チハヤム、大地に……立てない ◆0RbUzIT0To




今は……何時くらいだろう。
ここに連れて来られてしばらく、呆然としていたから時間の感覚が曖昧だ。
もう何時間も経ってしまったかもしれないし、本当は五分ほどしか経ってないのかもしれない。
……それにしても、こんな夜中に呼び出すだなんて非常識だ。
睡眠不足は喉にも悪いというのに。

「それにしても、ここは一体どこかしら……」

南に塔がある事から考えて地図上ではD-4かC-4辺りだろうか。
でも、私が言っている事はそういう事ではない。
この全体のフィールドが、一体日本のどこなのかという事だ。

「地図を見るからに……雪原があるという事は北の方かしら?
 山も多いし、田舎の方なのかも……」

様々な憶測をしてみるが、確定的な情報が無い以上考えるだけ無駄かもしれない。
田舎かと思っても見たが、前方に見えるお城がその可能性を否定する。
西欧風のその城はどう考えたって日本の田舎には不釣合いだ。
もしかしたら、日本ですら無いのだろうか?

しかし、あの人たちは一体何が目的で私たちに殺し合いなどというものをするよう命じているのだろう。
こんな大掛かりの事をやるには相当な労力と資金、人員を必要とするはずだ。
この地図に載っている土地の確保と私達の首についている爆弾付きの首輪の開発費と制作費。
それに、人目に付かずに私達を攫うという行動力。
少なくとも、普通の人間がこのような事が出来るとは思えない。
……いや、あの場にいたのは人間どころかコミカルな格好をした悪魔だったけれど。

他にも考える事は色々ある。
あの時、あの広間で殺された二人の少年少女の内、少女の方は私のよく知る人物だった。
その事に関して悲しみは沸きあがってくるし、何故助けられなかったのかという後悔もある。
だが、それよりも気にかかるのは他の子達の事だ。

亜美と私がいるという事は、他の765プロ所属のアイドル達もここにいる可能性が低くはないと思う。
やよいや雪歩が連れてこられていたらきっと今頃恐怖で縮こまっているだろう。
真は殺し合いなんて否定して私達を捜し歩いているかもしれない。
伊織は強がりながらも心の奥底では怯えているだろう、律子さんは殺し合いをする以外での道の模索をきっとしている。
あずささんと美希は……。
二人が怯えている様子も殺し合いをするような様子も今ひとつイメージ出来なかった。
まさかとは思うけど、いつものようにのんびりしてたり寝てたりするような事は……無いわよね。
真美は……もし、いたとしたら、本当に可哀相だ。
目の前で姉妹を失ってしまって、その上こんな舞台にいるのだから。

……でも、まさか私が他人の心配をするなんてね。
少し前の私なら、こんな事は考えず自分の事だけで精一杯になっていただろう。
他人の事なんて考えない、自分の事しか考えていなかった私。
変えてくれたのは、私と一緒に戦ってくれたプロデューサーと、いつも励ましてくれた彼女だった。

最初は鬱陶しいだけだった。
私と同じくボーカル重視のアイドルで、なのに私よりも歌は下手だった。
あの頃は正直彼女を疎ましく思っていた。
何かにつけてお菓子を作ってきては事務所の人たちに配っていた彼女に対して怒鳴りつけた事もある。
そんな事をしている暇があれば、少しでも自主練習をしてはどうだ、とかそんな事を言ったはずだ。
それでも彼女は私に対して怒りもせず、ただ苦笑いを返すだけだった。

それから、少しずつ少しずつだが私と彼女は話し合うようになった。
最初は嫌々だった私も、次第に心を開いていった。

何度か一緒に仕事をする機会もあった。
歌を歌ったりする番組やイベントだった場合、
客観的に見ても矢張り私の方が歌のレベルは何段階も上だったに違いない。
でも……彼女の歌の最中でも、決してファンに対してのサービスを忘れないその姿勢は、
きっと私よりも数段アイドルらしかったに違いない。
歌手としてのランクは私の方が上でも、アイドルとしてなら彼女の方が優秀だった。

「春香……」

彼女はこの場所にいるのだろうか。
だとしたら、何としても探し出して守ってあげないと。
お人好しなあの子の事だから、誰かに騙されて殺されないとも限らない。




「その為にも、今は支給品を確認しておかなきゃ……」

守るといっても、私は決して腕力が強い訳でもなければ武道を習ってる訳でもない。
最低限、自分と春香達の身を守れるだけの武器か何かだけでも持っていないと守るどころの話じゃない。
そう思ってデイパックの中身を見てみると、出てきたのはSF的な道具が二つ。
私はこういったメカメカしい機械の類は苦手なんだけど……。
説明が書かれた紙を見ると、一つは暗視ゴーグルというものらしい。
暗闇でも不自由なく物が見えるという代物らしいので、早速被ってみると……。
なるほど、確かによく見える。
先ほどまではわからなかったが、西に花畑らしきものがある。
その事から考えて、さっきまではわからなかったもののここはD-4なのだろう。
これは中々の収穫だ。

もう一つは、ロールバスターという名前の武器らしい。
腕に取り付けるだけで、光の銃弾を弾き出せる……と書いてあるが、本当だろうか?
銃といえば鉄の銃弾をトリガーで引いて弾き出すというアレしか知らないから、どうにも不安になる。
ひとまず、腕に装着してみる。
若干重みは感じるが仕方が無い、これしか身を守れるものがないのだから。

デイパックの中身はこれに食料と水を足した分で全てだった。
何か小さなゴミのようなものも奥に見えた気もするけど、あんなものが役に立つとも思えない。
取り出そうにもロールバスターを取り付けてしまったこの手ではあんな小さなものを掴むのは不可能だった。

これからどうするか南に行けば町と塔があるし、西の橋を渡れば城がある。
私は数秒迷った結果、町に行く事にした。
城より町の方が人が集まる可能性が高いだろうし、予め食料なども補給しておきたい。
それに、城までにはいささか距離がありすぎる。

そう思い、デイパックを肩にかけて立ち上がった矢先だった。
瞳に、何か小動物のようなものが横切ったのが映った。
恐らく、暗視ゴーグルをつけていなければわからなかったであろうその小動物は、
こっちに向けて一直線に走ってきている。
そして――。

「ヲタチ!でんこうせっか!」

その声が響いた瞬間、更にその小動物は加速して接近してきた。
いや……突進してきた!?
明らかに敵意を持っているその小動物に向けて、
ロールバスターを発射しようとするもののそれよりも速く小動物が迫る。

「くっ……!」

胸部に思い切り体当たりされ、吹き飛ばされる。
痛い……なんてレベルじゃない、呼吸が出来ない。

「けほっ……」

「なんだぁ? その腕のブツは飾りかよ」

痛む胸を押さえ、呼吸も絶え絶え声のした方向を見る。
そこには帽子を目深に被り、瞳をギラつかせた少年が立っていた。

「あな……た……ど……して……」
「はん、今の攻撃でどっかの回路がイカれたかロボットさんよ。
 全然聞こえねぇぜ!」

誰がロボットなもんか。
いや、確かにこの暗視ゴーグルとロールバスターのせいで見た目がメカみたいになってるかもしれないけれど。
でも私は……駄目だ、声が出ない。

「ふん、張り合いがねぇぜ。 一気にケリをつけてやるか、ヲタチ!」

そう言う少年の隣には、あの小動物の姿があった。
どういう訳かは知らないが、少年が小動物に指示を出しているらしい。
少年は嫌らしい笑みを浮かべてこちらを見ている。
小動物は、走り出す構えを見せて既にやる気が有り余っているようだ。

私は傷ついた体を起こしながら、冷静に状況を分析していた。
実質二対一で、こちらが持っているのはちゃんと使えるのかどうかさえも怪しい武器が一つだけ。
胸の傷が疼いて、逃げる事も無理そうだ。
絶体絶命、というやつだろう。
脂汗を額に浮かべながら、それでも私はこの状況をどうにかする術を考える。

暗視ゴーグル越しの瞳に、少年の胸に下げられたリングがやけに目に付いて仕方が無かった。

【D-4 草原/一日目・黎明】
【如月千早@THE IDOLM@STER】
[状態]:胸部強打
[装備]:暗視ゴーグル@現実、ロールバスター@ロックマンシリーズ
[道具]:支給品一式、アイテム2号のチップ@ロックマン2
[思考・状況]
1.目の前の少年に対処
2.アイドルの仲間を探し、守る
3.町へ行き、仲間を探す
※暗視ゴーグルの形状はアイマス衣装のHMDです。
※千早はアイテム2号のチップの存在には気づいていますが、使用方法には気づいていません。


【サトシ@ポケットモンスター】
[状態]:闇サトシ、健康
[装備]:千年リング@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ
[道具]:ヲタチ@ポケットモンスター、支給品一式、不明支給品
[思考・状況]
1.とりあえずこのメカを殺してやるか
2.手当たり次第にぶち殺してやるぜ

※ヲタチ(オタチ)
たいやきと同じく、オタチだけでクリアに挑戦より参戦。
レッド戦後からの登場で、Lvは97。同レベルの敵でなければまず間違いなく負けない。
三色パンチに定評がある。
わざリスト
でんこうせっか:ノーマル技。必ずこちらが先制出来る攻撃。
        わざ威力は然程ではないがヲタチ自体が強い+タイプ一致技なのでかなりのダメージを与える事が可能。
れいとうパンチ:こおり技。その名の通り相手を凍らせる事のあるパンチを叩き込む。
ほのおのパンチ:ほのお技。その名の通り相手をry
かみなりパンチ:でんき技。その名nry



sm15:ぶれ☆いぶ 時系列順 sm29:ひろくんの天使?転生
sm15:ぶれ☆いぶ 投下順 sm17:削除下克上
  如月千早 sm30:ナイトメア
  サトシ sm30:ナイトメア



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最終更新:2010年03月18日 10:49