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第三次ニコロワ大戦Ⅰ ――Coldwar to Doomsday ◆cpYAzLvx8.




最後に私が見たものは、何よりもおぞましい闇だった。
闇の中に生きていた私でさえも理解しがたい、おぞましい邪悪の中の邪悪。
涼宮ハルヒをやめたそれ、HAL。

仕留めたと思っていた、所詮は同じ手に騙されるクズだと思った。
しかし、奴は土壇場で進化した。一度通じた手が、二度通じると侮った私が馬鹿だったのだ。
私はあのような怪物を生み出したことを後悔する。しかし、不思議とどうにかなる気がしていたのだ。
マルクも、対主催の連中もあの程度の化物にやられるほどは弱くない、一緒に行動していたから分かったのだ。
しかし、その考えは過ちだったことを、すぐに悟る。

死後の世界に、いてはいけないものがいた。


「はぁ~いクソピエロ、さっきはよくもやってくれたわね」
「ひ、ひぃっ!?」

何故、何故だ!?
何故奴が私の傍にいるんだぁあああああ!!!

「随分と怯えているようね、でも安心していいわよ。
 もう私から、逃げることはできないのよ、ええ、一生ね。」

それで、私は全てを理解することが出来た。
私の居る場所、つまりここは……

「じゃ、まずは景気付けに一発きついのをぶちかましてあげるわ」

HALの中で、私の地獄が始まる。
私はそれを見て逃げ出さざるを得なかった。
たとえ無駄だと分かっていても、その場に居ることは耐えられなかった。
だが抵抗空しく、HALの伸びた腕が私の体をその場に思い切り叩きつけたのだ。
奴は私の上に馬乗りになり、ニィと笑って、強く拳を振り上げた。

「さぁ行くわよ~」
「ひ、ひぃっ!?」

逃れることの出来ない苦しみを少しでも和らげるため、顔を腕で覆って身を守る。
拳の風切るブオンという音が鳴る。同時に痛みが私を襲う。
……はずなのだが何の痛みもない。
ちらと腕の間から外の様子を見れば、HALはニヤニヤして私の目の前で拳を寸止めしている。
くそ、ちびるかと思った……。

「やぁねぇ~、まさかいきなり殴るほど私も鬼じゃないわよ」
「……」

鬼なんかじゃない、貴様はもっとおぞましい何かだ。
しかしそれを言うと酷い目にあうので、あえて黙りこくる。

「寛大な私は、あんたが質問に答えたら、特別に泣くまで殴るのを止めてあげてもいいわ」
「何だと?」
「条件は二つ、キョンの死体の行方と、対主催の能力と素性、知る限りを洗いざらい吐きなさい」
「……」

さて、どうするか。
決まっている。

「だが断る」
「ふ~ん」

ニヤニヤと笑って余裕の表情だ。
まるで私が最初から断ることを想定しているかのようである。
つまり、質問を答えても答えなくても関係ないということだ。
答えを無理やり吐かせるか、あるいは質問そのものがフェイントであり、偽の救いの手を差し伸べ、気を削ぐつもりでもあったのか。
その答えは、次の台詞が物語っていた。

「言わないなら、しょうがないわねぇ」
「どうせ言おうが言うまいが、私を許す気など最初から無い癖に勿体ぶるな」
「あら、そこまで分かってるなら話が早いわね、じゃあ質問に答える気になるまで、苛めちゃうわ」

HALが動く、激痛が走る、視界がブラックアウトする。

「ぎぃやぁぁぁぁあああああ!!!」
「まずは目を頂くと」

狂っている、奴は狂っている。
ああああ、私の目がああああああ!!!

「次はど、れ、に、し、よ、う、か、な?」
「ハァッ……ハァッ……」
「それじゃ、鼻を削ってあげるわ」

ふいに体の向きが変わる。
顔が沸騰するように熱くなり、鼻から激痛が走った。
目の奥から流れる地獄の痛みと、鼻から走る激痛は、私の意識を奪うのに十分だった。




どれだけ時間がたったのか分からない。
私が目を覚ました時には不思議なことに、目の前にHALが居た。
目を潰されて消え去った視界が復活している……?

「やっと気が付いたか、クソピエロ」
「な、何をやっても、わ、私は屈しない……」
「まぁそうよね、あんたは外に居るマルクが私を倒すことを期待でもしてるのかしら?」
「そうだ、あいつらなら」
「マルクなら、私の手で殺してやったわよ、アヒャッヒャッヒャッヒャッヒャ!!!」

胸中が絶望に染まる。
キラキラにしてやると誓った、大切な仲間であり、友は今……。

「う、ううっ……」
「さぁて、悲しんでる暇はありませんよぉ。
 何のためにわざわざ私があんたの目と鼻を直してやったと思うの?」
「……どうやって……直したのだ…………」
「ここは私の中、私の支配する世界、その中で出来ることに、不可能は何もないのよ」

訳が分からない理屈だが、どうやってもこの世界の主である目の前の異形に、勝つことはできないことだけは分かった。
既に諦めの胸中だが、それでも私は諦めようとはしない。

「……」
「はぁ、それでもまだ私が負けると信じてるのね。じゃあ、私に負けが無いことを教えてあげるわ」
「……ふん」
「一つは、魔血魂、そしてもう一つはマルクの持ってた萌えモンアカギパッチ」
「……」
「どう? これだけ余裕の私が、それでも負けると思ってるの?
 私の機嫌がいいうちに諦めた方が、楽になれるわよ」
「ふん」

絶望的と分かっていても、私は諦めない。
どうせ、折れてもこの先には絶望しかないのだ。なら腐っても対主催の端くれとして……。

「それでも逆らうのね。……デーモン!」
「は、はいHAL様万歳!」
「万歳は余計よ、まぁいいわ。
 さて、クソピエロ。あんたの姿が死んだ時と違って何故か幼女だから笑っちゃうわ、実は心のそこまで幼女だったのね。
 アハハハハハハハハハ!!!!」
「……ふん」
「それを見て、ちょっと面白いことを思いついたのよ」

なんとHALは私の服をビリビリに破いたではないか。
そこから現れた柔肌は、たしかに言うとおりの萌えモンパッチで幼女化した時のそれだ。

「な、何をするんだ!」
「あのデーモンに裸のアンタを投げ込む。
 そして命じることは何だと思う? アンタに女の快楽を教え込んであげようと思うの。
 フヒ、ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!!」

え?
それってつまり。
あの、阿部さんがやってたのと同じことが?
しかも、今私の体は女の……。
う、うあ…………。


◆   ◆   ◆


随分時間がかかったが、ようやく素直になったクソピエロに適当に相槌を打って質問を答えさせる。
頼むから止めてくれ、止めてくれと煩いので、何度かひっぱたき、殴りつけて落ち着かせる手間がかかって面倒だった。

質問が一通り終わった所でピエモンは質問の意義を問う。
ちょうど気分が乗っていたので教えてやることにした。
何故こんな質問をしたのかと言えば、食ったからと言って記憶まで完全に手に入るわけではないこと。
そして質問の内容についてだが、単純に知りたかったことと、確実な勝利のためだ。
私は二度苦渋を飲まされている。ハルヒだった頃を含めれば三度目だ。
しかも二度はクソを吐いてる目の前のクソピエロによるものだ。
思い出したら腹が立ったので、一発殴っておいた。
まぁその苦い経験を通して、さすがの私もこれには反省せざるを得なかった。
いくら神といえども、死ぬことはあるかもしれないと。
世の中には神殺しという言葉がある。
神は死なないというのは、一部の神や死んでも蘇えるからこそなのだ。
もちろん死ぬつもりは無いが、油断して死の危機を迎えるのは二度と御免だ。
だから奴らの情報を可能な限り収集し、万が一が起こらないよう備えればいいのだ。


そして私はピエモンへの興味を無くした。
当然、最後にやることは決まっている。

「デーモン!」
「は、はいHAL様!」
「このクズピエロはあんたが調教しときなさい。壊さなくていいわ。
 あんたの手で、丁寧に愛してあげなさい。フヒヒヒヒヒ…………」
「分かりましたHAL様」
「嫌だ、嫌だ、嫌だぁ!!! 犯されるのは嫌ァァァアアアアア!!!!!」


じたばた暴れて抵抗するピエモンの力は及ばず、デーモンの手でそのまま蹂躪が開始された。
それをみて満足した私は、思考を別の場所へと移しなおす。

そもそも私は中々忙しい。
というのも私が食った命は百を軽く超えている、当然その中にはピエモンのような反抗的な奴もいる。
どれも私の手にかかれば大したことがないのだが、さすがに全てを殴って回って強制する時間は無い。
取り込んだ飛行石と千年リングの処理が中々忙しいので、基本的にはデーモンや古泉などの調教済みの連中にどうでもいいのは任せてある。
ピエモンも不確定要素であり、できれば取り込まないほうが良かったとも言える。
しかし必要な尋問と、二度の屈辱をあの程度で返したとは到底思っていない。千年掛けてでも、屈辱を徹底的に返してやる。
今はその時でないが、生意気な対主催どもを倒したら、もう一度苛め抜いてやろう。

キョンの死体の行方を知った時、怒りがこみ上げてきた。
大事な神の僕であるキョンが同性愛者にケツを掘られて死ぬなんてあまりにも馬鹿らしかった。
阿部高和と言う男も、このまま只では死なせておかない。奴の死体は徹底的に辱めた上で、全てのホモは根絶やしにしてやろう。




そう、全てが終わったらキョンを復活させよう。
キョンの死体の場所は分かっている、死者の復活程度神の力の前では朝飯前だ。
神には神の啓示を伝える神子がいる。
私の傍に寄り添うことを唯一許された特別なHAL厨にして、真に最初のHAL厨、それをキョンにしよう。
そこから、HALと言う名の新しい神話が始まるのだ――。


ひとしきり思慮を終えた私は、意識を内側から目の前の遊戯に写した。




◆  ◆  ◆


思慮を終えたHALと遊戯の問答あり、それが終わり、そしてカオスな未来への咆哮が響き渡ったのが先ほどまでの出来事。
そして今、笑顔戦隊ニコレンジャーとHALと戦闘が始まるまでおよそ1分前。
ふいにHALはニコレンジャーに向かって話を仕掛ける。

「一応最後に聞いておくわ、今からHAL厨になる気は無い?」

「「「「「「「お断り」」」」」」」
「だ!」「だよ!」「します!」「だぜ!」「だってぃう!」「ぽよ!」「するわ」

ぴしゃりと7人がシンクロして言い放つ。
もちろんHALはその程度で動じたりせず、あえて口を続ける。

「そう言ってくれなきゃつまらないわ、最初からあんた達をタダでHAL厨にするつもりは無いわ」
「まるで私達がHAL厨とやらになるのが当然の口ぶりなのかな?かな?」

HALの口上にレナが口を挟む。

「当然よ、あんた達は神に逆らった愚か者として酷く惨めに死ぬ、……いや殺す。
 そして私の中で永遠のHAL厨となり、永久にHALのことを考える従者にしてあげるわ……。ヒャハッ、ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
「もちろん、誰一人としてそんなことにはならない!」

レナ以外の6人も続く、この程度で揺さぶられるような対主催ではなく、HALもそのつもりだ。

「そろそろ時間だし一つ教えてあげるわ、あんたらはたかが仲間同士が7人、幽霊どもを加えても数十人ね
 だけど私は違う、僕が私の中に100人以上も居る、仲間の絆は、しもべの忠誠の前に敗れ去るのをしっかりと刻み付けてあげる」

「くだらないわね、絆と忠誠じゃ質が違うのよ、質がね」
「それに、仲間の絆はその程度で砕けるようなやわな素材で出来てないっていう!」
「神殺し、中々楽しい下克上になりそうじゃねえか」
「ぽよ!」
「HAL、てめぇみたいな悪だけはぜってぇゆすさないっていう!!!」
「お前の腐った性根を、友情の絆でぶっ壊してやるぜ!」
「私はあなたとは違う、私を救ってくれたみんなのために、全力で罪滅ぼしをするッ!」


そして時間経過を知らせる最後の時報がなり、戦闘が始まった。
KASを先頭に皆が続く、しかしHALは動かない。
そこへ、突如青色の巨人がHALとニコレンジャーの前を遮った、それは神人だった。

「神が人間ごときに本気を出すなんてつまらないからね、手加減をしてあげるわ」

HALは神人の後ろで腕を組み、尊大な態度でニコレンジャーの面々を眺めている。
現れた神人はホールの天井を突き抜けんばかりの大きさだったが、レナはそこで神人のサイズが数段小さいことに気が付く。

「あの時と比べて随分と小さいみたいだけど、手加減のつもりかな?かな?」
「……そうね、その通りよ」

レナはその言葉を聞いて確信した、それはHALが何かの弱点を抱えているということに。
そうでなければ、神人のサイズや、30分の不可解な準備時間を与えたことという事象に説明が付かないからだ。

「手加減だと、舐めやがって……」

日吉は戦闘前にゆとり軍団から新たに手渡されたTENINU-RAKETTOを片手に、手持ちのテニスボールを高速スマッシュで打ち抜く。
超高速のテニスボールは神人の脚部に命中すると、神人の脚部は衝撃波で吹き飛んだ。
それに伴い神人はバランスを崩す、しかしHALの不敵な笑みは崩れることは無い。

「のわっ!?」

ブーンとダッシュして突撃したまではいいが、神人に潰されそうになったKASはそこであえて加速をして壁を蹴り、スピンジャンプで神人の頭を砕く。
神人の頭部も消散し、そのままKASはバッタ飛びをしてHALの元へ向かう。

「皆の仇だぁぁぁあああああ!」

スピンジャンプがHALを襲うかと思われたが、HALはそれを避けるでもなく動かない。
突如スピンジャンプ中のKASが何故か急上昇した、KASにしてみれば、HALを狙ったはずなのに何故か天井を突破していたという心境である。

「な、なんだって天元突破ぁ!?」
「ま、こんなことも可能って訳ね」
「随分と私たちのことを舐めてるみたいだね」
「当然よ」

HALは防御行動すら取らず、ただ神人を再生しただけだった。
その再生地点をスピンジャンプの軌道上に設定したため、再構成された神人を踏みつけた反動でKASがそのまま天元突破したという理屈だ。

「神にしてみれば、しもべを二体や三体程度創造するぐらい訳は無いってことね。
 やられてばかりというのもつまらないから、こちらから行かせて貰うわよ」

戦闘が始まってから不動を貫く神人の拳が動く。しかしその拳がニコレンジャーに向かって振り上げられた瞬間に蒸発した。
カービィのプラズマ波動弾が腕を吹き飛ばしたという訳だ。後方では遊戯がラーの翼神竜を召還していた。

「ラーの翼神竜、あの邪神野郎にゴッド・ブレイズ・キャノン!」

神の砲撃がHALに迫る、しかしHALは動じない。
ゴッドブレイズキャノンが命中したと思われたが、HALは無傷だった。
そして天元突破して空へ飛び立ったKASが急降下して地面に帰還したのはいいが、衝撃に伴う足の痺れと痛みにもがいていた。


「HALだっけ、あなた本当にやる気あるの?」
「タダで殺すつもりは無いって言ったでしょ?神に逆らう不信神者にはそれ相応の報いが必要なのよ、フヒヒヒヒ……」

高速で再生される神人を撃破することはたやすい。
ジアース戦と比べて明らかに弱体化が激しい神人は、団結の力で戦うニコレンジャーに取っては脅威ではない。
しかし無尽蔵に現れ、HALの盾となり矛となる神人という存在は厄介であった。
HALを無視して戦うという考えもあるが、レナはそれを実行しない。
絶大な力を持ちながらも油断している今は最大のチャンスでもあった。相手が力を発揮する前に先手を取って撃破する。
故にレナは動かず、HALを仕留める一撃必殺の作戦を練る。

「さて、あんたらはいつまで堪えられ…」
「何それ」

HALの言葉は途中で遮られた。
亜空穴を通過した霊夢がHALの頭部後方に出現、そのまま強烈な蹴りを加えた。
その衝撃を受けてHALの姿勢がぐらつき、神人の展開が阻害される。

「人のことを舐めてばかりじゃ、こうやって足元を見られるわよ」
「舐めやがってチクショオオオオ!!!!!」

蹴りで倒されたHALのぐらつきは霊夢の啖呵と共に戻り、同時に巨大なレーザーが発射される。
霊夢にとって巨大レーザーも弾幕の一部でしかなく、防御する必要すらなくワンステップで回避行動をする。
巨大レーザーはどこを狙うでもなく、天井にさらなる大穴を空けた。

「ハァッ……ハァッ…………」
「神だ神だ言いつつ、所詮はこんなものね」

怒りに震えるHALの覇気など気にも留めず、霊夢は言葉を付け加える。
HALはそこでさらに激高すると思ったが、うふふ、ははは……と逆に笑い出した。


「……ははは、ヒヒッ。まぁこれぐらいやってくれないとただの虐殺ショーになってつまらないから、丁度いいわ……。
 でも! てめぇが私の美しい顔に傷を付けたこと、それは万死に値するッ! この私の手で直々に殺してやるッ!」

未だに足を抱えてもがいているKASを除き、全員の表情が一段と厳しくなる。
最後の戦いが始まってから、ついにHALが動き出した。
一歩踏み出したHALの動きが一瞬止まり、

霊夢めがけて超高速で飛び出した。

「レイジングハート!」
『Protection』

HALの急襲を回避しきれず、霊夢はプロテクションで受ける。

「こんなもので防げると思ってるのぉ!」
「えっ!?」
『OMG!』

HALの右腕がプロテクションの印章を砕く。
防御効果を失ったバリアを突き抜けたHALの拳が、霊夢を大きく後方へと吹き飛ばす。
霊夢が壁に激突したと同時、そこへHALが展開した神人の拳が追撃を加える。
HALは潰された霊夢に興味がないといった様子で、残った6人の方へ向き直る。
足の痛みに悶えていたKASもようやく復帰し、その表情をすぐさまシリアルモードに変更する。

HALが再び瞬動を行う。そこへ遊戯のラー、日吉、KAS、カービィが迎撃に出る。

「ゴッド・ブレイズ・キャノン!」
「邪魔よぉ!」


HALのレーザーはゴッドブレイズキャノンを相殺し、消し去る。
そしてHALの強靭な拳がラーの胴体を串刺しにする。
ラーの攻撃力はプチモス300とカタパルトタートル1000、そして俺ルールを活用して生贄にしたレットアイズの2400を加えた3700。
しかし3700程度物の敵ではないとばかりに、一方的に神は神に撃破されてしまった。

「何だと!? ラーが一瞬で?」
「格の違いよ、格の」
「おっと、俺達を…」
「…忘れるな!」
「ぽよ!」

だが、黙って撃破されるほど神も、ニコレンジャーも弱くはなかった。
HALがラー撃破にこだわっているうちに、日吉のダンクスマッシュが炸裂、そこへKAS怒りのヒップドロップ、そしてこっそりとプラズマを溜め回っていたカービィのプラズマスパークが突き刺さる。
さすがのHALもプラズマスパークの余波で吹き飛ばされ、壁には突き刺さらないものの踏ん張った足と床の間に火花が巻き起こる。
その隙を見逃さず、カービィ、日吉、KASが追撃を加える所でレナが激を飛ばす。

「みんな、一旦下がって!」

その言葉を受けて三者が下がり、HALのいた場所にディバインバスターが襲い掛かる。
動きがお粗末だった神人を撃破した霊夢は、一時仰け反ったHALに追撃を仕掛けたのだ。
そこを目ざといレナは見逃さず、味方同士の連携のサポートに回ったのだ。

床を吹き飛ばしたディバインバスターの影から、漆黒の翼を背中に持つHALが現れた。
崩壊した床の下から現れたHALは傷付き始めているものの、ディバインバスターのダメージを受けている素振りは微塵も見せない。

「ずいぶんとやってくれるじゃない、少し痛かったわよ」

HALは先ほどの瞬動を超え、もはや視界に映すことすら難しいスピードで飛翔する。
霊夢はHALの攻撃を迎撃しようと試みるが、プロテクションすら間に合わずに、再び吹き飛ばされる。

「けふっ……」
「邪魔だからさっさと死になさい」

そこへHALの砲撃が2発、3発と連続で突き刺さる。
ニコレンジャーがHALの砲撃を止めた頃には、ボロボロで気絶している霊夢の姿がそこにはあった。
バリアジャケットも完全に破壊され、押しつぶされた城壁にかろうじて肌と赤のコントラストが見えるだけだった。
そこからほのかに聞こえる息だけが、霊夢がかろうじて生きていることを示していた。

気の抜けた時報の音が響く中、HALは霊夢ではなく視界に再び現れたニコレンジャーの面々を補足することになった。
大ジャンプをしたKAS、ジェットで飛ぶカービィの両者がHALを補足する、そのスピードは先ほどよりも一段と速くなっている。

「よくもレムーを!」
「ゆるさない!」

HALはKASのスピンジャンプを避けるでもなく、足を掴むとジャイアントスイングの要領でぐるぐると回転する。
カービィはKASへの誤爆を恐れジェットクラッカーを慌ててひっこめるが、その結果としてHALの前に無速状態を晒す羽目になる。
十分な回転力を得たKASはそのまま的に成り下がったカービィめがけて放り投げられ、その衝撃でホールの床をブチ抜いて遥か下まで降下してしまった。

「つかさちゃん、新しい笛も回復もいいからまずは夕焼け小焼けをッ!」
「えっ、あっ、はい!」

レナの指示を受けて、慌てて指の配置を切り替える。
その間HALは遅れてやってきたヲタチ付きの遊戯、日吉の迎撃、いや戯れていた。

「ちょっと力が入りすぎちゃったかもね」
「ふざけてんじゃねぇ!」
「黙れ神野郎!」
「そんなこと言ってると、本当に殺しちゃうわよ?」

KIで強化されたTENINU-RAKETTOですら、HALにとって脅威ではない。
ヲタチのでんこうせっかも、当たりこそするがまるでダメージになっていない。
HALは二者の攻撃をいなすように、遊ぶように戯れていた。

「つまんないわね、死になさい」
「その言葉を待っていたぜ、罠カード発動!」
「何ですって!?」

僅かな時間を見つけて遊戯が事前にセットしていた罠カード、ミラーフォースがHALの拳を反射して突き刺さる。
何十体というモンスターを全滅させるには十分な、たった一人の怪物に対してはやりすぎともいえる超火力のレーザーがHALを焼き焦がす。
一発一発の威力はHALにとって大したことは無いとは言え、大量に襲い掛かる飽和爆撃は防ぎきれず、HALの翼は穴だらけになってしまった。

「ぐぐぐ……ギギギ……殺す! 今すぐ殺すッ!」

さすがにダメージの大きいHALはもがきながらも平気な顔で立ち上がるが、そこへ気の抜けた夕焼け小焼けが響き渡る。

「これが夕焼け小焼けね、まあいいわ、攻撃力が半分になった所で勝てるわけじゃないのよ」
「知っているのに余裕だね」
「当然よ、これぐらいのハンデがあって丁度いいわ、殺さない程度にいたぶるにはね」

怒りに打ち震えるHALは、レナに不敵の笑みで一瞥した後、すぐに遊戯向かって襲い掛かる。

「さぁ遊戯ぃ! 泣き、叫び、神に許しを請いなさいッ!!!」
「その言葉をそっくりそのまま返してやるぜぇ!」

HALの攻撃が遊戯に迫る中、遊戯の前を日吉が遮る。

「百錬自得の極み!」


日吉の腕から振りぬかれたカウンターがHALの元へ襲い掛かる。
HALは自身の敗北を微塵も疑わず、カウンターに向けて拳を打つ。

「ぎゃんっ!?」

日吉のカウンターに負けたHALの攻撃ははそっくりそのまま倍返しされ、HALは弾丸のように吹き飛ばされる。
床に激突して大きく反発し、反動で空中に飛んだHALは、受身も取れないまま床に激突した。
日吉もカウンターの衝撃で動けなくなっているものの、HALの被害はそれ以上だった。
それまでの戦いで軽い被害こそ受けていたものの、HAL本人はピンピンしていた。
だが自身の攻撃そのものというのは重いらしく、HALが立ち上がるまである程度の時間を要した。

「ぐぐっ……やるじゃな…」
「Yahooooooooooo!!!」

床の穴から遥か下まで吹き飛ばされたKASが、ロケットのような速さでホールへと舞い上がってきた。
そのままKASはきりもみながらHALの元へと向かう。

「みんなの恨み、思い知れ! 閣下直伝ブラボーパンチ!」
「げひゃっ!?」

よろよろと立ち上がったHALに、落下加速度を従えたKASの強烈な拳が襲い掛かる。
その拳でHALは再び地面と接吻を交わさざるを得なくなり、遅れてやってきたカービィのジェットクラッカーがHALを更に吹き飛ばす。
HALが呻きの声を上げてよろめく中、つかさの赤とんぼでHAL以外の傷が癒えてゆく。
ニコレンジャーは呻きをあげるHALに追撃せずレナの指示を受けて再び下がる。
復活した霊夢が、今再び魔法を放たんとしていた。

「これで終わりにしてあげるわ」

霊夢のスターライトブレイカーの言霊が組み上げられてゆく最中、HALは迎撃にも動かない。
ただ、口がぶつぶつと高速で動き続けているだけだった。
レナはそれを奇妙に思うが、それを霊夢に伝えた時にはすべてが遅かった。

「いけない霊夢ちゃん!」
「全力全開! スターライトブレイケー……へっ!?」

放たれるはずだったスターライトブレイカーの滞留が押し止められ、そのまま逆に霊夢の中で逆流爆発を引き起こした。
HALが動かずにスターライトブレイカーを撃墜する策、それは情報改変だった。
もはや迎撃が間に合わないと判断した故に、とっさに呪文を妨害して被害を止めようとしたのが幸いに働いた。
スターライトブレイカーが大魔法だったのも幸いし、情報改変の方が早く発動したというわけだ。

「レムー!」
「霊夢ちゃん!」
「ま、所詮魔法なんてこんなもんよ、先手を取って発動を防げばなんてこと無いってね」

スターライトブレイカーを逆流して受けた霊夢が落下する中、HALは立ち上がる。
だがHALに休む時間など与えられず、日吉とカービィがHALに接近する。
カービィのプラズマ波動弾を拳で相殺しようとするが、相殺しきれず拳にダメージを受ける。
続く日吉のKIAIの入ったスマッシュで、HALは再びダウンさせられる。
HALへの追撃はそれで止まらず、KASが再びスピンジャンプでHALの腹をえぐり、苦悶の叫びを上げる羽目になる。
そして夕焼け小焼けで復活した霊夢のアクセルシューターが、HALをピンボールのように空中を振り回す。
レナの放ったメタルブレードがHALの肉体に突き刺さり、ヲタチがでんこうせっかでさらに吹き飛ばす。

「ぐぐっ……ううっ!?」
「止めだ神野郎ッ! 俺ルール発動、バーサーカーソウル!」
『僕ルール発動、魔道戦士ブレイカーの一部をビリビリに破り、攻撃力を1500にして召還!
 さらにこの瞬間墓場にあったカードは全てデッキに積み戻すことができる!』
「ドロー、モンスターカード! 魔道戦士ブレイカー、追加攻撃!」

魔道戦士ブレイカーの追加攻撃が迫る、そしてずっと俺のターンが続かなかった。
突如魔道戦士ブレイカーの攻撃が終了した、よく見れば周りの風景が変わっていた。
それはクッパ城ホールには変わりが無いのだが、それでいて色彩が違う色あせた奇妙な空間だった。

「閉鎖空間の発動、念のためにしておいてよかったわ……」

ニコレンジャーの7連激を辛うじてストップさせたHALは、地面に伏せながらも言葉を付く。
HALにとって閉鎖空間は念には念を入れた保険の一つでもあった。
30分の時間、飛行石とゾークの取り込みと安定、ピエモンの調教、そして最後の保険として閉鎖空間を事前に展開しておいたのだ。
元々負ける気は無かったものの、千年リングが与えた突然死のトラウマは、HALに保険という保険を実行させるのに十分であった。

「閉鎖空間……?」
「そう、ここでは全てが私の思い通り、つまりあんた達ではもう絶対に私を倒すことは出来ない」
「そんな空間あるわけないってぃう! 負けイベントだってバグを突けば回避できるんだってぃう!」

KASがすかさず反論する。
HALの言うとおりの空間なら速やかに破壊せねばならず、当然KASの言うことを実行しなければならない。
だが、そこまで悲観するものではないというのは、HALを見ると明らかであった。
"全てが思い通りになる"と言いつつも、HALに刻まれた傷は深く、治癒している気配は無い。
つまり、何もかもが終わったわけではなく、不可能なことも当然あるという証明でもあった。

「何でも出来るという割には、随分と酷い怪我ね」
「しつけぇんだよ! さっきからハンデっていってんだろうがぁ!」

そこを突かれたのが痛かったのか、HALは激高して言葉を返す。
レナの推測は確信に変わった、不利になったとはいえ、HALに全てができるわけではないということを。
ハァハァと息を付くHALは、気を落ち着かせながら言葉を紡ぐ。

「本当はこのままでも勝てるんだけど、私拮抗した勝負はする気が無いのよね」
「何のつもりだ……?」
「これなーんだ?」

HALはディパックをまさぐると、そこから赤黒く輝く一つの宝石を取り出す。
それを見たレナの顔が青ざめる。

「いけない!みんな!」

その言葉を受けて全員がHALに向かうが、HALの展開した石柱や暴風に遮られて近づくことは出来ない。
そして、HALはその間に悠々と魔血魂を飲み干した。

「かぁああああッッッ!!!!!」

HALの体に大きな変化は無い。
強いて言うなら、吐き気のするような邪悪が、人を殺すほどの邪気で覆われつくしたこと。
それは立っているだけで気力を奪うほどの、絶対悪。

「フフン、これで終わったと思うの? 実はまだまだあるのよ」

既に事が済み、傍観せざるを得ないニコレンジャーの面々にパッチを見せる。
萌えモンパッチだということは分かったが、しかしそれがどう関わるのか分からなかった。

「これはアカギパッチって言うらしくてね、萌えの塊にするだけじゃなくてパワーアップまでしてくれる代物よ。
 さっきまであのクソピエロが使ってた奴ね。」

HALはパッチを、頭のヘアバンドのすぐ横に、まるで髪飾りのように身に着けた。
萌えモンパッチを扱えること、それはHALがもう既に人間を辞めた事への証明であるが、今になってそれは更なる脅威となった。
HALの見かけは大きく変化した。そして困惑していた後ろのゆとりデジモンの一部から歓喜の声が少しだけ挙がった。
今までの所業と表情を忘れれば絶世の美女だったHALはちんちくりんの胸無しつるぺったんの幼女に変身した。
そして特筆するべきなのは当然裸マントだ。風がたなびいて見えてはいけない所がチラチラと言えないレベルで見えている。
そこで喜べるつわものゆとりは極少数で、大半は威圧感の前に何の感慨すら起きず、恐怖に打ち震えていた。
それはニコレンジャーも同じだった。あるがままに恐怖をたたえるそれに、人としての常識は通用しない。

「なんでここまで饒舌だったか、何で手を抜いて戦ってたか分かる? 勝てる戦いを面白くするからよ。
 神話の最初の一ページに、神である私の素晴らしさを包み隠さず記し、神に逆らった愚か者へのむごたらしい末路も記すためよ。
 そう、私は……」




「究極の破壊者にして唯一にして最強の支配者にして真の信仰の擁護者にして聖なる神の子にして七つの海と七つの大陸の支配者にして、

 全てのデジモンの頂点に立ち全ての人間をHAL厨として従え全ての世界を見通す最高の賢者にして無敵の力を持ち、

 天上天下にかなうものはおらず天国と地獄も含めた全ての世界の支配者にしてHALHAL動画の神の中の神であり、

 全社会の頂点に立つ最高の調停者にして地球の意思にして宇宙の意思にして真の神の意思にして全王国の支配者にして、

 全帝国の支配者にして全連邦の支配者にして全ての王を束ね、全ての生きとし生ける物の崇拝にして、全天体の創造者、

 この世に降臨し、人類に救済を与える最初にして最後の救世主にして、哀れな子羊の前に現れた真の造物主、

 それがこの私、究極超暗黒聖天全能魔王神帝、ガイア☆アルティメット☆ヘルカイザー☆ユニバース☆

 ディバイン☆アブソリュート☆セレスティアルミカエラ☆パーフェクトエンペラーHAL!」







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