページを見た人は強制的にゆめにっきの世界に飛ばされます。出てくるには日記が開いている状態で頬を抓れば出てこられます。  一部監視が行き届いていない所がありますが2人は知りません。あと薬が塗られているので並大抵の事じゃあ燃えません。 ※主催者側に強い疑いを持っています ※遊戯の持つ情報を全て把握しました。 |sm196:[[Ontology]]|[[時系列順>第六回放送までの本編SS]]|sm200:[[変態という名の幼女]]| |sm196:[[Ontology]]|[[投下順>150~200]]|sm198:[[組曲『ニコニコ動画』を歌ってみた]]| |sm195:[[迷走Mind]]|武藤遊戯|sm205:[[『まだステルス対主催のターン!/ステルス主催ターンエンド!』(前編)]]| |sm195:[[迷走Mind]]|八意永琳|sm204:[[D-2草原大炎上戦(前篇)]]| |sm195:[[迷走Mind]]|古泉一樹|sm204:[[D-2草原大炎上戦(前篇)]]| ----

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