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 愛理が突然こんな事を言い出すにはわけがあると思い、僕は理由を尋ねてみた。 「だって、ちっさーが男の子だったって面白いじゃない。まるでドラマや漫画みたいでさ」 「そうだよね、僕も自分のことだけどそう思うよ」 「でしょ。そんな出来事の中に自分もいるんだから、参加しないと損だし」  愛理が興奮するのもわかる。 僕が男の子で、しかも好きな相手が同じグループ内にいて、すっかり女の子と信じきっている。 こんな面白いシチュエーションないよな、漫画にも現実にも。 だからといって、ステージ上ですることないんじゃないかな。 「舞美ちゃん、驚かせようよ。キスしてるわ♪の部分で、キスをする振りがあるでしょ。あそこでするの」 「え、えぇ~」 「そこがいいんじゃん。その後、あれは僕の気持ちですって言うの。女の子だろうが男の子だろうが、好かれてるのは気づくよ」  悪い案ではないんだけど、お客さんの入った会場ですることになろうとは。 提案した本人は知らん顔で歌ってるから気にしないでやっちゃて、とか言い出すし、参っちゃうな。 愛理だって知らないはずはないのに、横浜のコンサートの日はDVD撮影する日だってことを。 そうなったら、僕と舞美ちゃんのキスはずっと先まで記録されちゃうんだ。 しかも、お客さんたちがDVDで何度でも見られる状況なんだから、恥ずかしいだけじゃすまないぞ。 僕は舞美ちゃんにキスできるんだから、当然嬉しいんだけど、舞美ちゃんはどう思うかな。 「ちっさーさ、私が舞美ちゃんとの仲を応援してあげるっていってるんだから、頑張りなよ」 「うん。頑張る・・・」 「横浜では期待してるからね」  愛理は応援してるんだか、自分も楽しんでるんだかわからない笑顔でそういった。 ちょっと意地悪な面が出ているみたいで、またまた「ケッケッケ」と笑った。 どちらにしても、背中を押してくれる人ができたのは心強いし、頼りになりそうだ。 仮にメンバー全員が僕が男の子だと知った上で、舞美ちゃんとの事を応援してくれそうなのは愛理くらいだろうな。 えりかちゃんにはからかわれそうだし、舞ちゃんからは絶対怒られるのが想像できる。 そう考えると、心配の種が芽生えてしまった。 そんな僕の不安な顔を見て、愛理がまた後押ししてくれた。 「ちっさーの恋、叶えるのは自分なんだよ。私は応援しかできないから」  恋がうまくいくようにするのは自分しかいない、か。 うぅ~ん、桃ちゃんの時も僕が離れ離れになってからも、連絡していれば変わったのかな。 桃ちゃんとの事は終わったにしても、舞美ちゃんとは始まってもいない。 なら、僕が始まるようにしないとなんだ。 愛理は恋愛経験とかあんまりなさそうだけど、やっぱり僕なんかより全然大人だな。 「私の顔に何かついてる?」 「ん、いやいや。愛理は大人だなぁって」 「ちっさーだって、最近大人っぽくなってきたよ。前よりも落ち着きが出たっていうかさ」 「そうかな~僕はまだまだ子供だよ」 「それ言うなら私も。カッパ大好きだし」  かくして、強引に愛理に仕切られて、横浜でのコンサートで僕は舞美ちゃんにキスする方向になった。 はじめは緊張して出来なかったらって不安ばかりがあった僕も、次第に告白へのステップだと考えるようにした。 そうさ、リードされてばかりで何も出来ない男じゃ舞美ちゃんに嫌われちゃうよ。 舞美ちゃんの好きな言葉は『全力投球』だもん、ステージでも告白でも全力を出さないとだ。 悩んでばっかりいても何も始まらないよね。 僕が男の子ってバレた時も、胸をはって告白できるようにしなきゃなんだ。 「あ、そうそう。このお礼も後でよろしくね。その時は、キスとは違うことしてもらうからね」 「ま、待ってよ。また何かするのかい?」 「もっちろん。覚悟してとは言わないけど、心の準備はいつでもしててね」  やっぱり愛理って不思議な子だ。 僕には掴みどころがなく思えるけど、仲のいいりぃちゃんはまた違う印象なのかな。 そういえば、最近りぃちゃんとも話していないし、また色んな話が出来たらいいかも。 ただし、僕が男の子ってバレない程度に、学校やプライベートな話をしなくちゃいけないけど。 悩みはつきないけれど、舞美ちゃん相手に頑張らない、とだ。 問題は独占欲の強い舞ちゃんにどうやって言い訳するか、が問題なんだ。 こればっかりは僕だけで解決しそうにないから、また愛理に相談することになりそう。 そして、コンサートの当日がやってきた。
 愛理が突然こんな事を言い出すにはわけがあると思い、僕は理由を尋ねてみた。 「だって、ちっさーが男の子だったって面白いじゃない。まるでドラマや漫画みたいでさ」 「そうだよね、僕も自分のことだけどそう思うよ」 「でしょ。そんな出来事の中に自分もいるんだから、参加しないと損だし」  愛理が興奮するのもわかる。 僕が男の子で、しかも好きな相手が同じグループ内にいて、すっかり女の子と信じきっている。 こんな面白いシチュエーションないよな、漫画にも現実にも。 だからといって、ステージ上ですることないんじゃないかな。 「舞美ちゃん、驚かせようよ。キスしてるわ♪の部分で、キスをする振りがあるでしょ。あそこでするの」 「え、えぇ~」 「そこがいいんじゃん。その後、あれは僕の気持ちですって言うの。女の子だろうが男の子だろうが、好かれてるのは気づくよ」  悪い案ではないんだけど、お客さんの入った会場ですることになろうとは。 提案した本人は知らん顔で歌ってるから気にしないでやっちゃて、とか言い出すし、参っちゃうな。 愛理だって知らないはずはないのに、横浜のコンサートの日はDVD撮影する日だってことを。 そうなったら、僕と舞美ちゃんのキスはずっと先まで記録されちゃうんだ。 しかも、お客さんたちがDVDで何度でも見られる状況なんだから、恥ずかしいだけじゃすまないぞ。 僕は舞美ちゃんにキスできるんだから、当然嬉しいんだけど、舞美ちゃんはどう思うかな。 「ちっさーさ、私が舞美ちゃんとの仲を応援してあげるっていってるんだから、頑張りなよ」 「うん。頑張る・・・」 「横浜では期待してるからね」  愛理は応援してるんだか、自分も楽しんでるんだかわからない笑顔でそういった。 ちょっと意地悪な面が出ているみたいで、またまた「ケッケッケ」と笑った。 どちらにしても、背中を押してくれる人ができたのは心強いし、頼りになりそうだ。 仮にメンバー全員が僕が男の子だと知った上で、舞美ちゃんとの事を応援してくれそうなのは愛理くらいだろうな。 えりかちゃんにはからかわれそうだし、舞ちゃんからは絶対怒られるのが想像できる。 そう考えると、心配の種が芽生えてしまった。 そんな僕の不安な顔を見て、愛理がまた後押ししてくれた。 「ちっさーの恋、叶えるのは自分なんだよ。私は応援しかできないから」  恋がうまくいくようにするのは自分しかいない、か。 うぅ~ん、桃ちゃんの時も僕が離れ離れになってからも、連絡していれば変わったのかな。 桃ちゃんとの事は終わったにしても、舞美ちゃんとは始まってもいない。 なら、僕が始まるようにしないとなんだ。 愛理は恋愛経験とかあんまりなさそうだけど、やっぱり僕なんかより全然大人だな。 「私の顔に何かついてる?」 「ん、いやいや。愛理は大人だなぁって」 「ちっさーだって、最近大人っぽくなってきたよ。前よりも落ち着きが出たっていうかさ」 「そうかな~僕はまだまだ子供だよ」 「それ言うなら私も。カッパ大好きだし」  かくして、強引に愛理に仕切られて、横浜でのコンサートで僕は舞美ちゃんにキスする方向になった。 はじめは緊張して出来なかったらって不安ばかりがあった僕も、次第に告白へのステップだと考えるようにした。 そうさ、リードされてばかりで何も出来ない男じゃ舞美ちゃんに嫌われちゃうよ。 舞美ちゃんの好きな言葉は『全力投球』だもん、ステージでも告白でも全力を出さないとだ。 悩んでばっかりいても何も始まらないよね。 僕が男の子ってバレた時も、胸をはって告白できるようにしなきゃなんだ。 「あ、そうそう。このお礼も後でよろしくね。その時は、キスとは違うことしてもらうからね」 「ま、待ってよ。また何かするのかい?」 「もっちろん。覚悟してとは言わないけど、心の準備はいつでもしててね」  やっぱり愛理って不思議な子だ。 僕には掴みどころがなく思えるけど、仲のいいりぃちゃんはまた違う印象なのかな。 そういえば、最近りぃちゃんとも話していないし、また色んな話が出来たらいいかも。 ただし、僕が男の子ってバレない程度に、学校やプライベートな話をしなくちゃいけないけど。 悩みはつきないけれど、舞美ちゃん相手に頑張らない、とだ。 問題は独占欲の強い舞ちゃんにどうやって言い訳するか、が問題なんだ。 こればっかりは僕だけで解決しそうにないから、また愛理に相談することになりそう。 そして、コンサートの当日がやってきた。 [[←前のページ>9]]   [[次のページ→>11]]

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