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両手には飛び立つ希望 ◆OZbjG1JuJM




あれから、どのくらいが経過しただろうか。

今のところ橋を通った参加者はいない。先ほどの連中以外の集団が山、城、あるいは街で留まるつもりなのかもしれない。
城の方へは既にエアーマンとクラモンがいるからそこは彼らに任せて置いておく。
街は特に人の目につき易い場所だ。禁止エリアの数、及びそれらによる隔離エリアが増えてマップが狭まった今なら自然と人集まる。放っておいても少なからずの戦闘は起きるだろう。

山はこの闇では視界に難がある。その所為で動かないというより動けない参加者もいるかもしれない。だが、狙うにしては月が出てるとはいえ足場が不安定だ。
仮にここを離れることにしたとしても、今の所行き先として選ぶべき場所ではないだろう。

「となるとすればやはり今のところはここで待機するのが無難、だな」
TASとて待ち伏せするからに一時間で獲物がHOI☆HOIやってくるとは思ってはいなかった。
蜘蛛は自分の罠にかかる獲物を何時間でもじっと待つ。それにこの狭くなったマップだ。街同様に目立つシンボルである城を目指す参加者も少なくないだろう。

「やっぱり……でも……」
またか。TASは横から声がした方を見もせずに少し呆れの表情を作った。
あれから涼宮ハルヒは長いこと唸ったままである。何か計略でも立てているのかもしれなかったが、この様子ではろくに進展もしてないのだろう。

正直鬱陶しかったのでサナギクラモンと見張りに行かせようかと考えたが、それはそれで向こうで面倒を起こされそうな気がしたので、動く気配もなさそうだし放置しておくことにしたのだ。
時たま何かを考えてるかのようにぶつくさ喋るのがまた五月蝿かったが。
戦闘になったら盾に使おうかとも考えたが気付いたら突撃を仕掛けてそうな盾など盾ではなくむしろ枷だと考え直し、やめておくことにした。

その内にサナギクラモンが帰ってきた。見つけたという参加者の詳細を聞き、TASは軽く笑みを浮かべる。
「そうか……奴らが戻ってくる可能性もあったな」
三体とも致命傷ではないにしろ、攻撃を加えてある。その戦闘力は侮れないが油断と己の過信さえしなければ遅れを取るような相手ではない。
冷静に事を勧めさえすればデュオンもポーキーもタブーもノーダメージで倒せるのだ。

「小娘。これから俺とサナギで参加者の排除に向かう。貴様はここで待機していろ」
TASはハルヒにそう残して立ち去ろうとしたが、当のハルヒは計略に夢中になってるのか上の空の返事を返すのみであった。やはりこいつも殺しておくべきか?

仕方ないので放っておくことにしよう。帰って来ても未だに悩み続けてるようならそれはそれで良し。いなくなっていても余り問題はないだろう。どうせあの様子で連れ歩いても足手まといだ。
奴がゲームに反逆するグループの差し金であれば危険だが、始めて逢った時、そして友人という男を殺してから戻った時のことを考えるとその可能性は捨てても良い。

片手にロールバスター、もう片方の手にゼットソーハードインパルスとかいう鋸を装備する。
どこかで見覚えがある光景だと一瞬思い、すぐにあの友人の装備そのままだったということを思い出した。
「ふん、俺もいい加減疲れているのか……橋で休息を兼ねたのは間違いではなかったな」
自嘲気味にそう呟くと、TASはサナギクラモンもといクリサリモンを引きつれ東へと歩き始めた。

ハルヒはそれでも呻き続けていた。




月が昨日と変わらぬ明りを放っている。そのお陰か、大して迷わずに橋に戻ってくることができた。
よく見てみれば月が昨日と比べて全く欠けていなかったのが気になったが、今はそれどころじゃない。

あの戦闘が嘘のように静かだ。あの後、彼らはどうなってしまったのか。
見事TASを倒すことに成功して、今は橋で休んでいるのか。
それとも──もう片方のパターンは、考えるべきではないだろう。

レナが先頭に、橋に踏み入ろうとした──その瞬間、ピッピは言いようのない悪寒を覚えた。
「フリィッ!」
「わっ! コロネ?」
その直後、予めボールから出しておいたコロネが突如威嚇するような鳴き声を出した。
レナも驚きはしたが、コロネの尋常でない様子と前方からする覚えのある気配を察知し、拳を固めこなたに向かって叫んだ。

「……分かる。私も分かるよ。こなちゃん、構えて!」
「……! まさか、あいつ!」
こなたも右拳を固める。次第に二つの影がゆっくり大きくなり、奇怪な姿をしたサナギを連れたTASが姿を現した。


「どうしたのかな、かな? 確実に人数を減らそうなんて考えてる人が奇襲をかけてこないなんてね」
「それも考えてはいたが貴様らはあの距離で俺の存在を感知していた。それで直奇襲をかけようのものなら俺が自爆していただろう」
淡々と答えるTASの後ろでサナギが笑うように触手をくねらせている。あれもまた、コロネのように支給されたモンスターなのだろうか。

「あんた……キバ君や妹ちゃんを、皆をどうしたんだよ!」
怒りの形相を貼り付けたこなたが半歩歩み出ながら怒鳴る。こなたの腕の中でなおも震えが止まっていなかったピッピも、恐怖しているのか怒っているのかどっちともつかないいような顔でこなたの前に歩み出た。
「声が震えているな。この血を状況を見ても分からないというなら教えてやる。
 キバと呼ばれていた男なら俺が殺した。少女と男の二人はワープのカードか何かで逃げたようだが、水銀燈、とかいう人形なら後ろのサナギが仕留めてくれたようだ」
 終わった仕事の成果を報告するかのように述べるTASの言葉を皆まで聞かず、こなたが走り出した。

「コナタノキワミッ!! アッ────!!!!」
繰り出される拳をいとも容易く避け、ロールバスターの一撃を加えようとしたがTASは更にもう一回バックステップを取る。
上空から目の前にコロネが飛び込んで来ている。こなたの拳の方はフェイントのつもりだったらしい。
だがその作戦をあっさりと看破したTASはロールバスターをコロネの方に放った。コロネは既に上空に逃げていく所だったが、いくつかの弾を避け切れずに羽に被弾した。

間髪入れずに前に出たレナが振り回してきた鉈のスピードに驚いたがTASの対応出来ないスピードではない。ゼットソーインパルスで軽く受け止め、背後のクリサリモンの触手がレナの腕を切り裂き思わずレナが後方に下がる。
さらにクリサリモンが追撃を加えようとした瞬間、再び前に出ていたこなたの拳がクリサリモンの固い殻を襲った。
思わず後方に下がるクリサリモン。しかし今度は横から回り込んでいたピッピが出した青い炎で更にダメージを受けてしまう。

(やはり、ここまで来るまでの間に戦法や陣形を練っていたようだな)
侮れない相手だ、とTASは改めて敵の実力を認める。細かい攻撃が飛んでくるためにこちらも指示を出しにくい。
終盤まで生き残る程の相手だ、クリサリモン一体程度では最早捨て駒にしかならない。だが。

(だが……その捨て駒も、有効活用さえすれば強力な武器となる!)


拳の雨による追撃を受け、クリサリモンがとうとう地に伏した。そのスキとつかれTASの蹴りを喰らい吹っ飛ぶも、それでもまだ起き上がってきている。
「次はお前だぁぁっ!」
背後から小さい方の少女の声がした。だが、振り向きもせず攻撃を読んでいたTASはこなたの一撃をかわし、ロールバスターで弾き返さんと構えて、
しかし一瞬自分の体に違和感を感じ──

それに僅かに気を取られた頃にはこなたのニ撃目がTASの腹を捉えていた。

「ぐっ……馬鹿な!」
「え? あ、ウソ……上手くいった!?」
尻もちをつき腹を押えるTASに、攻撃を放ったこなたも、こなたの攻撃を回避した所に突っ込もうと構えていたレナ達までもが驚いていた。
「……こなちゃん! 今の内に一気に畳み掛けるよ!」

(奴の攻撃が早くなった……いや……俺の方が低下していたというのか!)
連戦に次ぐ連戦、その上その戦い毎に幾度となくダメージを受け続けていた。それでなお動き続けていたのだ。積もりに積もったそれらは僅かながらもTASの運動能力を鈍らせ始めていたのだ。
(ふん、慢心を捨て切れていなかったようだな……。自らの体調を信じすぎていたのか)
全く、この場での戦いで幾度学んだことかと自嘲気味に立ち上がる。迫るレナの鉈と拳の連撃を、ゼットソーハードインパルスの耐久を考えで受け止めずに最小限の動きで回避してロールバスターを放った。

(だが引き返すことはできない……ならば、この不調が響く前に事を済ませるのみだ)
言葉の通り畳かけるように突っ込んでくるコロネにロールバスターを浴びせる。本体には当たらなかったが、羽がボロボロになり始めている。まともに動くことも出来なかろう。
続けて指を振りながら突っ込んできたピッピに蹴りを喰らわせる……だが、ピッピは吹っ飛ぶどころか怯みさえせずにもう一度指を振った。
刹那、ピッピがTASにさえ劣らぬかという勢いで体当りを仕掛ける。TASは咄嗟に膝で受け止めたが、かなりのダメージを受けてしまった。

「ピィッ!」
必死の形相でピッピは続けざまに指を振った。最初「りゅうのいぶき」、そして「まもる」「しんそく」。しかし今ので出た「あわ」は届かず、さらに「もろはのずつき」は大きなスキを見抜かれロールバスターで吹き飛ばされてしまう。
TASはそれに気を取られて思わず無防備になったこなたを狙おうとしたが、ピッピが再び起き上がって「かえんぐるま」で炎を纏い突進してきたため足を止めざるを得なくなってしまう。
さらに指を振ってから今度ははねるような動きをしているピッピにロールバスターを再度食らわせてもなおピッピは立ち向かうことをやめなかった。

テレポートで逃げてしまったこと、ひたすら自分の保身ばかり考えてしまったこと。そして自分の情けなさ。
それらがピッピが何度も立ち上がる原力となっていたのだ。そして、それゆえに彼は極端になっていた。
自分がどうなってもいいから、この男を絶対に倒すのだと。

TASはそんなピッピの様子を薄々感づいていた。
そして、だからこそ彼はあえて、わざと嘲るような笑みを浮かべる。
「小動物……威勢は買ってやる。だが、一つ教えておいてやろう。人がその行為を何と呼ぶかをだ」
「ピィィッ!」
お前の言葉何か聞くものかと指を振って出た「みだれひっかき」、さらに「マッドショット」を回避しながらTASはピッピではなくその後ろを見ていた。
加勢しようとしているレナでも、こなたでもない。もっと前に、そこにいたもの。

「『蛮勇』を振るうのは、程ほどにしておいた方が良いな」
TASしか見えていないピッピは気付かなかった。
その言葉を合図にしたかのように、後ろから一直線に『何か』が飛んで来ているのも。

それに気付いたレナが拳を振りかぶって阻止せんと走り始めているのも。


それより先に、こなたが『何か』とピッピの間に踊り出ていたのも。

TASの異様な笑みに反射的に振り向いたピッピの目には、赤い何かと青い何かが踊っているように見えた。
赤い何かは飛沫を上げる液体。青い何かは流れる水のような長い髪。


(あ、)
「こなちゃん!!!」
そのまま崩れ落ちているのは自分ではないのに、回りの様子がスローモーションになってるように見えた気がした。




刺されたのは……こりゃまた見事に胸、ど真ん中……か。というか貫かれてるから胸じゃなくても致命傷だろうね。
……これ、もう助からないかも。これで私がサイヤ人だったらパワーアップフラグなのになあ。
ほとんど無意識で駆け出しちゃったけど。でも、仕方ないよね。目の前で仲間が刺されようとしてるってのにボーっとつったってるわけにもいかんざきさ。

……あー、胸、痛いっていうか熱い、なぁ……
やっぱり死んじゃうんだな、私。さっきまであんなに真っ赤なこなたしてたのに何ゆえ死に際に限って素に戻っちゃうかな?
かかがみんが見てたら『それじゃあんたらしくないからよ』とか言ったり……なんちって。

だんだん眠くなってきた。ネトゲで連日徹夜した時よりもひどい眠気だ。
たぶん……このまま目を閉じたらきっとかがみんがいる所に私も行くのかもしれない。
そこに、お母さんもいるのかな。……お母さんといえば、お父さんにごめんなさいって言わなくちゃだね……あとゆーちゃんに、お父さんをよろしくともさ。

それと、レナちゃんにピッピにも何か言いたいんだけど……TASが攻撃してるもんだからその余裕もなさそうだなあ。
全く変身シーンに攻撃する敵キャラぐらい空気読めない奴だね。

直接何か言えないなら……うーん……
……よし。こう、言い残しておこう。
きっとこういうのは、心で伝えるもの、だよね。
だから。

「わたし……は……みん、なを……しんじ、て……る、か……ら……」

もう、眠気に勝てそうもないかな。
私の意志はさっき言った通り。だから……後は、任せたからね。
それじゃ。




「よくも……こな、ちゃんを……!」
「どうした、激昂した頭では当たる攻撃も当たらんぞ。それにあれを殺したのは正確には俺ではなくあのサナギだが」
涙を滲ませながらレナが放つ拳の雨を容易く避けつつ、TASは内心ほくそえんでいた。

(面白いほど上手くいってくれたな。サナギを失ったのが惜しいが、それは致し方あるまい)
TASはレナ達が作戦を立てていたように、クリサリモンに予めある程度ダメージを受けたら死んだフリをするよう指示しておいたのだ。
そして頃合いを見計らい、誰かがクリサリモンの前に立ったら奇襲を仕掛けさせる。
上手くいけばそいつを殺せるし、そうでなくても他の誰かが庇うだろう。それで一人でも死ねば、奴らの性格からどんな冷静な奴でも思考が乱れるという者だ。
あの少年の言っていた仲間を信じる心。それを、利用してやったまでのこと。サナギクラモンはその後鉈の一撃を受け沈黙してしまったが、駒が駒なりの活躍をしただけだ。
それについては後で褒めてやらんとな。

続けざまにレナにロールバスターを浴びせようとすると、左右から蝶と小動物が向かってくる。
死ぬ寸前に指示でも出したのか。成る程、いいセンスだ。だが……

「下僕でさえ主人を殺され怒ってるのか。こちらとしては好都合だな」
TASがレナを蹴りでいなした後、即座に照準をコロネに変え、さらにメタルブレードのチップを装着し弾を発射する。
チップを取り出す隙、その性能から考え集団戦であればロールバスターの方が良いと考えていたが、そろそろこっちも使って良い頃合いだろう。

放たれた鉄の刃は蝶の胴体を真っ二つに引き裂く。それを見て僅かに小動物がブレーキをかけた所を狙ってこちらにもメタルブレードを放った。勘が良いのがすぐに横っ飛びで避けられたがそれでもいくつかが命中する。さらに止めを刺そうとしたが、少女の邪魔が入った。

「あなたは絶対に許さないっ……!」
「陳腐な台詞だ。少し、頭を冷やしてやろうか」




体中が痛い。当然だ。あのTASの攻撃を何度も受けて、キバ君が持ってたメタルブレードの攻撃をも喰らったんだ。

自分のことばかり考えてて、一人で突っ走ってて。それでコナタもコロネをも死なせて……自分は無様に倒れながら、レナを助けにも行けない。
なんて情けない最期なんだと、僕は静かにその生涯を終え……




「てたまるかってんだよ!!」
実際にはピィとしか言えてないけど、とにかく僕はそんな感じで自嘲を始めようとしていた自分に叫んでいた。
ボロボロなのにこんなでかい声を出せたなんて自分でも驚ける。でも、その訳だってすぐに分かったんだ。

なあ、僕。コナタとコロネが死んで、自分の所為だってうじうじしながら死んでいくつもりだったのか?
あれだけたくさんの人が死んで後悔し続けたってのに、まだ弱虫が直らないのか?

ケーイチに、ピカチュウに、カガミに、ゴマモンに、マコトに、コナタに、
コーイチに、コージに、ヒロユキに、スイギントーに、ティアナに、イモートに、レナに。
こんなにたくさんの人から勇気を貰ったのに。
TASの奴が言ったように、蛮勇だけで終わらすつもりなんて、僕には、さらさらありゃしない。

こんな姿、みんなに見られたら一回失敗しといて何を今更なんて叱られるかもしれない。
そしたら、全てが終わった後でいっぱい謝ろう。それで、絶対にこのゲームを僕らで壊すってもう一度、勇気を示そう。

コナタとコロネが命を張って助けてくれた。
レナがまだ頑張っている。

だから、僕はそれに答える。

たったそれだけのこと。



ゆっくりと指を構える。何でだか、次に出る技がなんとなく分かった気がして、「こうそくいどう」での移動経路を定めた。
TASにメタルブレードで狙われてるレナを抱え、さらに上手く遠くに逃がす。それから「とんぼがえり」を利用して戻ってくる。
途中でメタルブレードを少し喰らったけど、それが何だと言うんだろう。

そして「こわいかお」でTASの動きを鈍らせた。元々動きが鈍りつつあるから、目を逸らされたとはいえ多少効果はあったらしい。
まるで全部の技を使えるミュウのように滑らかに動ける。
ケーイチが、自分は運が強いとか言ってたっけ。だったら彼に「きょううん」や「てんのめぐみ」のとくせいでも貰ったのかな。


もう一度、指を振る。これで何か出るか、今度はハッキリと分かる。
そういえば、ポケモンリーグの最後の戦いもペッペがこれで締めたんだっけとか思い出しながら。

僕が光に包まれた。



「だいばくはつ」



強烈な爆発が周囲を包んだ。橋を壊してしまったかもしれない。
それが全部止んでから、だんだんと意識がなくなっていくのが分かった。
今の僕の状態は「ひんし」。だから、別に死んだわけじゃない。ポケモンセンターに行けばまだ治る領域だけど、ここにはそんなものはないからつまるところ時間の問題ってわけだ。

そういえば考えたことはなかったっけ。この状態でひでんワザではなく普通のワザを使ったらどうなるんだろうって。
「ひっかく」や「にらみつける」ぐらいならちょっとは使えるかもしれない。でも、プップが言うにはそんな無理したら死んじゃうだろうってさ。

だけど、それでも。
レナが爆風に飛ばされ、ケガをしてるかもしれない。レナが一番攻撃を受けてたからひょっとしたら危ないんだ。だからこそ、次に指を振って出る技がぴったりなんだ。
ひょっとして、さっきから次の出るワザがことごとく分かっていたのはあれかなあ……死ぬ前の、超感覚みたいなものだったのかな。

今までに何度このワザを繰り返したっけ。でも、僕の出すワザってことごとく微妙だったんだよね。
ここにきてこのワザが出るのは、それが今に来て運が向いてきたのもあるのかもしれない。


「ピッ……ピッ………」


さ、これが僕の。


「ピッ!!」


最後の「ゆびをふる」だ。




大爆発の跡地に、一人の男が倒れてる。
結論から言うと、TASは辛うじて生きていた。

「くそ……今更になって……あの指の効果が分かる……とは……」
爆発を感じ取ったTASは即座に全力でその場を離れようとした。だが一歩間に合わず巻き込まれ、こちらもまた瀕死であった。
「だが、まだだ……俺はまだ、死なぬ……! あの人形の回復のカードさえあれば……それに……それがなくてもまだ、動くことなら出来る!」
ボロボロの体に鞭を打ち、無理矢理立ち上がる。まだ、彼は死のうとはしていない。確実にあの全員の死を確認するまでは。

「小娘……次は、ないぞ……「何、勘違いしてるのかな、かな?」!?」

振り向くと、冷たい表情であの少女が鉈を片手に立っている。
あれだけ攻撃を喰らい、爆風の余波を受けたであろうにもかかわらず、全くの無傷で、だ。

「あんたがコンティニューできないのさ!!」

ブォン、という何かの音を最後に、

TASのめのまえが まっくらになった
ざんねん かれのたたかいは ここでおわってしまった



      GAME  OVER



……BGM「スーパーマリオワールド ゲームオーバーのテーマ」

【泉こなた@らき☆すた 死亡】
【ピッピ@ポケットモンスター(ピッピのゆびをふるのみで殿堂入りを目指す) 死亡】
【TASさん@TAS動画シリーズ 死亡】
【クラモン(クリサリモン)C 死亡】
【コロネ(バタフリー)@キャタピーだけでクリアに挑戦 死亡】

【残り23人】




橋が少し、崩れている。

その前で、一人の少女と一匹の妖精、少し離れて遂に永遠の挫折を経験した最速の男が眠る墓。
それら全てを作ったのは、「みかづきのまい」で回復したレナ一人だった。

「こなちゃん、ピッピちゃん」

全ての荷物を傍らに佇むレナが、静かに口を開いた。
それから何かを口にしようとするが、その先が続かない。


ずっと行動を共にしていた仲間が目の前で二人。知らないところで二人、死んでしまった。

「……ごめん……ごめんね……ちょっとでいいから、時間をくれないかな……かな」


真夜中の橋の騒ぎは終わりを告げる。
もう、一人の少女の嗚咽しか聞こえることはない。



ほんの数分泣きはらして、それからレナは立ち上がった。
立ち止まる暇はない。妹ちゃんと博之さんはまだ生きてる。早く探さなきゃならない。

あの二人はワープのカードで逃げたと言っていた。ピッピのテレポートと同じくらいの距離で、かつ人が目印にしそうな所……やっぱり、城だ。
どちらにしても闇雲に探すわけにもいかない。先ずは城を目指すことにしよう。

「……じゃあ、ね。こなちゃん……ピッピちゃん。少数派による運命の打開……私たちで絶対に成し遂げて見せる」
それだけを墓に向けて言い残し城に向けて歩き始めようとして……

橋の方から小さい何かが飛び込んで来た。
「きゃあっ!?」
「ケラッ!」

思わず尻もちをついてしまった。だが、飛び込んできた何か……紫色のクラゲっぽい生物は人を見つけて一瞬嬉しそうにした後、切羽詰ったような様子で抱えていた荷物をレナに必死で渡そうとしていた。

「え、わ、ちょっと待って? とりあえず落ち着いて……」
何がなんだか分からなかったが、レナは一先ずクラゲを宥めることにした。



それからなんとか落ち着いたクラゲことクラモンは事の次第をジェスチャーと鳴き声で伝え始めた。
城になんかやべぇの襲ってきた。
気付いたら俺はこれ持って逃げてた。
なんだかよくわからないけどなんとかするため仲間にこれを渡さなきゃならないって思った。

「……もしかして、城にあなたの持ち主がいるの?」
聞かれてクラモンは頭を抱えた。だって殆ど記憶がないのだ。
それでも必死に考えて……途中でなんだか偉そうな茶髪マントの男を見た気がして、多分そいつが自分が頼ってた存在だろうと推測した。
そのことを伝えると、レナは少し考えた後喜んで協力すると言ってくれた。

「今ならまだ間に合うかもしれない。急いで城にいる人を助けるよ!」
拳をぐっと握りクラモンに語りかけるレナ。クラモンは一度見ただけのあの偉そうな男よりこっちの娘のが頼れる気がしていた。
「それと、少し頼みがあるんだ。……少しこの荷物の中に隠れててくれないかな?」
罠である可能性がないこともない。ひょっとしたら城は殺人者の居城となっている可能性もある。
だが、レナは飛び込んできた時のクラモンの目をしっかりと観察し、その上で一応今のところは信頼することにした。
もちろん全く警戒しない訳でもなく、またクラモンの話が本当だとしてこのクラモンを化け物と錯覚してしまわないかという可能性も考慮し、最終的にデイ荷物の中に篭って貰い監視も兼ねることにしたのだ。
クラモンはその意図に気付かず、とりあえずイタズラっぽいということで了承した。

「ありがとね。えーと……」

「……クラゲの、クラちゃん!」
クラモンは少しげんなりした。


【D-2 橋の前/二日目・真夜中】
【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:悲しみ、健康
[装備]:リアルメガバスター(240/300)@デッドライジング、サイレンサー付き拳銃(1/6)@サイレンサーを付けた時とry、鉈@ひぐらしのなく頃に
[道具]:支給品一式*4(食料一食分・水一食分消費)、雛見沢症候群治療セット1日分(C-120、注射器、注射針)@ひぐらしのなく頃に、日本酒(残り半分)
テニスボール*2、オミトロン@現実? モモンの実@ポケットモンスター、鉄パイプ、本『弾幕講座』、アイテム2号のチップ@ロックマン2
暗視ゴーグル@現実、デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、 、初音ミク@現実、モモンの実*3@ポケットモンスター、
オボンの実*3@ポケットモンスター、ポケモンフーズ一日分(二食分消費)@ポケットモンスター、クラモンD、ハイポーション×2、北米版パッチ、
不明支給品0~1
[思考・状況]
1.少数派による運命の打開
2.城に行って襲われてる参加者を助ける。クラモンは一応信用するが警戒は怠らない。
3.城の方にキョンの妹と博之がいないか探す。
3.城まで行き、首輪を解体出来る者を探す。
4.圭一、ティアナの思いを継いで、対主催思考の仲間を探す。
5.富竹を発見できたら、薬を打ってあげたい。
6.ハルヒはしばらく泳がしておき、計略を為ったと見せかけておく。
7.罪滅しをする
※八意永琳が何か知っているのだと思っています。
※時期は大体罪滅し編後半、学校占領直前です。
※雛見沢症候群は完治しました。
※身体能力が向上しています。それによってレナパンが使えるようになりました。
※158話で感じた違和感の正体が、ハルヒに自分達の情報を教えたと推理しました。
また、ハルヒ達の計画を大まかながら把握しています。
※ピッピの支給品とTASの支給品はだいばくはつで消し飛びました。
※橋が少し損傷しています。またその付近に爆発跡があります。

※D-2の草原にこなたとピッピ(コロネ)の墓とTASの墓があります。

【クラモン(ケラモン)D】
[状態]:現在1体 ニックネーム/クラちゃん、レナのデイパックの中
[装備]:なし
[道具]:
[思考・状況]
1:レナ頼りになるー
2:あの茶髪の偉そうなのが俺のリーダーなんだったっけ? まあレナでいいや。
3:PASだかJASだか言うのがいたような気がしたが、別にそんなことはなかったぜ!
4:レナに協力して城にいる化け物に上手いことイタズラする

※クラモンCの全滅により少しずつ自我が回復しつつありますが、記憶は大分落としてるようです。今はレナを心の拠り所にしています。
※ディパックの中身は日吉とレナが確認済。何かあったとしても武器ではないようです。



「状況は……まあ、妥協してぼちぼち、ってとこかしらね」
その頃、橋の下で考え事をしていたはずのハルヒはいつの間にかレナ達がいた場所を通り抜け、街へと向かっていた。
彼女がぶつぶつ思索にふけっていたのは、実は途中までのこと。ハルヒはTASがまた獲物を逃すのではないかと心配し、もし逃がしたら自分が止めを刺すつもりで後をつけていたのだ。
結局のところ一人と一匹が死んだもののTASまでもが死に、レナは完全回復してしまったためレナを襲撃するのは見送ったのだが。

とにかくあの七人のうち四人もが死んだ。残った三人も二つに分断された。大方あの集団は壊せたとしても差し支えないだろう。
このまま城へ行き城にも集団がいたら壊してやろうかと思ったが、どうやらエアーマンとかいうTASの仲間のロボットが向かっているらしい。
TASと接触する前に盗み聞きした所では自分のネタと毒よりも有効な手段があるようだ。戦闘力だってあるらしいから任せておいて差し支えない。
というわけでハルヒはまずあのグループを大方壊したことを古泉達に報告することにしたのだ。TASの手柄は全部自分がTASを利用して何とかしたと捏造して、逃げられた奴はレナも含め、ワープアイテムを使われたとでも言い訳する。それで次の指示を仰ぐ。

「ふん、最後に笑うのは正義の味方……私だって、決まってるんだから」


【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:富竹への憎しみ、精神錯乱、左肩に銃創、左脇腹と顔面と首に殴られた傷、腕から出血、脇腹に弾丸がかすった傷、古泉達を信頼、鎮痛剤服用、理性を失いかけています
[装備]:陵桜学園の制服@らき☆すた、包丁、 DCS-8sp
[道具]:支給品一式*2、びしょ濡れの北高の制服@涼宮ハルヒの憂鬱、テニスボール、
アニマルマスク・サラブレット@現実、ゾンビマスク@現実(ゾンビーズ)、毒入りパン
[思考・状況]
1.今回の顛末を捏造を混ぜつつ古泉達に報告して次の指示を仰ぐ。
2..とりあえず塔組(レナ達)は保留。見つけたら出切れば始末する。レナが回復した件は……どうしようかしら。
3.回復したレナは相手にしたくない。
4.どんな手段を使ってでも絶対に富竹を殺す
5.皆を蘇らせるために協力者を探す
6.優勝して全てを元通りにする
※第三回定時放送をほとんど聞いていません。死亡者の人数のみ把握しました。
※自分の服装が、かがみを勘違いさせたことを知りました
※自分が狂い掛けている事に薄々気づいています
※喋れる様になりました。
※自分の能力を信じました。



sm180:ボクが庶民で君が王でさらにアンタも王で 時系列順 sm178:☆ニコロワ住民のネット小説☆クロミラテクニック隔離
sm175:ファンKASティック! 投下順 sm177:The Book
sm170:人はそれを―― 泉こなた 死亡
sm170:人はそれを―― ピッピ 死亡
sm170:人はそれを―― TASさん 死亡
sm170:人はそれを―― クラモンC 死亡
sm170:人はそれを―― 竜宮レナ sm186:括弧、推理、城にて(前編)
sm173:バラモスの代わりに臓物喰らい尽くすことになった クラモンD sm186:括弧、推理、城にて(前編)
sm170:人はそれを―― 涼宮ハルヒ sm181:全並行世界ナイトメア(前編)



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