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変態、改心、カーチェイスにて。 ◆jVERyrq1dU




YOKODUNA討伐を果たした霊夢は、もうする事もないので城へ移動する事にした。
船で得た情報を早急に海馬達に伝えなければならない。
ヨッシーに車の運転を任せている。危なっかしいのでスピードは遅めだ。

「霊夢さん、やっぱりお腹空きませんか?」
ヨッシーが何も気にしない様子で平然と言った。
またか……。私は内心毒づく。
この恐竜には自分の食欲のせいで何度も面倒をかけて申し訳ないとかいった気持はないのだろうか。

YOKODUNAを排除した後、ヨッシーが腹が減ったと言ったので霊夢は自分のパンを少しだけ千切ってあげた。
そして、城に着いたら海馬達が食料を用意して待っているから頑張ろう、
といった意味合いの事を根気強く伝え、ヨッシーを納得させた。その数分後にまた『腹が減った』である。

……いい加減イライラするわよ。全く……。

ヨッシーの隣の助手席には私のデイパックを乗せてある。
空腹に加え、隣には決して手をつけてはならないパンの入ったデイパック。ヨッシーは辛そうだ。
その事について、私の心に罪悪感はない。陰湿?確かに陰湿ね。
あーあ、YOKODUNAと戦う前まではそんなにうだうだ言わなかったのになあ。
あの頃はヨッシーなりに空気を読んでてくれてたのかもしれないわね。

「ちょっと霊夢さん無視ですか?私、お腹空いて死んじゃいそうですー。ここは町だから何か食糧があるかもしれませんよ?」
「あー!もう五月蠅い!あんたってほんとに食欲だけね!さっさと城に戻らないと海馬達が心配するでしょ」
「そそそ、そんなこと言ったって……」
ヨッシーは口ごもり、困った顔をして自身の腹を押さえている。ヨッシーの腹がぐ~と間抜けな音をたてた。

さすがに言い過ぎたかな……。私は少しだけ反省する。
何度も何度もしつこく腹が減った腹が減った、と言ってきたヨッシーだったが、一応、彼に非はない。
それがどれだけ強大であろうと、空腹は所謂、生理現象なので仕方ないと言えば仕方ない。
ヨッシーは悪い事など何もしていない。

「ヨッシー」
私はなるべく優しい声を出そうと努めた。
「確かに町だから食糧がどこかにあるかもしれないけど……町は危険よ。私の戦闘音を聞きつけて危ない奴がやってくるかもしれないわ。
私達はあの船で得た情報を海馬達に届けないといけない。だからさっさと城n」
「食べ物の匂いがします!!!」

私の言葉を遮り、ヨッシーはこの殺し合いには不釣り合いな甲高い声を上げた。
何普通に大声出してんのよ……。今私、戦闘音を聞きつけて危ない奴が来るって言ったわよね……?
話聞けよこの爬虫類め。大きな音を立てるのはまずい事なのよ。

私の心中の思いなどもちろん知らないヨッシーは、どこから食べ物の匂いが漂って来ているのかと
車の窓から顔を出し、首をあちこちに回してキョロキョロしている。

「霊夢さん。わわわ、私行ってきますね。ここで待ってて下さい。すぐに戻ってきますから、二、三分で!」
ヨッシーは早口でまくしたて、車から降り駆けて行く。どうしてそんなにどもるのよ。
「ちょっとどこ行くのよヨッシー!単独行動はやめた方がいいわ」
私の言葉に気づいたヨッシーは足を止めた。やった……思い直してくれた。あいつに単独行動なんてされたらたまったものじゃないわ。
でも良かった。なんとか未然に防げたわ。ヨッシーも空気読めるじゃない。
「間違えて二つ持って来ちゃいました!!霊夢さんの返します!」
ヨッシーは私の期待を完全に裏切り、背中に乗せていた私のデイパックをこちらに投げて来た。
そしてそのまま駆けて行く……………ああッ!もうッ!

 ▼ ▼ ▼
猛スピードで走り、霊夢の姿が見えなくなったのを確認し、近くの民家に入った。
空腹の割にはご満悦の表情である。その秘密はヨッシーの持つデイパックにあった。

フヒヒヒヒ……これぐらい離れればいいかな。
私は背中のデイパックを下ろし、中から共通支給品であるパンを取り出しました。
実はさっき、霊夢さんに投げ渡したのは私の、食料の入っていないデイパックだったのです。
だから霊夢さんのデイパックは今ここにあります。パンがいっぱい入ってますねぇ。
さて、早くしないと気づかれてしまいます。

「いっただきまーす!」

私は舌を伸ばしパンを一口で飲み込みました。ああうまい。久しぶりのこの感じ……最高だ!
私は次々にパンを食べていきました。一応、一個ぐらいは残しておくつもりですけどね。
霊夢さんは怖いからこんな事がばれたら大変です。ばれないようにしないとね。

「ふぁあ、ふぉふぇいふぃへふぉふあひはふぁ(ああ、それにしてもうまいなあ)」
私は口をパンパンにして呟きます。
『おいそこのトカゲ野郎』

「ふぉ?」
あれ今何か聞こえたような……。トカゲ野郎って誰の事だろう。
『無視するんじゃねえトカゲ。俺をさっさと霊夢の所に戻せ。
折角デイパックの中から霊夢の腋を眺めていたってのに何してくれるんだ!』

あれ、何でしょうかこれ。カードが喋っています。
「ふぉおへほふぃイフェ不ふぇほほふふぁふぉふぁふぇあふぁふぃry
(どうでもいいですけど私はトカゲじゃないです。スーパードラゴンのヨッシーですよ)」
『日本語でおk 何でもいいから俺を霊夢の所に戻せ!二度とお前なんかの背中に乗りたくない!
俺は霊夢に装備して欲しいんだよぉ!レイハなんか引っぺがして俺を装備しろって霊夢に言え!
俺は霊夢の裸が見てえんだよ!間近から腋巫女を堪能したいんだよボケ!
今までずっと肉ダルマの傍にいて鬱憤が溜まってんだよ!』

ああ、なんかうるさいなあ。レイハさんと似たようなものなんですかねぇこれ。
私は口の中のパンを全て飲み込み、爪楊枝でシーシーやりながら言いました。
「そんなに裸が見たいなら私を見ればいいじゃないですか。いつでも裸ですよ私は」
『……殺すぞ。どこの世界に爬虫類の裸を見て興奮する変態がいるんだよ!
霊夢だ!レ、イ、ム、の、ハ、ダ、カ!!ああ!さっさと拝みてええええええ!!』

「見たいなら自分で霊夢さんに装備してって言えばいいじゃないですか。
裸ぐらい見せてくれますよ。私だっていつも裸でしょ?」
シーシーやりつつ言いました。これってあれですかね。このカードは所謂変態って奴ですか?
まあ、裸ぐらいいいんじゃないでしょうかね。私、いつも裸だし……。

『トカゲの裸とかわいい女の子の裸を同じに考えるんじゃねえええええ!!
ありがたみが違うんだよ!価値が違うんだよ!頭おかしいのかお前は!!』

なんか大きい声で騒いでいますが怖くありません。だってただの道具だしね。
とにかく食事の邪魔をしないで欲しいです。私は舌を伸ばし、また一つパンを平らげました。
「ふぉ、ふぉくふぃ……食事の邪魔はしないで欲しいですね……(モグモグ)」
『クソ、やっぱりお前、デイパックの中から観察していたが、食欲だけしかないんだな……』

『あ、そうだいい事思いついた』
私は銃の呟きを無視し、パンを食べ続けました。ああ、もうちょっとでなくなるぅぅぅ。

『……話だけは聞いてくれ』
「ふぉ?」
これが最後だと思い、口の中にパンを詰め込みまくった私に向かってカードは語りだしました。
『いいか?俺の目標は霊夢の裸を見る事。つまり装備してもらう事だ。
俺だって初めは装備してくれってデイパックの中から言おうと思ったさ。
だが、ターゲットにはすでにレイハの奴が張り付いているじゃねえか。しかもこう、なんというか、信頼関係にあるように思える。
だから俺は慎重に行こうと考えたわけだ。する必要もないのに、いきなり装備してくれってデバイスの方から言うのはおかしいだろ?』

「ふふぁふふぃふ!!(うますぎる!!)」
やばいやばいこのパンうますぎ。霊夢さんのパンうま過ぎですよこれ。
今までずっと我慢させられてきたからかな?あ、まだカードさん言ってたんだ。

『それくらいの事はお前にも分かるか。安心したぜ。
で、だ。お前から俺を推薦してもらえないか?『試しにクロミラ装備してみれば?』ってな。
まあ、『試し』って言っておけば霊夢にも断る理由なんてないはずだ』

「ふぁ!!」
やべ、もうあと一個しかない。うう、一つくらい残してなきゃ霊夢さん、切れますよねぇ。

『見たいんだよ……ヨッシー。俺は何としてでも腋巫女の裸を目に焼き付けたい。
俺の事を変態だと笑うか?笑われてもいいさ。俺は真剣なんだ。大マジさ……。
女の子を裸にしてレ○プする事が……俺の使命だからな……』

真剣な口調で、若干カッコつけてクロミラさんは言っています。
「真面目にそんな事言わないで下さいよ」
『俺は真面目なんだよ!正直言えば裸なんかじゃ全然物足りないね!
俺は霊夢をレ○プがしたいんじゃ!一枚一枚脱がせたいんじゃ!セクハラしてやりたいんじゃ!
霊夢の体をもうめちゃくちゃに触りまくってやりたいんじゃ!合体してええええ!』

そんな事言ってもねえ。もしかしたら私が怒られるかもしれません。あ、そんな事よりも。
「私があなたを霊夢さんの所に持っていったら、霊夢さんのデイパックを盗ったってばれるじゃないですか!」
『その点は心配ない。霊夢は肉ダルマのデイパックを逆さまにして、中身をそのまま自分のデイパックに入れていたんだ。
確認なんてほとんどしてないはずだ』
「……ほんとですか?」
『本当だ。確認は城でするつもりなんだろ、多分。で、協力してくれるんだな?』
「それとこれとは話は別ですよ」

クロミラさんはオーマイガッとか言って嘆き始めました。
なんだか本当に悲しそうです。でも、そんな事に協力したら私が怒られるかもしれないじゃないですか。

『どうしてだヨッシー!お前もオスだろ!?女の体を見たいって言うのは男として当たり前だろ!?』
「でも私と霊夢さんはこう、別の生き物なんですよ!」
『バーロー!種族の差ぐらい性欲で乗り越えろ!頼むから考え直してくれよ!
お前だって霊夢の裸を見たいだろ?何でもいいから協力しろ!殺し合いするよりエロい事した方が楽しいだろうが!』

霊夢さんの裸……うーん別にどうでもいいですねえ。
でもクロミラさんは物凄く真剣だ。心から見たいと願っている。
熱意だけは確かに伝わってきていますよクロミラさん……。
「…………だが断る 面倒くさいです」

私の返事を聞いた瞬間、クロミラさんは沈黙しました。
そして時折、嗚咽のようなものが聞こえてきます。まさか泣いてる?

『ううう……俺一人でどうやって霊夢を裸にすればいいんだ。
くそう、あのレイハの野郎さえいなければどうにでもなったのに……ちくしょぉ……』
やっぱり泣いていました。うう、これは断った私も辛い。気まずい。
「さ、さっさと帰りましょうクロミラさん」
私はデイパックを背負い、クロミラさんを手に持ち、立ち上がりました。
少し時間がかかってしまった。霊夢さんが怪しんでいるかもしれない。

私は民家の出口の方に足を進めました。その時です。私がドアを開ける前に誰かが外からドアを開けました。
入ってきたのは男です。暗くてよく分かりませんが、首の辺りに大量に付いているのはもしかしてケチャップ?
凄く……旨そうだ。

「話は聞かせてもらったぞ! 協力しよう!僕はその子の裸を盗撮する!」

 ▼ ▼ ▼
時は遡る……

僕は何かの爆発音を聞き、警戒のため民家に身を潜めていた。
耳を澄ましていると、激しい戦闘音が次々に聞こえてくる。
拳銃を撃ったとかいうレベルではないのは明らかだ。もしかして人間以上の化け物が暴れているのかもしれない。
化け物というのも案外あり得ない話ではないのだ。ロックみたいなロボットもいたのだから……。

しばらくすると戦闘音は聞こえなくなった。決着がついたのか、それとも、片方が逃げたのか……。

「終わったみたいだ……」
僕は民家の窓から出来るだけ広い範囲を見渡し、様子を見た。
辺りは静かで、見たところ安全だ。

今すぐ動くのは危険か?……いや。
早く薬局に行って全身の傷を治療したい。体中が激痛に襲われて思うように動けないからだ。
ハルヒさん(永琳)ならこの傷もうまく治してくれるはずだ。だから……警戒しながら行くか。

僕は激痛に耐えながら懸命に歩き、ようやく薬局に辿り着いた。
辺りを警戒する事は勿論忘れていない。残念な事にハルヒさんはいなかった。中ももぬけの空だ。
地下に降りてみると、ご丁寧に肝心の薬まで誰かに盗られたのか、ほとんどなくなっている。
それでも少しは残っていたので僕は全身の傷に一つずつ応急処置を施していった。

こんな事しても僕はもう終わりかもしれない。
ニート達に飲まされた薬のせいで首の痒みが止まらない。どんどんひどくなっていく。

「クソ……」
僕は呟いた。ハルヒさんがいないのは本当につらい。今のところ、ハルヒさんは僕のたった一人の味方だ。

『霊夢だ!レ、イ、ム、の、ハ、ダ、カ!!ああ!さっさと拝みてええええええ!!』

僕が応急処置を終えた直後、それは僕の耳に飛び込んできた。
なんて台詞を大声で……。ふふ、まあ僕にだってそういう気持ちはわかるけどね。

僕はふと、ニートと共に偽ハルヒとロールのパンツを盗撮したのを思い出した。
あんないいものを撮影出来たのは本当に嬉しかったけど今思えばぞっとする。
僕は主催側の連中とあんな戯れをしていたんだな……。
あの時、調子に乗って偽ハルヒ達を追いかけて梯子を上り、偽ハルヒ達のすぐ真下からパンツ撮影を行ったり、触ったりしていれば、
間違いなく奴らは切れて、その凶悪な本性をむき出しにしていただろう。
危ない危ない……あの時下手すれば殺されていただろうな。遠距離からの盗撮だけで我慢しといて良かった。

っと、こんな事はどうでもいい。それより今聞こえてきた声の中に、霊夢という単語があった。
ニートから聞いた人物だ。その霊夢はニート達と同じ主催側なのかどうか……白か黒かはっきりしない。
もし霊夢が僕と同じ立場なら、変態から助けてやらなければならない。よし。とりあえず、行ってみよう。

僕は声の主を割りと早く見つける事が出来た。とある民家の窓から中をそっと覗く。
暗くて細かいところはよく分からないが、そこには夢中でパンを貪る恐竜と、喋るカードがいた。
奇妙な生物?二体に出会ったことで僕の思考は少しの間フリーズした。
ここで我を忘れないて暴走しない辺り、やっぱり僕は冷静なはず。
あの二人もロックマンみたいな存在だろうと無理やり自分を納得させる。
僕は雛見沢症候群なんかじゃないからね。今更、こんな事では慌てない。会話を盗み聞きする。

ははははは、へぇあ……どうやら彼らは少し離れた所にいる霊夢という女の子にいたずらをしようと考えているらしい。
あの銃を装備すると裸になるようだ。クロミラというカードはその事を利用して霊夢を裸にしたいらしい。
うんうん、中々いい事を考えるねぇ。ま、それぐらいの軽いいたずらなら悪い事ではない。お遊びで済む……な。

『見たいんだよ……ヨッシー。俺は何としてでも腋巫女の裸を目に焼き付けたい。
俺の事を変態だと笑うか?笑われてもいいさ。俺は真剣なんだ。大マジさ……。
女の子を裸にしてレ○プする事が……俺の使命だからな……』

……ははは。過激だなぁクロミラ君……。彼とはいい酒が飲めそうだ。いや、クロミラ君は飲めないか。

『俺は真面目なんだよ!正直言えば裸なんかじゃ全然物足りないね!
俺は霊夢をレ○プがしたいんじゃ!パンツめくりたいんじゃ!セクハラしてやりたいんじゃ!
霊夢の体をもうめちゃくちゃに触りまくってやりたいんじゃ!』

ははは、ちょっと欲望を丸出しにしすぎだよ。しかし全くいい事言うなあ。彼とは間違いなく仲良くなれそうだ。

「…………だが断る 面倒くさいです」

クソ……あの恐竜め、空気が読めてないな。もしかしてあいつも主催側の人間じゃないのか。そうに違いない。

『ううう……俺一人でどうやって霊夢を裸にすればいいんだ。
くそう、あのレイハの野郎さえいなければどうにでもなったのに……ちくしょぉ……』

クロミラ君……。大丈夫だ僕がついている。

僕はクロミラ君に協力するため、民家の入り口を開けようとした。
しかし、僕は直前で動作を一時中断した。

待て……こんな浅はかに行動していいのか僕は?まだ、霊夢や恐竜が仲間かどうかはっきりしないじゃないか。
まあ、クロミラ君は絶対にこちら側のはずだけど……。どうする、どうする僕?
まあ……いいだろう。どうせ乗りかかった船だ。霊夢とヨッシーが白か黒かは彼らと接触しながら考える事にしよう。
黒ならば必死に戦うなり、逃げないといけない。しかし、白ならば一気に仲間が増える。
僕は主催側の人間をひとり殺したんだから、少しぐらい息抜きしてもばちは当たらないはずだ。
というわけで、ここはクロミラ君に協力するとしよう。

僕は入り口の扉を開いた。

「話は聞かせてもらったぞ! 協力しよう!僕はその子の裸を盗撮する!」

 ▼ ▼ ▼
「うわっ!何するんだ!?」
「あーん。ケチャップ舐めさせて下さいよぉ」
私は舌を伸ばし、男の人の首に付着しているケチャップを舐めようとしました。
が、男の人は避けてしまいました。
「避けないで下さい。首を綺麗にしてあげますよ~」
「馬鹿!これはケチャップじゃない!血だ!」
え……血?マジで?だったらこの人血まみれ?

「ちちちち、血ですかぁこれぇ!?何てもの舐めさせようとするんですか貴方は!?」
「き、君が勝手に舌を伸ばしたんじゃないか!いきなり何のつもりだ!やっぱりお前も悪人だな!?」
男の人が拳銃をこちらに向けてきます。
「ち、違います!ケチャップと思っただけですよ!」
「どこの世界にケチャップを首に塗りたくる奴がいるんだ!?怪しいぞお前」
男の人が私に銃口を向けたまま、引き金を引こうとします。

『待て!その爬虫類は俺の仲間だ、手出ししたら許さないぞ!』

男の人はクロミラさんの言葉に反応し動きを止めました。

『そいつは殺し合いには乗ってないし、善人だ!俺が保証するぜ』
「……それは本当かい?」
男の人の声が明らかに優しい感じに変わりました。
クロミラさん。感謝します。
『本当だ!俺もヨッシーも悪人なんかじゃない!ただちょっとしたいたずらを考えているだけだ!』
「……いたずら」
いたずらと聞いて男の人の目の色が何かを思い出したかのように変わりました。
さっきまでの張り詰めた表情が緩んでいきます。

「よし、君がそこまで言うなら信じよう」
『ヨッシーが失礼をしたようですまない。で……俺達のいたずらに協力してくれるってのは本当か?』
「ふふふ、勿論さ!こういう危険な場所でも楽しめる時は楽しんでおかないと損だからね。
僕は霊夢が裸になった瞬間を激写してみせるよ」
『ふへへへへあんたとはうまい酒が飲めそうだ。
もし写真が撮れれば後で何回でも、霊夢の生まれたままの姿を楽しめるな。ふひひひひ』
「フヒヒヒヒヒ」

駄目だこいつら……早く何とかしないと……。と、私は思いました。

「あの、ところで名前は何なんですか?」
私は恐る恐る聞いてみました。男の人はイライラした目つきで私を睨み、答えます。
どうして私は嫌われているんでしょうか……。あ、首を舐めたからか。
「僕は富竹。フリーのカメラマンさ」

『富竹。あんたが協力してくれるのは本当に嬉しいし、有難い。しかしだ、俺とあんただけじゃやはり駄目だ。
霊夢は警戒してしまうだろう。ヨッシーの協力が必要だ』

クロミラさんがこう言うと、富竹さんは再び私を睨みました。
うう、やっぱり私も手伝わなくちゃ駄目なんですか……。でも、霊夢さんは怒らせたら絶対に怖い。
YOKODUNAと戦っている時なんてまるで鬼のようでした。

『ヨッシー、何を悩んでいるんだ。お前は俺に一つ貸しがあるだろ?協力しろよ』
「貸し?何の事ですかそれは?」
『恩知らずな奴だな。お前、さっき俺が富竹を止めなかったら撃たれていたぞ。』

う……確かに。私はクロミラさんに貸しを作ってしまった。
「そ、それとこれとは話が別ですよ!」
『富竹さんよ。こいつまだこんな事を言ってやがる。恩知らずな奴だぜ。もしかしてこいつ悪人かもしれねえ……』
「やっぱりそうか……」
富竹さんがまた銃に手をかけます
「わ、分かりましたよ。手伝います!」

うう、何なんですかこの二人の妙な連携は!霊夢さん怖いのに……!

『さて、富竹のためにもう一度、俺の華麗にして完璧な作戦の説明をしようか』
「お、頼むよクロミラ君」

『殺し合いなんて関係ないね!俺は女の裸が見たいんじゃ!』
 ▼ ▼ ▼
「遅いわよヨッシー!心配したじゃない」
数十分車の中で一人待った後、ヨッシーは現れた。探しに行かなくてよかったわ。

「その……霊夢さん。ちょっと変な物を見つけたので着いて来てくれませんか?」
「変な物?何よそれ」
「き、来てみれば分かりますから。あ、近いですから歩いていきましょう」

なんでまたどもってんのよ。冷や汗浮かべちゃってるし……。
私はヨッシーに少々怪しいものを感じたけれど、構わず着いて行くことにした。
言えないって事はもしかして、あの船みたいにゲーム破壊に関わる重大な物なのかもしれない。

しばらくヨッシーに着いて歩き、私達は一軒の民家に到着した。
「何ここ?ここに変な物があるの?」
「は、はい。そうなんですよ。なな、中に入りましょう」
「どうしてそんなに動揺してるのよ」
「ししし、してませんしてません」

……何なのよもう。


『全くあの爬虫類野郎。演技が下手な奴だぜ』
「ああ、全くだ。イライラするな」
『さて、そろそろターゲットが家の中に入ってくるぞ。準備をしておくんだ相棒』
「OK!粛々、粛々といこう」


私はドアノブを回し、民家の中に入った。家の中は当然の事だが、暗く、殺風景だった。
入り口の向かい側には奥の部屋へ続くドアがある。
「何があるっていうのヨッシー?」
「ゆ、床に何か落ちています」

私は床を見た。暗くて一目では分からなかったが、確かにカードが落ちていた。
これのどこが変な物なのよ。

『あれは……クロスミラージュ』
レイジングハートはあのカードを知っているようだ。……っていうかあれ、YOKODUNAの遺品の中にあったじゃない。
(日吉が言ってた奴ね。詳しく調べる必要があるわ。あれはただのカードじゃないのよね?)
『はいレイム、あれは私と同じデバイスです』

ところで、どうして私のデイパックの中にあったものがここにあるのかしら。まさか、ヨッシーの奴……。
私は今持っているデイパックの中を覗いた。中にはRPG-7という武器とプラスチック爆弾が入っていた。
食料は入っていない。これはヨッシーのデイパックだ。

「ヨッシー?」
「はい……?げッ!」
私はため息を吐いた。
「私のとすり替えたのね?見損なったわ」
「ご、ごめんなさい霊夢さん。ちょ、ちょっとした出来心で……」
「…………」
やれやれだわ。食べ物のためなら何でもするのねこいつは……。

私はヨッシーの持つ私のデイパックをぶん取り、代わりに私が持っているデイパックを押し付けた。
中身を確認してみる。案の定、パンは消えていた。いや、一個だけ残っている。
ヨッシーなりの気遣いだろうか。まあ、全部食べなかったんだからここは許してやるか。
「ご、ごめんなさいもうしません霊夢さん」
「もういいわよ。で、私に見せたい物って何」

「あ、あれを見てください。喋るんですよアレ」

レイジングハートだって喋るじゃない。何を今更……。
私はクロスミラージュとかいうデバイスを拾おうと足を進めた。その時だ。



sm162:砕月 時系列順 sm163:変態、改心、カーチェイスにて。(後編)
sm162:砕月 投下順 sm163:変態、改心、カーチェイスにて。(後編)
sm155:『殲滅計画YOKODUNA』(後編) 博麗霊夢 sm163:変態、改心、カーチェイスにて。(後編)
sm155:『殲滅計画YOKODUNA』(後編) ヨッシー sm163:変態、改心、カーチェイスにて。(後編)
sm156:Stars Strike(後編) 富竹ジロウ sm163:変態、改心、カーチェイスにて。(後編)



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