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第三次ニコロワ大戦Ⅲ ――Necro Fantasia ◆cpYAzLvx8.




深く落ちる闇の中で、日吉は目を覚ました。
そこにいたYOKODUNAを見て、日吉は自分がどうして、どこにいるのかを直感的に理解した。
また俺は、生と死の狭間にいるんだろうと思った。

「ついてこい日吉よ、お前に会わせたい者がいる」

日吉にとってそれは、二度目の経験であったから、その先に待ち受けるのが誰なのかも理解していた。
それは、愛弟子のチビ助だろうということに。


しかし、そこに現れたのは日吉が予想した人物ではなかった。

「チビ助……!?」
「俺には越前リョーマって名前があるんだけどね」

青学の一年にして期待のルーキー、俺に苦渋を飲ませた越前リョーマがそこにいた。

「てめぇ、一体何の用だ!?」
「俺との勝負に勝ったら、教えてあげるよ」

リョーマの手から放たれたツイストサーブが、日吉の横を掠める。
それは、明らかに日吉への挑戦状であった。

「上等だぜ、その喧嘩、倍返しにして返してやるよ」
「まだまだだね」

そして、リョーマと日吉の試合が始まった。
再びリョーマのサーブが放たれる。
日吉はいつの間にか現れたコートの中で、リョーマの放ったツイストサーブを打ち返そうとする。
しかし、日吉のラケットはツイストサーブを捕らえるが、それを返すには至らない。

「へっ、さすがにやるなチビ助」
「全力で来なよ」

日吉は戦いの中で身に着けた、無我の境地を発動する。
しかし、どうやっても勝つ手段が見えない。
調子が悪いだけと思い直し、ツイストサーブを辛うじて打ち返す。
だがそれはリョーマにとって打ちごろの玉にしか過ぎず、強烈なスマッシュによるカウンターを貰うだけだった。

「チビ助、てめぇ……」
「だから言ったでしょ、全力で来なよって」

日吉はリョーマから点を奪おうと必死で動くも、何度やってもリョーマの鉄壁を破ることは出来ない。
何も出来ないままサービス権を交代し、日吉の手にサーブが渡ってきても何も変わりはしなかった。
初手が違うだけで残りは全て同じ、ただ翻弄されるだけだった。

「俺の勝ちッスね」
「もう一回だ、チビ助野郎!」
「ふぅん、それで気が済むなら気が済むまでやってあげるよ」

何度やっても変わらない、日吉はそれでも決して諦めなかった。
下克上、自分より強い敵に立ち向かい、それを撃破する。
それこそが日吉の座右の銘であり、ここまで勝ちあがれた理由。アグレッシブベースライナー日吉若の、テニススタイル。

――それから何ゲームが経過したのかも分からない頃、一ゲームも取れぬままついに日吉はその場に膝を突いた。

「なんでだ、何で勝てねぇ! 俺の無我じゃてめぇの天衣無縫には勝てないってのかよ!」
「半分当たりで、半分外れ」
「何だと?」
「どうして俺が天衣無縫にたどり着けたと思う?」
「……教えてくれ」

日吉は、ついにリョーマに促されるまま、答えにじっと耳を傾ける。

「俺は純粋にテニスが好きだからさ、下克上とか、勝つためにテニスをやってるわけじゃない。
 テニスを通じて、仲間やライバルと切磋琢磨し合える、そんなテニスが好きなだけさ」
「テニスを……楽しむこと?」
「そう、あんたのテニスは必死すぎる、もっと素直に楽しむべきだよ。
 下克上だ何だ言って、それで一緒にテニスをする人間を倒すべき敵扱い? それは酷いと思うな」
「俺のテニスが、下克上が悪いと?」
「さぁね、何にしろ俺から言えるのは、もっと仲間を大切にするべきだ。
 俺達の場所に居るあんたの仲間も、ここではないどこかにいる、あんたの守るべき仲間もね」

日吉はその言葉を受け、涙した。
氷帝学園に居た頃の俺は、ただ自分がどこまで上を見れるかということだけしか考えてなかった。
それが命に繋がらないうちはまだよかった。
しかし、それで自分は大切なライバル、まだ見ぬ仲間達を知らず知らずのうちに切り捨てていたことになる。
そうやって自分の身を優先し、下克上のために自分の障害だけしか省みることは無かった。

それで、守るべきものを失った。自分の大切な愛弟子も、倒すべきライバルももういない。
自分がもっと慎重に行動していたら、掴むことができた真に尊い未来を、見逃していたのだ。

「俺は、俺はああああああッッッ……!!!」
「それに気が付ければ十分だよ」
「ありがとよ、チビ助!」
「……まだまだだね」

最後の夢が覚めるのを感じていった。
引きちぎられた腕は戻らない、それが何だッ!
腕を失ったから諦めるほど、俺のテニスへの情熱はヤワじゃない。
腕を失ったからって、仲間を決して見捨てたりはしないッ!













コントラストの無い世界から、その身を戦場へと戻す。
日吉の体は、引きちぎられた腕とは逆にかなり軽かった。
それはつかさが終始吹き続けていた赤とんぼのお陰であり、だからこそ日吉が目覚めることが出来たのだ。
足だけで立ち上がり、捨てられていた腕へと身を近づける。
それがうまく行くとは思えなかったが、それでもできないとは微塵も思えなかった。
勢いよく体を倒し、肩があった場所にうまく腕をねじ込んだ。

日吉は、その身に纏いしKIを介して、腕を再び体へと戻し入れた。
それは物理的には正常な腕ではない。だが日吉の腕は、KIの力によって日吉の元へと舞い戻った。
もう一度ラケットを握ることが出来る、それは日吉にとって類稀なる幸運であり、神の奇跡だった。

日吉が自身の腕の感触を確かめていると、視界の先にはKASと、粉々に砕け、ただの金属片へと変化した核鉄がそこにはあった。
KASの遺体に、表情は無かった。そこには何も残らない。
それは、何も残せなかったのではなく、何かを残せるからそこにいる、日吉はそう思った。
だから、その可能性に日吉は賭け、KASの肉体、そして粉々に砕けた核鉄にKIを込める。

「おいKAS! てめぇはそんな何でもないことで死ぬようなタマだったのかよッ!
 てめぇも男なら、意地を見せやがれぇぇ!!!!!」




――――俺は……死ん……死んでるわけがない。

そうだ、まだ死ぬわけには行かない。

閣下から貰った大切な命を、こんな所で無駄にするわけには行かない、絶対に、絶対にだッ!

それだけじゃない、俺の帰りを待つレムーが、みんなが、そして俺を待つ大切な彼女がいる。

倒さなきゃいけない、邪悪がいる。

俺は、








――――――――俺は戦うッッッ!!!!!!!







◆  ◆  ◆

「じゃ、死のうか」

つかさは頑として恭順を拒む。
もうHALは回復など当の昔に諦めた。出来ないことに固執するほど馬鹿ではないからだ。
つかさを殺すのは容易い。しかしただ殺したのでは、ここまで痛めつけてやった割に合わない。
だから、必ずこの表情を恐怖に染めてから、むごたらしく殺してやろう。
となれば、つかさに捧げる生贄がいる。

丁度いい具合に、近くに霊夢が転がっていたので、HALはそれを生贄のターゲットとして狙いを定めた。

「さて問題です、あんたが許しを乞えば、こいつを殺すのを止めてあげるわよ」
「あっ、ああっ……!」

つかさの表情が青ざめる。
そう、これが見たかったのだ、この表情こそが、神に捧げられる哀れな生贄に相応しい。
しかし、そこへHALも予想だにしていなかった横槍が入る。

『つかさ、この悪魔の言うことなんて聞いてはいけません、貴方が戦って皆を救うのですッ!!!』
「う、うん!」

無機質な声が、つかさの表情を再び変えてしまう。
それは恐怖がベースであるものの、そこに絶望は無い。
どうやってこの状況を打開するか、そういったことしか考えてないように見えた。

「うっさいわねぇ、ただの道具の癖に生意気よ」
『何を言おうとこの私、レイジングハートの勝手です!』
「じゃあ、その口がクソ垂れる前にHAL様万歳と言えるようにしてあげるわ」

HALはそう言うと霊夢の傍に落ちていた杖をふんだくり、そこに手を添えた。

『ああああぁぁぁぁaaaaaaaaaAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!』
「フヒヒヒ、しゃべる杖の改造ぐらい、神にとっては朝飯前ですらないのよ」
『あああHHHHはハハハHALsssssさまばんざいはるさまばんざいはるさま……』

添えられた手が除けられた時、絶叫を上げていたレイジングハートというデバイスは、消え去った。
高潔な意思を持ったそれはもうこの世には存在せず、哀れな一つのHAL厨へと、堕とされた。

「神の杖、いいじゃない」

HALはその手に持つ、愚鈍なる杖を振り回し、己の力を誇示するかのように破壊の雷を回り全てへ、無差別に飛ばす。
哀れな生贄たちがその雷に巻き込まれ、命を落していった。

「うげ、よく耳を澄ましたら心臓の音が聞こえる!? このクソアマ生きてやがるじゃない。
 さっき心臓を潰さなかったのは失敗だったわ、復活する前に今この場で心臓を握りつぶしましょう」
「だ、駄目ええええぇぇぇ!!!」

つかさが身を乗り出すが、手足の先をボロボロに陵辱されたつかさは一歩を踏み出せず、床に倒れてしまう。
それでもつかさは決して諦めなかった、届かないと分かっていても、手を伸ばさずにはいられなかった。
残酷な神が、赤く、紅く染まった少女の肢体を引き裂く。

「てめぇにレムーはやらせねぇぇえええええ!!!」

しかしそれは、一瞬の差で未然に終わる。
なぜならKASが現れ、その閣下秘伝の秘奥義・真ブラボーナックルがHALの顔を思いっきりブッ飛ばしたからだ。

「ぐぎゃぁ!?」

KASは空中へ飛び上がった霊夢の体をしっかりとキャッチし、やさしく地面へとエスコートした。
その後に続いて日吉が遅れて登場する。

「KAS、カス、日吉ッッッ! なんで、何であんたらがここにいるのよぉぉぉおおおおお!!!」
「日吉が俺にくれた! 日吉の熱い思いで俺は目を覚ました!
 それはHAL、てめぇという邪悪をぶっ殺し、みんなと一緒に帰るためだッ!」
「そうだ、俺はてめぇなんかに、絶対に屈したりはしねぇッ! もう誰も殺させたりはしねぇッ!」
「ふざけんじゃねぇえええ!
 こうなったらてめぇらまとめて全部ぶっ壊してやるッ!」

HALは大量の光線弾を無差別射撃する。
瀕死の重態にも関わらず、HALは大量の射撃を放ち続ける。
HALはもう目の前の敵が倒せようが、倒せまいがどうでもよかった。
目障りな敵を、その視界から消し去りたいだけだった。
だが、それさえももはやかなうことは無い。
天衣無縫に目覚めた日吉の瞬動が、HALの打ち出した光線弾を全て元へと打ち戻す。
その光線弾に貫かれ、瀕死のHALは更に追い詰められる。

「ぐぎゃぁあああああ!」
「死にやがれぇぇぇえええええええッッッ!!!」

KASの拳が、HALの肉体を貫く。
串刺しにされたHALはそのまま地面に胴と足を生き別れにされ、錐揉み落ちた。

「う、ううっ……、クソ、クソ、糞ッ!
 食ってやる、食ってやる、食ってやるッッッ!!!」
「なっ!?」

錐揉み落ちたHALは、客席の近くにあったマルクの死体を掻っ攫い、飛翔をしながらその肉体を貪り食う。
更に、運悪く近くに居たデジモン達もHALの狩りの犠牲となった。HALは食らえるものを全て食らうことで、瀕死の肉体を活性刺せようと必死にもがく。
ボロボロの羽を復活させ、ゆとり達を食らってゆく。
KASと日吉が追いかけるも、そのスピードは瀕死とは思えない超スピードであった。


「ひ、ひぃぃぃ!!! 食われるのは嫌だぁぁぁあああ!!!」
「何やってんだHALぅぅぅううう! デジモン達を食うんじゃねええええええ!」
「嫌だ、嫌だ、嫌だああああああッ!!!」

HALの狩りは止まらない、止められなかった。
だから急にHALがその場で制止して小刻みに震えだしたとき、追跡をしていたKASと日吉さえその場に留まった。
見ればHALは、その手で口を押さえ、顔を膨らませていた。




「ぐげ、ぐげ、おううぇぇぇえええええええ…………」



そして、HALはぐちょぐちょ、げちょげちょの肉片を垂れ流しだした。
手に持つレイジングハートはその場に零れ落ち、カラカラと音を立てながらどこかへ転げていった。
苦痛に呻くHALの口からは紅く染まった、必要が無かったはずの犠牲者達が川のように流れて行く。
その体積をはるかに超える量の内容物がその場に吐き出され、それは一つの形を取って行く。

赤く、紅く染まった真紅の神人が現れた。
半透明の内核部にはデジモン達だけでなく、HALやそれ以前の支配者達が取り込んでいた哀れな犠牲者の姿もあった。
暗黒長門も、高町なのはも、鈴仙・優曇華院・イナバも、園崎詩音も、デーモンも、古泉一樹も、BKMGにセイバーも、
ゾーク・ネクロファデスも、そしてマルクとピエモンの姿さえあった。

「いよいよ、これでアイツも終わりだな」
「ああ、あの変な巨人を倒せば終わりだ、デジモンのみんな、俺達に力を貸してくれッ!」
「当たり前だ!」
「黙って殺されるぐらいなら、戦うに決まってんだろ!」
「神(笑)なんかフルボッコにしてやんよ!」
「マルクたんにピエたんを痛めつけた神(笑)ブッ殺すッ!」

幾らか被害を受けてたとはいえ、恐怖ゆえに常に傍観者であったゆとりたちもついに味方へと回った。
HALの残虐非道な振る舞いが自分達にも降りかかるのを見て、あるいはKASの熱気に当てられたのか。
全てのゆとりデジモン達もニコレンジャーの味方に回った。

「俺を忘れてもらっちゃ困るぜ!」
「AMT、無事だったか!」
「ぼくもいるよ!」
「私も、あんな奴には絶対、絶対負けたくないッ」
「レナにカービィ!」
「私も、戦うッッッ!」
「……私も、まだ…………」
「つかさもレムもーいるッ! これでみんなみんな揃ったッ!
 さぁ、行くぜ皆ッッッ!!!」

KASの号令に従って、デジモンも含め、HAL以外のすべてがその紅い神人へと向かった。
全ての住人が一致団結した時、億千万の思い出が弾けた。

億千万の思い出から初音ミク、KAITO、MEIKO、鏡音リン、レンのボーカロイドたちが、
赤と白の道化師、ドナルド・マクドナルドが、
脅威のジャスコ馬杉店の中村イネが、
チーターマン三兄弟が、ドイツ製ボーカロイドの破壊神、キーボードクラッシャーが、
ゆっくりしすぎた無任所、蓬莱山テルヨフが、
性欲を持て余す伝説の傭兵、ソリッド・スネークが、
イ゛ェァアアアアアアア!!!でお馴染みのひろしが、
スカルミリョーネ、カイナッツォ、バルバリシア、ルビガンテのゴルベーザ四天王が、
とてつもない世界のYATTA、はっぱ隊が、
ガチムチボディの兄貴、ビリーヘリントンが、
荒ぶる有袋類にして格差社会に負けぬドラゴンズのマスコット、ドアラが、

億千万の人気を誇るニコニコ動画の英雄達が、邪神を倒すべく集結した。


そのテラカオスな光景に、紅いテラカオスな神人が悠然と立ちはだかる。
それはHAL、ハルヒが展開していた神人のサイズをはるかに上回るサイズで、発せられる圧力はHALの全力に勝るとも劣らない。
それでも、誰もが負ける気がしなかった。
誰もがそこにいる、みんながいる。

みんなを信じているから、戦える。


生まれてから不動を保っていたその紅い神人は、自身よりも巨大な、それこそHALのプラネットバスターと同規模にも見える超高密度エネルギーを収束させていた。
神人の一撃か、それともニコレンジャー達の団結か。
それぞれが自分の持てる力を結集して、神を迎え撃つ。

「みんな、俺にGENKIを分けてくれぇぇええええッッッ!!!」
「みんな、日吉にパワーを集めるんだってぃう!」
「「「「「「いいですとも!!!」」」」」

「みっくみくにしてやんよ!」
「ドナルドは、嬉しくなるとつい元気をあげちゃうんだ」
「くぁwせdrftgyふじこlp;@!」
「GENKI-DAMAにとっととスピーン!」
「ゆっくり元気を分けた結果がこれだよ!」
「性欲を持て余す」
「イ゛ェァアアアアアアア!」
「みんな、パワーをメテオに!」
「YATTA、DAMAに元気がはいるぞぉ!」
「仕方ないね」
「――!」

日吉が超巨大なGENKI-DAMAを精製する。
そこへみんなの元気が、一つのDAMAの中に纏まっていく。
億千万の英霊達が、GENKI-DAMAへと集結する。

神人から発せられた暗黒球にも負けない、光のGENKI-DAMAが迎え撃つ。

「これが俺の、一球入魂だぁああああああッッッ!!!!」

日吉のGENKI-DAMAの波動が、TENINU-RAKETTOのスマッシュで更なるエネルギー得て暗黒の破壊神へと向かう。
闇に堕ちた神の一撃と、光の元気玉波動球が激しくそのエネルギーを散らす。
ジリジリ、パチパチと弾けるエネルギーは、どちらに対しても優勢を示さない。

「こんな結末、俺は絶対認めねぇぇぇぇ!!!!」

更に加速して跳躍、体を超高速回転させながら、その元気玉波動球にもう一度駄目押しのスマッシュを加える。
日吉の意地が、みんなの思いが、全ての災厄を打ち破るために、今一歩進もうとしていた。



瞬間、全ての光景が真っ白へと染まった。
視界が晴れたとき、そこには災厄の魔王は存在しなかった。
ただ、哀れで奇妙な、人方となったHALが、何もかもが信じられないといった様子でそこにいた。

「こ、こんなことでやられると思ったら大間違いよ、いでよ神人ッ!」

HALの呼びかけに、何も反応しない。

「諦めが悪りいんだよ、HAL、てめぇの負けだぁああああッッッ!!!」
「まだ負けてないって言ってんでしょうがぁぁあああああ!!!」

しかし、HALの啖呵は意外な形で崩れることになった。

「あれ? このドロドロは……い、嫌、イヤァァァアアアアアアアア!!!」

HALの身体が、突如崩壊しだしたのだ。
今までは辛うじて人の肉体と呼ぶことの出来たそれが、グチョグチョと音を立てて崩れて行く。
どろりと垂れ下がった両腕は、肉片とも言いがたい泥炭のような何かへと、姿を変えてゆく。
HALの翼が、ばさりと折れ曲がり、それも液状化して消えた。
体を支え続けていたその足でさえも、支配者の言うことを聞いたりはしない。
そして四肢に連なる肉体でさえ、それは例外ではなかった。

「嫌、嫌、嫌、消えるのはイヤァァァァアアアアア!!!!!」

願いが通じたのか、神の単なる気まぐれなのか、HALは消えることは無かった。
ただその場に頭部だけを残して哀れに顔を動かすその姿は、ゆっくりと形容するにも滑稽な姿だった。

「ヒ、ヒヒヒヒヒ、危なかった、危なかったわ!でも生きてる、私は生きてるのよッ!」
「それがどうかしたのかな?かな? 頭だけの汚物さん」
「私は神、神なのよッ! 神だからこうして生きている、そうでしょ!?」
「あなたは神なんかじゃない、ただ周りの力に甘えていただけの怪物。
 自分の限界を超えて取り込み続けた力に翻弄されて全てを捨て去っただけ、そうでしょ?
 そうじゃないというなら、その証拠を見せてみろッ! 悪魔の汚物めッ!」
「今はできないだけで、少し休めばすぐ出来るに決まってるッ!」
「違うッ!」
「違わないッ!」

HALとレナの問答が続く。
しかしHALは頑として敗北を認めない。
それが哀れで哀れで仕方が無いのか、誰もHALのそばへと寄ろうとはしなかった。
そこへ近づけば近づくほど、あの汚らわしい何かに近づくようで、嫌だったのかもしれない。
そんな暗黙が周囲に立ち込める中、つかさがその物体を手に取った。

「私にははっきりと分かる、お前は神なんかじゃない」
「黙れ黙れ黙れぇぇぇッ!!!」


「神様はね、誰かに愛して貰えるから神様なんだよ。
 誰にも愛されない、許されないお前なんか、私は神とは絶対に認めないッ!!!
 あなたにも私と同じ様に許してもらえる機会はあった、でもあなたはそれをしなかった!
 だから私にははっきりと言える、お前なんか神じゃないッ!!!」


「違う違う違う、私にはSOS団のみんなが、そうキョンが居るッ!
 私はみんなから愛されている、あんたの言ってることが間違ってるんだよッ!」

つかさとHALの激高する言葉の中へ、遊戯がそこへ割り込む。

「じゃあ証明してやるぜ、貴様のような邪悪に相応しい罰ゲームでなッ!」
「ば、罰ゲームって何よ!」
「いくぜ……」



                 「罰 ゲ ー ム !」




◆  ◆  ◆




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sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅱ ――Ragnarok 竜宮レナ sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅳ ――Miserable fate
sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅱ ――Ragnarok 柊つかさ sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅳ ――Miserable fate
sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅱ ――Ragnarok 武藤遊戯 sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅳ ――Miserable fate
sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅱ ――Ragnarok 日吉若 sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅳ ――Miserable fate
sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅱ ――Ragnarok 博麗霊夢 sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅳ ――Miserable fate
sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅱ ――Ragnarok カービィ sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅳ ――Miserable fate
sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅱ ――Ragnarok KAS sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅳ ――Miserable fate
sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅱ ――Ragnarok 涼宮ハルヒ sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅳ ――Miserable fate



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