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ひろくんのローゼン☆テンセイ ◆CMd1jz6iP2




「あー、重ないけど問題は俺の体力やったか」
地図の通り町に向かって直進してきたけど、まだ遠いわ。
タバコの吸いすぎかちょっとの荷物担いどるだけで息切れや。
遠くに見えるのが塔やから・・・なんや、まだD-5の外れやないか。
目の前に草原があるってことは、ここから南西に歩けば町やな。
「いいなあ・・・その人形」
うお、びびった!いつの間にか後ろに女の子がおる!
なんや、服が焦げてるし濡れてるし、ちょっとエロ過ぎやな
「お前・・・なんぞあtt」
「どうして・・・どうして皆人形を持ってるの・・・悟史君は取りにいけなかったのに・・・!」
誰?悟史くんて誰ぞ?
「その人形、渡してください。そしたら逃がしてあげても良いですよ?」
「人形てエンジェルのことか。何しよる気や」
ガツン!
俺涙目。急に地面にバット振り下ろすとかやばすぎる。
「ぐげ!!お姉も!アンタも!人形持って喜んで・・・この!!園崎詩音が!!バラバラにしてやらああああ!」
俺ドン引き。こいつ真性のキチ○イ。間違いなくキ○ガイやが。
「早くしろ!頭ぶっ潰されててぇかあ!!」
わかっとる!ここでの選択肢なんぞ決まっとるわ!

「ちょっとじじゅうしろ」
「ぐげげげげげ!!頭をぶち割ってやりますよぉおおお!」
終わったー!俺の佐賀フロンティア精神もこれまでかー!
「うるさいわねぇ・・・乳酸菌、獲ってるぅ?」

まったく・・・せっかくこの男からじわじわ力を奪ってたのに)
黒い翼を広げ、羽の弾幕を飛ばす。
「ぎゃあ!?」
羽は詩音の手に刺さり、女はバットを落として後ずさる。
(くっ・・・やっぱり、調子が出ないわねぇ)
水銀燈は自らの不調を感じていた。
実は少し前から目覚めていた水銀燈だが、空を飛んでいた時の疲労を回復するため体力を吸っていたのだ。
空を飛ぶだけで力を消費するなど普段ならありえない。
そして目の前の女を針鼠にするつもりだったのに、思ったほど羽が飛ばなかった。
その反面、力の消費はいつもより多いと来ている。
(やっぱり、何か制限を受けているのかしら)
いくら呼んでもメイメイが現れないこともそのためだろう。
「畜生!この人形め!」
憤怒の表情を浮かべ、詩音はカードを天高く掲げる。
「オレイカルコスの結界発動!」
その瞬間、永井博之、水銀燈、詩音の周辺の地面に魔方陣が広がる。
「これは・・・nのフィールド、とも違うみたいねぇ」
「な・・・なんどこれー!?」
「うるさいわ、あなたは黙ってなさい」
「酷いわーエンジェル。とっととこんなトコ出ようや・・・痛ッ!」
博之が魔方陣から出ようとすると、結界に触れた手が弾かれる。

「無駄みたいよぉ?あの緑の女をジャンクにしちゃうのが手っ取り早そうね」
「いやジャンクてエンジェル。いくらキチ○イやて殺したらあかんが!」
博之から水銀燈が飛び降りる。
「あなたは好きにすれば良いわぁ」
羽が水銀燈の手に収束し、次の瞬間には水銀燈の手に剣が握られていた。
水銀燈が剣を構える。その先で人とは思えぬ笑い声を上げる詩音。
その額には地面の結界と同じ模様が刻まれていた。
「ひゃははははは!本当だった!本当にこのカードは力があるんだ!」
その笑顔のままに、水銀燈は懐からもう一枚のカードを出す。
「出でよ神!オベリスクの・・・巨神兵!」

大地が震えた。天まで届くような巨体が詩音の後ろに姿を現す。
やはり同様に額には魔方陣が存在する。
(なるほど・・・このフィールドの中でしか使えない切り札ってわけねぇ)
「ちょ、待てて!こんな序盤からラスボスとか無いわ!!」
ベルゼブブとか居らんと勝てるわけわけないやろ!とオベリスクからできる限りの距離をとる。
「お馬鹿さんねぇ・・・強そうなのは認めるけど・・・ミーディアムの方を倒せば終わりよ!」
「ちょ、エンジェルそれ、軽率ゥ!!」
詩音に切りかかる水銀燈を、詩音はやはり狂人の笑顔で迎える。
「行け、オベリスク!ゴッドハンドクラッシャー!!」
オベリスクの拳から青い閃光が放たれる。
「くっ・・・・・・!?」
翼で全身を被い、バリアを展開する水銀燈。
オベリスクの一撃は水銀燈の手前に着弾する。
「が・・・アァアアアァアア!!?」
だが、その衝撃だけでバリアは砕け、体は弾き飛ばされる。
「なんです?私を倒すんじゃなかったんですかぁあ!?」
ぐぎゃぎゃ、と笑う詩音。再びオベリスクに命令を下す。
「さあ、トドメです!やれ、オベリスク!」
雄たけびを上げ、再び拳を閃光が覆う。
体の自由が利かない水銀燈は、自らのミーディアムを想う。
(めぐ・・・どうやら、帰れそうには、ないわあ・・・・・・)
拳は振り下ろされ、閃光は水銀燈に伸び――――
「ちょっとはじじゅうせいやー!!」
O☆TO☆KOの中のO☆TO☆KO!永井博之は再び走る!
閃光よりも一歩先に水銀燈を抱きかかえる
「よっしゃ!ファインプレー再び!俺乙カジ
「一歩先じゃ遅いわよお馬鹿ああああああ!!!」
へ?と思う間もなく博之の体を水銀燈の羽が被う。
直後衝撃波。真横に吹っ飛ぶ博之と水銀燈。
「うぎゃあああああ!!」
凄い勢いで体を擦る。全身は打ち身だらけ擦り傷だらけだった。
もちろん、水銀燈の羽があったからこれで済んだわけで、本来は即死でもおかしくない。

「ば、馬鹿じゃないのぉ!?力も無いくせに飛び出すからこうなるのよ!」
「おお、無事やったかエンジェル。悪いけどディアラハンかけてくれんか」
「なによそれは、さっさと退きなさぁい」
「マジ頼むて、ディアでもいいから回復魔法頼むわエンジェル」
立ち上がった水銀燈は、なんのことかわかるはずも無い。
「回復なんて自分にしか出来ないわよぉ。それとさっきから何なの、エンジェルって」
こんな黒いのに、めぐもこいつも何で天使扱いなのかわからない。
「私は水銀燈よぉ。あなた、名前は?」
「俺永井博之。ピアキャスでジーコとかと配信してる」
「配信?私もラジオなら気が向いたときに配信してたけど・・・」
「ちょ、マジか。そういう人ばっか集められたんかな」
「さあ?あのジャンク女がラジオなんてやってそうに・・・って話してる場合じゃ・・・」
完全に隙だらけだったことに気付き、詩音に向き直る。が・・・
「ううううあああああ!!?痛い・・・頭がああああ!!!」
詩音は頭を抑え、悶え苦しんでいた。

くそくそくそくそ!!!トドメをさそうと思ったら何、この激痛は!
視界もぼやけてきた・・・このカードを使った影響か?
オベリスクは私の命令を待っている。だが、もう一度あの技を使うのは・・・
「お、オベリスク!あいつらを殺しなさい!ただし、技は使わないで!」
オベリスクは雄たけびを上げて、人形どもに突進する。
技など使わなくとも、あんな奴らは倒せるはず・・・
しかし、近づいたオベリスクの攻撃は空を切り、あいつらは空を飛んで逃げていく。
「どうせ結界からは逃げられないのに、馬鹿な奴ら」
他の二枚の神のカードを見る。
オレイカルコスの結界は24時間に一度しか使えない。
だからこの二枚のカードも同時に使ってしまおうと思っていたのだが・・・
(これ以上使ったら、自滅してしまう・・・)
激痛や疲労くらい耐えられるが、これが二倍、三倍のとなれば話は別だ。
こいつらを殺した後に、倒せなかったあいつらも、他の参加者も殺さなければならない。
相打ちではいけない。生き残るのが最優先・・・
ぐ・・・また頭が痛い!耐えないと、あいつらを殺すまで・・・!!

「こんな力を使ってて、何のリスクもないのはおかしいと思ってたけど・・・」
肉弾戦に持ち込んでくるなんて、あの光線を使うと随分と疲れるみたいねぇ。
とはいえ、それでもこっちが不利なのは変わらないけど・・・
「あー!もうキツイ!水銀燈、ちょお地面に降りんが!」
足に捕まっている博之が喚いてる。ジャンクにするわよ?
と言ってもいい加減重いし、これ以上の飛行も無理ね・・・
ずしゃあ、と降りると同時に博之の体が地面に擦れる。
「ちょお!痛いが!!俺もうどんだけボロボロや!」
「五月蝿いわね、黙らないと喋れなくなるまで吸い取るわよ」
「吸い取るってなんぞ?」
「さっきから力を吸わせてもらってるの。どうせ戦えないんだから構わないでしょ?」
「おいぃぃぃ!!やっぱり夜魔の仲間やったんか!吸魔かデスタッチか知らんけど勘弁してくれ!」
さっきから知らない単語が混じる。デスタッチとかディアラハンとか何の魔法かしら。
「死ぬまで吸ったりはしないわあ。それよりアイツを倒す武器とかないのかしらぁ?」
オベリスクを見るとまた止まっている。どうもまた詩音の指示がないと動かないらしい。
羽を詩音に飛ばす。すると動かなかったオベリスクが詩音への攻撃を防いだ。
「ミーディアムの危機には動くみたいねぇ。やっぱりあれをどうにか・・・え?」
モシャモシャしてる。博之がディパックから取り出した草をモシャモシャと食っている。
「な・・・何を食べているのかしらぁ?」
「薬草を食っとるん」
もしゃもしゃと草を苦そうに頬張っている博之。
疲労気味だった博之の顔色も良くなっている。
「・・・・・・薬草×99ぅ?」

説明書には体力や傷を回復する草と書かれている。
人間の体ってそんな単純に回復するものだったかしらぁ?と思ったが
「実際に供給量も良くなってるわねぇ」
どうやら、体力が回復したために供給量も良くなっているようだ。
「いつまでも草食べてないで、他に何か無いか探しなさい」
「いや、もうないて。変なスプレーと宝石だけ。水銀燈も外れっぽいわ」
博之が水銀灯にスプレーをかける。少し煙いだけで何も起こらない。
「遊んでないで何か考えなさい。ジャンクになり・・・た・・・」
え?と水銀燈の動きが止まる。
薬草を置いた博之の右手には支給品のスプレーがある。そして左手には、『宝石』がある。
「ロー・・・ザ・・・ミスティカ?」
博之が宝石だと思った物はローザミスティカ。
水銀燈を含む7体のローゼンメイデンの命の結晶。
創造主ローゼンの理想であるアリスになるため、奪い合うもの。
だがそれは、ローゼンの弟子の人形、薔薇水晶の介入などで無期延期のようなものになってしまった。
水銀燈もやる気がそがれ、めぐの相手をして過ごしていたのだが・・・・・・
正式敗退した蒼星石か雛苺のものだろうか?
なんにせよ、これで力は増大する。と、水銀燈はローザミスティカを自分の体に取り込み・・・

『あなたがめぐ?』

なに、この記憶は?
病院のいつもの窓から自らのミーディアム、めぐが見える。
酸素マスクをつけている。どうやら今日は調子が悪いらしい。
めぐは私を一瞥するが、いつものように微笑まない。
『あなた・・・そう、天使さんだけじゃなく・・・私も殺しに来たのね?』
何?私が死んだ?何を言ってるのかと言おうとすると
「私も殺しに?どういうことなの?」
口を開いたのは私ではなかった。この声は・・・
『知ってるのよ・・・あなたが天使さんの言ってた・・・真紅だって』
そうか・・・これはローザミスティカの記憶。
めぐが見ているのは、今見えている視点は・・・このローザミスティカは・・・
真 紅 の も の な の か ?
だとすればどういうことだろう。私が死んだ?いつ、どこで?
『水銀燈が死んだというのは本当なの?』
私の疑問を真紅がめぐに投げかけた。
『ええ、殺されたわ・・・だって・・・指輪が消えてしまったもの』
めぐは自分の指を見ている。その指にあるはずの指輪が・・・無い。
『そんな・・・一体誰が?』
真紅が疑問の声を上げるが聞きたいのは私の方よ。
こんな世界に来てしまったから契約が外れたのだろうか?

場面が変わる。ここは・・・nのフィールドだろうか?
視点も、真紅の視点ではなく上から見るかのようなものに変わっている。
荒野のような場所に、真紅がステッキを構え誰かと向き合っている。
その姿は無残だ。服はズタボロ。片腕が無い。頭が一部欠損し、左目が無い。
向かいあう人物を見る。それは、殺し合いをしてもらう、と言った長身のピエロだった。
「君も招待すべきだったな」
そう言うと、ピエロは無数の剣を真紅に投げつける。
真紅は薔薇の塊とステッキでいくつか打ち落とすが長くは続かず四肢全てを切り落とされる。
「こんなに傷物にしてしまっては私のコレクションには入れられん」
剣を手に真紅の前まで歩み寄るピエロ。
(やめなさい!真紅は・・・真紅をジャンクにするのは!)
私の声が届くはずもない。が、真紅の隻眼はこちらに向いていた。
「あ・・・あ・・・そこに・・・居たの・・・よかった、無事で・・・」
「キミに敬意を表して、事が済んだらキミの仲間を私のコレクションにしてあげよう」
「ごめんなさい・・・めぐも・・・ジュンも・・・・・・私には守れそうに・・・・・・」
真紅は体を何とか起こそうとして
「さらばだ、真実に近づいた力無き人形よ」
胸を貫かれ、二度と動かなくなった。

「おい、どうしたん水銀燈!」
肩を揺さぶられ、現実に戻る。
「あの巨人が寄ってきてんぞ!どうにかしてくれ!」
既にオベリスクは拳を振り上げている段階だった。
水銀燈はオベリスクに向き合う。
「もう諦めたんですか!だったら楽に殺してあげますよぉ?」
詩音の下卑た笑い声は水銀燈の耳には入らない。
オベリクスの拳が振り下ろされ、大地が揺れる。

(お、終わった・・・まぁこんなのに襲われて長く生きれたほうかもな)
死んでしまってもこんな風に思考できるのか、と博之は思った。
これなら、タバコがあれば案外平気かもな、などと考えていると
「何寝てるのかしらぁ?」
水銀燈の声に、博之は目を開いた。
その光景は異様なものだった。伏せた博之より10chほど上にあるオベリスクの拳。
それをステッキ一本で受け止める水銀燈の姿。
「いやありえんて!」
「そんな・・・ありえない!」
驚愕の声を上げる詩音と博之。
そこにオベリスクはもう片方の拳を振り上げる。
「そうは・・・いかないわぁ!」
水銀燈の片翼が肥大化し、龍のようになってオベリクスを襲う。
「そんな・・・そんな!」
雄たけびを上げるオベリスク。だがその声は、明らかに悲鳴のそれに近い。
「はあぁああ・・・!!水銀燈カッコイー!そのままやったれ!」
「無理言わないでほしいわぁ」
は?と思い水銀燈の表情を見る。
博之にもわかった。既に限界・・・良く考えれば当たり前だ。
「お、俺の体力吸え!まだ薬草も山ほどあるから吸い放題ぞ!」
「あらぁ、気付かない?今全力で吸ってるのよぉ?」
「ああそうなんか、道理で視界がぼやける訳やってそれでも駄目なんか!」
薬草を再び頬張りながら、博之は自分に何か出来ないか考える。

「ちょっといいかしらぁ」
「お、俺に出来ることでもあるんか!」
「もし、だけど・・・この殺し合いで、ずっと私の糧になる気はあるぅ?」
なんやそれは、と博之は考える。ずっと薬草食っとけってことか?
「俺、殺し合いとかする気ない。今みたいな状況になったら仕方ないのかも知れんけど」
そんなんして帰っても、配信とか楽しく出来そうにないからな。
「ああ、それは奇遇ねぇ」
空いている手をオベリスクに向ける。
その指にはめられた指輪が輝いたよう見えたと同時に
薔薇の花弁が滝のようにオベリスクを襲い、その巨体は後ろ向きに倒れた。

真紅をジャンクにするのは私だった。
真紅を殺そうなんて考えるのは私だけで十分だった。
もし元の世界に戻れても、そこに真紅は居ない。
私を何度も殴り、張り倒した手はアイツに断たれた。
歩くことも出来ない私を支えてくれた手はアイツに断たれた。
そんなことはどうでもいい。
死んだくらいなら、真紅はそのうち夢くらいに出てくるだろう。
案外「ローザミスティカを返せ、この粉雪!」と殴りかかってくるかもしれない。
ただ、その時に・・・私があのピエロの言いなりになって帰ってきたなんてことがあってはならない。
私は言うのだ。
「あなたを殺したピエロだけど・・・ものすごく弱かったわよぉ?」と
真っ赤になって怒る真紅を見て悦に浸るのだ。
それが私。真紅をコケにし、全てを否定してやるために。
「私も、乗り気じゃあないわぁ」
このゲームに乗ってなどやるはずもない。
だから
「この指輪に口付けしなさい?」
めぐ、あなたの命は・・・あなたに返すわ。

「口付けってキスせいって事か?」
「契約よぉ?これから一生体力を吸われますっていうねぇ?」
それはキツイ。彼女居るのになぁ、なんていうのは後回しか。
「任せとけ!多少なら食いシヴァってみるわ!」
水銀燈は、イマイチなミーディアムねぇと手を差し出す。
博之はちょっとはじじゅうしろ、とその手を取る。
永井博之27歳フリーター。熟女にモテモテのその男は、ある意味最も当然に水銀燈のミーディアムとなった。
ミーディアムとかようわからんけど、何か埋め込まれて勝手に悪魔にされるよりはマシだろうと自己完結していた。

詩音の疲労は頂点に達していた。
オベリスクは立ち上がろうとしている。
こんなに長引くなら、神を三体召喚して速攻で決めるべきだったのか・・・
しかしもう遅い。すでに同時に二体を従える力など残ってはいない。
全て人形を貰った魅音のせいだ。全て前原圭一のせいだ。
悟史君、この人形は壊しちゃうけど、生き返ったら他の人形を探そう。
沙都子とも仲直りしたいなって思ってたから、ちょうどいいよね?
だから・・・・・・
「みんな殺して、一緒に帰ろう!悟史君!!」

「じゃあ俺はここで薬草食ってるから一気にやってくれ」
両手に剣、ステッキをそれぞれ持って飛び立とうとする水銀燈にエールを送る。
「そうねぇ、巻き込まれて死なないようにねぇ?」
そうして黒い天使は、神に挑むために空を駆ける。
眼前まで刹那に。切りかかるまで瞬間に。
博之の力を吸い、青く光る翼から無数の羽が炎となって神を撃つ。
攻撃にも怯まず、オベリスクの拳は水銀燈を砕くため振るわれる。
大地を軽々と抉る一撃を、黒き羽と薔薇の壁が受け止める。
再び翼から現れた黒い龍がオベリスクの片足を穿ち、そのバランスを崩す。
「神でも何でも・・・ジャンクにしてやるわぁあああ!!!」
数十倍の巨体に挑む天使。天と地以上の開きがあった実力は埋まっていた。

1.オレイカルコスの結界による神の制御の不十分さ。
通常のDMならば問題はなかったであろう神の挙動の遅さは、高速タイプの敵を相手にするには向いていなかった
2.真紅のローザミスティカの取り込み、および契約による力の行使。
契約による力の行使は頑強なオベリスクへのダメージを確実なものとし、能力の低下は真紅のローザミスティカで補えていた。
人工精霊が呼べないことは不便だが、それくらいは仕方が無い。

ステッキを目に突き刺され、神の絶叫は誰から聞いても悲鳴となっていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
詩音は震えている。
顔は恐怖に震え、口からはよだれを流している。
詩音の手に握られたカード「オシリスの天空竜」
オベリスクの巨神兵の特殊能力。それは終わりをもたらす。
全てに・・・敵も・・・私に・・・
「ほめて・・・ほめてよ悟史君・・・」
とっくに詩音の言葉は意味を成さない。それでも詩音は悟史のことを想い、笑顔になって。
「オシリスの天空竜を生贄にささげ、オベリスクの巨神兵の特殊能力発動!」

これまで同様に、オベリスクの拳を翼と薔薇で受け止めようとし・・・水銀燈は拳をかわした。
かわした拳の先の空間は一瞬ねじれ、水銀燈の脇を衝撃波が奔る。
「ぐあ!?これは何・・・?」
オベリスクの巨神兵の特殊効果・・・それは神を生贄にささげることによる攻撃力の極大化。
「でも、当たらなければ意味が無いわぁ!」
それでも、かすっただけで致命傷になりえる破壊力は水銀燈の踏み込みを甘くする。
羽陣と薔薇の花弁がオベリスクの拳の風圧で散る。
(神って称号は伊達じゃあないわぁ・・・無難に戦っても負けるわねぇ)
こちらが100を超える攻撃を加えようと敵は倒れず、たったの1度の被弾が敗北を意味する。
たとえ命中率0~1%の攻撃でも、攻撃の機会が100もあればいつかは当たってしまう。
ならば命中率が5~10%になろうとも、数度で決まるような渾身の一撃を加える。
そう決めた水銀燈よりも。
詩音の更なる行動の方が速かった。
「オベリスク!必殺技の使用を許可するわ!」

もはや、詩音の中ではこの戦いで勝つことが全てが解決する手段となっていた。
全力の全力で放たれる究極の神の鉄槌の発動許可。
オベリスクの拳が尋常ではなく輝き出す。
余波ですら、耐え切れないことは本能で感じ取った。
その一撃をかわすために結界ギリギリまで飛翔、オベリスクの背後を取り―――
狙いが、自分ではないことに気がついた。
「ッ・・・まさか!?」
オベリスクの直線上。安全な距離で薬草を頬張る胡散臭い男が一人。
「博之!!」
声が届いたのか、水銀燈に向かって駆け出す博之。
つまりは、オベリスクに向かって。
「自殺でもする気ぃ!?」
全力まで力を引き出す。どうせこのままじゃ死ぬんだし構わないだろう。
翼から、そして薔薇の花弁の塊から黒と赤の竜が生じ、交差して神に向かう。
同時に拳は振り下ろされる。渾身の神の一撃
「インフィニティ・ゴッド・インパクト!」
次空間すら捻じ曲げかねない一撃が放たれる。
水銀燈はもはや避けることは出来まいと、諦めた。
(一瞬の付き合いだったわねぇ・・・まあ、それなら・・・)
黄泉の旅路に、せめてあの女をつき合わせてやろうと詩音に視線を向け。

何度目かわからない驚愕の声を上げる詩音の姿がそこにあった。
そして見る。その視線の先を見て。
「ちょ、おいぃぃぃいいい!?」
もう水銀燈も突っ込むしかない。
ひろくんは空を飛んでいた。

「相当ありえん話な件」
なぜ俺は走ってるのかがまずわからん。
しかもあのラスボスみたいなのに向かってる。
自殺願望あるようにしか見えねえだろ!バカ乙!!
ほら、なんか凄いのがこっち飛んでくるがな。
水銀燈も諦めてこっち見取らんもん、当然やな。
しかし結構水銀燈に近づいたな。今はビームも俺の下だしな。
・・・・・・みんなビビる。俺もビビる。
空を自由に飛びたいなって俺はドラえもんか。しかも自由に飛んでないし。
これが本当の夢か。ありえんもんな流石に。攻撃にビビッて気でも失ったんかな。
ほら、水銀燈が俺みたいな突っ込みするわけがないし。
なるほど、水銀燈が俺を迎え撃つモーションに入ってる。
これで殴られて目が覚めるわけか。ありがちやが。
メメタァ。
前言撤回。この痛みが夢なわけねー!
俺は現実を受け止めるO☆TO☆KO!鼻が110度曲がったのも受け止めるしかない。
浮力が無くなる。水銀燈が掴んでくれなきゃ落ちてた。
さすが俺のエンジェル。殴らんでくれたら100点だったなぁ。

「わけわかんないわぁ」
なんであの一撃を華麗に避けて飛んできたのかも。
なんで私が真紅みたいなグーパンしたのかも。
「どうなってるわけぇ?」
まだ薬草を頬張っている博之を見る。
鼻が顔にめり込んでるが、命に別状はなさそうだ。
オベリスクに注意を戻・・・・・・いない!?
あの巨体を見失うなんて!?
使役者である詩音を探す。こちらはすぐに見つかった。
微動だにしない。何をする気なのか・・・・・・
微動だにしない。動きに対処できるよう移動する。
微動だにしない。その理由に気付いたのは、その直後だった。

辛い戦いだった。
避けられたかと思った神の一撃は、そんな心配をよそに男を消し炭にした。
呆然とする人形をあっさりとオベリスクが握りつぶす。
結末はあっさりとしていた。殺し合いなんてそんなものなのかもしれない。
何時間も続いたと思った戦いは、おそらく1500秒ほどでしかない。
オレイカルコスの結界は消え、神の姿も掻き消えた。
私は草原に寝転んで、疲労を少しでも回復する。
後であいつらの荷物を調べよう。あの男が食べていた草がまだあるかもしれない。
そして、次の日を迎えた。
1日1殺。24時間に1度戦い、身を隠してカードと体力の回復を待つ日々。
殺し合いは続き、ついに最後の敵が目の前に現れる。
初日に殺し損ねた女だ。なんてつまらない結末だろう。
だが、意外にも女は無数のモンスターを召喚してきた。
変な球から出る芋虫や病んだ目の少女・・・見てるとイライラする。
そして私と同じカードから召喚される魔法使いのような女性に黒い龍と蒼い龍。
面白いじゃあないですか。私の神に勝てるとでも!?
そして私は高らかに結界のカードの使用と同時に三体の神を召喚する。

願いは、叶っていた。
雛見沢の学校に通う、仲の良い兄妹の姿があった。
その隣にいるのは妹の親友。今日も一緒に登校だ。
だが、その表情にはどこか影がある。何かが足りない日常。
まったく、お姉もレナさんも圭一さんも、どこで何をしてるんだか。
でもそんな顔しないで下さい、悟史君。
いつもみたいに「むう」って言ってください。
私の頭を撫でてください。ね、悟史君?

そんなことは無理だって、わかってはいるんですけど、ね。

「死んでるんやな・・・寝とるみたいやが」
結界が消えていることに気がついて、水銀燈は理解した。
詩音は動かない。もうそこにあるのは、立ったままの肉体のみ。
「これしかなかったんか・・・殺し合いに乗ってたゆうてもなぁ・・・」
「なかったに決まってるでしょぉ?」
水銀燈は詩音のディパックからカードの説明書を取り出した。
「あの結界、神のカードを一般人が使うためのものみたいだけど・・・どちらかが死ぬまで解除できないって書いてるわぁ」
つまり、使ったが最後・・・殺しあうしかないということ。
「間違って使ってたりしたら最悪やが。途中で正気に戻らんかったのが、幸いやったんかな」
「そんなのはわからないわぁ。でも、誰かのために戦ってたんだから・・・降りることはなかったと思うけど」
悟史君、悟史君、悟史君。何度この女は叫んでいただろう。
水銀燈は、めぐが死んだら彼女のようになれるか考えた。
「私もぉ・・・・・・こんな風になれるかしらぁ?」
「バカ乙。いや、大バカ乙!!やな」
博之がかなり真剣な顔をしている。言動はいつも通りだが。
「こんな風に狂ったらあかんて。誰も狂った人となんて付き合いたくないわ」
「別に、目的が叶ったら死んでも構わない場合もあると思うけどぉ?」
「そんなん、死なれても困るが。狂ったって仲間やったり恋人やったりしたら悲しいわ」

めぐの病気が治って、彼女は町を歩き回る。
どこに行ったの?と何かを探して。どこにいるの?と誰かを探して。
そして嘆く。自分に死を運びに来た天使は、元気になった自分を嫌になったのか、と。
死んだ私の声は届かない。自虐的な彼女の性格はそのままで。
生きても生きても、幸せを拒絶して生きていく。
「そうねぇ・・・そうかもねぇ」
「そうにきまっとるよ」
鼻血出してなければ格好良いのに、と思うほどの言動だった。
ついでに、先ほどのスプレーの説明書を見つけていた。
自動ぶんなぐりガス。スプレーを吹きかけた物に向かって、名前を呼ばれた者はぶんなぐられる。
物。たしかに私は人形だしねぇ。あの時無性に殴りたくなったのはこのためか。真紅の影響かと思った。

オベリスクの最後の一撃で抉れた草原地帯に、彼女を埋める。
ソノザキシオンここに眠る、と黄金の万能椅子を切ったものに書いて土に刺す。
般若心経を唱え、冥福を祈った。全部博之が一人でやった。
水銀燈は、博之のディパックからレモンを取り出し、黄金の板の脇に置いた。
「そんで、俺は町に行こうとしてたんが、どうするかの」
「いいと思うわよぉ?人はいるだろうし・・・狂ってるかもしれないけどねぇ」
あのピエロの強さは異常だ。仲間か力が必要だ。
この神のカードは強大だが自滅しかねない。切り札として使っていこう。
当面の目的として、ゲームに乗っていない仲間を探すことになった。
そして脱出できる方法を探す。もちろんあれば、の話だが。
「俺がいるとなると、俺より前から配信してたジーコもいるかもな」
博之の兄であるジーコ?の捜索は、ここに来てるのが確定するまで二の次とすることになった。
水銀燈としても、役に立ちそうにない人間は、こっちの基盤が固まるまでは遠慮したかった。
「さっさと町いって探すか。いい加減俺も限界だしな」
博之は詩音の荷物を移し変えたディパックとバットを持って歩き出す。
水銀燈は何が限界なのかわからなかったが、精神とか体力とかだろうと思った。
実際はタバコを探さないと限界だ、という意味だったが。
兄に劣らぬ異色のコンビは町に向かう。
その先に、二の次であるジーコが保護されてるのを、彼らはまだ知らない。

私、園崎詩音は命を奪われました。
なぜ、誰に、命を奪われたのかは今更どうでもいいです。
それでも・・・どうしてこんなことになったのか、私にはわかりません。
どうか、誰もここには来ないで下さい。
うちの鬼婆くらいの姿になってから嫌でも来るんですから。
お姉も、圭一さんも、レナさんも・・・みんな狂わないで・・・生きてください。
それだけが、私の最後の願いです。
園崎詩音


【E-5 草原/一日目・早朝】
【永井博之@永井先生】
[状態]:疲労、全身打撲、鼻骨折(やばい角度に曲がってるのは戻りました)
[装備]:[装備]:金属バット、薬草(69/99)@勇者の代わりにry
[道具]:支給品一式*3、甲羅セット@スーパーマリオシリーズ、座薬@東方project
    ゴム@思い出はおくせんまん、自動ぶんなぐりガス(1/2)@ドラえもん
[思考・状況]
1.町に行って煙草を補給
2.薬草無くなったら体力ヤバイな。
3. 水銀燈と一緒なら生き残れるかもな。
4.人は殺したくないが、戦うのは水銀燈。最悪仕方ない
※甲羅セットには赤・青・黄の三色の甲羅が入っています。
 いずれも食べると炎を吐く・羽が生えて空を飛べる・地響きを起こせるといった能力を持っていますが、
 人間の口には到底入らないサイズです
※自動ぶんなぐりガス(4/5)
 JBGと書かれたスプレー缶。このガスを何か物に吹き付けてから、参加者の名前を言うと
 その相手がその物目掛けて吹っ飛んで激突し、痛烈な痛みを与える。人間に吹きかけても無効。
 名前がわかっても、その人物を知っていないと効果は無い。
 吹きかけた物から周囲1コマであれば誰の発言でも効果あり。
 効果は2時間だが、一度発動すると効果消滅。もう一度吹きかけねばならない。
 また「参加者」にしか効果は無いため、支給品のポケモン、DMなどには効果が無い。
 死体になった参加者にも効果はない。「放送」で効果が出るかは「不明」

※薬草
食べれば体力が、傷口に塗れば傷が回復します。
体力の回復は中々の効果がありますが、傷の治療には消毒に擦り傷の治療くらいしか出来ません。
致命傷、大怪我などには効果が無いでしょう。

【水銀燈@ローゼンメイデン】
[状態]:軽症(博之から体力を吸って回復中)
[装備]:真紅のローザミスティカ@ローゼンメイデン(真紅の技が使えます)
[道具]:三幻神@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ(ラーのみ使用可だが遊戯、海馬などのみ)
    オレイカルコスの結界@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ (24時間使用不可)
[思考・状況]
永井博之と契約
1.長身のピエロを殺す。その仲間も殺す。
2.仲間を探して、脱出する。役に立たないなら別行動してもらいたい。
3. 脱出不可なら最後まで生き残る。最悪優勝するしかないのか?
4.ピエロの思惑に乗りたくないから、できるだけ人は殺さない。
5.襲ってきた奴とは戦う。殺すのも仕方ない。

ピエモンが自分の世界で何かしていたということがわかりました。
その情報はまだ永井博之にも話していません。

※「契約」
水銀燈は日常的な行動以外(飛ぶなど)に力を消費します。
真紅のローザミスティカを取り込んだおかげで人間の疲労回復くらいの速度で力は回復します。
契約によって永井博之の体力と引き換えに力を吸い取れます。
吸い取る量によって能力は増減。もちろん最悪永井博之の命に関わります。
吸い取らない場合の戦闘力は任意ですが、ティアナ辺りに負けると思います。
また、戦闘中は水銀燈が意志をもって吸収をやめないと自動で吸い取ります。
正式な契約なので、距離が離れていても力を吸い取れます。
同上の理由により、お互いの精神が影響しあい変化する場合があります。
契約破棄は水銀燈からのみ可能。再契約は不可能。
ただし、水銀燈は元々人から力を吸うことが出来ます。
その場合、効率、能力ともに下がります。
魔力持ちの人間からは魔力、それ以外は体力を力に変換します。


【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に 死亡】
【残り 60人】



sm59:オメガとかちは大変な魔理沙を巻き込んでいきました 時系列順 sm61:自信か慢心か?
sm59:オメガとかちは大変な魔理沙を巻き込んでいきました 投下順 sm61:自信か慢心か?
sm29:ひろくんの天使?転生 永井博之 sm69:行く先は
sm29:ひろくんの天使?転生 水銀燈 sm69:行く先は
sm36:海☆馬☆王 園崎詩音 死亡



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