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硫黄島からの手紙 ◆qwglOGQwIk





「うわっ、なんじゃこいつは!」

仲間の元へとひた走るストーム1が発見したのは、クラゲのような化物であった。
雪山を下り、草原を経て橋の上を走っていた所、ストーム1は突然強い衝撃を受けて吹き飛ばされてしまった。
慌てて辺りを確認してみると、こちらに向かって光弾を放つクラゲの化け物がいたという訳だ。
体勢を何とか立て直した所に、間髪入れずもう一発光弾が放たれる。
今度は食らうまいと何とか回避するも、よく見ればクラゲの化け物は二体程いるようだ。
「ちょうどいいわい、クレイモアの錆にしちゃる!」

ストーム1はケラケラと不快な声を上げるケラモンの攻撃を回避しつつ、橋をジグザグに渡ってケラモンを錯乱する。
狭い橋の上では分が悪いと判断したストーム1は、橋の出口のところまでケラモンを二体とも確実に誘導してゆく。
そして橋の先端に到達したところで、クレイモアを設置する。
そして斜め後方に下がり、ストーム1を追い詰めるべく相手が接近してきたところでクレイモアを発動させる。
その瞬間大量の散弾が二体のケラモンに襲い掛かり、クレイモアの放った大量の玉にひき潰されて消えていった。
「やはりクレイモアは最高じゃわい、よく手になじむわ」


ストーム1はケラモンを倒すと、戦闘で失った時間を取り戻すかのように山道を急ぎ駆ける。

「ん、あれは何じゃろうか?」

山を大急ぎで登っていたストーム1の眼前には、大きな龍のようなシルエットが見えていた。
昼間ならばはっきりと見えただろうが、月明かりの下ではそのシルエットの正体を見極めることはできそうになかった。
だが、ストーム1はそのシルエットの正体についてかすかに思い当たるものがあった。
それはスパイダーマッと一緒に発見した人型の怪物であった。
その形状は人型とも、顎の化物とも違う。しかしストーム1はその目で人型の化物が顎の化物に変化するのを見ていた。
ならばあの龍の化物はあの顎の化物が変化したものではないだろうかとも考えられる。

もしもそうならばこのクレイモアを相手に気が付かれないうちに設置して、今のうちに倒してしまったほうが良いのではないかとも考えられる。
だがあの化物はいさじ達がいた洞窟の方向から、町の方向へと向かっている。
何者かは分からないうちに攻撃を仕掛けるべきではないとストーム1は判断した。
相手に気が付かれないよう、細心の注意を払って接近する。

「ん、あれは……」
相手の視界に入らぬよう接近したストーム1は、龍の化物の背中に人影が居るのを見つけた。
龍の化物の背中に居る人影に目を凝らす。

「つかさちゃん、つかさちゃんのなのかぁ? おーい」
その声に気がついたのだろうか、龍の化物は動きを止める。
少しして龍の化物の背中から、少女の人影が降りてきた。
それはストーム1の予想通り、柊つかさの姿であった。

「……おじいちゃん、ですよね」
「そうじゃつかさちゃん、大丈夫か?」
「はい、今のところは大丈夫です」
「そうか、よかったわい……」

ストーム1はホッと息を付く。
その姿を見たつかさはおじいちゃんって変なの、と笑っていた。
ストーム1は姉である柊かがみを失ったつかさに何か無いかと心配していたが、杞憂に終わったようで何よりだと思った。

「その、つかさちゃんにはあまり言いたくない話なんじゃが……」
「…………お姉ちゃんのことですか」
「守れなくて済まなかった。ワシが遅かったばかりに……」
「いいんですよ、おじいちゃん」
「かがみちゃんだっけ。つかさちゃんのお姉ちゃんは、せめてもの罪滅ぼしのためにあのあたりに埋めてきたんだじゃ」
「おじいちゃん、福山さんは……」
「……福山の馬鹿は、あっちに埋めてやった」

ストーム1は、月明かりに照らされる橋の手前を指差し、もう一箇所山の麓辺りを指差す。
それを見たつかさは、少しばかりうつむいていた。
「ワシを許してくれとは言わん。
 だがかがみちゃんや福山の時のように今度こそは失敗しないよう、ワシは命をかけてつかさちゃんのことを守ろう」
「ええ、おじいちゃんがそう言ってくれるなら嬉しいです」
「ところで、いさじの奴はどうした。それにこのでっかい龍みたいな奴は何じゃ?」


「いさじさん? ああ、あの人なら私が殺しましたよ」
「はて?」

ストーム1の思考が一瞬停止する。
つかさちゃんはこんな悪い冗談を言う子だったのか、果たして何か別の真意があるのか。

「いさじさんはね、私が間違ってるって言ったんだよ。
 だってね、この後ろのゴマちゃんは人殺しなんだよ。私のおねえちゃんを殺したんだよ。
 だから死んでもいいのに、いさじさんはそれをまちってるっていうんだよ。
 このひとごろしがゆるされるためにつかってあげてるのに、それをまちがってるっていうんだよ。
 いさじさんもカービィのやつも、みんなみんなまちがっ……」

パァンと乾いた音がした。
ストーム1が、柊つかさの頬を打ったのだ。
「つかさちゃん、ワシの話をよく聞くんじゃ」
「痛い、何するのよおじい……」
「黙って聞かんか!」

頬を打ったことに対して文句を言おうとしたつかさを、ストーム1は怒声で強引に止める。
そして、ストーム1は仮初めか、あるいは長い長い夢のことを回想していた。
「ワシの夢の話なんじゃが、それもずっとずっと昔のことじゃ
 つかさちゃんは学校でしか聞いたことが無いだろうが、昔大きな戦争があったのじゃ……」


ずっとずっと昔、まだワシが学校に通っていた頃、日本は米帝……アメリカとの戦争を始めたんじゃ。
亜細亜の同胞を助けるため、皇国の未来のために座して死を待つぐらいならばと、勝ち目の無い戦いを始めたんじゃ。
始めは何もかもがうまくいっていた。連日連勝が新聞を賑わっていた頃は、鬼畜米英が何だと思っていたんじゃ。
だが、それはただ相手が日本のことを侮っていただけなんじゃ。

本気を出したアメリカに、日本が勝てるわけが無かった。
結局は連戦連敗、あっという間に日本が攻撃される側になってしまった。
ワシの通っていた学校もアメリカの爆撃で焼け落ちてしまったわい。
その時は学校を焼き、友達を殺したアメリカが憎くて憎くてしょうがなかったんじゃ。
ワシは学校を少しでも早く卒業して、悪のアメリカを倒す兵隊さんになりたいと思っていたんじゃ。

そうやって勉学に励んでいたある日、ワシの親父に赤紙が届いて、ついに戦場にいくことになったんじゃ。
ワシは親父に、頑張って悪の鬼畜米帝を倒してきてねと励ましたんじゃ。
それを聞いた親父は、何も言わずにワシにこう言ったんじゃ。母さんを、守ってやってくれと。
ワシは何故親父がそういったのかその時は分からなかった。だがその意味は戦争が終わってから分かったんじゃ。
天皇陛下が日本は負けたことをお知らせして、そして親父は帰ってこなかった。
代わりにやってきたのは、アメリカの兵士達だった。

それからの生活は、苦難の連続じゃった。
アメリカ人たちは学校で教えられた鬼畜というには拍子抜けするほど優しかったが、それでも嫌な奴には変わりなかった。
ワシら日本人が何か気に入らないことをすると、殴られた。相手は銃を持っているから、勝てるわけが無かった。

ワシもアメリカ人にはたいそう殴られたわい。
お袋を守るためだから立ち向かったんじゃが、それが気に入らなかったんじゃろうな。
英語がわからんかったワシには、何を言ってるのかは分からなかった。
あるアメリカ人は、ワシに目をつけると突然殴りだした、泣きながら殴りだしたんじゃ。おかしいじゃろ?
後で知った話なんじゃが、そのアメリカ人の親父は硫黄島で、日本人に殺されたらしい。
その日本人が親父かどうかは知らんが、ワシの顔が似ているのかついつい怒りが爆発してしまったらしい。
ワシはこの話を聞いて、初めて親父の最後の言葉の意味が理解できたんじゃ。

戦争はどっちも正義だったんじゃ。日本は国のため、アメリカも国のため。
ただどちらも大切なものがあって、そのために大切な人たちが死んでいった。
アメリカ人だって同じ人間で、親父を殺されたら悲しいんじゃ。
親父を殺されて憎いのはワシも、あのアメリカ人も一緒だったのじゃ。
すると不思議なことに、戦争でアメリカ人を殺そうなんて、馬鹿げている様に思えたのじゃ。
親父はその辺がよく分かってたんじゃろうな。だからワシに守ってくれと頼んだんじゃ。
だからワシは親父の言葉通り、お袋を守って、妻を守って、子供を守って、孫も守った、地球も守り続けた。
ま、これは現実じゃなくて、夢だったらしいんじゃけどな。

戦うことは悪ではない。だからワシは守るために戦っているんじゃからな。
しかし戦うことで生まれる犠牲は避けなければならないんじゃ。
だからつかさちゃんは間違っておる。殺し合いは何も生まん、お互い悲しくなるだけなんじゃ。
いさじの奴を殺したことについては今は何も言わん。ただ憎しみのままに死んでもいい、殺してもいいなどと軽々しく言うな。
つかさちゃん、厳しいことを言っているかもしれんが、みんなみんな辛いんじゃ。だから、分かってくれ。


「…………うるさい」
「つかさちゃん! 何故分からん!」
「おじいちゃんもいさじさんやカービィの奴と同じなんですね。
 だいたいおじいちゃんは間違ってるんですよ。戦争は日本が悪いんですよ。日本がアメリカを奇襲したから悪いんですよ?
 だからおじいちゃんは間違ってる。人殺しが生きていいなんて法律はないもんないもんないもん……」
「つかさちゃん!」

激高したストーム1がつかさに掴みかかる、だがつかさは掴まれた手を銃で強引に払いのける。
ストーム1は一歩下がってクレイモアを抱え、つかさはメガシードラモンの近くに戻る。
「もういいです、ゴマちゃん。殺しちゃってよ」
「……わかりました」

その言葉が合図となって、ストーム1が居た場所に雷撃が降り注いだ。
ストーム1はかろうじてそれを回避すると、構えていたクレイモアを設置し出した。
「あははははははは、おじいちゃんもいさじさんも、みんなみんなみんなおかしいおかしいおかしい」
「ごめんなさい、お願いですから死んでください」
「死ねといわれて死ぬ奴がおるか、たわけ!」

つかさはメガシードラモンの背に再び戻り、狂ったようにうわごとを呟いていた。
ストーム1はメガシードラモンの周りを回転しながら電撃を避けて、クレイモアを設置していた。
雷撃を回避しながらクレイモアを設置するまではうまくいったが、問題は背中に乗っているつかさであった。
今クレイモアを発動すれば確実につかさを巻き込んでしまう。故に細心の注意を払って標準を付けていった。
かつてEDFの任務でクレイモアを不用意なタイミングで発動したため、犠牲にならなくてもよいたくさんの味方を自分のミスで殺した苦いミスを避けるため。
そして守ると誓ったつかさを殺さないため、慎重にタイミングを計りながら相手の様子を探ってゆく。

一方のメガシードラモンもつかさを背中に乗せているうちはうまく攻撃の標準を狙えなかったが、つかさが完全に乗り終わったことで集中が取り戻せたのかストーム1を狙う標準はより鋭くなる。

「ゴマちゃん、何をやってるのよ!」
「わ、分かってるよ!」
メガシードラモンは電撃に加えて、長い尾をストーム1のほうへ振り回す。
ストーム1はそれを紙一重で何とか避けるものの、眼前に迫った二度目の雷撃は凌げなかった。

「う、うおおおおおお!」

プスプスとストーム1の体が焦げ付き、動きが止まる。
メガシードラモンがもう一度追撃を仕掛けようとした矢先、突如メガシードラモンの元に衝撃が襲い掛かる。
ストーム1がついにクレイモアを発動させ、メガシードラモンの攻撃を始めたのだ。
メガシードラモンはつかさの指示でクレイモアからつかさの身を守るべく体の向きを変更するが、それが仇となって無防備な腹部に大量の散弾が襲い掛かる。
「いたいいたいいたいよう!」
「ちょっとゴマちゃん、そんなに振りまわさないでよ!」

メガシードラモンがストーム1を仕留めるまでに撒かれたクレイモアは相当数になっており、絶え間なくその傷突いた体を痛めつける。
それを何とか耐えていたメガシードラモンだったが、やがて限界が来た。
「も、もうだめ!」
「ゴマちゃん、後一息なんだからもう少しだけ……きゃあ!」

メガシードラモンの体が山中に倒れだし、バランスを崩したつかさの体が空を舞った。
地面に近い位置に座っているが、ごつごつした山の岩肌に激突すれば、命さえ危険になるだろう。
地面に近いせいか、飛行石が発動する時間さえ無かった。

「これで、お姉ちゃんの所にいけるのかな……」
激突までもう間もないと思ったその時、つかさの体が何者かに抱きかかえられ、衝撃で斜面を転がっていった。

「い、いてててて」
「おじいちゃん……?」



「言ったじゃろ、ワシは命を賭けてつかさちゃんのことを守ると」

そう答えたストーム1の元に、銃声が一発響いた。
二発、三発と響いて、それきり聞こえなくなった。
EDFの防御ヘルメットに身を包んだストーム1の頭を銃弾は貫かなかったとはいえ、連続で打ち込まれた玉は大きなひびを作っていた。

「なんで、なんで邪魔するの。せっかくおねえちゃんのところにいけるとおもったのに……」
「つかさちゃん」
「おじいちゃんなんかしんじゃえ」
つかさは銃弾の切れた銃身を掴み上げ、ひびの入ったヘルメットに思いっきり振り下ろした。
その衝撃に耐え切れなかったのか、ついにヘルメットは壊れて、欠片とともにストーム1の顔面を強烈に殴打する。

「うがあああああああぁぁぁぁ!!!」
ストーム1は顔面を押さえて悶え苦しむ。
つかさは冷静に、ストーム1の落としたクレイモアとディパックを拾っていた。

「重いなぁ、でもこうやって使えばいいんだから、っと」
つかさはクレイモアを抱きかかえ、引金を引いてクレイモアを設置しだす。
何発かセットした後、つかさはクレイモアをディパックにしまった。

「本当にしぶとかったなぁ、これで死んでくれるよね?」
「つ、つかさちゃん……」
「じゃあね」

クレイモアが火を噴き、ストーム1の体をバラバラに引き裂いた。



「ぬわああああああーーーー!!!!」

クレイモアの銃弾音が消えて山に静寂が戻った時、ストーム1は人の形をしていなかった。
そこに残っていたのは、赤く染まり、グズグズに引き裂かれた肉の塊でしかなかった。

「あはははははは、やっと死んでくれたよ……」

つかさは死の危機を救ってくれたストーム1に一瞥もくれず、メガシードラモンの元へと向かった。
つかさは倒れているメガシードラモンに声をかける。

「ゴマちゃん、死んでなんかいないよね?」
「ぢんで……ません」
「そうだよね、だって死んだら誰にも謝れないもんね」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、許じてください……」
「許さないよ、だってゴマちゃんは私のことを背中から振り落としたじゃない。
 ああやって事故に見せかけて殺そうとしたの? 本当に悪い子」
「すみませんすみませんすみません、もう二度とじませんから許じてください」
「うん、じゃあもっと頑張って罪を償うんだよ。そしたら許してあげる」
「あり…がとうございます…………」

渾身の力をこめて起き上がったメガシードラモンの背に、つかさが再び背に乗る。

「じゃあ、いこっか」
「ずこしだけ、ずこしだけでいいから休ませてください……」
「駄目、さっき頑張るっていったじゃない? ゴマちゃんは約束を破るの?」
「ず、ずみまぜん……」

つかさが跨るメガシードラモンは、激戦もあってボロボロだった。
もう休まなければ命に関わるほどの傷でも、つかさは決して休ませようとはしなかった。
メガシードラモンはゆっくりと、あきらめたように前進をする。

「ちょっと待って」
「どうしたんでずが……?」
「気が変わったの、ゴマちゃんにはお姉ちゃんにもちゃんと謝ってもらおうと思うの.。
 だから、おじいちゃんがいってたあっちへ行って」
「わがり……ました」

メガシードラモンが体を反転させるが、無理が祟ったのか少しバランスを崩す。
「……ゴマちゃんも、疲れてるみたいだね」
「はい、そうです!そうです!そうです!」
「じゃあ、あれ食べて元気になってよ」

つかさが指差した先には、クレイモアによってバラバラの肉片にされたストーム1の死体があった。
「私もご飯食べるから、ゴマちゃんもご飯を食べなさい」
「…………はい、わがり……まじた…………」

メガシードラモンは泣きながら、ストーム1の死体だったものを貪り食う。
人を食うのは辛いとはいえ、それ以上に傷つき、力を失っていく体のほうが深刻であったために食べざるを得なかった。
進化さえ起これば、この傷ついた体だけは多少なりとも回復してきたためだからだ。
しかし予想していた進化は起こらず、メガシードラモンの姿を保っていた。

「あれー? 今度は進化しないね。ゴマちゃんが頑張らないからかな?かな?」
「ご、ごべんなざい……」
「じゃ、いこっか」

再びメガシードラモンの背に跨ったつかさとともに、北へと進む。

山を泳ぐように飛び続けたメガシードラモンとつかさは、橋まで辿り着く。
ストーム1が示していたその辺りには、血溜まりと抉れた土がが、そこで戦いがあったことを示していた。
そこでつかさは、盛り上がった土があるのを発見する。
ディパックからウィンチェスターM1895を取り出すと、それで土を掻き分ける。
そこを掘り続けること数分、苦悶の表情に染まった、つかさにとって最愛の双子の姉の顔が見えた。

「…………ゴマちゃん。さあ、早くお姉ちゃんに謝って」
「鏡ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「そうそう、そうやって謝ればいいのよ。もっと体を使って!」

つかさの指示通り、頭を上下に揺すって、決して許されることのない謝罪の言葉を繰り返すメガシードラモン。
だが、それは不意に途切れる。
もう限界だったのだ。
メガシードラモンはその場に再び大きな音を立てて倒れた。

「ねえゴマちゃん、なんで謝るのをやめたのかな?」
「ごめ……ごめ……ガフッ…………」
「ゴマちゃんがやる気無いみたいだから、私が渇を入れてあげる」
つかさはウィンチェスターを手に持ち、メガシードラモンの頭に向かって発砲する。
何発かは固い外皮に弾かれたものの一発が目に命中する。

「ぎゃああああああああああああ!!!!!」
「ほら、まだ元気が残ってるんじゃない、もっと謝ってよ」
「つ、つか……さ…………」
「どうしたの、ゴマちゃん?」
「何か……たべ……たい…………ぢか…らが…………」
「ちょっと待ってね、ゴマちゃん」

つかさはストーム1から奪ったディパックの中身を確かめる。
中からはきしめんが出てきたが、つかさはそれを与えるのは分不相応だと言うばかりにディパックにしまい直す。
味気ないとはいえ、食料さえも同じだった。

「ごめんねゴマちゃん。ゴマちゃんに上げられるものは何も無かったよ」
「…………おね……がい……だ…べ…………ざ…」
「何も無いっていったじゃない、だからゴマちゃんは自分で頑張らないと駄目」
「ぢ……が…………」
「違う? 違うって言っても何も…………」

キョロキョロと辺りを見回したつかさの目に入ったもの、それは最愛の姉の死体であった。
その瞬間、素早く向き直ったつかさが再びメガシードラモンをウィンチェスターで銃撃しだす。

「ゴマちゃんさぁ……一体何考えてるのかなぁ…………。
 いくら進化できないからっておねえちゃんを食べるだなんて、よくそんな悪魔みたいなことが思いつくね……。
 ゴマちゃんは全然反省が足りてないみたいだから、とってもきつーいおしおきをしないとね」
再び銃声が響き、メガシードラモンは言葉にならない言葉を叫んでいたがが、やがて言葉さえ出なくなった。
最後には口からヒューヒューと息が漏れるだけだった。


「あーあ、ゴマちゃんはたったこれだけで駄目になるんだ。
 やっぱりゴマちゃんは死んだほうがいいね。こんな悪い子は地獄に行ったほうがいいよ。
 私は足手まといを連れて行く気は無いし、悪いことを考えてごめんなさいってもう一回おねえちゃんに謝って、それからまた謝るんだよ?」

ヒューヒューと息が漏れて、もはや虫の息といった様子のメガシードラモンに目もくれず、つかさはかがみの元へと駆け寄った。
「…………じゃあね、お姉ちゃん。ばいばい」
つかさは最愛の姉に別れのキスをすると、再び姉の墓所を埋め戻した。
もう二度と会うことの無い悲しさと、姉を殺したゴマモンへの憎悪が再び煮えぐり返るように湧き上がってくるのが理解できた。
それでも、ゴマモンは殺さない。永遠に苦しんで、永遠に謝罪の言葉を呟いて、永遠に許されない。許しはしない。

ヒューヒューという息音だけを後にして、つかさは歩き出した。
「さ、こなちゃんに会いに行こう。ちょっと眠たいけど寝るなら町にあるふかふかのベッドのほうがいいからね」


つかさが立ち去った後、その息音は事切れた。

【柊つかさ@らき☆すた】
[状態]:全身に軽い打撲、手のひらを怪我。精神に異変、感情欠落、ニコニコ
[装備]:ウィンチェスター M1895/Winchester M1895 (狙撃銃、残弾1)@現実、予備弾丸0発、飛行石のペンダント@天空の城ラピュタ、琴姫の髪
[道具]:支給品一式*4(食事三食分消費)、ピーピーマックス*2@ポケットモンスター、ニューナンブ(弾数0/5)@現実
Fooさんの笛@ニコニコ動画(γ) デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、テニスボール*2
光の護封剣@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ(現在使用不可)、宝石みたいな物@呪いの館
クレイモア地雷@おじいちゃんの地球防衛軍(残り4)、無限刃@るろうに剣心(フタエノキワミ アッー!)、トカレフTT-33(6/8)
きしめん@Nursery Rhyme、たいやき(残りHP50%)@ポケモン金コイキングだけでクリアに挑戦、テニスボール
[思考・状況]
第一行動方針:街に行ってこなたを探す。ついでに寝床も探す。
第二行動方針:カービィを敵と判断。殺したい
第三行動方針:敵は殺す
第四行動方針:笑顔が取れないよ?
※ゴマモンの考えていることが表情で読めるようになってきました。
※琴姫の髪をかがみのものだと思っています。


【ストーム1@おじいちゃんの地球防衛軍 死亡】
【ゴマモン@デジモンアドベンチャー 死亡】

【残り32人】

「ケラケラケラ……」

つかさが立ち去ったその場に、ケラモンがひょっこりと現れた。
ストーム1のクレイモアで打ち抜かれて消滅したかに思われたケラモンは、うまい具合に分裂の時間となったお陰で九死に一生を得た形となった。
しかしボロボロに傷ついた状態であり、弱そうだとはいえ銃で武装したつかさに襲い掛かる気は無く、一部始終をじっと眺めていたのだ。
ケラモンの目の前には事切れたメガシードラモンの死体があり、これを食べて大量のデータを取り込み、傷ついた体を回復することとした。
メガシードラモンから得た大量のデータを吸収したケラモンは五体に分裂した。
それでもまだ残っていたデータを更に取り込み、ついにケラモンはクリサリモンに進化さえしてしまった。
予想以上の成果に喜ぶクリサリモンは酷い目にあったなと思いつつ、上機嫌といった様子でTASに合流するべく動き出した。


【B-2 橋の手前/一日目・真夜中】

【クラモン(クリサリモン)C】
[状態]:健康、上機嫌、満腹 現在1体
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:TASを探しに行こう
2:とにかく数で勝負
3:TASを利用してうまく遊びたい
4:イタズラしたい
5:向こうのクラモン、何があったんだ?


※メガシードラモン、ストーム1の死体は消滅しました。



sm158:さらなる結束へ(後編) 時系列順 sm161:Crystal Break~英雄の条件~
sm159:FloweringNight BR~月まで届け、最速の俺~ 投下順 sm161:Crystal Break~英雄の条件~
sm150:無限大な思いのあとの 柊つかさ sm161:Crystal Break~英雄の条件~
sm147:おじいちゃんの憂鬱 ストーム1 死亡
sm150:無限大な思いのあとの ゴマモン 死亡
sm149:最速の道を生き、ケラモンを司る男 クラモンC sm166:黒より暗い人物(前編)



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