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 闘いその一、自分のおしゃべり癖との我慢比べ。
人からよく言われる悪い癖の一つに、『ちぃ(千奈美)はおしゃべりすぎる』というものがある。
私は何故か特ダネを手に入れると、それを人に話せずにはいられなくなる。
心の奥底から湧き上がるこの衝動で、何度人間関係に危機が陥ったことか数知れない。
舞美の場合、忘れっぽいのに助けられて友情に亀裂が入ったことも未だにないのは助かっている。
これがキャプテンの場合、記憶力がいいのでうっかり秘密を洩らそうものなら、厳重注意だよ、と叱られてしまう。
そういう目にもあっていながらも、私は話したくて衝動に負けて未だに話してしまったりしている。
このまま負け続けたら、私にはきっといつか友達がいなくなっちゃいそうで心配でならない。
どうか、この癖だけは治りますように。
そう祈ってすぐに私は衝動という名の怪人ドMとの闘いに挑むことになった。

 この日、舞美と遊園地で遊んだことよりも話してくれた内容の方が頭に強く残った。
家に帰って落ち着いてみたら、遊園地での話ってとんでもないスクープなんじゃないかって気づいた。
あの女の子だけの集団に、実は男の子が混ざっていたなんてありえなさすぎる。
まるでドラマじゃん、そう思わずにはいられないくらい、私には驚きだった。
キッズから数えて六年以上もの間、千聖は事務所に内緒にしていたことになる。
もしかして、これが世間に知れ渡ったらハロプロ解散とか驚きの展開になりそうで怖い。
それほどの重要な秘密を舞美は知っていて、私が親友だから話してくれたんだと思うとニヤけてしまった。
クッションを抱きしめて、ベッドの上をゴロゴロと転がりながら、スクープの響きに酔いしれた。

「あはは、これって他の人が知ったらどういう反応するんだろうな。たとえば、キャプテンとか」

 携帯のキャプテンの登録してあるアドレスをみて、どんなリアクションをするのか想像してみる。
キャプテンあたりなら、私が期待している通りのいいリアクションをくれそうな気がする。
あの人は驚いたら、桃なんかよりもよっぽど面白いんだから。
今いる場所が家なら、嘘でしょ~とか言いだして、部屋中を歩き回ったりするんだろうな。
キャプテンは小さいから手をバタバタさせて慌てふためいている姿がよく似合うんだよね。
女の私でも可愛いと思っちゃうもん。

 そんな想像をしながら携帯画面をみつめて、キャプテン可愛いなぁと呟いていたら、

「ちぃ。もしも~し。何か用? こんな時間に」

と、携帯からキャプテンの声が聞こえてきたときは心臓が飛び出るくらいに驚いてしまった。
どうやら、間違えてボタンを押してしまっていたらしい。

「え・・・何でキャプテンでてるの? あれれ、キャプテンにかけたつもりなかったのにな」
「かけたつもりじゃなかったなら、何であなたは電話をかけるの。相手に失礼でしょ」
「えぇ~と、ごめんごめん。不思議な力が勝手にボタンを押してかけちゃったのかも」
「そんなわけないでしょ。あなたが自分でかけたんです。用がないなら切っちゃうよ」

 夜中に電話をかけたからなのか、キャプテンの機嫌が少々悪い。
用なんてはっきりいってないのでこのまま切られてしまっても問題はないのだけど、せっかく繋がったんだから何か話さないと勿体ない。
下らない話はいつでもできるし、それはそれで楽しいのだけど、今日のキャプテンのご機嫌からして特ダネがいい。
何かあるかな、今一番熱いニュース。

「ちょっと~いつまで待たせる気? 本当に用がないなら、切っちゃうからね。3・2・1」 
「ま、待ってよ。話す話すから~そう怒らないでよ。いっちば~ん驚くニュースを話してあげるからさ」
「なぁに、ちぃが話したいことって。まぁ、どうせ下らないことなんだろうけどね」

 キャプテンが投げやりに私の相手をしているのだと思うと、カチンときた。
下らない?
キャプテン、あなたは今、私に言ってはならないセリフを吐いてしまったみたいだよ。
ならば、言うまいと思っていたあの話題を出すしかないようだね。

「あ~そういうなら教えてやらないぞ。すんごいビッグニュースなんだよ。これ、すっごいんだから」
「はいはい。わかったから言ってみなよ。さ、早く」
「もしもだよ、もしも。えぇ~と、ベリキューの中にさ、男の子が実は混じってたとか言ったらどう思う?」
「はぁ!? ちぃ、いきなり何を言い出すの」
「だから、もしもの話してるんだって。想像してみてよ。どの子が男の子なのかってさ」
「う~ん、誰だろうな・・・」

 キャプテンが無言になり、はじめは乗り気ではなかったくせに真剣に考え込んでいるみたい。
お互いに無言の間が、何とも言えない緊張感を生み、私の心臓をドキドキさせる。
ベリーズの皆はないと思うだろうから、℃-uteのメンバーから男の子を探し出すに違いない。
だとしたら、あいつしかいないよね。
キャプテンはしばらく考えこんだ後、”もしも”を強調して話し出した。

「もしもなんだよね。それなら、千聖かな。あの子が見た目とか一番男の子っぽい気がする」

 きました、こちらの期待した通りのお答え。
やっぱり皆考えることは一緒なんだ。
それがあまりに嬉しかったものだから、つい私はキャプテンに漏らしてしまっていた。

「それがもしもじゃないとしたらどうする? 岡井千聖が本当に男の子だったらってさ。面白くない?」

 闘いその一、おしゃべり癖との勝負・・・敗北?

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