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「薔薇大戦 ~ 混世魔王 VS 白い魔王」(前編)




『…──それじゃあ今回はここまで!
次回の放送担当はピエモン君が担当してくれるのサ。
それまでせいぜい生き残るのサ!


キャハハハハハハハハハハハハ!!! 』


「10人かぁ……」

この殺し合いの場に放り込まれてから早6時間、どうにか私鈴仙・優曇華院・イナバは無事生き残ることが出来ました。
幸運なことに私の知り合いやてゐに師匠、姫様の名前は呼ばれませんでした。ある程度予想していたとはいえ、ホッとしました。
あの悪魔の言っていた紙を見たところ、本当に紙の上に名前が浮かんできました。
その紙を確認した所、紅白に黒白に人形遣いもこんなところに呼ばれちゃったみたいです。
やっぱりというかなんというか、師匠も居るみたいです。姫様やてゐが呼ばれていないのは幸運なのでしょうか。
不甲斐ない私と違って、きっと師匠や他の皆はのらりくらりと気楽なんだろうなぁと惚ける。
一方のなのはさんと言えば…………

「もう10人も人が死んでるッ……!」

どうやらシリアスモードのようです。俯き加減で微妙に覗かせる顔は、なんというか直視したくない戦慄が走っています。
知り合いの名前が誰も呼ばれていないので惚けていたけど、10人もの人間が死んでいるというのは事実を忘れてはいけませんでした。

「ねえ……レイセンちゃん。あなたのお友達は居た?」
「い、いやなんというか、知り合いは居るみたいですが誰も呼ばれなかったみたいです」
「そうなんだ……」
「ほ、本当に幸運なだけですって! それで……なのはさんは……?」
「誰も呼ばれなかったけど、これはそういう問題じゃないんだよ……」
「そ、そうですね……」

妙なタメは止めて欲しいです。私ちょっと声だけでびびっちゃいましたよ。
始めて会った時といい、さっきといい、どうしてこの人は一旦雰囲気が変わるとこんなに怖いんだろうか……。

「……それで、レイセンちゃんの知り合いは博麗霊夢、霧雨魔理沙、アリス・マーガトロイド、八意永琳に、そこで寝ている伊吹萃香って子でいいの?」
「はい、それで全員です」
「じゃあ私の知り合いも教えておくね。ティアナ=ランスターって子なんだけど、私の勤める機動六課の新人さんなの」
「分かりました。一応そのティアナって子の特徴も教えてもらえますか」
「ティアナは……、茶髪のツインテールで、私と同じ時空管理局の制服を身に着けてると思う」
「分かりました、他には誰も居ないんですか」
「うん、レイセンちゃんと違って私の知り合いはティアナだけだったの」

そんなこんなで浮かび上がった名簿と睨めっこしながら私達は知り合いについて情報交換。
どうにかシリアスモードが止まってくれたようで、なのはさんは元の朗らかな表情に戻ってくれました。
はぁ、毎回こんな調子だとちょっと疲れるなぁ……。

「それじゃ、レイセンちゃんはあっちを探してね」
「分かりました」

というわけで先ほど辿り着いた祠の探索を手分けして行うことになりました。
ちなみに、鬼族の子はさっきからベッドの上でグーグーと暢気に眠っています。
その表情が余りにも暢気なので、この子のせいでさっきから心労が溜まりっぱなしの私はちょっとばかり腹を立ててしまったのでした。

祠の中はいわゆる西洋風の宗教施設のようで、いわゆる教会というものに良く似ている構造をしていました。
萃香という子が寝ている暖炉のある部屋を中心にして、探索をしています。
暖炉をよく見るとずいぶん前から火がついていたことが判別できたのもあり、もしかしたら誰か人が居るかもしれないとのことです。

「やっぱり誰もいな……ん、これは…………」

血、でしょうか。赤いシミが絨毯の上にこびりついています。
もしそれが血ならばここで誰かが人を襲った証拠であり、もしかしたらこの場に危険な人物が居るかもしれないということです。
その赤いシミのついた絨毯の先は、男子トイレ。
一応女の子である私としては男子トイレなんかには入りたくないんだけれども、命が掛かっているかもしれないとなれば話は別だ。
意を決して、そのめぐるめく摩訶不思議空間に入り込むと…………



男の人が倒れていた、全裸で。

「い、いっやぁぁああああああああ!!!!」
「レ、レイセンちゃんどうしたの!」

その奇妙としかいえないアレやら【ズダーン!】やら【禁則事項】まみれの男の人を直視してしまった私は、赤面した顔を隠しながらその場にへたり込んでしまった。
でも、指の間からこっそり見てしまうのは悲しい性なんだろうか……。
そんなふうにへたっている私の元に、なのはさんがやってきた。私は黙ってその男の人を指差す。

「あ、あわあわあわわわわ……」
「これは…………」

なのはさんは目の前の破廉恥な倒れる男に駆け寄り、恐らく生死判別をしている。
ま、まぁアレはアレだけど、まさか死んでいるわけじゃ…………

「酷いね、この男の子死んでる……」
「う、嘘ぉ!?」

素っ頓狂な声を挙げる私。一応こういったことに詳しい師匠や姫様やてゐによれば、死にはしないということだったのだが……

「この白いのは何だろう、毒なのかな?」
「あ、そ、その白いのは……」
「レイセンちゃん、何か知ってるの」
「あ、いや勘違いです。アハハハハハハハ!!!」

言えない、絶対言えない。言ったら私の中の乙女が音を立てて崩れるから絶対に言えない。
もちろん偏った知識でしか知らないのだから何も言えるはずが無い。

「粘ついてて気持ち悪いなぁ、やっぱり毒なのかな」
「そ、そうだと思いますよ!」

そんな訳で死体を検分すること数分、なのはさんは全裸の死体をばっちりきっちり全身検分。
本当は見たくないけれど、興味がついつい沸いちゃうのが女の子の悲しい性。ばっちりきっちり見ちゃいました。
いやー、あの男の褌の下にはこんなものが……なんてとある変態男を思い出しながら赤面。うへへへへ。
ちなみになのはさんはとても冷静で、こんな異常な状況下でも平常心を保ち続けている、やっぱり凄い人なんだろうなぁ……。

「ねぇ、レイセンちゃん真面目にやってるのかな……人が死んでるんだよ?」
「ま、真面目にやってますッ!」

本当はとても真面目になんてしていられないが、軽々しく自分の知識を披露するわけには行かない。
なにせ死なないと思っていたはずの目の前の男が【ズダーン!】な死に方をしている前提からして、知識が間違っている可能性は高い。
そんな私は、先ほどからかねがね疑問に思っていたことをついつい口に出してしまった。

「な、なのはさんは恥ずかしくないんですか。お、男の人の……ぜ、全裸を見てッ!」
「確かにちょっと恥ずかしいかな、でもこれはとても真面目な問題なんだよ……、ほら」

と、なのはさんは紅白入り混じったその液体を見せる。こんなのを見て平常心を保って入られない。

「こ、これが何かと?」
「血だよ。最初は白い液体が原因かと思ったけど、どうやら誰かに襲われたショックで失血死したみたい」
「そ、そんな人が……」

白と赤の入り混じったそれはお、お尻の周りに分布しているということはつまり…………。はうぁ!?
こ、これ以上想像したらいけないッ! とてもヤバイことになる気がするッ!!

「この男の人は、お尻の穴から剣か何かで串刺しにされたみたい。なんて酷いッ……!」
「ひ、酷いですねッ! そんな危険な奴は懲らしめてやりましょう!」
「うん、そのつもりだよ。さあレイセンちゃん、追うよッ!」
「あ、なのはさんちょっと待って、萃香ちゃんはどうするんですかぁ!?」
「レイセンちゃんに任せた!」
「え、ええー!」

ちなみに、その串刺しにした剣に心当たりが有るとは言えない。決して言ってはならないのだ。

阿部高和は雪原を行く、自分を満足させてくれるいい男を求めて。
何より先ほどは了承したとはいえお預けを食らった形になった阿部高和としては、早く滾る欲望を消化したくてたまらないのであった。
そんな阿倍の元に、悪魔からの放送が鳴り響く。


「…………道下」

放送で呼ばれた道下正樹という青年が呼ばれた時、阿部は足を止めた。
その後は放送で呼ばれた紙を検分するも、道下以外の知り合いは居ないことを確認した。

「そうか、道下の奴も招待されてたんだな、ハハハッ……」

ヘッと息を付き、一人雪原と草原の境で俯く阿部。
彼の頭の中には、道下とのくそみそな出会いが脳裏を駆け巡っていた。

「ホント、アイツは何をやってもヘマばっかだったよな。
 せっかく俺がケツを貸してやったのによ…………」

初めての出会いはくそみそな結果に終わってしまい、不満のままに終えてしまった阿部。
次の機会はバキュームカーにされないよう阿部から攻めるが、やはり道下はブルってしまったのであった。
阿部の脳裏にはそんな道下とのくそみそな思い出が次々に蘇る。

「なぁ道下。お前がいなくなったらさ、誰が俺のケツにションベンをくれるんだよ……」

天を仰ぎ、誰も居ない空に向かって話しかける阿部。
朝日が山の陰から昇り、光と影が彼の視界には広がっていた。
朝日の光が影を浸食するその幻想的な光景を、ただ阿部高和という男は一人の予備校生の追憶へと捧げていた。

「……道下。悪いがそっちに行くのはだいぶ後になりそうだ。
 寂しくても、元気でやれよ。ついでに緩すぎるケツも鍛えておくんだぞッ……!

 …………じゃあな」

阿部はひとしきり追憶を終えた後、腹が減っては戦が出来ぬとばかりにディパックから食料を取り出す。
たかが一戦程度では余り消耗しないとはいえ、それでも飯で体力は回復させておきたい所であった。
阿部は味気ないコッペパンをもきゅもきゅと口に放り込み、パンの屑にまみれた口内を水でひとしきり胃に流し込むと、一息をつく。

「さて……これからどうするべきか…………」

彼の愛する道下が死んだことで、彼の方針である「一般人は太らせて食べる」ことに疑問を抱く。
満足できるまでやりたいというのは理想であるが、理想がいつも適うとは限らない。
現に、彼は道下を失っている。これに加えてキョン君のお友達まで奪われるのは我慢が出来ない。
ならば今から戻って一回だけでもやっておくか? だが一度決めた方針を余り曲げたくはないし、現に約束までしてしまった。
約束を反故にしてまで執着するかといわれれば、悩む。
彼が満足できる相手がどれだけ居るか分からないし、今こうして悩んでいる間にもいい男から順番に死んで行く。
いい男は全部たいらげたい阿部としては、悩みどころであった。

「こういうときは、運を天に任せるんだっけな……」

阿部は何かを思い出したのかケツポケットから硬貨を取り出す。
表なら素直にキョン君の友達は諦める、裏なら今から食いに行くと心の中で決め、コインを指先で弾く。
ピーンと弾かれたコインはくるくると回り、阿部の手の内に納まった。そのコインの目は、表。

「まあ、男に二言は無いって言うしな。しょうがないか」

ヤレヤレと溜息をつきながらも、次の目的地を見定める。
あの橋の先にはどんないい男が待っているのか、キョン君以上に満足できる相手は居るのだろうかと青写真を描く。
だがその妄想は、突如やってきた一言とともに打ち切られた。

「ねえ……、あなたはこの殺し合いに乗っているの…………?」
「おやおや、ずいぶんと物騒なことを言う女だ……」

後ろを振り返る阿部の前にはうさみみ少女と横ポニーテールの…女。しかもムチムチの巨乳である。
うさみみ少女の背中にはもう一人角の生えた幼女が背負われているが、阿部にとっては至極どうでもいいことであった。
巨乳の彼女はというと、阿部のことを不信感満々でにらみ付けている。

「ねえ、答えて」
「しょうがねえなぁ……、答えはイエスでありノーだ
 ちょっと俺が美味しく男を食ったら、たまたま死んじまっただけさ」
「た、食べたのぉぉぉー!」

鈴仙は阿部の爆弾発言に声を荒げて叫ぶ。食ったって、あんた人間じゃないのー!と心の中で叫ぶ。
一方のなのははというと表情をより厳しく、声をより荒くして阿部に迫る。

「じゃあ、あの祠の男の子はあなたがやったのッ……!」
「そうさ、キョン君は絶品だったよ。ノンケの若々しい味としまった尻。二度と味わえないのが残念な極上物だったよ……」
「…………ねえ、どうしてそんな酷いことするのかなぁ」
「お前ら女には分かんねえんだよ、"男の性"ってやつがな……」

それが戦闘合図と言わんばかりに、なのはは指先から先制の魔法攻撃を仕掛ける。
一方の阿部も予測していたとばかりに、サイドステップで砲撃を回避する。

「やれやれ、ずいぶんと乱暴な女だ……」
「人を殺すような人に言われたくないねッ……」

阿部はなのはを仕留めるべく疾走する。だがなのはは再び魔法の光弾を繰り出す。

「アクセルシューター!」
「おおっと、危ない危ない」

阿部は体の軸を素早く右に動かすと、自身を追尾する複数の光弾を最小限の動きで回避、そのままなのはに突撃する。
なのはは阿部の突撃を横に動いて回避すると、阿部に向かって指を刺す。

「おっと、その魔法は食わないぜ」
「いっけぇ、アクセルシューター!」

なのはの指から自身の体の軸をずらした阿倍の元に、一度は回避したはずのアクセルシューターが追尾攻撃を仕掛けてくる。
急な一撃に阿部は回避することを適わず、次々と阿部に着弾してその体を吹き飛ばす。

「いてててて……。ん、これは…………?」
「バインドだよ、これでもうあなたは動けない」

アクセルシューターで怯んだ阿部の体には円状のバインドが連なり、彼の体と腕を拘束している。

「俺を縛るんだったら亀甲固めじゃないと駄目だぜ。ふんッ!!!」
「なっ!?」

空間固定されていたはずのバインドを力で無理やり引きちぎった阿部は、砲撃魔法を詠唱中のなのはにむかって突撃を仕掛ける。
フルチャージ前の隙を突かれた形になったなのはは、阿部の裏拳を腹にめり込ませることになる。

「がはっ!?」
「俺は今可愛いあいつを失って気が立ってるんだ。俺の堪忍袋が爆発する前にとっとと失せな
 どうしても邪魔をしたいって言うなら、目障りだから排除してやるよ……」

立ち膝をつくなのはのポニーテールを手に持つと、どす黒い声でなのはにそっと囁く。
だがなのはは阿部の顔を向きなおすと、阿部に向かってきっと啖呵を切る。

「どうして、どうしてそんな大切な人が居たのにこんな酷いことをできるの!」
「やれやれ、女はどうして男と違ってこう物分りが悪いのかな。……死にな」

阿部はなのはのポニーテールを掴んで拘束したまま、今度はストレートパンチを腹にお見舞いする。
息を付く暇も無いなのはの口からは唾液が漏れる。

「おやおや、汚い唾だな…………ぐはっ!?」

突如阿部が吹き飛ばされる。阿部の視界の先にはさきほどのうさみみ少女、鈴仙・優曇華院・イナバが弾幕を繰り出していた。
次々に被弾する阿部、どうみても座薬です。本当にありがとうございました。

「アッー!」

臀部に弾丸が被弾した阿部は、その場で悶絶する。

阿部の動きが一旦停止したことを確認した鈴仙は、背中に背負っているスイカをその場に放り捨てる。
そして立ち膝をついて俯くなのはに駆け寄る。

「だ、大丈夫ですかなのはさん!」
「…………」
「えええええ、なのはさん本当にだ……」
「うるさい」
「きゃあ!?」

心配して駆け寄ったはずのうどんげを、なのはは汚物を払うかのように跳ね除ける。
その表情は、人間とは思えないほどの無表情、無感情、冷徹で虚ろな視線。
月の兎や妖怪を超える狂気を肌で感じ取った鈴仙は、立ち上げることさえかなわずその人物を見つめる。

「ごめんね、レイセンちゃん。私今とても、とても怒っているの……」
「は、はいいいいい!!!」

鈴仙に向ける表情はというと、とても怒っている顔ではない。だが口調からは怒気がピリピリと伝わってくるのが分かる。
その表情を直視してしまった鈴仙はというと、涙目で乾いた笑いを浮かべながらへたり込んでいた。
鈴仙のことを一瞥したなのはは、魔力を体に集中させ始める。
その体を取り巻く魔力は、鈴仙からは師匠である八意永琳、月の姫君である蓬莱山輝夜の本気にも勝るとも思わない量である。
そのなのはに呼応するかのように、悶絶していた阿部もまた立ち上がる。

「よくもやってくれたな、そこのうさみみビッチ……
 俺の神聖なるケツの穴をよくも、よくも掘ってくれたな!」
「は、はうあ!?」
「絶対に、絶対に許さないぞそこの糞アマがぁ!?」
「あ、あわわわわわわわ」

立ち上がった阿部も鈴仙を刺し殺すかのような視線で睨み付け、憎悪の表情を浴びせる。
なのはの知ってはいけない表情を見た後に人妖ならざる憎悪の視線、鈴仙は黙って後ずさりすることしか出来なかった。

■ ■ ■

前略、永遠亭の皆様へ。
私は今、とても大変なことになっています。

「さて、二対一はさすがに辛いし俺もそろそろ本気を出すとするか……」

すると目の前の男は、あ、あれはあああああああ。
とても表現してはいけない下向きのアレを取り出したではありませんか!
その後の男の異常すぎる行動には、一瞬脳内が空白に染まってしまいました。

「もういっちょお! もういっちょお! もういっちょお!
 ほ、ホアアアアアッッッッ!!!!!!」

ありのままを話します。男は肩下でぶら下げていたライフルを両手に持つと、あ、アレの根元に向かって強打を始めたのです。
するとどうでしょう、男の表情は恍惚に染まり、股から生えているアレはニョキニョキと大きくなり、上に向かい始めました。
その男のアレは最終的には天を突くばかりの勢いになり、めちゃめちゃどす黒いです。
断言できます。アレは人を殺せます。ええ。

「ふしゅうううううう…………」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!」

一方のなのはさんも負けてはいません。いまや空気を奮わせんばかりに鳴動する大量の魔力を無理やりコントロール。
体から噴出す桃色の魔力はなのはさんの体を白く光らせ、更に勢いを増します。
男のアレが天を貫き輝くのと時を同じくして、なのはさんの服が青と白を基調とした戦闘服へと変化しました。
その戦闘服にはあの膨大な魔力が材料として使われているわけで、その人間離れした御技には月の兎の私でさえ感服としか言いようがありません。
むしろ、妖怪すら超越してるんじゃないかとすら思えてきます。
今のなのはさんを一言で形容するなら"魔王"という単語がぴったりとしか思えません。
師匠や皆様、ここは月の戦場よりずっとずっと恐ろしい場所なのかもしれません。
逃げ出したいのは山々なんですが後ろは川。まさに背水の陣です。
涙が出ちゃう。だって女の子だもん。

目の前でなんだか凄いオーラを漂わせている二人、まるで私の存在が初めから無かったかのように扱われています。
ゴゴゴゴゴとかドドドドドとかいう効果音がぴったり似合いそうな背景で、あの二人は睨み合っています。

「私は、絶対あなたを許さないッッッ!」
「元から俺はそのつもりだ。じゃあ、死にな……」

二人から発せられるなんとも言えない場の空気に、とてもじゃないですが私には耐えられそうにありません。
さて、この手には時計型麻酔銃があります。鬼の子を一発で熟睡させるほどの強力なものです。
あれをあの二人のどちらかに向かって発射すれば、この激突を止められないだろうかと考える。
普通に考えればなのはさんを助けるべくあの変態男に発射するべきなんでしょうが、効かなかったらどうしよう……。
仮に効いても、殺る気満々のなのはさんの邪魔をしたら、理不尽すぎるとばっちりが飛んできそうです。
『なんで邪魔したのかなぁ……』なんて声を頭の中で浮かべるだけで、耳がぴーんと張り詰めてしまいました。
勿論隣の男を助けるべくなのはさんに発射しても、同じ結果だろう。

どうする、どうする私!

一人人生を賭けた選択に悩む私の目の前では、痺れを切らした二人の激突が始まりました。
あ、いいこと考えた。二人が相打ちになれば私は生き延びれる!
時計型麻酔銃で、どっちかが負けたらその隙を狙えばいい。そしたら脱兎の如く逃げ出す。これは決定。
光弾というか光線が飛び交う目の前の弾幕ごっことは似て非なる異常な光景を眺めながら、私は何故か心の底から二人の死を願ってしまっているのでした。

永遠亭の皆様。不甲斐ないうさぎの私はこの先どうなっても死ぬより辛い目に会いそうです……。
今のうちに、さよならを送っておきますね。



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