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「……ふぅ」
体に残る気だるさを振り切って立ち上がり、緩めていた制服のネクタイを器用に片手で結びなおす。
今しがたまで腰を下ろしていたぼろきれの山へふと目をやれば、寒さに凍えるように身体を震わせて、必死に胸元を掻き抱く少女が居た。
そんなに恐がらなくてもいいのに、と言いたげな顔で彼女の肩にかけた掌を、ばしんと激しい勢いで振り払われ、少年は閉口する。
少女は今にも舌を噛み切りそうな表情でそちらを見上げると、涙に濡れた瞳で少年を見上げた。
潤んだ両目が何だかこちらを誘っているように思えて、ズボンの前がまた苦しく突っ張っていくのを彼は感じる。
ごくり、と喉元を動かして唾液の塊を嚥下する。目を細めて笑いかけると、少年は彼女の横にもう一度座りなおした。
「殺し合いなんて心配ないって。俺が守ってやるからさ。だから……な?」
告げながら、肌蹴た彼女の胸元に再び手を伸ばす。
その腕を今度は素直に受け入れると、彼女はされるがままにしながらねだる様に唇を動かした。
「……分かりました、誠くんの言う通りにします。だから、この手をほどいてくれませんか……?」
「ああ。そうやって大人しくしてくれるなら、俺だって無理にはしないよ」
どうやら、少女は彼の暴挙に従うことを決めたらしい。
少年は零れだす笑声を止めず、にまにまと笑いながら、両手を括っていたロープを外してやった。
その行為に少女は嬉しそうにゆらりと首を横へ振って、くすくすと寒気のするような声で笑いさざめく。
そのまま少年の痩身にしなだれかかって来る彼女は、先ほどまでとは違い妙に積極的だ。
そのことに、けれど少年の側は微塵も不審を感じない。
『一度抱いてやったことで女の幸せってのに気付いたんだろう』などと、自分に都合のいい幻想を思うばかり。

……そう、女なんて、所詮は皆こんなものだ。
世界も、清浦も、加藤も4組の四人組達も。みんなみんな、俺に抱かれたがっている。
そうさ、きっと俺にはそれだけの魅力があるんだ。
言葉だって、変に嫌がらず素直に身を任せていればよかったんだ。
それを一人で勝手に恐がって俺のことを拒否して……、だから俺は……

伊藤誠は、平和だった学校での生活を思い出し、少しばかり感傷的になった。
そして同時に、彼は現状の殺戮ゲームのことを考え、ぶるりと肩を震わせる。
まともな戦闘力も能力も何一つない自分が、こんな殺し合いの中、最後の一人になるまで生き残れるとは思えない。
だったらせめて、死ぬ前に好きなだけヤッてヤッてヤッてヤッてヤッてヤッてヤッてヤッてヤッてヤッて……。
【禁則事項】とか【禁則事項】とか、【禁則事項】を使ったり【禁則事項】をしてみるのもいいな。
【禁則事項】もいいし、どうせなら【禁則事項】で【禁則事項】と【禁則事項】なんてのも……。

脳内をピンク色に染めながら甘い想像に耽って口元をしまりなく緩める誠。
しかし、次の瞬間その唇の間から漏れたのは嬌声でもよだれでもなく、くぐもった叫び声だった。


「――――ぐ、あぁぁぁぐぐぁぁ、えっぐ、ひぁ!!?」


鶏を絞め殺すような断末魔の雄たけびが倉庫内に響きわたる。
それが自分自身の叫声だと誠が気付いた頃には、もはや彼の意識は限界に近かった。
必死に目線を下へとやれば、先ほど少女を縛るのに使ったロープが、今は自分の首に巻きつけられている。
血走った目でその縄を握り締め、血管が浮き出るほど強く左右に引き締めているのは――――。

「か、えで……?」

狂気に犯されたその表情を前に、嫌な汗が背中を伝う。
喉を襲う息苦しさは既に許容量を突破していたが、それ以上に目の前の彼女への恐怖が勝った。
射竦められた瞳に宿る精神は真っ当な人間のそれとは思いがたく、誠は抵抗するのも忘れ呆然とした。
それを見て、相手の少女はなおも強く両の拳に力を込めていく。

ぎちぎち、ぎちぎち、ぎちぎちぎち……。

ロープが皮膚に擦れる嫌な音が、狭い室内にこだまする。
もはや立っている気力もなくしたのか、失神した誠が背中から床に崩れ落ちた。
どしん、とその細身な体に似合わない盛大な音が響き、少女は満足したように漸く手を離す。
首筋にぐるりと刻まれた赤い縄の痕は深く、少年の意識がもう完全に無いであろう事を容易に想像させた。
倒れ付した彼の身体にはもはや興味がないのか、少女――芙蓉楓は瞳を見開いて虚空を見上げる。
まるでそこに愛しの彼が居るとでも言うかのように一心に天を見つめる彼女は、疲れたように小声で呟いた。
「稟くん……私、汚されちゃいました」
その声に生気の色はなく、感情も理性も意志も見当たらない。
ありとあらゆるものが奪われた彼女は、ただ報告するかのように無機質に言葉を続ける。
「私の身体も、心も、全部稟くんのためのものなのに」
ひたすら、続ける。
懺悔するように、許しを請うように、泣くことすら忘れてしまったかのように。
「お料理するのも、お洗濯するのも、お掃除するのも、全部全部全部、稟くんだけのためなのに」
言いながら彼女は、手にしたロープをぼんやりとした虚ろな目で眺め、困ったように小首を傾ぐ。
今しがた少年を縊り殺したばかりのロープはまだどこか生暖かく、彼の体温を仄かに感じさせた。

「自殺するなんてできませんよね、だって私の身体は稟くんのものだから」

虚ろな瞳で、少女は持っていたロープを床に投げ出した。
そうしなければ、自殺するという選択肢に今にも縋りついてしまいそうだったから。
――――けれど。

「でも、もし私が生きてあのお家に戻っても、稟くんはきっと汚いって思うでしょう? 
 それなら、それなら私はどうすればいいんですか……?」

そう尋ねる彼女は、まるで母親に助けを請う子供のようで。
何をすればいいのか、何をしてもいいのか、何も分からずただ立ち尽くしていた。

【E-3 町/一日目・深夜】

【芙蓉楓@SHUFFLE!(空鍋)】
[状態]:壊れかけ
[装備]:ロープ
[道具]:支給品一式、不明支給品1~3個
[思考・状況]
1:稟くん、わたしどうすればいいんですか……?
2:誠に激しい怒りと恐怖
[備考]楓は誠を死んだと思っていますが、実際には意識を失っているだけです


【伊藤誠@School Days】
[状態]:首を絞められ気絶中
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、不明支給品0~2個(ロープは本来誠のもの)
[思考・状況]
1.…………
2.死ぬ前に女の子をヤってヤってヤリまくる
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