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ロシアガールでJOJOまで ◆Tfy/qV7Kts




太陽が夜の闇を侵食して、永遠に続くかとさえ思われた黒をあっさりと白く濁らせた。
こんなクソッタレな殺し合いの会場にも光は供給されるんだな。1人佇む日吉若はそんなことを考えていた。

「しかし酷い有様だな……尤も俺が爆破したのだがな」
先ほどまで自分と戦闘をしていた青ダヌキの成れの果て、それを見下ろして呟く。
初めて見たC4爆弾の威力に日吉は驚いた。
生物のような精巧な動きを見せていたそれの残骸が鉄クズなのはもっと驚いたが。
「さて、爆発の規模がデカい。誰か来る前に退散しておくか」
別に誰かに合うのが怖いというわけではない。下克上を成功させるには協力者が必要だ。
しかしあれほどの爆発を聞いて喜んで駆けつけるような人間など説得する価値すらない人間の可能性が大きい。
そう考えればとっとと青ダヌキの支給品から無事なものをチェックして立ち去るのが得策だろう。
「食料と水は無事か。これは……薬か?!」
毒物などは性に合わんのだがな。そう文句を垂れつつも説明書に目を通す。

【マカビンビン】
アッチの方がもの凄く元気になります。

「アッチってなんだよ……」
余りにも説明不足な説明書を丸めてしまいこむ。
冷静沈着で他人に流されない日吉にとってはとてもじゃないがこんなもの飲む価値があるとは思えなかった。
かといって支給されてる以上、「アッチ」の方とやらで元気がない人間もいるのかもしれない。
所持しておくだけならば害はないだろう。
丁寧に薬をしまうと、地図を見ながらどこかへ歩き出そうとしたのだが。

「さっきの爆発は貴様かッ!」
辛うじて目視できるか否か、といった距離から発せられた馬鹿でかい声。
ほら見ろ。めんどくさいのが来やがった。

「その機械。参加者だったモノか? 貴様が破壊したのか?」
ソイツは長ランにリーゼントなんていう時代錯誤も甚だしい出で立ちでやってきた。

「……だったらどうした?」
そう答えながらも日吉は思案する。正義に燃える熱血バカの可能性も捨てきれないか。
だとしたら無益な争いは避けて説得する道も……。
「いや、どうもしないな」
長ランの男が口端を吊り上げてニヤリと笑う。
狂気に満ちた殺人鬼のソレとは違う、自嘲しているらしい笑顔。
「馬鹿げた質問だった。忘れてくれ。どちらにしろ、全ての参加者は」
男の顔から笑みが消え、ナイフのような眼光が日吉に突き刺さる。

「『削除』するッ!」

そう叫ぶが早いか、日吉の顎に強烈なアッパーがクリーンヒットした。
「……ッな! ガァッ!」
殴られるままに日吉の体が直立の体制のまま宙を舞う。
そのまま重力に従えば、バランスを崩して地面にひれ伏すことになるはずだが。

「ここに集められた『お前たち』はッ!」
しかし日吉の体は倒れる事も許されず、更なる一撃によって再び空中浮遊を満喫させられる。

「『削除』しなきゃいけないモノなんだよッ!」
更に一撃

「それが俺の『存在意義』だッ!」
最も強烈な一撃が最も強烈に日吉を飛翔させる。

あれだけのラッシュを食らえば既に意識など残ってはいないだろう。
1分以上宙を漂った日吉はそのまま地面に――。



その男はまるで羽を持っているかのように

まるで風を操れるかのように

まるで空を支配したかのように、とても華麗に着地を決めた。

「なん……だとッ!」
削除番長の目が大きく見開かれる。
まさか、俺の渾身のアッパーをあれだけ食らって、こんなこと、ありえない。

「……効かねーな」
口から血の混じった唾を吐き出してオカッパ頭の男が言う。
こんなこと、ありえない。

「バ……馬鹿な……ブァァッ!」
うろたえる番長の顔に真っ直ぐめり込む男の拳。
そのまま数歩後ずさりしてから、自分を殴った男の顔を見た。
男の構えは片手を大きく前に突き出し、逆の手を頭の横で構えるという特殊なもの。
演舞テニスの構え。

日吉若の『自然体』。
「そんな拳、俺には通用しない」
血に染まった顔であるのに、ひどく冷静な事が見て取れる。
「な……んだとッ!」
膝が笑っている。今まで削除する側に君臨し続けた男の膝が笑っている。
今までにも、この男なんかよりも強大なモノだって削除してきたはずなのに。

「お前……迷ってるだろーが、よォ!」
叫びながら放たれた日吉の拳が番長の右頬にめり込む。
「ぐぉ……がぁ!」
そのまま地面に無様に転がる。
(この男は俺が何発食らわせても倒れなかったってのに、こっちはたった2発でダウンかよ)
なぜ……なぜこんな男に。
「存在理由とかなんとか言ってるけど、お前はその『削除』ってのを躊躇してやがる」
「ふざけるな……貴様も、見た……だろう。少年少女……の、首が。
 今……も、あんな、残酷、な……殺し、合いが、『お前たち』によって」
君臨する男を必死で睨んで言い放つ。
立とうとはするが、もう立てないのか。手を着いて体を持ち上げては地面に口付けを繰り返す。
「で、お前は『削除』を誰かに頼まれたのか?」
淡々と、酷く冷静に言い放った。
「そんなわけあるかッ! 誰に頼まれてやるわけではッ!」
「だったらさっきから誰に言い訳してるんだよ。全員『削除』するって決めたならグダグダ抜かすな。
 俺は迷わねーぞ。『下克上』の邪魔をするやつは……障害は全て『駆除』する!」
倒れたままの番長の顔へ日吉の拳が、野球のアンダースローの要領で炸裂する。
「ぅ……がぁ!」
削除番長の体が、縦に回転しながら宙を舞った。

俺は……迷っていたのか。
俺の存在は削除によってもたらされる。迷うはずが……ない。
だったらなぜアイツに勝てない?
アイツの『駆除』と俺の『削除』は何が違う?
いや、違いなど……あるはずがない!
違っているとしたらアイツと、俺自身!
やはり俺は迷っていた。いや恐れていたんだ。
正しきものを削除してしまうことを、俺の削除が悪になってしまうことを!
俺は! 馬鹿者だッ!


その男は非常に無様で、お世辞にも華麗とは言えないが。
それでも彼は着地してみせた。

「すまんな。俺の拳には確かに迷いがあったようだ。だがッ!」
今までに無い強烈すぎるストレート。
「もうお前に遅れはとらんッ!」
「ぐ……がぁ!」
日吉は目視できただろうか、いや、できたとしてもかわせなかっただろう。
それが分かっているから日吉はかわさなかった。
どうせ避けれないなら、反撃に全力を注ぐのみだと!
「返せない……拳じゃあ……ないんだよォ!」
日吉も一撃を返す。
番長が拳を放つ。
日吉が返す。
番長が放つ。日吉が返す。繰り返し、繰り返し。

そうして何度打ち合ったであろうか。
両者は既にフラフラで、多少日吉の疲労が大きいかというところ。
(けっ! ここまでとはな……仕方ねぇ)
日吉の構えが変化する。
正確には形は全く変わっていない。が、その体から発せられる闘気が先ほどまでの比ではない。
「おおおおおおおおおおおお!」
日吉の叫びが辺りに木霊し、番長の脳が逃げろ、退けと命令する。
「な……なんだこの威圧感はッ!」

日吉流最終奥義――ボブ術

食らった相手は勿論、技を放った者も無事では済まない日吉流の禁じ手。

(マズい……こんなものを食らったら)
ここは大人しく出直して、この男は次の機会にでも削除すれば――
「だめだ。退いてはダメだッ!」
震える足をぶん殴り、無理やりその場に留まる。
「ここで逃げ出したら、自分で自分を否定することになっちまうッ!
 それだけは死んでもできないッ!」
日吉の眉が小さく動いた。


「……どういうつもりだ?」
番長が技を中断した日吉に尋ねる。
「ふん、ただの気まぐれだ」
「……俺の名前は削除番長だ。お前は」
「……日吉若」

それだけ話すと2人は同じ方向へ歩き出した。
最終目標も、掲げた意思も違う2人が同じ方向へ歩き出した。


【C-2 湿原/一日目・早朝】
【削除番長@陰陽ファンタジーⅦ】
[状態]:狂気? かなり疲労
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:全参加者の削除?(どっちにしても日吉は最後)。
2:日吉についていく。



【日吉若@ミュージカル・テニスの王子様】
[状態]:かなり疲労
[装備]:ドリル@ミスタードリラー
[道具]:支給品一式 食料2人分、水2人分、C4プラスチック爆弾@MGS、ヒラリマント@ドラえもん 、マカビンビン@うたわれるものらじお
[思考・状況]
1:手段を問わず、主催に下克上する。
2:下克上の障害は駆除する。
3:削除番長が下克上の協力者を削除しようとしたら、全力で止める。

【備考】
日吉流最終奥義 ボブ術・・・詳細不明。危険な技らしいよ!



sm52:蟲以下のにおいがプンプンするぜ 時系列順 sm54:体は大人、頭脳はチンパン
sm52:蟲以下のにおいがプンプンするぜ 投下順 sm54:体は大人、頭脳はチンパン
sm17:削除下克上 削除番長 sm72:蒼い鳥
sm17:削除下克上 日吉若 sm72:蒼い鳥



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