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崖っぷち ◆0RbUzIT0To





突然殺し合いをするように言われて、気がついたら山の頂にいた。
そもそも、この時はどうして私がこんな所にいるのかわからなかった。
私なんてドジでマヌケで、なんて事のない普通の女の子だ。

あの場所で起こった事をもう一度思い出してみる。
あの時首を吹き飛ばされてしまったのは、
私が所属するアイドルプロダクションでの後輩だった。
正確には後輩の姉妹……って言った方がいいのかもしれないけど、細かい事だ。

双海亜美と真美。
私の所属する765プロのアイドルで、爆発的な人気を誇ってる。
恐らく日本で双海亜美という名前を知らない人は一握りしかいないだろう。
亜美と真美だけじゃない。
他の765プロのアイドル達も今ではTVにラジオにと引っ張りだこのトップアイドルだ。
私が所属したての頃はボロだった事務所も、
沢山のトップアイドルがいるべき場所であるような立派なオフィスビルへと移転した。

――それなのに、私ときたら。

自嘲気味に笑みを作る。
今となっては敏腕プロデューサーと呼ばれるようになったプロデューサーさんが、
一番最初についたアイドル……それが私だった。

決して格好がいいという訳でもないし、口が上手だっていう訳でもない。
特別優しいっていう訳でもないし、どこか空気のような人。
それが私のプロデューサーさんに対する第一印象。
そして、それはきっと向こうにとってもそうだったのだろう。


千早ちゃんのように歌が上手な訳じゃない。
真のように格好よくなければ、雪歩のように可憐でも清楚でもない。
あずささんや美希のようにスタイルがいい訳じゃない、
律子さんのように自分の特徴を冷静に分析してそれを売り込めるだけの実力がある訳でもない。
やよいや伊織みたいに愛らしい訳でもない。
唯一、元気が取り得って言ったって、亜美のような天真爛漫さには敵わない。

――無個性。

そう言われ始めたのは、いつからだっただろうか。
ある程度名前が売れて、これからだっていう時にそういう噂があるって耳に入った。
そして、丁度その頃からだった。
全くオーディションにも受からない……アイドルランクが上がらないようになってしまったのは。

それは本当に突然の出来事だった。
別段悪い噂が流れた訳じゃなく、いきなりオーディションに受からなくなったのだ。
いや、この言い方だと少しおかしいかもしれない。
受からなくなったというよりも、周りのレベルが非常に高くなっていたのだ。
勿論、レッスンはいつも通り行っていたし、
天狗になって油断をして落ちまくっていたという訳でもない。
それなのに、私の知名度はそこで止まってしまった。
それはきっと、私の限界だった。

それからは早かった。
私が限界を感じている事はプロデューサーにもわかっていたらしく、
私たちはひとまず、引退という形を取った。
その後環境を変えて、ついてくれるプロデューサーも変えて再デビューという事になったけど……。
勿論、そんな事で人気が向上する訳がない。
いつまでも微妙な印象しか残らない。
ああ、そういえばそういう人もいたね、としか思われない程度のアイドル。


この場所に来て一番最初に出会った人も、私と同じ類の人だった。
その人はアイドルとは違うけれども、私と同様に人気が無い事を嘆いていた。
名前は白石みのるさん。
どこか少し頼りなさげで、何故か学生服を着ている人だった。
出会って最初は警戒をしていた私だけど、
白石さんはそんな様子はまるで無くて、私に対してもまるでここが殺し合いの場ではないように話しかけてきた。

白石さんは私に色々な事を教えてくれた。
自分がいかに売れていないか、偉大な先輩の元で仕事をさせてもらう事の喜び、そして少々の愚痴。
その中でも私に一番影響を与えた話は、この殺し合いという名のゲームに関してだった。

こういっては失礼だが、私は白石さんの名前なんて全く聞いた事が無かった。
白石さんも同じようで、私の名前をまるで知らなかったそうだ。
その事に関しては重々承知しているとはいえ、少しだけショックを受けたけど……。
でも、問題はここからだ。

幾ら物騒な世の中だ、なんて言われていてもこの現代日本においてこんな事象が起こるはずがない。
人一人、行方不明になっただけでも大騒ぎされるのに、大人数を一箇所に集めて殺し合いをさせるだなんて事が不可能だ。
そう思った白石さんが出した結論は、これが全て『お芝居』であるというもの。

あの時、首を爆破されたように『見えた』真美も、
それにナイフを刺されていた少年も全てはよく出来たトリックなのだそうだ。
つまりは、これが大掛かりなドッキリ企画であるといっているのだ。
今のプロデューサーさんから全然連絡が無かったのも、恐らくはリアリティを出す為なのだろう。
そういえば、いつの日か同じような事があったのを覚えている。
あれは無人島で、同じ765プロの人を騙したお芝居の殺人ゲームだった。

今回はそれが、他の事務所の人たちと一緒にする大掛かりになっているというだけの事。
ただ、それだけの事だ。

だから……。


――ここは山の頂。
辺りは暗闇に覆われ、静寂に満ちている。
風が頬を撫ぜて、今ここで起こった事が全て現実だと物語っていた。

全てはお芝居。リアルに近いお芝居なのだ。
きっとこの崖の下に落ちても、マットか何かを敷いていたり……、
もしくは、途中でスタッフさんに受け止められていたりするのだろう。
だから、ここから落ちても絶対に大丈夫。

白石さんは私に、二人で協力して最後まで生き残ろうと言ってくれた。
序盤に死んでしまっては、それ以降カメラにも映る事がない。
運が悪ければ死んでしまった事さえカットされてしまうかもしれない。
だから、生き残ってカメラに映って、少しでも知名度を上げてしまおうと言ってくれた。

でも、それは駄目だ……。

ただ生き残っただけなら、それだけなら、意味が無い。
怯えて生きるだけじゃ、全然、意味が無い。
最後まで生き残ったって、その間何もしなければこの企画が終わった後特に印象に残る訳ではないはずだ。
だから、印象が残るような事さえすればいい。
例えば……。

この崖から仲間を突き落として、優勝しようとするとか……。

…………。


背中を押された白石さんは、すぐに下に落ちていった。
呆気なく、本当に呆気なく、落ちていった。

私は心の中で白石さんに平謝りをする。
白石さんだってこの企画をチャンスだと思っていたはずなのに、
一人、裏切るような真似をしてごめんなさい。
だけど……私にはもう、後が無いから。

例え恨まれても、私は人を殺して、騙して、目立つしかないんだ。

人には嫌な奴だって思われるだろう。
好感度だって、急降下するだろう。
でも、それでも印象には残るだろうし、注目は浴びるはずだ。
こういう自分の売り方をすると、プロデューサーさんに怒られちゃうかもしれないけれど。
それでも、こんな方法でしか私は私を売り出せない。

私の人気も、今この場所と同じ。
崖っぷちの状態なのだから。

【B-3 山頂】
【天海春香@THE IDOLM@STER】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、未確認支給品、白石みのるの支給品
[思考・状況]
1.目立つ行動を起こす
2.トップアイドルになる為、イメージ一新をする
3.その為には人を殺す事も騙す事もする
※春香はこの殺し合いをTVか何かの企画だと思っています。

【白石みのる@らき☆すた 死亡】
【残り 69人】



sm02:風に尋ねられて立ち止まる 時系列順 sm04:俺の作った改造バトロワを友人にプレイさせてみた
sm02:風に尋ねられて立ち止まる 投下順 sm04:俺の作った改造バトロワを友人にプレイさせてみた
  天海春香 sm35:ニアミス・ハピネス
  白石みのる 死亡



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