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湖畔協奏曲第一幕 “名もなき王と歌姫” ◆BRxsUzTn5A




「海馬くん……」
ツンツン頭の少年の顔は暗く、沈んだ顔をしている。あの部屋で無残に殺された一人の少年と少女の死体を思い出せば
吐き気を催すほどの不快な気分にさせられるが、この少年は少し様子が違っていた。
『モクバ……海馬にとっては大切なたった一人の弟だった……』
うつむいている少年のかけている錘のようなものが光り、隣にぼんやりともう一人のツンツン頭の少年の姿が現れる。
「もう一人のボク!海馬くんは……海馬くんは、大切な弟を殺された。モクバくんに何の罪があったというの!!」
少年は自分にしか見えないもう一人の少年に話しかける。その腕は怒りに震え、目は今にも涙があふれる寸前であった。
『ああ、AIBO。あのピエロ野郎……ゲスな真似をしやがって!俺達の心の領域を侵したあいつらを必ず裁いてやる、闇のゲームでな!』
少年がもう一人のボクと呼ぶ少年も怒りを露にする。
「……モクバくんは海馬くんのたった一人の家族だった。それを奪ったあいつらをボクも絶対許せない!」
真剣な眼差しで少年はそばにいるもう一人の少年を見つめる
『このふざけたゲームを一刻も早く終わらせるためには『結束』の力が必要だ。一人じゃ、できることは限られている。が、皆が力を合わせればこのゲームを攻略するためのカギがきっと見つかるはずだ』
「うん、ボクも長い時間をかけて千年パズルを組み立てたんだ。意味のないピースなんて一つもない!どんなに小さなピースだって束ねれば大きな力になるんだ!」
『ここには俺達と同じくこのゲームに抵抗しようとする者が必ずいるはずだ。仲間を募ってこの下らないゲームを終わらせるんだ』
「もう一人のボク、とりあえず海馬くんを捜そう。モクバくんを失って強いショックを受けてると思うし、何とかしないと!」
『そうだな。このゲームの攻略には海馬の力も必要不可欠だ』
少年ともう一人の少年は互いに顔を見合わせ、相槌をうつ。
「よし、まずは海馬くんを捜しながらゲームを止めてくれる人を捜すかな……ん?」
『どうしたんだ、AIBO?』
「ねぇ、もう一人のボク、何か聞こえてこない?」
『――?ちょっと待ってくれ………』
もう一人の少年は目を閉じ、耳に神経を集中する。すると……




うぅ~うぅ~……うぅ~う~うぅ~……う~うぅうう~うぅ~うう~うううぅ~うううぅ~……


美しい歌声が聞こえてきた。

「近くに人がいる、行ってみよう!」
『美しい歌声だ……しかし、状況も状況だ。用心するのに越したことはないぞ』
「こんな場所で声を出すなんてゲームにのってない証拠だよ、ええっと……湖の方かな?」
少年は歌声につられるまま、湖の中心へと歩く。すると、湖の岸にピンク色のロングヘアーの人物がいたのを彼は確認できた。

『あれが……歌っている張本人か?』
「そうかもしれないね……」

少年は静かに目を閉じ、湖畔にいる人物の歌を静かに聞いていた。
その歌はまるで済んだ水のように清らかで、少年は心が洗い流されるような気持ちになった。
やがて、湖畔にいる人物が歌い終わったのを確認すると、少年はぱちぱちと拍手をしながら歌っている人物の方に歩みを進める。
「いやぁ~、さっきの歌とても上手でしたよ」
「いえ、滅相もございません……」
少年の声を聞いてロングヘアーの人物が振り向いた。その顔はとても美しい女性の顔で、服は何か着物のようなものを着ていた。
きれいな人だ……と少年は女性を見て、思う。少し赤らめる顔をおさえながら、女性に質問をする

「何でこんなとこで歌ってたんですか?」
「私は、この歌をこの地にいる者たちに届け、悪霊から救い出す手助けをしていたのです」
「悪霊……?」
「はい、あの部屋で見た異形の者どもは彦麿様の言う悪霊に違いありません。悪霊は人の心の闇に入り込み、災いをもたらすします。
 だから、私はこの地で苦しんだり、悲しんでいる人々を励ますために歌っていたのです。」
「どう思う?もう一人のボク……?」
少年はもう一人の少年にひそひそ声で話しかける
『確かに……これだけの人数を一瞬で集めらることのできる力、そしてこの世界へワープさせることのできる能力。人間の力では成し得ない芸当だ』
少年は女性の目を見ると、女性の目は一点の曇りもなく、嘘をついているようには見えなかった。

「あなたにも、心の闇はありませんか?」
「え……!?」
『……………』
もう一人の少年は思い出す。かつて闇に惑わされ、自分が世界を破滅に導くために蘇った忌まわしき王という烙印を押されてしまったこと。
心の闇に染まり、大切なパートナーを失ってしまったことを。
そして、モンスターと仲間の絆を信じ、長い旅を経てそれを乗り越え、新しい光をつかんだことを。

「……確かに、ボクの中にも心の闇はあるのかもしれません。だけど、ボクは知っている。心の闇を乗り越え、新しい光を手に入れた人のことを。
絆を信じれば、必ず光は見えてくる、あの人はボクにそう教えてくれたのかもしれません」
少年の瞳は光に満ち溢れ、迷いのない顔を見せた。
『AIBO……』
もしかしたらAIBOは俺が言うべきことを代弁してくれたのかもしれないな、ともう一人の少年は考えた。
「どうやら、あなたの心には闇はなさそうですね」
女性は柔和な顔つきで少年を見る。
「あの……一緒に行動して貰ってもいいですか?このゲームを止めるためにも協力者が必要なんです」
「ええ、もちろんですとも。それに彦麿様ならあの悪霊たちを放っておくはずがありませんもの」
「ありがとうございます……ええっと……」
少年はばつが悪そうに、頭を掻く
「申し遅れました、私は琴姫と申します」
「ありがとうございます。琴姫さん。ボクは遊戯、武藤遊戯です。これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いしますね、遊戯さん」
「はい!」


こうして湖畔の上にゲーム好きな内気少年、武藤遊戯
かつて古代エジプトを治めた名もなきファラオ、もう一人の遊戯
そして、闇と悪霊をを打ち払ううさん臭い陰陽道の巫女、琴姫。

彼らの運命は紡ぎ始めた――
そう、武藤遊戯の持つ千年パズルのように――

運命という名の難解なパズルは見事完成するのか、それとも途中で音を立てて崩壊するのか
結末は誰一人として知らない。



【A-3 湖の湖畔/一日目・深夜】
【武藤遊戯@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】
[状態]:健康
[装備]:千年パズル(初期装備)
[道具]:支給品一式、不明支給品(1~3)
[思考・状況]
1:琴姫さんと行動を共にする
2:海馬くんを捜す
3:ゲームを終わらせ、主催者を倒す

【闇遊戯の思考】
1:………。
2:琴姫と行動を共にする(それなりに信用している)
3:海馬を捜す。
4:このくだらないゲームを破壊し、主催者に闇の罰ゲームをかける

【琴姫@新・豪血寺一族 -煩悩解放 - レッツゴー!陰陽師】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品(1~3)
[思考・状況]
基本行動方針:闇や悪霊を捕らわれた者がいたら、救いの手をさしのべる
1:遊戯と行動を共にする
2:彦麿様を捜す
3:彦麿様と共に悪霊を成仏させる



sm31:モクバ死す 海馬の涙 時系列順 sm44:浩二君です
sm36:海☆馬☆王 投下順 sm38:不完全自殺マニュアル―思い出をありがとう―
  武藤遊戯 sm52:蟲以下のにおいがプンプンするぜ
  琴姫 sm52:蟲以下のにおいがプンプンするぜ



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