無限大な思いのあとの ◆jU59Fli6bM





オイラは、何回も謝って、涙をながし続けて、いさじの体を食べ続けた。
最後にその頭を飲み込んで…直後、背中が弾け飛んだ。
目の前が真っ白になった。
しばらくしてまっくらになって、ちのにおいと、じぶんが、tおくにはなれて、いクyおな、カんzい、ダけ、ガ――――





戦いが終わり、いつもの静けさを取り戻した岩山。
つかさは前まで洞窟の一部であった岩に寄りかかって座り、爆発で瓦礫の下敷きとなったティロモンを前に夕食を食べていた。

「うん?おかしいなあ…」
手にあるのはまだ半分も食べていないパンが一つ。
「お腹空いてないのかな?」
夕食の時間なのに、つかさの身体は空腹を忘れているようだった。仕方ないのでパンの残りをデイパックにしまった。

「あれ…このデイパック、誰のだったっけ?」
ふと、目に入ったのは模様が描かれた石。
つかさはようやく、前にここを出て行くときに持ってきたデイパックのものであることを思い出す。
ペンダントを取り出し、説明書を読む。
「私が助かったのは、これのせいだったんだ…」

―あの時あのまま死んでいれば、今ごろ天国でお姉ちゃんと一緒に…

「…ううん、これがあったからゴマモンと会えたんだ。このペンダントはお姉ちゃんの敵に会わせてくれたんだ。だったら生きてることに感謝しないとね」
一抹の思いを振り切り、ペンダントを首にかける。
「せっかくだから、持ち物を全部整理しておいたほうがいいよね。ティロモンと弾の少ない銃じゃ頼りないし」

そう言って、笛、薬のようなもの、テニスボール、デジヴァイス、カード、青い宝石を地面に並べていく。
そして、最後に取り出した髪の束を見てつかさの動きが止まった。
月明かりに照らされたそれは、かがみと同じ、紫色に輝いている。
(なに、これ…お姉ちゃんの?)
姉への恋しさが蘇り、一瞬つかさの目が震える。下唇をきゅっと噛む。

「お姉ちゃん…安心してね。私、がんばるから。生きて、お姉ちゃんの苦しみをもっとあれに味わわせられるように、がんばるから……だから私の中で、見守っててね」

髪を胸のポケットにしまい、再び前を向いた顔は既に笑顔に戻っていた。

続いて笛を見る。リコーダーなら吹いたけど役にたたないかな。使えなそうなので片付ける。
次にピーピーマックスの説明書を読み、ティロモンはこれで長持ちするかもと思いながら片付ける。
何の変哲もないテニスボール、ティロモンに関係するらしいもの、今は使えないカード…これといって役立つものはない。説明書を読んだものから次々しまっていく。



「あれ?」
デイパックを開けて目に入ったのはさっき出したはずの青い宝石。
今地面にも同じものが置いてある。
「2つだったのかな?」
そう思って宝石を並べる。
説明書を出そうともう一度中を覗く。
また1つ入っている。
どうやらデイパックから取り出しても無くならない。というより1つずつ増えるらしい。
「こんなところじゃなかったら大金持ちなのにな」
ぽんぽんと数個投げてみる。宝石自体は普通のと変わりないようだ。
説明文を読んでみる。

『ゲゲゲ!コウモリだ 何か宝石のみたいな物をあてれば』

何故か意味不明な文しかない。
「コウモリなんていないじゃん…」
(これじゃ役に立たない荷物ばかりだよ。ま、いいか。ティロモンならまだまだ死なないしね)
その目線は夕食を食べてから初めて瓦礫の中に向けられた。




「とれたよ!魚だーい!」
「…ん、ありがと。ゴマモン」

「へへ、素直じゃないなあ。かがみは」
「う、うるさい!」

「ゴマモン進化アアア!!!」

「作戦開始だ!絶対にみんなで元の世界に戻るぞ!」
「おー!」

おいらはかがみと真と歩いていた。
2人とも不安そうだったけど、3人で話したら笑顔になった。
でも、


「というわけで真くんにイッカクモンくん、一発やらせろ!」


こっちを向いて笑ったかがみと真は、真っ赤に染まっていた。

###########################



       「なによ、これ…」           「かがみのぶぁ~か」


「あはははは、コロセ、コロセ、皆コロセ!」   「おいら、悪くない。おいらは、悪くない」


「あーあ、ゴマちゃんのせいで、仲間がいっぱい死んじゃったね」


 「ごめんなさい、死んでください。ごめんなさい、死んでください。
                 ごめんなさい、死んでください。ごめんなさい、死んでください……」



             殺シタ皆ニ、永遠ニ許サレナイナンテ、嫌デショ?




おいらも真っ赤になってるのかな?


###########################

「ゴマモン」
あれ?丈?
「何でそんなところで寝てるんだ?」
夢じゃないの?それとも、今までのが夢だったの?
「夢?夢でも見てたのか?」
…オイラは丈と居れるなら、どっちでもいいかな…
「おかしなこと言うなあ。
夢のわけないだろう?ゴマモンが人を殺して血をたくさん浴びる夢なんてあるわけないよ。」

「「現実に決まってるよ、この人殺し」」

丈の声と重なり、その姿はつかさのものとなる。
顔にたたえた微笑みは恐怖の対象でしかなくて、

「あ…い…嫌、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だイヤダイヤダイヤダアヤダいあ゛あぁぁぁァァアア!!!!」


バチンッ…


闇の中で夢から覚めた。
最初に感じたのは血生臭いむせかえるような臭い。
「い…きて…る?」
そして、自分の体がまた変わっていることに気付く。
尾ひれや鋭い歯があるのは同じだが、角が生え、前よりもさらに大きく強くなっている気がする。
怪我も進化によって瓦礫によるダメージしかないようだ。
しかし、疲労も容赦なく押し寄せてくる為、精神力や気力に関しては底をつきそうなほどだ。
それに瓦礫のせいもあって動くことができない。

疲れた。
ずっと極限にいた体はただそう伝えてくる。
体は瓦礫に押し潰されているはずなのに、意識はまだふわふわと浮いてるようだった。
しかし、ゴマモンにはゆっくり休む権利も、許可も、

「ねえ、ティロモン。もう…気がついてるんでしょ?楽して休む気満々なわけ?」

あるわけがなかった。

今まで海を漂っているようだった心が、その一言で一気に引き戻される。
先に進んでも苦痛しかない現実に。
岩が肌にめり込み、下敷きとなった体がその重さに悲鳴を上げる。

「許してもらわないと。つかさを守らないと」
そうしないと、楽になることはできない。
そうしないと、死んでも死ななくても喜びも楽しみもありはしない。
何より、さっきのような夢はもう二度と見たくない。休むという選択肢は最初から無かった。

ティロモンから進化した完全体デジモン―メガシードラモンは全身を奮い立たせる。

「"サンダージャベリン"ッ!」



大きな角から放出した雷の一撃で、自分の周りの瓦礫を粉々に吹き飛ばした。

ようやく外へと這いずり出てつかさの前に出る。
そして、つかさの―自身にとっての神である言葉を、天罰を受ける前の罪人のように震えながら待った。

「へえ、進化できたんだね。今度はなんていう名前なの?」
「えっと、今は…」
「あ、やっぱりいいや。進化で名前変わりすぎだし、またこの後も進化するんでしょ?
もうずっとゴマちゃんでいいよね。進化しても私の知ってる人殺しアザラシはゴマちゃんなのに変わりないもん」

「……はい…」

つかさはえへへ、と笑いながらメガシードラモンの頭を撫でた。



しばらくして、既に出発する準備を終えているつかさが立ち上がった。
「街に行こう。早くこなちゃんに会いたい」

「…つかさ?つかさの仲間…待たなくていいの?」

一瞬、間が空いてから、つかさが口を開いた。
つかさが振り返ってこっちを見る。


「何言ってるの?いさじさんもカービィも人殺しの味方だったんだよ…」
「ゴマちゃんみたいな人殺しの」
暗くて分からないはずなのに、つかさの顔が恐ろしくて思わず顔をうつむける。

「だったら私はもうあの人たちを待つ必要はないじゃん」

「私が間違ってると思ってるの?」

「…間違って、ない…です」
「だったら早くついてきてよ、さっき逃げたあの子が仲間を呼んでくるかもよ?結局殺せてないし!
それでも私をちゃんと守れるの?ねえ、ゴマちゃん?」
「わ、分かった。ごめん、ごめんなさい…」

ふふ、そうだよ。これからも私を守ってくれないと。
ゴマちゃんも大きくなったし、上に乗ると楽チン楽チン!早く街に着けそうだよ。
そういえば、私を落とした谷口さんは死んだみたいだね。まあ、死んでも当然だけど。
スパイダーマさんも死んじゃったかぁ…。あの人なら私の盾にはなりそうだったのに、残念だなあ。
他のみんなは、まだ山のどこかにいるのかな?できれば会いたくないな。


2人が立ち去り、後に残ったものは血だまりと瓦礫と様々な形の無念。
その全てを作らせた少女はその全てを笑い前へと進んでいく。
彼女が置いていった宝石たちは月の光を受け、涙のように輝いていた。


【C-3 洞窟前/一日目・夜中】
【ゴマモン(メガシードラモン)@デジモンアドベンチャー】
[状態]:疲労大、精神衰、つかさの言いなり、傷だらけ
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1.つかさに許してもらうために、死なない
2.つかさに許してもらう
3.オメガモン、真、琴姫の仲間にも許してもらう
※つかさを精神の拠所にしています。つかさが死ねば壊れるでしょう。
※放送を聞き逃しました。

※メガシードラモン
過酷な環境下で目撃されるデジモン。
頭部を覆う外殻が硬度を増し、頭頂部にイナズマ型のブレードが生えたことで兜の役割を果たし、防御力が増した他、ブレードには発電装置が仕込まれており、電撃を放つことも可能。
知性や泳ぐスピードも発達し相手を執念深く追い回し仕留める。
このロワでは泳ぐというより浮いてます。

サンダージャベリン:頭のツノから強力なイナズマを放つ技。
メイルシュトローム:物凄い冷たい津波を起こし、敵を凍りつかせる技。


【柊つかさ@らき☆すた】
[状態]:全身に軽い打撲、手のひらを怪我。精神に異変、感情欠落、ニコニコ、メガシードラモンの背の上
[装備]:ニューナンブ(弾数3/5)@現実 、飛行石のペンダント@天空の城ラピュタ、琴姫の髪
[道具]:支給品一式*3(食事二食分消費)、ピーピーマックス*2@ポケットモンスター 、
Fooさんの笛@ニコニコ動画(γ) デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、テニスボール*2
光の護封剣@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ(現在使用不可)、宝石みたいな物@呪いの館
[思考・状況]
基本行動方針:ゴマモンを許すまで利用する(許すつもりなどない)
第一行動方針:街に行く
第二行動方針:カービィを敵と判断。殺したい
第三行動方針:福山さんを埋葬してあげたい
第四行動方針:基本的に敵はゴマモンに殺してもらう。できるなら自分でもやる。
第五行動方針:最後に、ゴマモンを残酷に殺す
第六行動方針:笑顔が取れないよ?
※ゴマモンの考えていることが表情で読めるようになってきました。
※琴姫の髪をかがみのものだと思っています。

※宝石みたいな物@呪いの館(古いHDDを整理していたらカオスなゲームが見つかった)
イ゛ェアアアア!!!
普通の宝石です。投げればコウモリを打ち落とせるくらいです。
捨ててもいつの間にかデイパックの中で復活して、無限に使えます。仕様なのかバグなのかは分かりません。



sm149:最速の道を生き、ケラモンを司る男 時系列順 sm151:涼宮ハルヒの懐柔
sm149:最速の道を生き、ケラモンを司る男 投下順 sm151:涼宮ハルヒの懐柔
sm143:どうあがいても絶望~夢の国のアリス 柊つかさ sm160:硫黄島からの手紙
sm143:どうあがいても絶望~夢の国のアリス ゴマモン sm160:硫黄島からの手紙



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最終更新:2010年03月18日 11:51