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静かなる古城 ◆wC9C3Zbq2k




『信じられません』
「信じるしかないじゃない。あの道化師がそう言ったんなら」

 レイジングハートの本来のマスター、高町なのはは亡くなったらしい。
こちらに迷惑ばかりかけてくれた月の兎も昼までの間に命を落としたようだ。
あいつに師匠と呼ばれていた八意永琳はこの放送を聞いて何を思っているだろうか。

「霊夢さんは人がたくさん死んでいても冷静ですよね。慣れっこなんですか?」
「別に。あんまり興味ないし」
「へー。確かに神社の人が他人のお葬式でもらい泣きしちゃったら困りますもんねー」

 饒舌なのが少し癇に障るけれどヨッシーの乗り心地は相変わらず悪くない。
背中に軽い怪我をしていたはずだけど私が普通に乗る分には痛みも伴わないようだ
けれど私たちを取り巻く状況は悪化の一途を辿っている気がする。
主催者をこらしめて元の世界に戻れればそれでいいのに、半日たって未だ首輪も外せぬまま。
向かう先で削除番長の死体から首輪を抜き取って海馬に解析してもらう事にはなっているが
いくら日が昇って動きやすくなったとはいえ放送での死者の増え方が異常だった。
思っていた以上の参加者がこの殺人ゲームに手を貸している。そう考えるのが妥当。
つまり別行動をとった海馬たちが次に会うときまで生きているかどうかも微妙だ。

「芳しくないわね。魔理沙の手すら借りたい思いだわ」
「お知り合いですよね。頼りにならない人なんですか?」
「そうね。KASほどひどくはないけど似たような感じ」

 本人は聞いてないだろうから好き勝手言ってみる。あんまり気は晴れない。

 そういえばレイジングハートのマスターもあいつと同じ魔法使いだった。
「高町なのはって人は、どんな人だったの?」
『戦艦並の火力と防御力を持った、ごく普通の少女でした』
 彼女の言う戦艦というのは月どころか違う次元世界にも飛べるすごい船だそうだ。 
だとしたらどんな妖怪よそれ…… 死亡報告が信じられないのも無理はない。
いや、確かに死んでしまったのだ。つまり殺せるだけの力量を持った参加者がいたってこと。
早く帰ってのんびりしたいのに心配の種は尽きそうにない。

「あんたはこれからどうするつもり? RH」
『それを決めるのは現マスターの貴女です』
 人格があってもしょせんは杖。何をするのも持ち主次第ということか。
彼女がTASのような奴の手に渡らなかったのは不幸中の幸いだ。
「じゃあ今まで通りよろしく」
『こちらこそよろしくお願いします』

「それより霊夢さん、おなかがすきませんかー」
 そう告げて、私を乗せて駆け続けていたヨッシーの速度がみるみる鈍りだす。
「城に着くまで我慢なさい。朝もしっかり食べてたくせに」
 朝どころか他人の食糧まで全部食べていた。あれで空腹とはおそれいる。
「それにあんた他にも食べてたでしょうが。変な生き物とか変な機械とか」

 言ってみて気付く。本当に監視用機械を食べたのなら逆に利用できるかもしれない。
こいつに演技力は期待できないし、まだ偽情報を送る利点はないから何もしないけれど。

「ああもう、あんたと話してたらほんとにお腹がすいてきたわ」
 こいつの言い分を聞いたようでいい気分はしないけど昼食は摂っておこう。
いつ誰が襲ってくるかもわからないのだから休憩場所は人目につかないほうがいい。
そう答えると即座にヨッシーは再加速して条件に合う場所を探し始めた。
なにそれ。空腹だったにしてはずいぶん元気じゃない。

 ほとんど夜通し起きていたのに朝食もまだだったからお腹はすいていた。
けれど支給品に入ってた食料の数を見て霊夢に新たな疑念が沸く。
量が少ない。一食に小ぶりの容器一つとして六食分。
小柄で粗食にもそれなりに慣れている霊夢になら決して足りない量ではないが
成人男性なら常に物足りない思いをすることになるだろう。
そしてなにより、二日目までしか用意されていない。もっと長い期間続けるつもりだろうに。

「ヨッシーに配られた食料もこんな量だった?」
「さあ、少なかったことしか覚えてません」
「……どういうことかしら。賞味期限を気にするようなものも入ってないのに」
『食料も貴重品のようですね。奪い合いをさせるつもりでしょう』
「街に商店がある事に期待したいけど、もう行っても遅いか」
「なんでです? 食べ物があるかもしれないんならあとで行きましょうよ」
「略奪済みか、あるいは食べ物に毒を仕込まれたりしてるかも」
「それは困りますねぇ」
「だからあんたも餓えたくないなら少しはがま……私のディパックに手を出すなっ!」
「そんな殺生な……ハンバーガーしか食べられないなんて」

 空腹になれば集中力も下がる。食事を節約しすぎるのも命取りだ。
最善は三日目までにこの異変を解決して皆で脱出すること。
それができそうな人間がいれば喜んで任せるが、今は自分も動かないと。
宇宙人や百鬼夜行のような異変を楽しむタイプには期待してもしょうがないのだから。

「あむっ。もぐもぐ……」
「森に行けば果物くらいありますよね。せめて食べれる敵はいてほしいなー」
 食べるスピードの違いでヨッシーを待たせてしまっている。
一食分を一瞬で飲み込むような恐竜と食事をするのは案外難しいと知った。

 いつもより早めに食事を終えて城への道を急ぐ。
寄り道したことを除けば元来た道が多かったので問題なく城へ着くことができた。

「ここに日吉若って人が囚われてるのね。さっさと済ませましょ」
『そのはずですが霊夢。ここには何の強い魔力も感じません』
「私もそう思ったけど、六芒星の呪縛ってのがそういう性質なだけかも」
 狭い場所で乗ったままというわけにもいかないのでヨッシーからは降りている。
こいつもきょろきょろしているから探す気はあるんだろうけど役に立つとは思えない。

 四半刻後。結論はレイジングハートが先に述べてくれた。
『城内には誰もいないようですね』
「上の階に血痕はあるけど死体もなくなってる。自力で出られたのかしら」
「ひょっとしてみんな食べられちゃったんじゃ……ああこわい」
 なんでこいつはなんでも食べることに結び付けたがるかな。
「放送からまだそれほど経ってないもの。日吉は生きてるはず」
『同感です』

 城の中に救助すべき青年はいなかった。あったのはやよいのメモだけ。
自力で脱出できたにしても書き置きすら残っていないのは不親切だと思う。
ただ、死体もなくなっているから短い間に埋葬も済ませてくれたのだろう。
だとすればやよいの言っていた通り信用できそうな奴だ。
……本当にそうだと、お墓を掘り返さないといけなくなるから気が滅入るんだけど。

「レイジングハート、頼むわ」
『かしこまりました』
 シーリングモード起動。ただの死体探しなら温存してた魔力を使って済ませよう。
魔力なんて持ってたことも知らなかったから使うたびにけっこう疲れるんだけど。

「ふぅ」
「何かわかったんですか?」
「……うん。中庭にお墓を作ったみたい。あと城壁のそばに誰か倒れてる」

 城を出て倒れているのが誰なのかを確かめるため、城壁へと向かった。
そこに倒れていたのは、気を失った満身創痍の青年。首輪をしてディパックも携えている。
「この人が日吉さんなんでしょうか。ドリルとか持ってますよ」
「多分そうね。六芒星の呪縛っていうのを無理やり抜けて重症を負っちゃったか。
それなのにボロボロの体のままみんなを埋葬して、ここで力尽きたと」
『少々おかしな点もありますが、そうかもしれませんね』

 ヨッシーが舌を伸ばして青年の顔を舐める。全く目を覚ます様子はない。
「寄り道なんてせずに来れば、大怪我する前に助けれたかな」
「傷がたいぶ乾燥してますから、呪縛を抜けたのは放送より前みたいですよ」
 こいつが味覚で計ったことなら信じてもいいだろう。
残った問題は、この青年をどうするか。運んで橋まで連れていくわけにはいかない。
人より多少強いだけの一般人のはずだ。こうも疲弊していては体力が持たないだろう。
無理に連れて行くことが死期を早めてしまう結果になっては寝覚めも悪くなる。
「回復するまで城の寝室かソファーにでも置いておくしかないわね」
「荷物はどうしますか?」
「武器をとりあげたせいで信用まで失ったらばからしいわ。手を出さずにいて」

「でも、これだけは借りさせてもらおうかな」
 青年の手からドリルを抜き取った。ファンシーな着脱式の小型ドリルだ。 
私ではほとんど効果が見込めないらしい治癒魔法をかけてから彼をヨッシーに運ばせる。
カートリッジをロードすれば云々という説明もRHから受けたが、そんな義理はない。
使用者の私に多大な負担がかかるような大技は温存しておかないと後悔するはずだ。

 かくして、中庭には借り物のドリルで墓荒らしをする巫女が一人。
……こんな姿、知り合いには絶対見られたくないわね。

 二つある墓標のどちらが誰のものかは判別することができなかった。
永井けいこという女の遺体が出てきたら諦めてそっちの首を落とすつもりでいたけど
運良く最初に掘ったほうが削除番長だったようだ。白目を剥いた巨体はすごく怖い。

 レイジングハートの先端に小さな魔力刃を形成し、横たえた死体の首を落とす。

 切断面から暗い色の血が流れ続ける。淡々と行うつもりだったが想像以上に凄惨だ。
立場が違えば私が死体になっていて首輪入手のために同じ目に遭っていたはず。
そう思うと、急に血の香りがきつくなってきて少し吐き気がした。
今までやろうと思えば大抵なんでも簡単にこなせたから気楽に引き受けてしまったが
海馬との約束を果たすためにはここからさらに血まみれの首輪を手にしなければならない。
ねちゃっとする嫌な感触を我慢しながらどうにか首輪を手に入れ、遺体は墓に戻した。

 水の出なくなった噴水の澱んだ水で血のついた両手を何度も何度も洗う。
気持ちが落ち着きだした頃には、目の前にヨッシーがいて心配そうに見つめていた。
「大丈夫ですか?」
「平気。ちょっと慢心してただけ」
 そう。スケールの大きな事件に慣れすぎていて少し鈍感になっていただけ。
ここがそういう血生臭い世界だという認識が足りていなかった私がいけないのだ。

「日吉さんを運んできました。まだしばらくは目を覚まさないと思います」
「意識が戻ってもあの様子じゃ動けないでしょ。書き置きは?」
「字を書くのは得意じゃないんですけど、頑張りました!」
「じゃあ誰かがついてる必要はないね。時間の許す限り城の中で使えるものを探すわよ」
「主に食料をですね!」
「違う! けど食料も探して!」

 ヨッシーはひょっとして私を気遣っておどけてみせているんだろうか。
たぶん違うけど、話をしているだけで心が和らぐ。それが今はありがたかった。


【D-1 城・中庭/一日目・午後】
【博麗霊夢@東方project】
[状態]:健康、バリアジャケットの腋部分破損
[装備]:レイジングハート@魔法少女リリカルなのはシリーズ、ドリル@ミスタードリラー、
巫女風バリアジャケット@巫女みこナース
[道具]:支給品一式(食料1消費)、フリップフラップ@ニコニコキッチン、首輪
[思考・状況]
1.まずは城内の探索
2.夕方までに日吉若の意識が戻れば話をする。動けないなら置いていくつもり
3.三回目の放送で二人の生死確認後、E-2橋で海馬たちを待つ。
4.怪しい人には無理のない程度に接触、無害なら適当に交渉
5.今回の事件の解決(主催者の打倒)

【ヨッシー@スーパーマリオワールド】
[状態]:健康、背中にわずかな痛み、軽く焦げてる
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料全消費)、RPG-7(残弾5)@GTASA
モンスターボール(オクタン)@ポケットモンスター
[思考・状況]
1.とりあえず霊夢さんに協力
2.もう食べるものがないけどどうしよう……
3.ボスを倒す

※ふたりとも日吉を少し強いだけの一般人だと思い込んでいます
※ヨッシーはKASをどこかの世界のマリオと思ってます。TASと関わっていません

霊夢、ヨッシーの共通認識
※なのはの世界についての知識を得ました。ヨッシーはイマイチ理解していません。
※海馬・やよいと知っている情報を交換しました
※名簿が、世界の住人ごとに載っていることに気がつきました。
※各地に監視装置があり、首輪にも盗聴機能があることを認識しました。


 日吉若は昼を過ぎてしばらくはちゃんと意識があった。
その後何者かが近づく気配を感じ、動けもしない状態から強引に身を隠そうとした。
自分が死んでいないと放送で気付いたYOKODUNAが戻ってきたのだと判断して。
そのことで身体への負担が完全に限界を超え、そのまま彼は気を失っていったのだ。

 今はただ眠る。その時城へやってきたのが自分を助けにきた巫女たちとも知らぬまま。  
目を覚ましたとき、彼は何を思うのか。


【D-1 城・城内/一日目・午後】
【日吉若@ミュージカル・テニスの王子様】
[状態]:気絶。重度の疲労、肋骨損傷
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 食料2人分、水2人分、C4プラスチック爆弾@MGS、
ヒラリマント@ドラえもん 、マカビンビン@うたわれるものらじお
[思考・状況]
1.手段を問わず、主催に下克上する。
2.最大の障害であるYOKODUNAに下克上する。
3.下克上の障害は駆除する

※放送があったことは気付いていましたが、内容はあまり頭に入っていません
※ヨッシーの書き置きはどうがんばっても読めない代物の可能性があります



sm120:Sheep counts 時系列順 sm115:罪滅しと、新たな罪と(前編)
sm106:さよならフシギダネ! かことのけつべつ! 投下順 sm108:ヒゲ☆パチ
sm95:ぼくんちのニコロワ(後編) 博麗霊夢 sm127:廃墟の城の素敵な巫女
sm95:ぼくんちのニコロワ(後編) ヨッシー sm127:廃墟の城の素敵な巫女
sm99:世界最強の国技/球技 日吉若 sm127:廃墟の城の素敵な巫女



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