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「薔薇大戦 ~ 混世魔王 VS 白い魔王」(後編) ◆qwglOGQwIk




阿部となのはの睨み合いが終わると同時、両者はお互いに突撃を仕掛ける。

「おらぁ!」

阿部は突進から跳躍し、大股を広げてなのはの顔面目掛けて飛び掛る。
一方のなのははぶつぶつと詠唱を続けながら、体躯を下げて前転による回避行動を取る。
互いの突撃はすれ違いに終わるが、飛び終わりとともに阿部は軸足を回転させることですばやくターンし、回避行動を取ったなのはに二撃目を叩き込むべく疾走する。
だがなのはは前転からさらに勢いを付けて跳躍する。阿部はチャンスとばかりに手元のAK74の標準を付ける。
しかし標準をつけ、三点バーストの発砲音の瞬間、回転運動で静止するはずのなのはの体はありえないことに空中へと浮かび上がり、そのままターンをして阿部の背後を取る。

「何ッ!?」
「ディバインバスター!」

阿部の背後から強烈な砲撃が迫る。だが阿部は冷静に横飛びをして回避をする。
ディバインバスターが抉った地面の土砂が、回避したはずの阿部を足元から吹き飛ばす。

「ったたた……、空を飛ぶとはなんて奴だ」
「空を飛ばなかったのは魔力を節約したかっただけ、私はどちらかと言えば空のほうが戦いやすいの」
「おいおい、反則じゃねえか、ったくよ……」
「私のお話を聞いてくれるまで、私は何度でも貴方に砲撃をするんだよ……」
「女のぽややんとした理想論なんて、ゴミ箱にでも捨てちまいな」

空から阿部を見下ろし、再び詠唱を開始するなのは。
一方の阿部も、ディバインバスターの余波で吹き飛ばされた体で上手く受身を取り、なのはの前で軽口を叩ける程度の余裕は残っている。
その表情とは裏腹に、阿部は焦っていた。あの砲撃をまともに食らったら、一発で終わりだろうと。
たとえ自慢の腕で防御してさえ、何発耐え切れるのか怪しいものだと。
次の砲撃まで多少の余裕があるのを確認した阿部は、AK74を構えると再び標準を付け出す。
狙うは、ドタマ一発。

「いっけぇ、スターダストレヴァリエ!」

なのはの手からは星型の弾幕が繰り出される。
アクセルシューターよりも密度の高い星上の弾幕は威力こそ劣るものの、相手の動きを制限するのにその数が有利と判断できる。
なにより阿部が空中に手を出すべく手元の銃で対空攻撃を仕掛けようとしても、星型の弾幕が視界に立ちふさがり攻撃を抑止する効果も期待できる。
阿部はなんなく星型弾を軽やかな体躯で回避するが、狙うべきなのはの位置には星弾が立ちふさがる。
ダメージ覚悟で標準をつけようとしても、一定時間毎にやってくる大型弾の隙間を潜るのに精一杯の阿部に、銃火器を奮う余裕は無い。
翻弄される阿倍の動きをひとしきり確認したなのはは、次の詠唱を開始する。
それを見上げる阿部の表情に戦慄が走る。ただでさえ星型の弾幕を回避するのに精一杯であるのに、これ以上の火力密度では攻撃する暇すらままならない。
詠唱を妨害するべく阿部はなのはにむかって発砲するも、なのはの左手から繰り出される魔法陣の盾が銃弾をゴミの様に弾く。

「無駄だよ、貴方の抵抗は無駄……」
「ふう、化物女の相手は疲れるぜまったく……」
「本当に口が減らないね。その口を黙らせてやるッ!
 恋の魔砲、マスタースパークッ!」

なのはの手元から超極太のレーザーが出現し、阿部の体を飲み込もうとする。
だが砲撃を予測していた阿部はレーザーこそ回避するものの、焦って星型弾に被弾してしまう。

「本当に厄介だな……」

阿部は状況を打開するべく頭を必死で回転させる。
マスタースパークは一撃たりとも貰うことは出来ない。だが星型弾のダメージも無視できない。
直撃すれば体は焼ける、阿部のツナギは星型弾の被弾によってその形を失い始めていた。
直撃しないとしても、星型弾が体を掠めるだけでちょっとした擦り傷程度にはなる。戦いが長期化するならやがて無視できなくなるだろう。
それでも、阿部は一つの光明を掴みつつあった。
スターダストレヴァリエはある法則に従って攻撃されている、ということに。

阿部が気がついたスターダストレヴァリエの法則、それは3つある。
一つは、定期的に襲い掛かってくる大型の星弾の鎖。これを一定時間毎に回避することを強要される。
もう一つは阿部目掛けて飛んでくる密集した小型星弾連。これは横に軽く飛ぶだけで回避可能。
そしてランダムに迫る小型星弾、ダメージは低いが回避は困難。
今まではランダムな星弾と定期的に襲ってくる大型星弾を回避すればよかったが、今度からはこれに加えて大型砲撃も迫ってくる。
既に二発目のチャージ完了といった様子で、阿部にその手を向ける。
銃弾を片手で防ぐ化物が相手である以上、とにかく空中から引き摺り下ろさないことには話にならない。

「もう一発! マスタースパーク!」
「また来やがったか、だがな……」

阿部は小型の星型弾を無視するかのようになのはの足元へ向かって走り出す。
狙いを付けていたなのはの腕が垂れ下がり、砲身たる手先は体にぶつかることとなる。

「さて、その物騒な光弾を自分の足目掛けて放ってみな!」
「生憎だね、こういうことも出来るんだよ!」

なのはは手の可動限界を悟ると、自身の体を180°空中回転させ、うつ伏せの体勢へと変化する。
阿部は回避行動を取ることなく、真上にAK74を向ける。

「さて、でっかいのを発射中に受けられるかなッ!」

阿部は引き金を引くと、マスタースパークを地上に放射中のなのは目掛けて大量に弾を放つ。
一発二発は殆ど効果が無かったが、連続で被弾するうちになのはの体がぐらつき、弾幕の嵐が止まる。

「きゃあ!」

悲鳴を上げながら空中落下するなのは。
その隙を見逃さないといったように阿部はなのはを追撃の裏拳を仕掛ける。

阿部の裏拳はなのはの胸にクリーンヒットするかと思われたが……
スルリと腋に阿部の腕を抱え込み、返し手で逆にカウンターパンチを阿部に叩き込む。

「なっ……!」
「残念だったね。私は砲撃馬鹿で体術の心得が無いかと思った?」
「くっ……」

阿部は追撃が失敗したため、一旦適度な間合いを取る。
阿部が間合いを取ったのを見計らって、なのはは距離を取る。

「おっと、悪いがもう逃がさないぜ」
「ッ……!」

阿部はなのはの動きに呼応して距離を詰め、間合いを一定に保つ。
フットワークを生かして阿部を振り切ろうとするなのはだが、阿部は下手に攻撃を仕掛けることなく不気味に間合いを維持している。
ザッ、ザッ、ザッと歩く足音だけがひたすら続き、両者の間に動きは無い。

「あ……」
「貰ったッ!」

その不気味な行進は追い詰められたなのはが水際に追い詰められたことでストップする。
なのはが動揺した隙を見て、阿部はなのはの顔面に飛びかかる。
不意を突かれた形になったなのはは、阿部ごと水中にもつれ込む。
バシャーンと水飛沫を舞上げ、沈み込む両者。
なのはは首を振って阿部の足を振りほどく。阿部はその行動を予期していたかのように強烈な踏み付けを加え、なのはを水底に突き落とす。

「ぷはぁっ!」

なのはを蹴った反動で阿部は水面に飛び出る。
水中のなのはが沈み続けていることを確認し、いつでも攻撃できるよう水中を睨む。
激しい水飛沫が落ち着き、水中の揺れも一定になり始めた頃、水中のなのはに動きが現れた。
水中で突如急加速し、阿部の股下から離れるように水中を高速移動しながら浮上をする。
阿部がとっさに仕掛けようと思っても、不慣れな水中からでは妨害行動も取ることは出来なかった。
そして阿部の頭上には、詠唱中のなのはの姿が覗かせる。

「ディバインバスター!」

頭上を取られた阿部は水中に潜り込んで勢いを殺そうとする。
だがディバインバスターは阿部のいる水中ごと盛大に吹き飛ばし、阿部は砲撃の余波で岸辺に体を思い切り叩きつけられることになった。

「げほっ、がほっ…………」
「チェーンバインド」

水中から命からがら飛び出た阿部を、バインドで拘束するなのは。
一度目のバインドとは違い、二重三重に厳しい拘束がされており、無理やり拘束を解き放つのはできそうに無くなっていた。

「少しは反省した?」
「ふん……」
「その反抗的な目、どうしても私の言うことを聞く気は無いみたいだねッ……!」

なのははもはや阿部と対話することは不可能と判断したのか、空中へ飛び上がる。
そしてそれまでで最大級の詠唱を行い、魔力を手のひらに集中させる。
その手から放たれる魔砲はなのはの全力全開、スターライトブレイカー。

「じゃあね。
 スターライト、ブレイ……きゃあ!?」
「ミッシングパープルパワー!」

突如魔力を集約させているなのはの元に、衝撃が襲い掛かる。
空中へ吹き飛ばされたなのはが見たそれは、人間をはるかに超えるサイズでアッパーカットを仕掛ける萃香の姿であった。

「……スターライト、ブレイカァァァー!」


一度は詠唱妨害されたものの、なのはは空中で集約させていた魔力を無理やり萃香目掛けて放つ。
巨大化した萃香さえ飲み込まんばかりのスターライトブレイカーが、直撃する。

「う、うわああああ!」

スターライトブレイカーの直撃を浴びた萃香は、その巨体さえ砲撃で森の方面へ勢いよく吹き飛ばされる。
そして地面に勢いよく叩き付けられた萃香は、元の小さな体へと姿を戻していた。







時は少し前に遡る。
派手な破壊音をその耳に受け、鬼族の娘伊吹萃香は目を覚ましていた。

「ふわ~ぁ、……なんだかうるさいなぁ」

大あくびとともに目を覚ます萃香。隣の鈴仙はあわわわわと呟きながら涙目でへたり込んでいる。

「お~い、一体コレはなんなんだ~い?」

萃香は鈴仙に質問をぶつけるが、壊れた機械のように指先を前の戦闘する二人に向けているだけであった。
手をひらひらと目の前で動かしても、まったく反応は無い。
諦めた様子で、目の前の戦闘を眺める。巨大な光線が水中を貫くと、派手に水しぶきが散って人間が派手に吹き飛ばされ、叩きつけられていた。
その人間に詰め寄るアレは、アレは……。萃香の目には胸元に覗かせる豊満な双丘であった。
彼女の心を粉々にブレイクした、まごう事無き巨乳。

「あ、あいつはッ……!」

萃香は眠りにつく前の出来事を次々と思い出す。
出会い頭の一撃は軽く防がれ、鬼さえも戦慄させるあの表情を見せた巨乳を。

「う、うふふふふ……。アイツは私をコケにしただけじゃなく、こ、こんな所でまで巨乳を誇示するか。
 そうかそうなのそうですかぁ!」

俯いて乾いた笑いを浮かべる萃香、ぶつぶつと呟く独り言は巨乳と自分の幼児体型への恨み辛みであった。
彼女の言葉に最終的に収まったキーワード、『巨乳、死すべし』。
萃香は殺気を滾らせると、自身の妖力を一気に高める。

「鬼神 ミッシングパープルパワー!」





密と疎を操るその力を持つ萃香。自身の体を密とすることで、巨大化するスペルカードがミッシングパワー。
ミッシングパープルパワーはその強化版であり、一時的であるが数倍にも巨大化した体にふさわしい絶大な力を発揮することが出来る。
そうすることで、萃香は攻撃力も防御力も人妖では決して適うことは無いほどの力を発揮していたのだ。
だがスターライトブレイカーの直撃によって萃香の服はボロボロに焼け落ち、中身である萃香自身もボロボロの大ダメージを負っていた。
その萃香を追い詰めるかのように、なのはは小型化して倒れる萃香に近寄ると、頭を鷲掴みにする。

「ねぇ、なんで邪魔をするのかなぁ……」
「ふ、ふん。お前のような巨乳が悪いんだ。お前らは私たち貧乳娘の気持ちを考えたことがあるか、ないだろう!
 巨乳巨乳で男を魅惑する悪魔め! 貧乳こそがステータス、希少価値なんだよッ!」
「何を言ってるのか、私にはさっぱり分からないかなぁッ!」
「ひ、ひぃっ……」
「ねえ、お話をちゃんと聞いてくれる。私は悪魔でもいいよ、悪魔なりのやり方でお話を聞いてもらうからッッッ…………!」
「は、はわわわわわ……」

暴言非言を浴びせる萃香の言葉は馬耳東風といったように、なのはは萃香の頭により力を込め鈍い眼光を浴びせる。
最初は勢い付いていた萃香も、すっかり萎縮したかのように涙目になる。

「ねぇ、こた……ッ!」
「おっと、お前の相手は俺だぜ。浮気は良くないな」
「貴方ッ……!」

萃香に制裁を加えようとしたその瞬間、バインドの拘束をようやく振りほどくことに成功した阿部が回し蹴りを放つ。その息は荒い。
脇腹に衝撃を受けたなのはは、鷲掴みにしていた萃香を手放す。
地面に勢いよく激突した萃香は、顔面の衝撃を受けてようやく正気に戻ったのか表情を元に戻す。

「お前……」
「話は後だ。俺は後ろを、お前は前から攻めてくれ」
「よし、分かった」
「どうしてもお話を聞いてくれないんだね。それじゃあ仕方が無い。
 残念だけど、二人とも死んで」

萃香は前からダッシュでなのはに拳をぶち込む。
だがなのははそれを左手で受け止め、右手先からカウンターの魔砲を放つ。
右手の魔砲をとっさに回避した萃香であったが、左手をがっちり握られており行動半径が限られてしまっている。
そんな状況下で、なのははもう二発目を放とうとしていた。
すると後ろからしゃがんだ阿部が、裏拳を連打する。

「オラオラオラオラオラァ!」

阿部の裏拳を受けてなのはがよろめく。だが倒れる気配は微塵も感じさせない。
なのははバックステップで裏拳からの追撃を防ぐべく後ろに跳躍する。それを追い詰めるべく萃香が追撃を加えようとする。
だがなのはは萃香の追撃に対して回避行動に取ることなく、逆に突撃して萃香の足元を低姿勢で潜り言霊を紡ぐ。

「チェインバイ……あうっ!?」

萃香の後ろを取ったなのはの更に後ろを取るべく跳躍した阿部は、足を大きく広げてなのはの顔面を蹴る。
一瞬よろめいたが、すぐに復活したなのはは跳躍中の阿部目掛けて頭突きをぶち込む。

「ぬぉあっ!?」

運悪く阿部の股間にクリーンヒット。着地かなわず地面へ落下するとその場で悶絶してしまう。
そのまま萃香に向き直ったなのはは、飛び込んできた萃香を防壁で受け止め、弾き返す。
萃香が着地する前になのはは突撃し、萃香を地面に押し倒す。

「きゃあっ!」
「ディバインバスター!」

そのまま萃香の体ゼロ距離で砲撃を放ち、萃香ともども地面が爆散する。
土煙が晴れたとき、無言で小刻みに震える萃香の姿が抉れた地面に残っていた。

「チェインバインド」

なのはは萃香をバインドで拘束し、悶絶している阿部もまた拘束する。
立ち向かう両者に動きが無いことを確認し、呪文詠唱を開始する。

「ノンディクショナルレーザー!」

なのはの手先から三本のレーザーが発生し、バインドで拘束された二人を焼き払い、吹き飛ばす。

「あはははははは……!」

なのはは笑う、嘲う。手元のレーザーに翻弄され、弄ばれる二人の肉体は、服の原型さえ定かではないボロボロになっていた。

「それじゃ、そろそろ止めを刺してあげるね……」
「な、なのはさん! もう許してあげていいんじゃ無いですか」
「駄目、許さない」
「で、でもあの二人、ピクピク震えてもう死にそうですよ! これじゃあ悪魔たちの言いなりと変わりませんよ!」
「あの二人はお話を聞かない悪い人、そんな人は死んでしまえばいい」
「あ、あの二人だって何か事情があったと思うんですよ!
 なんなら私がこの麻酔銃で…きゃあ!」
「煩い、黙れ」
「は、はわわわわ……」

なのはは必死に寄り添ってくる鈴仙を己の拳で振りほどくと、二人に向き直った。
詠唱される言霊は、スターライトブレイカー。
すっかり魔力が枯渇したらしいなのは、だが膨大な魔力によって無理やり生成されていたバリアジャケットを解除すると、生成された全魔力を砲撃に集中させる。

「いけるか……」
「残念だけど妖力は空っぽ、支援は期待するな」
「こいつは解けるんだな」
「ああ、いける」
「よし、やるぞ……」

その言葉が合図となって、最後の力を振り絞ってバインドを振りほどく。
だが一方のなのはは詠唱完了間近であり、回避はもはやできそうにない。

「うぅおおりゃああああ」

阿部は萃香の足を引っつかむと、小柄な体をなのは目掛けて放つ。
スターライトブレイカーが発射されると同時、萃香は股下から砲撃を支える手を天井へと弾き飛ばす。
結果としてスターライトブレイカーは、上天に空しく放射されるだけとなった。

「あっ!」
「全力全開ね、全力全開ってのはつまり最強だから命がけなのさ」

詠唱妨害の余韻で集中した魔力の扱いかねているなのはは完全に無防備であった。
萃香はこれまでの恨みを晴らさんとばかり、ぐるぐると振り回した自慢の右手を憎き双丘目掛けて放つ。
萃香の拳はなのはの双丘を貫くかと思われたが、服の下のミニ八卦炉を吹き飛ばすに留まった。
砲撃の魔力をキャンセルしたなのはは、踏みとどまると肘鉄を頭上目掛けてぶちかます。
だが勢いが強すぎたのか、そのまま萃香を押し倒すように倒れこんでしまう。

「がはっ……!?」

地面にうつ伏せで激突したなのはは顔を地面に付け、嘔韻を漏らす。
だが、次の瞬間にはなのはの背中から突如手が生えていた。

【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡】
【残り59人】

「……最後の最後まで私へのあてつけとは、つくづくむかつく奴だ…………」

体を横に倒し、ゼイゼイと荒く息を付きながらようやくなのはの胸元の拘束から逃れた萃香。

「ふう、お疲れ」
「ああ、お前もな」

一仕事を追え、体中ボロボロの萃香に労いの言葉をかける阿部。

「一つ聞きたい」
「うん、なんだ?」
「さっき、なんでお前は俺を助けた? あれは俺のケンカであってお前が手出しするものじゃないぜ」
「ふん、あの巨乳は私の敵だ。世界の巨乳は死ねばいい。貧乳こそが正義なのさ」
「…………そうか」
「…………そうさ」




「女は……」
「巨乳は……」



「「死すべし!!!!」」



「つるぺた……」
「いい男……」



「「万歳ッッッ!!!!!」」

「はははは、あははははは!!」「はははは、うははははは!!」

交互に言葉を交わす両者、その問答が満足だったのか。二人は笑みを漏らす。
笑いを唐突に止めた両者は無言で互いに近寄ると、手と手をがっちりと組んだ。
彼らの間に言葉は必要なかった。
そのとき、種族も性別も嗜好さえも超えた二人の心が、一つになった。





一方納得行かないのが先ほどから結果的とは言え戦闘を傍観していた鈴仙。
目の前には手をがっちり組む変な二人組、傍らには動かぬ……人となった高町なのはの姿。
鈴仙・優曇華院・イナバが描いた青写真は、脆くも崩れ去った。
それから思考停止すること少しの時間、見詰め合う二人目掛けて麻酔銃を放つ。
狙うは、ボロボロの男。

「おっと、同じ手は食わないよ」

だが、その行動は残酷にも萃香によって阻害される。

「いきなり引っ張って何かと思えば、あのうさみみビッチかぁ……」
「せっかくのいいシーンをぶち壊しにするなんて、絶対に許せないね……」



どうみても死刑決定。もう背水だろうがなんだろうが構ってられない鈴仙は、敵に背中を向け、まさに脱兎のごとく水中へ遁走するが。

「あ、あうっ!」
「そういえばあの時もあんたが邪魔してくれたっけね。悪いけど逃がさないよッ」

素早くうさみみを掴んだ萃香は、そのまま勢いよく水中から地上へと引っ張り挙げられる。
その膨大な力に翻弄されたうさみみは、地面に叩きつけられた衝撃が勢い余って千切れてしまう。

「い、痛いッ!!! あ、あああああああ!!!」

自分の頭が灼熱の痛みに包まれ、ドロドロとしたものが流れ落ちるのを見た鈴仙は、自分の耳が引きちぎられたことを瞬時に理解する。
そして背後を振り向いた時、そこには鬼が居た。黒き直立が居た。

「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

その怒りの表情を見るが早く、必死に頭を下げて許しを請う。
だがその願いも空しく、やわらかな頬に向かって拳が放たれる。

「……ゆ、許して許して許してください。なんでもしますから命だけは助けてくださいッ!
 本当です、本当ですッ! なんでもしますッ!」

吹き飛ばされてなお、許しを請い続ける鈴仙。

「……弱いもの苛めは好きじゃないんだけどなぁ」
「残念だが、俺にはケツ穴の借りがあるんでな。悪いが俺にやらせてもらうぜ」
「ご自由に」
「ひ、ひぃぃぃぃぃっ!!!!!」

後ずさりする鈴仙に、阿部が迫る。

「はぁああああっ!!!」
「い、嫌あああ…………ッ!!!」

阿部は残り僅かの気合を集中させ、残像を纏い跳躍すると己の股間をうさみみの少女に押し当てる。
鈴仙の悲鳴は、彼の怒張によってかき消される。
そして阿部は鈴仙の頭の上をぐるぐると超高速で回転。
そのまま勢いよく体を傾け、鈴仙の首をありえない方向へとひん曲げてしまった。

「あqwせdrty!」

声にならない悲鳴が漏れた後、フシュー、フシューと呟く鈴仙。
彼女はピクピクとひとしきり震えた後、帰らぬ人となった。

【鈴仙・優曇華院・イナバ@東方project 死亡】
【残り58人】

「お疲れ様」
「ああ、凄い疲れたな……」
「私もだ」

それが合図になったのか、二人とも大の字になって青空に寝転ぶ。
彼らの体と同じく、身にまとわれていた衣装もただの布切れと化して飛んでいった。
さらさらと流れる風が、彼らの体を撫でる。

「これからどうする」
「しばらくここで寝ていたい」
「そうだな、青空の下ってのも乙なものだ」

二人は笑った、そこには4つの倒れた人型があり、笑っているのは二つだけであった。
常人からは異常とも取れるその光景で、ただただ笑って寝ていた。

「なぁ、お前はこの後どうするんだ」
「いい男を掘りたい……ってのは願望だが、とりあえず怪我を何とかしたいな
 なあそこの角娘、何かいいものは無いか?」
「私の名前は伊吹萃香だ、角娘じゃない」
「そうか、俺は阿部高和、男に興味シンシンの普通の自動車修理工さ」
「そうか阿部。残念だけど、私の鞄の中には変な鍵に変な弾薬と変な飲料しか無かったよ」
「そうか、俺も残念だがこのライフルとノートパソコンぐらいしかない」
「ありゃま、これはヤバイかもしれないね」
「ああ、かなりヤバイ」
「そういうわけだ、提案がある」
「体力が戻るまで、だろ?」
「そういうことだ、阿部は物分りのいい人間で助かる」
「女は物分りが悪いとばかり思っていたが、つるぺた幼女の萃香ちゃんはちょっとばかり違うみたいだな」
「言うな、気にしてるんだ……」
「ははは、スマンな」

「それじゃあまあ、ここで眠った後……」


「「飯だッ!」」


【B-1 草原/一日目 朝】

【阿部高和@くそみそテクニック】
[状態]:大ダメージ、体力の限界、はしたない格好
[装備]:AK74(17/30)@現実
[道具]:支給品一式*2(食料、水一食分消費)、ノートパソコン@現実
[思考・状況]
1.しばらく寝転がる
2.腹が減っては戦は出来ぬ、しばらくしたら飯だ
3.ソウルフレンド萃香と一時的に協力
4.やっぱり、男はその場で全部頂こうかな……?
5.実力者は問答無用。邪魔する女は(殺意的な意味で)問答無用
6.見つかれば主催者でも食っちまうんだぜ

【伊吹萃香@東方Project(つるぺったん)】
[状態]:大ダメージ、体力&妖力0、開き直り、はしたない格好
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ポーション(残り6本)@FF、秘密の鍵@スーパーマリオワールド、予備弾薬各100発@現実
[思考・状況]
1.しばらく寝る
2.腹が減っては戦は出来ぬ、しばらく寝たら宴会だ。
3.ソウルフレンド阿部と一時的に協力
4.せっかくなので腕試し
5.貧乳はステータスだ!希少価値だ!
6.巨乳死すべし



※秘密の鍵
どっかの鍵穴に対応している秘密の鍵。
これを使うと隠しコースにいけます。
地味にマリオが持つと水中の機動力がアップ。


※予備弾薬
各重火器の規格毎の予備弾薬が入っている。
AK74に使う5.45mm×39弾*100発。
ベレッタM92F、SIG P210に使う9mmパラベラム弾*100発等。


B-1エリアには胸を貫かれたなのはの死体、耳を引きちぎられたうどんげの死体が転がっています。
彼らの支給品である支給品一式*2、時計型麻酔銃(針残り1)、E缶×2、津田英治ブロマイド、傘、ミニ八卦炉は死体の近くに放置されたままです。


なのはの激しい砲撃、ミッシングパープルパワーで巨大化した萃香の姿は近くの人間が目撃している可能性があります。



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