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 梨沙子が千聖君を連れて二階の自室で勉強を始めると、私はパートをしているスーパーへと仕事に向かった。 現在、週三日のシフトで夕飯までの短い時間を使ってパートをしている。 これもドラマが始まらないか、と淡い期待を抱いている私のつまらない抵抗の一つでもある。 抵抗はするものの、結局何も起こらないまま六年もの月日が流れていることを思えば、これからも期待は出来ない。 パートをしていて良かったと思える点があるとすれば、同じ年の友達が出来たことであろう。 彼女とは同じ時期に働き始め、お互いに現実に飽き飽きしていることもあって、すぐに打ち解ける仲になった。 たれ目でアニメのキャラクターばりに高い声で柔和に話すこともあり、彼女に寄ってくる男たちは少なくない。 彼もそんな男たちの一人であった。 「須藤さん、おはようございます。今日は徳永さんと一緒じゃないんですか?」 「おはよう。今日は一緒じゃないの。千奈美のこと待ってたのかしら?」 「い、いいえ。徳永さん、最近元気ないからすごく気になってただけです」  顔を真っ赤にさせ、左右に首を振って反応するなんてまだまだウブな証拠だ。 熊井君は、わがスーパー内で店員からお客まであらゆる年齢層の女性から人気のある店員だ。 すらっとした長身に可愛い作りの顔と、子供っぽさがある性格のギャップでパート店員からの人気は高い。 最近では彼目当てに買い物によるOLも増えたというから、まさにイケメン様様といったところだ。 「今日は来ると思うわよ。電話で話した感じだと、まだ調子よくなさそうだったけど、君の顔がみたいって言ってたから」 「え、ほ、本当ですか? う、嬉しいなぁ~徳永さんにそう言ってもらえると何より嬉しい」  笑うと本当に子供のように純粋さが伝わってくるから、彼をみていると妙に癒される気分になる。 「じゃあ、僕は業務に戻りますね。ありがとうございました」  千奈美がパートに顔を出すことを知らせたら、熊井君は嬉しそうに店内に消えていった。 熊井君、そんなにも千奈美のことが気になってるのか・・・正直に言って、私はがっかりした。 千奈美ほど熊井君を気にいってわけではないけど、興味がなかったというと嘘になる。 千奈美ははじめ、熊井君を仕事の鈍い子がやたら話しかけてくると鬱陶しがっていたのに、いつの間にやら夢中になっていた。 彼と遊びに行ったことを話す千奈美は、若さを取り戻したように生き生きとしている。 そのせいか、千奈美の肌が十代の頃の張りが出てきた気がして、恨めしくもあり同時に羨ましくもあった。 [[←前のページ>人妻茉麻編 1]]   [[次のページ→>人妻茉麻編 3]]
 梨沙子が千聖君を連れて二階の自室で勉強を始めると、私はパートをしているスーパーへと仕事に向かった。 現在、週三日のシフトで夕飯までの短い時間を使ってパートをしている。 これもドラマが始まらないか、と淡い期待を抱いている私のつまらない抵抗の一つでもある。 抵抗はするものの、結局何も起こらないまま六年もの月日が流れていることを思えば、これからも期待は出来ない。 パートをしていて良かったと思える点があるとすれば、同じ年の友達が出来たことであろう。 彼女とは同じ時期に働き始め、お互いに現実に飽き飽きしていることもあって、すぐに打ち解ける仲になった。 たれ目でアニメのキャラクターばりに高い声で柔和に話すこともあり、彼女に寄ってくる男たちは少なくない。 彼もそんな男たちの一人であった。 「須藤さん、おはようございます。今日は徳永さんと一緒じゃないんですか?」 「おはよう。今日は一緒じゃないの。千奈美のこと待ってたのかしら?」 「い、いいえ。徳永さん、最近元気ないからすごく気になってただけです」  顔を真っ赤にさせ、左右に首を振って反応するなんてまだまだウブな証拠だ。 熊井君は、わがスーパー内で店員からお客まであらゆる年齢層の女性から人気のある店員だ。 すらっとした長身に可愛い作りの顔と、子供っぽさがある性格のギャップでパート店員からの人気は高い。 最近では彼目当てに買い物によるOLも増えたというから、まさにイケメン様様といったところだ。 「今日は来ると思うわよ。電話で話した感じだと、まだ調子よくなさそうだったけど、君の顔がみたいって言ってたから」 「え、ほ、本当ですか? う、嬉しいなぁ~徳永さんにそう言ってもらえると何より嬉しい」  笑うと本当に子供のように純粋さが伝わってくるから、彼をみていると妙に癒される気分になる。 「じゃあ、僕は業務に戻りますね。ありがとうございました」  千奈美がパートに顔を出すことを知らせたら、熊井君は嬉しそうに店内に消えていった。 熊井君、そんなにも千奈美のことが気になってるのか・・・正直に言って、私はがっかりした。 千奈美ほど熊井君を気にいってわけではないけど、興味がなかったというと嘘になる。 千奈美ははじめ、熊井君を仕事の鈍い子がやたら話しかけてくると鬱陶しがっていたのに、いつの間にやら夢中になっていた。 彼と遊びに行ったことを話す千奈美は、若さを取り戻したように生き生きとしている。 そのせいか、千奈美の肌が十代の頃の張りが出てきた気がして、恨めしくもあり同時に羨ましくもあった。 [[←前のページ>奥様茉麻編 1]]   [[次のページ→>奥様茉麻編 3]]

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