「4」(2008/08/11 (月) 17:31:48) の最新版変更点
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舞ちゃんは僕らよりも一つ年下で、キッズの中では最年少にあたる。
最年少の割りに大人っぽい部分があり、その癖子供じみた悪戯もする部分もあるかわった女の子だ。
年下の女の子が相手だからか、女の子のふりもしないで、自然と男の子を相手にするように付き合っていた。
舞ちゃんは兄弟というとお姉ちゃんがいるだけで、弟や妹もいなければお兄ちゃんもいない。
なのに、僕と遊ぶ時は決まってプロレスごっこが多かったから、僕も学校の友達を遊ぶ感覚でいたんだ。
そんな僕と舞ちゃんのおてんばぶりに、舞美ちゃんやえりかちゃんは結構手を焼いたってぼやいていたっけ。
同じ歳でも愛理は僕らには加わろうとはしないで、年上の子たちといることが多かった。
愛理も愛理でませていたし、正直に言えば僕らをちょっと見下していた面もあるかもしれない。
この頃はホント、愛理とは全然話さなかったな・・・
話を舞ちゃんに戻すと、男の子だってバレた原因はプロレスごっこにあった。
あれだけ体と体をくっつけたら、鈍感な人でも気づくに決まってる。
「ちさと~今日は私が勝つんだからね。新しい技覚えてきたんだから」
「へっへ~ん、こっちだって新しい技あるぞ」
「舞のはうんとすごいの。だから、ちさとは負けなきゃダメなの」
負けず嫌いな性格もあって、僕も舞ちゃんもお互いに負けまいとよくホラを吹いた。
新しい技を覚えてきたとかパワーアップしたとかは毎週毎週言い合う決まり文句だ。
「いくよ、ちさと」
「どっからでもいいよ。ぼ、僕は・・・私は負けないからね」
僕はキッズの活動の間は『私』と言うようにお母さんから厳しく言われていたから、間違っても『僕』とはいえない。
言ったら、皆にどうして男の子の言葉を使うのとおかしいと思われるからだ。
それは僕がモーニング娘。になれないのと一緒だから、外では『私』と言わなきゃダメだと自分に言い聞かせた。
それでもたまに『僕』と言っちゃうのはもうどうしようもない。
『僕』と言ってしまった場合は、皆が聞いてない事を期待していた。
「スキありぃ」
「うわぁぁぁ~舞ちゃんズルいよぉ~」
「ちさとが悪いの。スキを見せたでしょ」
しまった、僕はさっきつい『僕』と口にしてしまい、慌てて両手を口に当てた。
そこを舞ちゃんが突進して僕を床に押し倒して乗っかってきた。
舞ちゃんの体重が軽くても、ぶつかった時の痛みは結構強かった。
ホント、加減ってものを知らないよな~舞ちゃんは。
「今日は勝つって言ったでしょ。舞の言うとおりになったね、ウシシ」
「もう一回やりなおしだよ。ズルいって。私のスキをついてくるなんてさ」
「次はないのぉ~舞が勝ったんだから今日はおしまい。また来週ね」
「ちょっと~舞ちゃんてばぁ~もう一回だけやらせてよぉ~次は勝つから」
「ダメったらダメ。べぇ~だ」
頑固者、舞ちゃんが僕にお願いごとしてきても言う事なんかきいてやるもんか。
「いいよ、次に僕が勝っても舞ちゃんが次やりたいって言ってもやってあげないから」
「平気~次も舞が勝つもん」
口ではどうしたって女の子には勝てない事をキッズの活動の中で覚えていった。
特に舞ちゃんは口が達者だから、言い返してもすぐに言い返されて、最後は毎回負けるのがパターンだった。
あの負けん気の強さはどこで身につけたんだろう、と負ける度に考えるのだけど結局わからない。
まだ僕も子供で体つきが女の子と差がないからよかったのだけれど、大きくなったらきっとどんな手を使っても舞ちゃんは勝てなくなる。
だって、僕は男の子だから・・・
僕が大人の男になる、つまりそれはハロプロにもいられない事を意味している。
大好きな桃ちゃん、遊び仲間で相棒の舞ちゃん、僕の憧れの人舞美ちゃんといられなくなってしまう。
この時はそんな事も考えず、舞ちゃんとプロレスごっこをして遊ぶことを純粋に楽しんでいた。
えりかちゃん曰く余りものの僕らを集め、℃-uteを結成しようということになった。
先に桃ちゃんのいるBerryz工房がデビューした時、僕らはまだキッズとしてバックダンサーがメインだったから、 唄って踊っている桃ちゃんたちを見ているととても辛かった。
最初はモーニング娘。になることが夢だった僕も、それは難しい事に気づいてしまった。
そう考えると、僕には時間がなかった。
体がゴツゴツして、声変わりして、顔つきが凛々しくなったら、僕は皆とはいられない。
その前にグループのメンバーになれたのはとてもラッキーだったし、またとないチャンスでもあった。
好きな歌をいなくなるまでいっぱい唄いたい、その為に歌を上手くなろうと一生懸命に練習した。
メンバーにはあの愛理もいて励みになったから、歌のレッスンには何があっても毎回参加した。
「やっぱり愛理はうまいよなぁ~どうしたらあんなにうまくなれるんだろうな」
「ちさともうまいじゃん。私はちさとの歌好きだよ」
「よしてよ。舞ちゃんが私を褒めるなんて嘘みたいだよ」
「本気だよ、私は。ちさと、唄ってる時の顔かっこいいもん」
「な、なんだよ・・・かっこいいってさ・・・」
僕が動揺した理由、それはかっこいいって言われて男の子だって気づかれたからじゃない。
舞ちゃんが僕を見る目が恋してる女の子の目だったから、何だか胸がキュンとしちゃったんだ。
この時はまだ上目遣いなんて言葉知らなかったけれど、今ならあの時の舞ちゃんがそういう事してたって表現できる。
可愛いって素直に思ったのと同時に怖くもあった。
その怖さが何なのかまではわからなかったのに嫌な予感で胸騒ぎがしてたから、よく覚えている。
舞ちゃんが次の言葉を言った瞬間、あぁやっぱり的中したとガックリきた。
「私知ってるよ。ちさと、男の子でしょ?」
「え!?」
「隠さなくていいよ。ずっとプロレスごっこして抱きついていたからわかってたの。ちさとは女の子じゃないって」
言葉を失うってこういう事を言うんだろうな。
僕は女の子らしく振舞おうって気をつけていたらから、バレているわけがないと甘い考えでいたんだ。
でも、考えてみればプロレスごっこなんかしたら、体が密着するんだから当然わかりそうなものなのにね。
今更何を言っても遅いんだけれど・・・
「あのね、舞はちさとが好き。たぶん恋してるの。最初は女の子を好きになったと思って、私おかしいんだと思ったの」
舞ちゃんが自分をおかしいって勘違いしても無理はないよ、僕は一応女の子なんだもの。
失礼かもしれないけれど、今の今になるまで僕は舞ちゃんを女の子だって意識したことなかったよ。
僕には憧れの人、舞美ちゃんがいたから。
「ちさと、皆にわかったらいけないんでしょ。違う?」
「そうだね。絶対に言ってほしくないや・・・僕、まだ℃-uteでいたいもん」
「なら、舞のお願いきいて。舞にキスして」
「な、何を言ってるのさ。キスってもっと大きくなってからじゃないの?」
「歳なんて関係ないの。いいでしょ、舞にキスして」
舞ちゃんも桃ちゃんと同じでズルい大人のやり方をするんだね。
僕も舞ちゃんが好きだ、でもキスをするのはおかしい気がする。
それでも、やらなければ僕が男の子だって舞ちゃんは絶対に言いふらすに決まってる。
なら、キスをしなくてはならないのは当然か。
僕は舞ちゃんの小さな肩に手を置いて、ゆっくりと唇を近づけていった。
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舞ちゃんは僕らよりも一つ年下で、キッズの中では最年少にあたる。
最年少の割りに大人っぽい部分があり、その癖子供じみた悪戯もする部分もあるかわった女の子だ。
年下の女の子が相手だからか、女の子のふりもしないで、自然と男の子を相手にするように付き合っていた。
舞ちゃんは兄弟というとお姉ちゃんがいるだけで、弟や妹もいなければお兄ちゃんもいない。
なのに、僕と遊ぶ時は決まってプロレスごっこが多かったから、僕も学校の友達を遊ぶ感覚でいたんだ。
そんな僕と舞ちゃんのおてんばぶりに、舞美ちゃんやえりかちゃんは結構手を焼いたってぼやいていたっけ。
同じ歳でも愛理は僕らには加わろうとはしないで、年上の子たちといることが多かった。
愛理も愛理でませていたし、正直に言えば僕らをちょっと見下していた面もあるかもしれない。
この頃はホント、愛理とは全然話さなかったな・・・
話を舞ちゃんに戻すと、男の子だってバレた原因はプロレスごっこにあった。
あれだけ体と体をくっつけたら、鈍感な人でも気づくに決まってる。
「ちさと~今日は私が勝つんだからね。新しい技覚えてきたんだから」
「へっへ~ん、こっちだって新しい技あるぞ」
「舞のはうんとすごいの。だから、ちさとは負けなきゃダメなの」
負けず嫌いな性格もあって、僕も舞ちゃんもお互いに負けまいとよくホラを吹いた。
新しい技を覚えてきたとかパワーアップしたとかは毎週毎週言い合う決まり文句だ。
「いくよ、ちさと」
「どっからでもいいよ。ぼ、僕は・・・私は負けないからね」
僕はキッズの活動の間は『私』と言うようにお母さんから厳しく言われていたから、間違っても『僕』とはいえない。
言ったら、皆にどうして男の子の言葉を使うのとおかしいと思われるからだ。
それは僕がモーニング娘。になれないのと一緒だから、外では『私』と言わなきゃダメだと自分に言い聞かせた。
それでもたまに『僕』と言っちゃうのはもうどうしようもない。
『僕』と言ってしまった場合は、皆が聞いてない事を期待していた。
「スキありぃ」
「うわぁぁぁ~舞ちゃんズルいよぉ~」
「ちさとが悪いの。スキを見せたでしょ」
しまった、僕はさっきつい『僕』と口にしてしまい、慌てて両手を口に当てた。
そこを舞ちゃんが突進して僕を床に押し倒して乗っかってきた。
舞ちゃんの体重が軽くても、ぶつかった時の痛みは結構強かった。
ホント、加減ってものを知らないよな~舞ちゃんは。
「今日は勝つって言ったでしょ。舞の言うとおりになったね、ウシシ」
「もう一回やりなおしだよ。ズルいって。私のスキをついてくるなんてさ」
「次はないのぉ~舞が勝ったんだから今日はおしまい。また来週ね」
「ちょっと~舞ちゃんてばぁ~もう一回だけやらせてよぉ~次は勝つから」
「ダメったらダメ。べぇ~だ」
頑固者、舞ちゃんが僕にお願いごとしてきても言う事なんかきいてやるもんか。
「いいよ、次に僕が勝っても舞ちゃんが次やりたいって言ってもやってあげないから」
「平気~次も舞が勝つもん」
口ではどうしたって女の子には勝てない事をキッズの活動の中で覚えていった。
特に舞ちゃんは口が達者だから、言い返してもすぐに言い返されて、最後は毎回負けるのがパターンだった。
あの負けん気の強さはどこで身につけたんだろう、と負ける度に考えるのだけど結局わからない。
まだ僕も子供で体つきが女の子と差がないからよかったのだけれど、大きくなったらきっとどんな手を使っても舞ちゃんは勝てなくなる。
だって、僕は男の子だから・・・
僕が大人の男になる、つまりそれはハロプロにもいられない事を意味している。
大好きな桃ちゃん、遊び仲間で相棒の舞ちゃん、僕の憧れの人舞美ちゃんといられなくなってしまう。
この時はそんな事も考えず、舞ちゃんとプロレスごっこをして遊ぶことを純粋に楽しんでいた。
えりかちゃん曰く余りものの僕らを集め、℃-uteを結成しようということになった。
先に桃ちゃんのいるBerryz工房がデビューした時、僕らはまだキッズとしてバックダンサーがメインだったから、 唄って踊っている桃ちゃんたちを見ているととても辛かった。
最初はモーニング娘。になることが夢だった僕も、それは難しい事に気づいてしまった。
そう考えると、僕には時間がなかった。
体がゴツゴツして、声変わりして、顔つきが凛々しくなったら、僕は皆とはいられない。
その前にグループのメンバーになれたのはとてもラッキーだったし、またとないチャンスでもあった。
好きな歌をいなくなるまでいっぱい唄いたい、その為に歌を上手くなろうと一生懸命に練習した。
メンバーにはあの愛理もいて励みになったから、歌のレッスンには何があっても毎回参加した。
「やっぱり愛理はうまいよなぁ~どうしたらあんなにうまくなれるんだろうな」
「ちさともうまいじゃん。私はちさとの歌好きだよ」
「よしてよ。舞ちゃんが私を褒めるなんて嘘みたいだよ」
「本気だよ、私は。ちさと、唄ってる時の顔かっこいいもん」
「な、なんだよ・・・かっこいいってさ・・・」
僕が動揺した理由、それはかっこいいって言われて男の子だって気づかれたからじゃない。
舞ちゃんが僕を見る目が恋してる女の子の目だったから、何だか胸がキュンとしちゃったんだ。
この時はまだ上目遣いなんて言葉知らなかったけれど、今ならあの時の舞ちゃんがそういう事してたって表現できる。
可愛いって素直に思ったのと同時に怖くもあった。
その怖さが何なのかまではわからなかったのに嫌な予感で胸騒ぎがしてたから、よく覚えている。
舞ちゃんが次の言葉を言った瞬間、あぁやっぱり的中したとガックリきた。
「私知ってるよ。ちさと、男の子でしょ?」
「え!?」
「隠さなくていいよ。ずっとプロレスごっこして抱きついていたからわかってたの。ちさとは女の子じゃないって」
言葉を失うってこういう事を言うんだろうな。
僕は女の子らしく振舞おうって気をつけていたらから、バレているわけがないと甘い考えでいたんだ。
でも、考えてみればプロレスごっこなんかしたら、体が密着するんだから当然わかりそうなものなのにね。
今更何を言っても遅いんだけれど・・・
「あのね、舞はちさとが好き。たぶん恋してるの。最初は女の子を好きになったと思って、私おかしいんだと思ったの」
舞ちゃんが自分をおかしいって勘違いしても無理はないよ、僕は一応女の子なんだもの。
失礼かもしれないけれど、今の今になるまで僕は舞ちゃんを女の子だって意識したことなかったよ。
僕には憧れの人、舞美ちゃんがいたから。
「ちさと、皆にわかったらいけないんでしょ。違う?」
「そうだね。絶対に言ってほしくないや・・・僕、まだ℃-uteでいたいもん」
「なら、舞のお願いきいて。舞にキスして」
「な、何を言ってるのさ。キスってもっと大きくなってからじゃないの?」
「歳なんて関係ないの。いいでしょ、舞にキスして」
舞ちゃんも桃ちゃんと同じでズルい大人のやり方をするんだね。
僕も舞ちゃんが好きだ、でもキスをするのはおかしい気がする。
それでも、やらなければ僕が男の子だって舞ちゃんは絶対に言いふらすに決まってる。
なら、キスをしなくてはならないのは当然か。
僕は舞ちゃんの小さな肩に手を置いて、ゆっくりと唇を近づけていった。
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