Crystal Break~英雄の条件~  ◆0RbUzIT0To





町に向かうとつかさは決め、しばらく歩いていたのだがその道のりは思っていた以上に困難だった。
まず、町に向かう為には山を通らなければならない。
今つかさがいるB-2から直接南下していった場合すぐ川に直面してしまうからだ。
かといってそこから東へと方向を転換した場合、滝がまた行く先を阻んでしまう。
結局どうやっても、今いる地点から町へ向かおうとするならば険しい山を超えなければならないのだ。

「はぁ……疲れたなぁ」

動き出してまだ然程時間は経っていないが体は重く、酷く疲労しているのを感じる。
それも当然といえば当然、既にこのゲームが開始されてから24時間……丁度一日が経過しようとしているのだ。
満足な睡眠も食事も取らず、常に危険に注意を払って警戒をするという精神的な疲労。
また、舗装も何も施されていない道を全力で走ったりといった行動による肉体的な疲労。
それらが今ようやく、つかさの体に異常なまでの疲労感を負わせている。
ただ一介の女子高生であるつかさにはそれら全ての疲労を一身に背負って尚、立ち上がれるだけの体力などない。

つかさは自身の限界を悟るとその場に腰を下ろして少しだけ休息を取る事にした。
しかし、例え疲れていようとその顔には苦痛や疲労の表情はなくただ笑顔が張り付いてある。
日はとうに暮れ、辺りは静寂に満ちて物音は聞こえない。
強いて聞こえるものを挙げるなら自分の静かな呼吸の音くらいだ。
さて……こうしてただ呆けているというのも、時間の無駄にしかならない。
休むついでに先ごろストーム1から奪った支給品の確認でもしておこうかとデイパックの中身を出してみる。
幸いにも月が出てくれているので辺りは何も見えないという程の暗闇ではなかったので確認するくらいなら支障はない。

まずは自らが持っていたウィンチェスターという狙撃銃。
威力などについては何度も見ているし、先ほど実際に撃った事もあって申し分ないのだが如何せん女子高生であるつかさには扱いにくい。
それをひとまずデイパックの中に戻しておき、今度はトカレフを手にとってみる。
ウィンチェスターよりはまだ扱いやすそうなので、以後弾の無くなったニューナンブの代わりに使う事にしよう。

次に出てきたのはクレイモア地雷……こちらも先に使っていたので扱い方は大体把握している。
上手く使えばトカレフやウィンチェスターよりもずっと役に立つだろう……ただ、クレイモアの向きにだけは注意しておかないと自爆しかねない。
次に出てきた無限刃についてはパスだ、まともに扱えそうにないし下手をすれば自身が怪我をしてしまう可能性がある。
だが、凶器である以上は役に立つはずなのでそれもまたデイパックに入れておいた。
用途不明の笛や宝石みたいなものについても、この飛行石のペンダントの如く何らかの効果のある道具なのではないかと一応デイパックに直しておく。
ただ、流石に弾の無くなったニューナンブと何の利用価値も無さそうなテニスボールは捨てておいた。

「後は……」

残ったのはきしめんの入った器と、用途不明の紅白のボール。
とりあえず、きしめんのラップを剥がして匂いを嗅いでみる……一応、まだ腐ってはいないようだ。

「さっきご飯は食べちゃったし今はいいかな……。
 でも、どうしてきしめんなんだろ?」

恐らくは支給品に最初からついてきていた食料とは別に支給された追加の食料なのだろうが、意図が不明だ。
こうしてデイパックに入れて持ち歩くというのならサンドイッチやパン、おにぎりなどといった携帯しやすい食料のほうがいいというのに。
きしめんなどではいつ汁が漏れるかもしれないし食べるにしたって気軽には食べれない。

「ま、いっか……それより今はこっちだよね」

きしめんをデイパックに入れ、紅白のボールを手に取る。 境には黒い線が引かれ、中心にはボタンらしきものがあるのが確認出来た。
手元にあった説明書を見てみる……月灯りしかない為に少々読み難いが、読めない事はない。
説明書によると、どうやらこのボールには『ポケモン』と呼ばれる生物が入っているらしいが……。

「ゴマちゃんみたいなものかな? とりあえず出してみないと……えーっと」

ひとまず説明書通りにボタンを押してみる……と、どうやって入っていたのかボールが開き中から魚らしき生物が出てきた。
やたらに長い髭に硬そうな鱗、そしてどことなく間抜けな顔といい確かに今まで見た事がない生物である。
説明書にはコイキングと表記されており、命令通りに戦ってくれると書いているが少しばかり頼りない。
或いはゴマモンのように進化をしてくれれば役に立ってくれるのかもしれないが……。
いつまでも跳ねているコイキングをボールに戻し、それをスカートのポケットに入れる。
そしてしばらく呆けた後、つかさはようやくその重い腰を上げ歩き出した。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
休憩が出来るような場所を探しながら、春香と魅音は歩き回っていた。
だが、どこにも適当そうな場所はないし二人が背負っているものも相当に重い。

「うーん、何だか休憩出来そうな場所は無いね……」
「……仕方ない、もうこの辺で休もう。
 流石のおじさんもそろそろ体力の限界だしねー、遊戯君もそれでいい?」
「あ、ああ……すまない」
「ん、それじゃ下ろすよ?」

抱えていた遊戯を地べたに横たわらせ、春香と魅音も座り込む。
山道のど真ん中、決して居心地のいいものではないが久しぶりに体を休めて二人は安堵の表情をしていた。
しかし、ただ一人遊戯だけは苦悶の表情を浮かべている。
C-120を投与された事による発熱などの症状は時間を増す毎に酷くなっているようだった。

「遊戯君大丈夫? 本当はもうちょっと安全な場所とかの方がよかったんだけど」
「いや、ここで十分だ……それより、俺に遠慮せず食事してくれ。
 俺は食欲が無いが、お前達は腹が減ってるんだろう?」
「え、そう? それじゃあ、お言葉に甘えて……」

遊戯の言葉を受けて魅音と春香は食事をはじめる。
その最中にも遊戯の体調に気遣ったり、或いは情報などを交換する。
話を聞いていると、遊戯は魅音の知り合いである富竹やスパイダーマンが言っていたロックマンの仲間であるという事もわかった。
そして、他にもまだ多数の仲間がいる事も。

「……今、ロックマンはエアーマンという奴と戦っている。
 ロックマンは一度そいつを倒した事があると言っていたが……」
「うーん……でも、大丈夫なんじゃない? あのムスカって奴と手を組むくらいだしさ。
 本当に大した実力は無いのかもしれないよ、よっぽどな間抜けじゃないと負けないんじゃないかな?
 ほら、あいつ射撃の腕はよかったけど何だか馬鹿そうだったし……」
「……おい」
「え?」

急に遊戯の声に怒気が混じり、何かを叱るような感じで言われたので魅音は何か言ってしまったかと思ったが、答えはすぐにわかった。
横を向いてみると、春香が俯いて少しばかり涙ぐんでいる。
しまった、と思うより早く口が開いた。

「ご、ごめん春香。 別にそのスパイダーマッ!さんの事を悪く言った訳じゃないから……ね?」
「うん……大丈夫、わかってるよ。
 でもそっか、そのロックマン君っていうのも危険だよね……」

目じりに溜まった涙を拭い、魅音の謝罪に手を振って答えながら呟く。
如何にかつて倒した宿敵が相手とはいえ、スパイダーマンの盟友……ロックマンが危険である事は変わりない。
先ほどの放送で、沢山の仲間の名前が呼ばれた。
いさじ、真、谷口、スパイダーマン……守ると誓っておいて、全然守れなかった。
だからこそ、今度は仲間を助けたい。

「私……ロックマン君の所に行ってくるよ」
「え、ええっ!? ちょ、春香それ本気で言ってるの!?」
「本気に決まってるよ、ロックマン君はスパイダーマッ!さんの仲間なんだから。
 だから……私にとっても大切な仲間。 仲間は、絶対に守ってみせる!」

残った右の拳を強く握り締めて春香は立ち上がった。
その瞳には、スパイダーマンが見出した英雄の色が宿っている。

「魅音ちゃんと遊戯君はここで待ってて、特に遊戯君は絶対安静にしてなきゃ駄目だよ?」
「……ああ、わかっている」
「気をつけてね、春香……戻ってこないと承知しないんだから」
「うん、わかってる。 魅音ちゃんも気をつけて……絶対帰ってくるから」

それだけの言葉を残すと、春香はデイパックを背負って駆け出した。
そして残された二人は、ただその背中を見守って無事を祈るだけしか出来なかった。

【C-3 山道中央部/一日目・真夜中】
【武藤遊戯@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】
[状態]:発熱、発疹、瞳孔の拡大、中度の精神疲労、SOS団名誉団員、闇AIBO
[装備]:千年パズル(初期装備)、テニスのラケット、DMカード(真紅眼の黒竜(次の夜まで仕様不可)、プチモス、カタパルト・タートル(次の朝まで使用不可)、ブラックマジシャン(次の夕方まで使用不可)、
魔導戦士ブレイカー(次の午後まで使用不可)、聖なるバリアミラーフォース)@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ
[道具]:-
[思考・状況]
1:AIBOを表に出したくない。
2:AIBOを元に戻したい。
3:海馬と、仲間の友達を見つけたい。
4:このくだらないゲームを破壊し、主催者に闇の罰ゲームをかける。
5:春香と魅音に感謝。
※闇のゲームは行えますが、罰ゲームに制限がかかっています。(再起不能には出来ない程度)
※今のAIBOとカタパルトタートルに何か同じものを感じました。

【表遊戯の思考】
基本行動方針.自分に危害を加える者は容赦なく殺す
1.-
2.もう一人の僕…?
3.エアーマン、ロックマン、阿部は許さない
4.海馬と仲間の友達を見つけたい
5.ゲームを終わらせ、主催者を倒す
6.エアーマンを倒したらE-4の塔で仲間達と合流する
7.あの夢についての情報を得る。
※闇AIBO
ニコニコの闇AIBOタグで見られる、腹黒AIBO。
AIBOの持ち味である優しさが欠損して、笑顔で毒舌を言ってくれます。
ルールとマナーを守らずに楽しくデュエルしますが、過度の僕ルールは制限されるかも。
※C-120を打たれました。薬が切れる半日ほど全身の発疹、発熱、瞳孔の拡大、妄想が起こります。

【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:頭部裂傷、腰を強打、軽い疲労。
[装備]:SIG P210(残弾5)@MADLAX、鬼狩柳桜@ひぐらしのなく頃に
洩矢諏訪子の帽子@東方project(左目部分が穴空き)
[道具]:支給品一式(食料一食分、水一本消費)、ipod@現実、10円玉@現実?、札束(1円札百枚) 、
[思考・状況]
1:春香の帰りを待つ
2:カー君とつかさちゃんが気になる
3:部活の仲間とカービィの知り合いを探す
4:殺し合いを止める
5:詩音については知り合いを仲間にできたらそのときに話そう
6:詩音のやった事に関しては、何かしら責任を取ろう
7:お腹空いたなー
※夢の内容はほんの少し覚えています。けれど夢の出来事とは認識していません。
夢の圭一の存在には気づきましたが、詩音の存在は思い出していません。

春香は駆けに駆けた。
月光が照らすだけの歩きにくい山道を、無我夢中で走っていた。
彼女の心中には、ただただ後悔の念とそれを繰り返させないという強い意志があった。
彼女は核金によって生命を再び得た時より強く強く、仲間を必ず守ってみせると誓っていた。
なのに、いさじ達を守れなかった。
あれほど強く誓ったのにと、春香は激しく悔いた。
故に、春香は今全力疾走をしていた。
もう二度と誰も失わない為に、がむしゃらに走っていたのだ。
そしてその結果僅かな時間で、目的地まで辿り着いた。
ムスカが行く手を阻み、ロックマン達が争っていたであろうその場所へ。
しかし……。

「……いない?」

あのムスカという男と戦ったあの場所から先に進んだ場所。
そこには、エアーマンとロックマンどころか誰一人としていない。
戦った形跡はある……だが、誰もいない。
終わったのだろうか……と春香は思う。
本当は単に決戦の場所を変えただけだったのだが、春香にはそんな事わかるはずもない。

「だったら……どっちが勝ったんだろう? ロックマン君? それとも……」

そこまで考えて、春香は慌てて首を振る。
違う……ロックマンがスパイダーマンの盟友なのだとしたら、英雄なのだとしたら彼が勝っているはずだ。
必死にそう自身に思い込ませようとする。

「……とにかく、もっとよく探そう。
 ロックマン君もまだそう遠くに行ってないだろうし……うん」

言い聞かせるように呟くと同時に、春香は踵を返して再び駆け出した。
ここまで来た道で誰とも擦れ違わなかった事から考えて、
ロックマンは違う道を通ってどこかへ向かっているのだろうと考えひとまず春香も違う道を選んでみた。
既に自分がどこを走っているのかすら春香にはわかっていなかったが、微かではあるものの滝の音が聞こえている。
それを頼りに、大体自分がどの位置にいるのか把握をしながら走り……そして、見つけた。

それは、本来探していたロックマンその人ではない。
だが、先ごろよりずっと安否を心配していた人。
この殺し合いの中で自分の目を覚まさせ、そして救ってくれた人。
少ない時間ではあったが、共に語り合って友達となった人。

あちらも春香に気づいたのだろう、ふと足を止める。
月明かりという微かな灯りしか頼りにはならないがその顔は何故かはっきりと見えた。
少女は、ただ笑顔で自分を見ていた。
一瞬、何故か春香はその笑顔に何か嫌なものを感じたが、すぐにそれを振り払うと再び駆け出し……叫んだ。

「つかさちゃんっ!」

すると少女は表情を全く変えず、言葉を返す。

「はるちゃん……久しぶり、はおかしいかなぁ?」
「う、ううん……えっと、久しぶり……じゃなくって。
 えっと、無事だったんだね? 怪我とか、何も無い!?」
「? うん、大丈夫だよ? どうしちゃったのそんなに慌てて?」
「そりゃ慌てるよ! ああ……でもよかったぁ、つかさちゃん大丈夫だったんだね」
「えへへ、痛いよはるちゃん」

気づけば、春香はつかさを力いっぱい抱きしめていた。
瞳には再び涙を一杯に溜めて、しきりに本当に良かったと呟く。
それをつかさは、何も言わずしばらくさせるがままにしておいた。

「ひっく……よかったぁ、よかったよぉ……」
「もう……はるちゃんったら泣き虫だね」
「えへへ、ごめんね……これからは大丈夫だよつかさちゃん。
 これからは絶対に私が守ってあげる……どんな事があったって、私が守るから」

春香はそう言うと、ようやくつかさから離れて自身の胸に手を当てた。
自身の胸に宿るそれは、人を守る為の力。
あの時誓った仲間を守るという強い意志は、今尚まだ春香の胸にある。

「本当に? だったら嬉しいなぁ」
「当たり前だよ、だって私達仲間じゃない!
 つかさちゃんは絶対に私が守ってみせる……いさじさんや、スパイダーマッ!さんみたいには、上手くいかないかもしれないけれどね」
「えへへ、それはそうだよ」

お互い口に手を当てて、笑った。
春香は何も警戒せずにただ安心をしていた為に気づかなかったかもしれない。
もしつかさが、いつも通りのつかさならばそんな事は言わなかったであろう事に。
そして、或いは気づいていれば止められたかもしれない。
つかさが再び開いたその口から、聞きたくもないその言葉が発せられる事に。
だが、春香は気づかない。気づかないまま……つかさは、その言葉を発する。






「人殺しの味方をする奴なんかを、見習ってもらっちゃ困るもん」

「……え?」

その言葉を聞いた瞬間、春香はその笑みを引きつらせた。
目の前の人は、なおもまだニコニコと笑みを漏らしている。
聞き間違い……? いや、それにしては嫌にはっきりと聞こえた。
いくら近くに滝があり、その音が大きいからといっても聞き違うはずがない。
だが……だが、信じられない。
誰よりも優しい彼女が、自分を救ってくれた彼女が、そんな言葉を発するだなんて。
思わず、もう一度問いただそうとして……。

「あんなのをお手本にするなんてはるちゃんもどうかしてるよ?
 もう……仕方ないなぁ」

つかさはくすくすと笑いながら尚も言う。
違う……何かが、違う。

「ど……どうしちゃったの、つかさちゃん?
 ねぇ……いさじさんが人殺しの味方って、どういう……事?」
「どういう事もこういう事も、言葉通りの意味だよ?
 あいつは、殺人者の味方をしたんだ……ほんと、あんなのを信じてたのは間違いだったよね」
「うっ……あ……」

思わず、春香は一歩退いた。
その様子を見て、つかさはただくすくすと笑っていた。
くすくすくす、と面白いおもちゃを見つけたかのように……ただ笑う。

「いさじさんはね、ゴマちゃん――ああ、はるちゃんはゴマちゃんの事知らなかったっけ。
 私のお姉ちゃんを殺した殺人鬼なんだけどね、そいつの味方をしたんだ。
 カーくん達もみんなね……だから、殺したの、私がね。 カーくん達には逃げられちゃったけど……惜しかったなぁ」
「殺したって……そんな……どうして!?」
「……だから言ったじゃない、人殺しの味方をしたからだって。
 もう……本当に頭が悪いなぁ」

つかさがいさじを殺した?
あれだけ慕っていた相手だったのに、殺してしまった?
何故? どうして? 春香は更に一歩退き、頭を抱える。
おかしい……おかしい……何かが、狂ってしまっている。

「でもはるちゃんは違うよね? 私の仲間なんだよね?
 仲間は絶対に守るんだよね? 裏切ったりしないよね? だって誓ったんだもんね? 福山さんに約束したもんね?」
「そ……れは……」

そうだ……春香は、確かに誓った。
仲間を守ると、確かにこの核金に……福山に誓った。
そして、つかさは仲間だ。
例え何かがおかしくなってしまっていても、仲間である事に変わりは無い。
だが……。

「嘘……つくの? かな?」
「う……ぁ……ぁ……!」

更に、更に春香は後ろへと退いた。

笑顔ではあるものの、つかさのその眼光は鋭く春香はその瞳から目を背ける事が出来ない。
自然と体が震え、歯ががちがちと奇怪な音をたてる。
春香はただ、つかさを恐れていた。
つかさの口から出てくる言葉に、そのつかさの笑みに、ただ恐怖していた。
ほんの数分前までは歓喜の涙だったものが、今は恐怖による涙に代わり下がっていた。

「私を守ってくれるよね? はるちゃん?」

なおも、つかさは近づいてくる。
春香は必死に下がった……下がって下がって……気づけばそこは。

「ひっ!?」
「危ないよはるちゃん、ほら、こっちに来てよ」

崖の端まで追い詰められ、思わず悲鳴を上げる。
もうこれ以上は下がれない……逃げられない。
そう思うと、春香の心も先ほどに比べて幾分か楽になってきた。
いや、楽になるというのは語弊がある……正しくは、覚悟が出来た。
……逃げられない、逃げてはいけないという覚悟が。

「そう……だね……」

春香はどうにかして、体の震えを取り除こうと必死に力を込めた。
何かがおかしい……何かが間違っている……それは、つかさの様子を見れば明白だ。
だったら……それに、恐怖している暇なんて無い。
つかさは今、錯乱していて……混乱していて……自分が間違っている事に気づいていないのだ。
だから、自身の犯した過ちにも気付いていない。
つかさに殺されたといういさじは、懸命につかさを説得したんだろう。
だというのに、自分が逃げる訳にはいかない。

「私は……つかさちゃんの、味方、だよ?」
「……本当に?」
「うん……でも、ね……よく聞いて、つかさちゃん」

そこまで言って、春香は大きく息を吸い込んだ。
体の震えは止まったが、それでもまだ体はうまく動かない。
全身が、逃げろ逃げろと警告を発しているがそれでも春香は地面を強く踏みしめてつかさを見据える。
今の自分がいるのは、ひとえにつかさのお陰だ。
あの時つかさが救ってくれたからこそ、自分は今こうしてここに立っている。
ならば、今度はこちらの番だ。今度は自分が、つかさを救ってみせる。
それもまた、彼女を『守る』という事なのだろうから。

「つかさちゃんは……自分が間違ってないと、思ってるのかもしれない。
 そりゃ確かに……お姉ちゃんが殺されちゃったのは凄くショックで、そうなっちゃうのもおかしくないって思う。
 私だって、お母さんやお父さんが殺されて、その犯人が目の前にいたら殺したくなっちゃうかもしれない……。
 でも……ね……やっぱりそれでも、誰かを殺したり、っていうのは、間違ってるんだと思う」

言葉を吐くごとに、息が辛くなる。
だが、それでも春香はなおも言葉を紡いだ。
別れてから今までに彼女に起こった事件の全てなんて全く見えない。
しかしそれでも、必死に言葉を投げかける。

「いさじさんは、そんなつかさちゃんを止めようとしたんだ……。
 つかさちゃんはいさじさんを裏切り者だって思うかもしれない……でも、いさじさんはつかさちゃんに罪を負って欲しくなかったんだよ。
 何があったか、わからないけど……いさじさんは、つかさちゃんを救おうとしたんだと思う。
 ……そしてそれは、私も。 つかさちゃんに……これ以上罪を負って欲しくないんだ。
 勿論、つかさちゃんの事は守る……でも、その前につかさちゃんにはわかって欲し―――」
「くすくすくす……」

つかさのその呟きに、春香は思わず言葉を止める。

春香は懸命に、自分の心中を語っていた。
それはとても拙い言葉で、しかも彼女に起こった事が全てわかっていないが為に説得力は無いものかもしれない。
だが……それでも春香は懸命に喋り続けていた。
或いは、つかさに少しでも春香達を思いやる心があったのならばその気持ちは届いたのかもしれない。
しかし、つかさはその懸命な春香の様子を見て。
ただ、嘲笑するかのような笑いを起こすのみだった。

「くすくすくす……」
「何……が、おかしいの? 私、笑われるような事言ってないけど……」
「えぇー、じゃあ天然でやってるのかな? くすくす……面白いよ、はるちゃん」

通じてない……まるで、自分の言葉はつかさには届いていない。
自分は笑いを取るつもりで今までの話をしたつもりは一つもない、ずっと真剣に話し続けていたのだ。
だというのに、つかさは馬鹿にするように笑うだけ。
ただ、嘲笑うのみだ。
……いや、通じないなら通じるまで言葉を届けるまでだ。
そう思い、口を開けると……再び、つかさは笑い始めた。

「も、もうやめてよはるちゃん、お腹痛いよ……」
「……何で笑うの? 私は、ただ……」
「本気で言ってるの? どんだけぇー」
「真面目に聞いてよつかさちゃん! 私は……」
「くすくす……真面目に聞ける訳ないよ……だってさ……くすくす」

ただひたすらにその思いを届けようとする春香に、つかさは腹を抱えながら言った。















「はるちゃんは人殺しじゃない」














「っ!」

その言葉を聞いた瞬間、春香は更に一歩退こうとしてもうこれ以上退けない事を思い出した。
そう、ここは崖……あの時、人を殺した場所と同じ――崖だ。

「はるちゃんにさ、説教されても笑うしかないよねぇ。
 だって、はるちゃんも人殺しなんだもん……説得力なんて、全然無いよ、あはは」
「ぅ……ゎ、たし、は……」
「人殺しに人殺しは駄目だって言われてさ、おかしいよねぇ?
 まるで刑務所にいる人に、死刑は駄目だなんて言われてるみたいだよ。
 それに見合うだけの罪を犯してるねぇ、それを受けるだけの罪を犯してるのにねぇ。
 殺されて当然なのに、生きる権利だけ主張するなんておかしいよねぇ。
 だってそんな事が罷り通ったら、死刑執行人まで死刑になっちゃうよ……そんなの、おかしいよね?」

つかさはただ、笑っていた。
それはまるで子供がずけずけと、何も知らずに自身の感覚でおかしいと言うように。
邪念など無い、ただ純粋な感覚で指摘し。
春香を追い詰めてゆく。

「それに、守るだなんて言いながら春香ちゃんは誰も守れてないもんねぇ。
 いさじさんも、谷口さんも、スパイダーマッ!さんも……みんなみんな、死んじゃったもんねぇ?
 やっぱり、人殺しは英雄になれないんじゃないかな?」
「そ……んな……」
「だって人殺しだもんね、許されるはずないもんね、トップアイドルになりたいなんて思いで人を簡単に殺しちゃうんだもんね。
 やだなぁ、そんな人と仲間だなんて……いつ殺されるかわからないよぉ」
「あ……ぁ……」

もはや、何も言葉は出てこなかった。
それは違うなどと、否定なんて出来るはずもない。
何故なら、それは全て事実なのだから。

トップアイドルになりたいというただ貪欲な思いだけで善良な人を殺してしまった。
それからも、ずっとずっと勘違いをして。
あろう事かいさじやつかさにまでその手にかけようとして……。
それらは全て事実、忘れる事など出来そうに無い事実。

「くすくす……なのにおかしいなぁ、英雄になるなんて言っちゃってさ。
 約束も守れない人殺しに、そんな事出来るわけないのにね?
 それに、片腕だけしかないトップアイドルなんて聞いた事ないよ? おっかしいねぇ」
「ぅ……ち、がう……わた、わたしは……今の自分を超える為に、そして……」
「超えられるの? 人殺しの、はるちゃんに」
「ぁ……あ、ああっ!?」

思わず足を踏み外し、崖から落ちかける。
寸前、腕を伸ばして淵に手をかけて耐え切るが……辛い。
全体重を支えている手の事じゃない……心が、辛い。
まるでこの今の状況が、自身の心を物語っているように感じる。
過ちを犯した自身を救ってくれた彼女が、今度は自身を奈落の底へと突き落とそうとしているのだ。
言葉で、全てが事実となっている言葉で執拗に詰り、突き落とす。

「や、めて……も、ぅ……」

瞳に涙を一杯集めて春香は搾り出すように言う。
全てが事実である以上、否定のしようがない。
否定のしようがないからこそ、その言葉は壁も何もないかのように春香の心へと突き刺さる。
あまりの事に、胸に痛みさえ感じる……息をするのも辛い。
……これが、人を殺めてしまった罪に科せられた罰だというのだろうか。
あの時、英雄に……皆に誓ったその契りは果たせないのだろうか。
人を殺してしまった自分には、英雄にもなれなければアイドルに返り咲く事も出来ないのだろうか。

「ぃや、だ……わた、しは……」

それでもなお、春香は足掻き這い上がろうとする。
その姿は到底煌びやかな歓声を受けるアイドルと呼べるようなものではなく。
薄汚れ、顔は涙と苦痛に歪めた表情とで醜くなり、ただ浅ましい思慮しか出来ない愚民のようなものだった。
しかし、それでも春香は這い上がりたかった。
どれだけ惨めでも、みすぼらしくても……自分の夢や希望だけは、失いたくなかった。

「わたしは……絶対、絶対に……」
「駄目だよ」
「ぎゃあっ!?」

その手を無常にもつかさは踏みつける。
全体重を乗せ、憎いものを壊すかのように春香の手を踏みしめる。
春香が見上げると、そこにはなおも微笑みを浮かべながら、しかし軽蔑したかのような目でこちらを見るつかさの顔。
……友人だと思っていた人に、自己の全てを否定される。
どうして、何故……これも、殺めてしまった罪のせいなのか。

「はるちゃんみたいなのが、英雄だなんて認めない。
 はるちゃんみたいな人殺しが、アイドルだなんて認めない。
 だって、はるちゃんはゴマちゃんと同じ人種だもん、人殺しだもん、だから絶対に許さない。
 ……でも、私を守ってくれるんなら、罪を償うんなら許してあげれるかもしれないよ?
 私は人殺しのはるちゃんを助けてあげたんだもんね、その恩は一生かけても返せないよね?
 だからその恩に報いる為に、はるちゃんは命がけで私を守ってくれるよね?
 そうしないと罪は償えないもん……ねぇ?」
「い゛だい゛……い゛だい゛ぉぉ……やめで、づかさぢゃ……」
「やめないよ、だって痛くて当然でしょ? はるちゃんに殺された白石くんはもっと痛かったんだよ?
 あーあ、可哀想だなぁ、崖から突き落とされて地面に落ちるなんて、痛いなんてもので済まないんだろうなぁ」

もはや、春香の顔は涙と鼻水とつかさが足を動かす度に降りかかる土とで酷い有様になっていた。
本来の彼女を知る者が今見れば、一体何があったのかと思うだろう。
それほどまでに、今の彼女の姿はみすぼらしかった。

「ね、私の為に戦ってくれるよね? 守ってくれるよね?」
「ぞれは……ぁ……」

しかし、それでも春香はまだつかさの提言に頷かない。
ここで認めてしまえば、もう二度と自分は立ち上がれない。
罪は償う……その代償は、必ず払う。
でも、それとつかさの提言に従うのとはまた話が違う……彼女の言っている事は事実ばかりだが。
だが……それでも、つかさはまだ間違っている。このままつかさに従うのは簡単……でも、それではつかさは間違ったままこれからを過ごす事になってしまう。
まだ、いさじを裏切り者だと考えつけているその心が直らないうちは……。

「屈、しない……わだしは……確がに、人殺しだけど……いさじざんは……づがさぢゃ、を……」
「……まだ、言うんだ」

搾り出した声がつかさに届くと、はたしてつかさはその足を春香の手からどけた。
通じたのだろうか……自分の言葉は、いさじ達の思いは通じたのだろうか。
そう思い顔を上げるとそこには……屈み、触れるか触れないかという距離にまで顔を近づけているつかさ。

「つ……がさ、ちゃ……」
「いいよ、それじゃあもう……やっぱりはるちゃんも私を裏切るんだったら、いらない」
「い゛ら゛ない゛って……ぢがう……私は……!」
「うるさい、黙れ」

春香の言葉を遮り、つかさは自らの手をその崖を掴んでいた春香の手に重ね…。
地面から強引に引き離す。

「あっ……」

それはあまりにも呆気なかった。
春香は、ここまで言われてもまだ心の中でどこかで……それでもつかさならば、助けてくれるに違いない。
優しいつかさなら……ただ、今少し混乱しているだけでも、自分を殺すような事はしないと思っていた。
だからこそ、その腕を簡単に引き剥がされ……宙に投げ出された。

「い……ああああああああああ!!」
「くすくす……そうだ、いい事教えてあげるよはるちゃん」

谷底へと落ちぶれていく殺人者に、つかさは言葉を投げかける。
春香は落ちゆく自分の身を案じながらも、心の底のどこかでその言葉に注意をしていた。
この高さから落ちれば……ただでは済まないだろう。
しかし、それでもつかさの放つ言葉に耳を傾ける。
どれだけ酷い言葉を投げつけられても、つかさは春香にとって守るべき対象だからだ。
だからこそ、こんな状況でもその言葉を聴こうとする。

春香は、いつか自分が白石にしたかのようにどんどんと奈落の底まで落ちていく。
そして、その体は滝の中へと吸い込まれようとしていた。
そこまできてつかさはようやく口を開き、続きの言葉を浴びせる。















「英雄っていうのはね、なろうとした時点で失格なんだよ?」
















◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

全てが終わり、つかさは崖から下を見下ろしていた。
春香はあの後、何か喚いていたようだがやがて滝の中に飲み込まれてしまった。
恐らくは死んだだろう、滝の衝撃だけでも洒落にならないというのにこの高さだ。
これで死んでいなければ化け物としか言いようが無い。

「くすくす……ああ、でも殺人鬼なんて最低な人種はしつこいから生きてるかもしれないなぁ。
 ゴマちゃんだってゴキブリみたいにしぶとく生きてたし……だったら次会った時はちゃんと殺さないとねぇ。
 だって、殺人鬼だもんねぇ、怖いもんねぇ」

そう呟くとつかさは再び歩き出した。
滝の底はもう見ない、見る価値もないと言うかのように何の未練もなく。
汚らわしい虫かを便所に流し終わったかのような心地で。
ただ悠然と歩き出した。

【B-2 山道・滝付近/一日目・真夜中】
【柊つかさ@らき☆すた】
[状態]:全身に軽い打撲、手のひらを怪我。精神に異変、感情欠落、ニコニコ
[装備]:トカレフTT-33(6/8) 、飛行石のペンダント@天空の城ラピュタ、琴姫の髪
[道具]:支給品一式*4(食事三食分消費)、ピーピーマックス*2@ポケットモンスター、Fooさんの笛@ニコニコ動画(γ) デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、
光の護封剣@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ(現在使用不可)、宝石みたいな物@呪いの館、ウィンチェスター M1895/Winchester M1895 (狙撃銃、残弾1)@現実
クレイモア地雷@おじいちゃんの地球防衛軍(残り4)、無限刃@るろうに剣心(フタエノキワミ アッー!)、きしめん@Nursery Rhyme、
たいやき(残りHP50%)@ポケモン金コイキングだけでクリアに挑戦
[思考・状況]
第一行動方針:街に行ってこなたを探す。ついでに寝床も探す。
第二行動方針:カービィ、春香を敵と判断。殺したい
第三行動方針:敵は殺す
第四行動方針:笑顔が取れないよ?
第五行動方針:たいやきちゃんも進化するのかな?
※琴姫の髪をかがみのものだと思っています。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

一方……滝の流れに巻き込まれていた春香は、はたしてつかさの見解通り生きていた。
巻き込まれる瞬間、咄嗟に武装錬金を発動しその身を防護服に包み。
辛くもその生命をどうにかして繋ぎ止めていた。
そして、そのまま流れる川に身を任せ……。
ようやく川岸へと腰を落ち着ける事が出来たのは、もうだいぶ山から離れた地点での事だった。

「げ……ほっ、がばっ、かっ……はっ……」

口の中に入ってきた滝の水を吐き出し、よろよろと倒れ伏す。
シルバースキンを使ったからといって、その体に怪我が無かったという訳ではない。
流石に滝による圧力には耐え切れなかったと見え、春香のその体中は酷い打撲だらけでろくに動くこともままならない。
だが、それでも命を取り留めたというのは凄いに違いない。
シルバースキン――守るという能力に特化したこの力は、確かに誰かを守る為に使うべきだろう。
春香も、そのつもりだった。
この力で仲間を守り……過去の自分を超えるのだと……思っていた。
しかし……。

「守、れなかった……つかさちゃんを……元に、戻してあげられなかった……」

溢れる涙は、その少女の事を思うが余りに出てきたもの。
守れなかった……救えなかった……届かなかった。
自分の言葉はことごとく彼女にあしらわれ、嘲笑われ、打ちのめされた。
それは矢張り……自分が、人殺しだからだろうか。
人殺しだから、誰も救えず、誰も守れないのだろうか。
自分にはもはや、誰を救う事も出来ずただ死をもってしかその罪を償う事は出来ないのだろうか。

「嫌だよ……わたしは……皆を守って、救って……。
 そして、英雄に……アイドルに……!」

つかさは、自分に英雄になる資格が無いと言った。
最初から英雄になろうとする人間には、英雄になる事が出来ないと。
確かに……確かに、それは正しいかもしれない。
英雄と自称する人に、本当に英雄と呼べる人は少ないかもしれない。
だが、だとしたら……自分はもう既に、英雄になる条件を失ってしまっている。

「や……だ……! だって、私、約束したのに……。
 皆を守るって、約束、したのに……」

……しかし、その約束は守れずにいる。
仲間の誰一人も守れず……そして、救えていない。
やはり自分には、英雄になる事が出来ないというのだろうか……。
英雄でないから守れないのだろうか……。

「わからない……わからないよ……誰か……教えて……!」

とめどなく、涙が溢れる。
今までは教えてくれる人が、支えてくれる人が傍にいてくれた。
英雄の心得を……いさじは、春香に教えてくれた。
落ち込んでしょげていた時……魅音は春香を励ましてくれた。
スパイダーマンや福山が、英雄とは如何なるものかという事を身を挺して教えてくれた。
いや……それはここに来てからだけの話じゃない。
ここに来る前……765プロで活動をしていた時だって、いつも誰かが支えてくれていた。
出来損ないの、アイドルとしては低いランクでしかない自分を、皆が。
皆が、仲間が支えていてくれた……なのに、今は誰もいない。
ここにいるのは、自分一人だけ。

「っ! 教えて……! 誰か、教えて……!!
 私は、もう誰も守れないの……? もう誰も、救う事が出来ないの……? 英雄には、なれないの……?
 ねぇ、誰か……いさじさん……魅音ちゃん……スパイダーマッ!さん……福山さん……!」

辺りかまわず、春香は叫ぶ。
その胸を激しく掴み、眠っているはずの英雄の魂に問いかける。
だが、辺りに人影はいない……誰もいない、故に言葉は何も返ってこない。

「プロデューサーさん……千早ちゃん……真美……真……!
 誰か……ねぇ、誰か……やよい……! 亜美……!!」

夢で出会った、そしてこの殺戮の場に呼ばれている仲間の名前を呼ぶ。
しかし、言葉は返ってこない。
誰も彼女に答えを教える人はいない。
助言を与える人はいない。

「教えて……教えてよ……誰でもいいから、お願いだから……」

草原に、虚しい問いかけだけが木霊する。
答えなど見つかるはずもない、虚しい問いかけ。
ずぶ濡れになり、まるで雨に打たれた子犬のように弱弱しく。
少女は泣き腫らしながらただ意味もなく問い続ける。
その光景を、デイパックから投げ出された英雄のギターだけがただ静かに見守っていた。

【D-3 川辺/一日目・真夜中】
【天海春香@THE IDOLM@STER】
[状態]:左腕欠損(傷口は完治)。重度の疲労。全身打撲。ずぶ濡れ。精神不安定。
[装備]:シルバースキン@真赤な誓い、洞爺湖の木刀@銀魂
[道具]:陰陽玉*2@東方project 、支給品一式*3(食料・水一食分消費)、DIGIZO HYPER PSR(残り二十分程度)@現実、上海人形、花粉防止用マスク、
テニスボール*2、雛見沢症候群治療セット1.5日分(C-120、注射器、注射針)@ひぐらしのなく頃に、首輪探知機(残り電池80%)@バトルロワイヤル
[思考・状況]
基本行動方針:私じゃ誰も守れない?
1.みんなを守りたい、けど……
※身体能力が、少し向上しています。本人は気付いていません。
※ダブル武装錬金については知りません。
※アイスソードを呪われた魔剣だと認識しています。
※付近に春香の叫びが聞こえている可能性があります。



sm160:硫黄島からの手紙 時系列順 sm162:砕月
sm160:硫黄島からの手紙 投下順 sm162:砕月
sm145:OVERLAP 武藤遊戯 sm174:されど奈落に花は咲く
sm145:OVERLAP 園崎魅音 sm174:されど奈落に花は咲く
sm160:硫黄島からの手紙 柊つかさ sm174:されど奈落に花は咲く
sm145:OVERLAP 天海春香 sm166:黒より暗い人物(前編)



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最終更新:2010年03月18日 11:54