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ケラモンいっぱいTAS軍団 ◆jVERyrq1dU




草むらに伏せ橋の様子をうかがう。かなり大きい橋であったがその上を歩いている者は誰も居ない。
橋の周りには何の障害物も無く、考え無しにその上を歩けばまず見つかってしまうので、
誰も居ないのはある意味当然と言えるのかもしれない。
もう太陽は沈みかけている。B-1が禁止エリアになるのは午後二時であったから、おそらく待ち伏せしていても誰も来ないだろう。

この事実は参加者を駆逐していきたいTASとしては非常に残念な事であった。
橋には行かず別の所へ行き人数減らしをするという事も考えたのだが、彼は結局、橋にやって来た。
理由は単純なことだ。休息を取るためである。参加者があまり立ち寄らないのであれば、じっくりと休める。
忌々しいが、さすがのTASも数回に渡る戦いに傷つき、蓄積した疲労はかなりのものだった。

とりあえず橋に誰も居ないことを確認すると、TASは素早く草むらから飛び出し辺りを見回した。
安全を確認するとTASはケラモンに『来い』と合図を送った。するとケラモン達がわらわらと草むらから出て来る。

「橋の上はさすがに目立つな……」
 TASは橋の上に立ちそう呟くと欄干に手を掛け、下の川原に飛び降りた。ケラモンもそれに続く。
TASは橋の真下で寝るのにちょうど良い場所を見つけ、手ごろな石を枕にしてごろりと横になった。
川原の石のせいで少々寝心地が悪いが、仕方が無いので諦める。橋の上で大の字になって寝るわけにはいかない。
ふと、ケラモン達を眺めてみると、全員川の前にしゃがみ、口を水面に浸け水を飲んでいた。横一列に並んで飲んでいる。

そういえば、奴らには何の食料も与えてない。第二放送の少し前、あの圭一達にやられた時、俺の支給品は奪われてしまったのだ。
ケラモンだけじゃない。そういえばあれから俺も何も食べていない。
何も食べずに何日もゲームした事があるから余程のことが無い限り平気だが……。
こんな事を考えてしまったのが引き金になったのだろうか。俺の腹が間抜けな音を立てた。喉も乾いている。

俺はケラモン達の所へ歩いていき、川の水を飲んだ。水は冷たく俺の喉を潤した。体中に水がしみ込んでいく様な気がする。
おいしい、と素直に思った。横を見るとケラモン達がガバガバと掻きこむように飲んでいる。よほど喉が渇いていたのだろう。
なんだかケラモン達に申し訳ないような気がした。俺はケラモン達に助けてもらったが俺はいままでこいつらに何かしてやっただろうか。
何も食わしてやってない。それどころか瀕死のこいつらを俺の手で殺そうとした事もあった。
これが圭一の言っていた仲間というもののあり方なのだろうか。断じて違うはずだ……。

そこまで、考えが及ぶとTASは急に何かに気づき、頭を水の中に突っ込んだ。

「クソッ……!」
 石を力任せに川に投げつける。水飛沫が自分の体やクラモン達にかかった。クラモン達は驚いているようだ。
「くそう……!」
 一匹のケラモンが心配そうに俺を覗き込んでいる。
 他のケラモン達もわらわらと俺の所に寄ってきた。まだまだ戦わなくてはならないのだから
 喉が渇いているのならケラモン共には今のうちに喉を潤しておいてほしい。

俺は何事も無かったかのように立ち上がり、心配するケラモン共に「飲めるときに飲んどけ」と言い、もといた場所に戻った。

俺が怒った理由は、つまり、圭一の言っていた仲間論にいつのまにか自分が毒されていたからだ。
俺自身に現実での経験が少ないせいだろう。仲間である以前に駒であるケラモンに対して、必要以上の情をかけてしまった。
あろう事か、自分のせいでケラモンは……と言う風に自分を攻めてしまった。
ケラモンは、言わばでっていうのような存在。それなりに利用し、大切にするが、結局は自分の大ジャンプのための生贄にすぎない。
一人しか生き残る事が出来ないこのゲームにおいてはそういった考えが最も正しいはずだ。俺は様々なゲームでこの事を学んだ。
俺にとって、TASにとって仲間なんて最後は捨てるものなのに。

この橋に移動するまでの間、戦いから遠ざかっていたからだろうか。俺は現実での経験が圧倒的に少ない。それも原因の一つだろう。
……ケラモンはマリオでいうでっていうなんだ。圭一からは仲間が重要という事を教えてもらった。
しかし、圭一の言う『仲間の重要さ』は俺が考えている重要さとは断じて意味が違う。
そんな事をこのTASとあろう者が忘れていたとはな。ケラモンに必要以上の情を抱いては駄目なんだ。
切るときは自分のためにきっぱり切る。今までゲームばかりし、現実での経験が少ないからといって
この状況でミスをするわけにはいかない。俺は今までのゲーム経験で得た自分のスタイルだけは決して変えない。
いつものように。ケラモンであろうと切るときは切るんだ。

俺はイライラを抑え、心中で二度とケラモンに必要以上の情を抱かないと決意した。ケラモン達を見てみると奴らは遊んでいる。

俺は寝ようとしたが、ふと考え直しケラモン達を呼び寄せた。
いくら人が来ないだろうと推測できても、これだけ人数がいる中で見張り役を一人も立てないというのはあまりに間抜けである。
集まったケラモンと自分を合わせて1人と5匹。十分交代でも一周で五十分も休める。充分すぎてお釣りが来る。
やはりケラモンと手を組んだ事自体は最高の判断だったようだ。

「見張りの順番を決めるぞ。一人十分ずつだ。俺達は6人いるから一人五十分も休めるぞ」
 ケラモン達とのチームワークを高めるために俺も見張りには立つ。その程度の事ならいくらでもしてやる。
ん?6人……!俺はハッと気づきケラモンの数を数えてみた。五匹いる。いつのまにかまた増えていたらしい。
俺は嬉しくなった。これで電池のパワーを補充できる。

いきなり増えていたのは今になって始まったわけではない。橋に来るまでに二回こんな事があった。
四匹になった時、俺はケラモン達に電池の容量の事を説明し、
ケラモン達が五匹になった時には容量を増やすために一匹に犠牲になってもらう事を伝えた。
ケラモン達は『嫌だ!嫌だ!』と言わんばかりに反発したが、ケラモン達に電池の重要さを粘り強く説明して説得した結果、
チームワークを保つため新しく生まれたケラモンに犠牲になってもらう事に決まった。
こうすれば、最古の四匹は健在でチーム創設メンバーのチームワークが犯される事も無いはずだ。

「新しく生まれた奴はどいつだ?」
 俺がこう質問すると一匹のケラモンに最古の四匹の視線が集まった。そのケラモンは慌てている。
「なんだ。まだ覚悟が出来ていないのか。説得するのはお前達の役目だろう?」
 吸収される奴を説得するのは最古の四匹だと決めていたので俺は彼らを睨んだ。すると四匹は慌てて説得を始めた。

ケラモン達を見ながら俺は考える。一匹電池に吸収すれば、四匹になり一人の休憩時間が一周四十分になってしまう。
だったら見張りの間だけでも残しておいて良いのではないだろうか。しかしケラモンの数の上限は五である。
四匹にしておかないと増える事は出来ない。

そんな事を考えているうちに説得が終わったようだ。生まれたばかりのケラモンは涙目だ。
少し前の俺ならその姿に同情してしまったかもしれない。しかしもうそんな事はしない。

「電池の容量にするにはおまえの了承がいる。いいんだな?」
 新しいケラモンは頷きかけたが、途中で止まった。相変わらずの涙目で俺を見つめる。
そんな目で見ても決意した俺にはきかない。まあ言ってしまえば、所詮クラゲだしな。
「……頷かないなら力ずくでも頷かせてやるがどうする?」
 ケラモンはビクッと体を震わせ、何かを決意した様にその場で暴れ始めた。俺に襲い掛かろうとしているのではない。
どうやらジェスチャーらしい。正直言って何を伝えたいのかいまいち分からない。物凄く複雑な動きだ。

五分程掛けてじっくりと見る。だんだん分かってきたような気がする。

「要するに、
『私はあなたや他のケラモン達の力に成りたいと思っています。しかし、私がいなければ見張りの人数が減り
 あなた達の休憩時間が減ってしまいます。あなた達が休んでいる間私に見張らせて下さい。そうすればあなた達はずっと休めます。
 今、私を電池の容量にせず、後から容量にしてはどうでしょうか。それならば私は何の文句もありません。
 大人しく容量となりましょう。私は何の役にも立たないうちに消えたくないのです』と、いう事か?」

ケラモンは大きく頷いた。なんというか、主君に忠実というか和を考えている奴なのか?
ただ消えたくないから適当な事を言っているだけかも。
それともケラモンにもそれぞれ性格があるのだろうか。俺としては一周四十分も休めれば充分だろうと思うので、
さっさと電池のために犠牲になってほしいのだが……。

他の四匹がケラモンの男気にいたく感動したようだ。俺の判断を待っている。
こいつらは心底子供だ。橋に来るまでも色々と遊び何回かはぐれそうになった奴もいる。
こうやって簡単に感化されているところなんてまさに子供だ。

「くそ……」
 俺は小声で呟いた。こんな空気の中ケラモンを容量にしてしまえば、他の四匹との絆にヒビが入ってしまう。
戦う時に備えてチームワークは高めておきたい。

「分かった。おまえに見張りを任せる。休憩が終わったら電池の容量にするからな」
 太陽のように明るい顔になったケラモンは再び大きく頷いた。奴の涙腺はついに決壊して大粒の涙を流し始めた。うれし泣きらしい。
最古の四匹もキラキラした目で俺を見つめてくる。やめろ、そんな目で見るな。
見張り役となったケラモンは橋の下ではなく辺りを見渡しやすい位置に駆けていった。

俺は再び横になり考える。まあ、これで俺とケラモン達の絆が深まったなら言う事は無い。
しかしこいつらが五匹になるたびにこんな事があったのではたまったものではない。
他の四匹には説得を頑張って貰わなければならない。

体は痛み、石のように重く疲弊していたが、現実のゲームに参加している緊張からかなかなか寝付く事は出来なかった。
なので俺は遊んでいるケラモン達をぼんやりと眺めていた。
そのうち四匹が遊び疲れたのか横になっている俺のそばにやって来た。
何をするかと思えば、俺のそばで横になりいびきをたてて眠りについた。

俺はさっき決意した。そのおかげでこの一連の出来事の中でもケラモンに何の情も抱いてはいない。
彼らは所詮クラゲ、そしてでっていうみたいなものである。ケラモン達は俺が優勝するための駒にすぎない。


【B-2 橋の下、川原/一日目・夕方】
【TASさん@TAS動画シリーズ】
[状態]:重度の疲労、右手親指以外欠損、左拳骨にヒビ
[装備]:五寸釘3本@現実(ポケットの中に入っています)
[道具]:ウルトラスーパー電池(残り30%)@ドラえもん
[思考・状況]
1:しばらく休む。休憩が終わったらケラモンを一匹電池の容量にする。
2:生きて、ケラモンとの連携で最速を目指す。ケラモンは生き残るための駒
3:ゲームに乗っていない集団の人間を町に集め、ケラモンとの連携で奇襲し一網打尽。
機会があれば乗っていない人間を騙して町の人間と同士討ちさせる事も。
4:ゲームに乗っていない単独の人間は殺し、武器を貰う。
5:ゲームに乗っている人間とはなるべく戦いたくない。
6:武器の調達。出来れば食料も
7:殺戮ゲームの最速クリア。
※KASのことを、自分の二番煎じ、偽者だと思っています。
※ケラモンの名前、増殖限界、進化することを知りました。

【クラモン(ケラモン)B】
[状態]:健康 現在5体
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:TAS、マジヤッサシー
2:とにかく数で勝負
3:TASを利用してうまく遊びたい
4:イタズラしたい
5:向こうのクラモン、何があったんだ?
※一匹見張りについています。



sm132:黒い花の向こうへとたどり着けるなら 時系列順 sm134:おじいちゃんのアイスクライマー
sm132:黒い花の向こうへとたどり着けるなら 投下順 sm134:おじいちゃんのアイスクライマー
sm117:震える山~侵食汚染~ TASさん sm149:最速の道を生き、ケラモンを司る男
sm117:震える山~侵食汚染~ クラモンB sm149:最速の道を生き、ケラモンを司る男



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