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 僕は今、まっさらに晴れた青空を電車の中から眺めている。
今日が絶好の遊び日和になってくれてありがとう、って神様にお礼を言いたい。
たぶん、僕と今日遊ぶこの子が普段から行いがいいからなんだろうな。
こんな事を言ったら、この子には「ちっさーは悪戯ばっかりでしょ」なんて注意をされそうだけど、それでもそう言わずにはいられない。
だって、このところの天気といったら曇りや雨ばかりが続いて、今日も雨にならないか心配していた。
それをいい意味で裏切ってくれたので、テンションも上がるのは当然なんだ。

 隣の席に座るなっきぃをみると、なっきぃは太陽よりも眩しい笑顔をみせてくれた。
なっきぃとは普段から仲良くしていたのだけど、プライベートで遊ぶ機会は今までなかった。
嫌なことがあると宛名なしのメールにひたすら嫌なことを打ち込んでいる休日が多い、というなっきぃに、
それなら遊びに行こうと誘ったのがきっかけだ。
なっきぃは僕が誘うと、すぐに笑顔で頷き、あの「キュフフ」と笑い声をあげた。
場所は迷うことなく、前から行きたいと話していた遊園地にすぐに決まった。

「ちっさー、手を出して。はい、これ」
「ありがとう。なっきぃと言えばこれだね」
「キュフフ、そうかな。でも、みかんはこの時期には必須アイテムでしょ」と言って、自分の分のみかんの皮を剥きだす。

 なっきぃはとにかくみかんが大好きだ。
一年中、季節関係なくみかんを頬張っている。
夏には夏で夏みかんをもってコンサートツアーに行き、冬には冬でやっぱりみかんを食べる。
メンバーもファンの人たちもなっきぃと言えばみかん、と誰もがそうイメージをしてしまう。
みかんの皮を剥き、口の中に入れて噛み終わるまで、なっきぃの幸せそうな表情は続く。
食べた後もしばらくは余韻に浸っているのか、なっきぃは幸せそうな表情を崩さない。
今もほら、なっきぃは電車の中でも幸せそうな表情だ。

「ん~甘い。これ、美味しいね。ちっさーも早く食べて」
「うん。いただきます」
「めしあがれ」

 なっきぃに幸せをお裾分けしてもらったことだし、僕も遠慮なくいただくことにしよう。
みかんの皮を捲り、一つ小さな実を掴むと口に放り込む。
なっきぃの言う通り、すごく甘くてすっぱいみかん独特の味が一気に口の中に広がる。

「キュフ、ちっさーが美味しそうでよかった。このみかん、結構有名な名産品らしいんだって」
「へぇ~」
「さぁ、もっと食べて」

 僕が美味しく食べる顔をみてなっきぃが笑ってくれるなら、電車を降りる時まではみかんを食べているのも悪くはない。
そう思っていると、電車が目的の駅に着いたことを知らせてきた。

『舞浜~舞浜に到着です。落し物、お忘れ物がないかご確認になってお降り下さい。舞浜に到着です』

「ついたね」
「よし、いこう。今日はいっぱい楽しむぞぉ~」

 駅に降り立った僕は、さっきまでの窮屈さから解放されたくて伸びをした。
近いとはいえ、まだ遊園地までは距離があるのに、ここからもう遊園地の一角みたいな感じがする。
せっかちさんなお客さんはもう頭にマスコットキャラクターの耳と同じカチューシャをしている人がいる。
もうお客さんからして雰囲気が違うのだから、ここも立派な一角なんだろうな。
ゆっくりと近づいていきながら、僕らの期待は早くも高鳴り、緊張してきてしまう。
息を吐いて、呼吸を整え、さぁいくぞ、とゲートを潜り、僕となっきぃの二人だけの遊園地デートが幕を開けた。

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