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 私が千聖と初めて出会った日はオーディションの最終選考の日だった。 わんぱく小僧みたいに元気がよさそうな女の子がいるな、それが私の第一印象である。 オーディションでは目立った方が有利とはよく言われるから、そういう意味では千聖は目立っていた。 他の最終選考に残った子たちと比べると、明らかに千聖だけが妙に浮いていた。 みやだって茶髪で目立ってはいても、小学生にしてはやけに大人びた見た目の子だなという理由からだ。 あの中で男の子っぽい見た目の子は千聖だけだった。 まさか、ぽいではなくて本当に男の子だとは思いもしなかったけれど。  千聖が私に自分が男の子だって明かしてくれたとき、まだ誰も男の子だって知らずにいたのに、今ではほとんどの子が知っている。 皆、女の子だけの集団の中に一人だけ女装している男の子に興味津々なのだ。 事務所からは基本的に男の子と会う事事態が禁止されているから、千聖が男で嬉しいと思うメンバーがいてもおかしくはない。 それが友達の舞美だとは考えもしなかったから、あの告白には驚かされっぱなしだった。 「千聖を好きって男としてみて?」 「た、たぶん・・・うぅ~ん、わかんない。でもね、ちっさーみてるとドキドキしちゃうんだ」 「そうなんだ。舞美ってもっと長身のイケメンが好きなんだとばかり思ってた。だから、意外」  舞美はBerryz工房の選考から漏れ、残ったキッズメンバーと涙をこらえてデビューを待っていたのはよく知っている。 漏れたメンバーに千聖もいて、メジャーデビューしようとがむしゃらに努力していたのも知っている。 それだけに℃-uteのメンバーにはベリーズにはない”絆”が感じられ、まとまりが強い。 いつか千聖が℃-uteのことをこう言っていたっけ、「第二の家族だよ」と。 「いいなぁ~そんな風にグループの仲間を言えるっていうのはさ。とっても羨ましいかも」 「℃-uteやっていて辛いことや悲しいこと、怒りたかったことまでいっぱいある。℃-uteをそれでも続けてこられたのは皆のおかげなんだ」  家族同然に育っても仲間は仲間。 なのに、あの二人は私がよく知らない間に、深い関係になっていったってというのだろうか。 一人は友達で、一人は弟だと思っていた男の子。 別に強がりでも何でもなく千聖を今でも弟だって言いきれるけど、とっても寂しい気がするのだ。 今もこうして、私の向かいの席に座って食事をしている姿をみて、微笑ましく思うくらいだ。 その弟が、思春期に入って急に甘えてこなくなったときに感じる気持ちと似ている気がする。 お姉ちゃんよりも好きな女の子をとるのはわかっていても、やりきれなさは残る。 そう思っていたら、私は千聖の髪の毛をぐしゃぐしゃにかき回していた。
 私が千聖と初めて出会った日はオーディションの最終選考の日だった。 わんぱく小僧みたいに元気がよさそうな女の子がいるな、それが私の第一印象である。 オーディションでは目立った方が有利とはよく言われるから、そういう意味では千聖は目立っていた。 他の最終選考に残った子たちと比べると、明らかに千聖だけが妙に浮いていた。 みやだって茶髪で目立ってはいても、小学生にしてはやけに大人びた見た目の子だなという理由からだ。 あの中で男の子っぽい見た目の子は千聖だけだった。 まさか、ぽいではなくて本当に男の子だとは思いもしなかったけれど。  千聖が私に自分が男の子だって明かしてくれたとき、まだ誰も男の子だって知らずにいたのに、今ではほとんどの子が知っている。 皆、女の子だけの集団の中に一人だけ女装している男の子に興味津々なのだ。 事務所からは基本的に男の子と会う事事態が禁止されているから、千聖が男で嬉しいと思うメンバーがいてもおかしくはない。 それが友達の舞美だとは考えもしなかったから、あの告白には驚かされっぱなしだった。 「千聖を好きって男としてみて?」 「た、たぶん・・・うぅ~ん、わかんない。でもね、ちっさーみてるとドキドキしちゃうんだ」 「そうなんだ。舞美ってもっと長身のイケメンが好きなんだとばかり思ってた。だから、意外」  舞美はBerryz工房の選考から漏れ、残ったキッズメンバーと涙をこらえてデビューを待っていたのはよく知っている。 漏れたメンバーに千聖もいて、メジャーデビューしようとがむしゃらに努力していたのも知っている。 それだけに℃-uteのメンバーにはベリーズにはない”絆”が感じられ、まとまりが強い。 いつか千聖が℃-uteのことをこう言っていたっけ、「第二の家族だよ」と。 「いいなぁ~そんな風にグループの仲間を言えるっていうのはさ。とっても羨ましいかも」 「℃-uteやっていて辛いことや悲しいこと、怒りたかったことまでいっぱいある。℃-uteをそれでも続けてこられたのは皆のおかげなんだ」  家族同然に育っても仲間は仲間。 なのに、あの二人は私がよく知らない間に、深い関係になっていったってというのだろうか。 一人は友達で、一人は弟だと思っていた男の子。 別に強がりでも何でもなく千聖を今でも弟だって言いきれるけど、とっても寂しい気がするのだ。 今もこうして、私の向かいの席に座って食事をしている姿をみて、微笑ましく思うくらいだ。 その弟が、思春期に入って急に甘えてこなくなったときに感じる気持ちと似ている気がする。 お姉ちゃんよりも好きな女の子をとるのはわかっていても、やりきれなさは残る。 そう思っていたら、私は千聖の髪の毛をぐしゃぐしゃにかき回していた。 [[←前のページ>桃ちゃん編 4]]   [[次のページ→>桃ちゃん編 6]]

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