Skip to: Site menu | Main content


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

 僕が後から聞いた話だと、えりかちゃんはまさか舞美ちゃんまでこっちに来るとは予想していなかったらしい。
だから、舞美ちゃんを連れて千奈美ちゃんが現れたとき、誰よりも先に声をあげたのは他でもない、えりかちゃんだった。
舞美ちゃんは自分が場違いな場所に来ているとは思っていないから、えりかちゃんや僕をみつけて手を振り回して歩いてきた。

「千奈美がこんな場所に一人で行くのは怖いって言うからついてきちゃった」と、満面笑みの舞美ちゃん。

 僕が隣のえりかちゃんを見上げてみれば、口の端を吊り上げて苦笑いを浮かべていた。

「そ、そうなんだ・・・待ち合わせの場所選び間違えちゃったかな。千奈美が一人でも来られる場所にすればよかったね」
「みやとちっさーまでいるし、皆揃ってどんな話する気なの。よかったら私も一緒に話聞いちゃってもいいよね、とか言って」

 舞美ちゃんの笑顔は僕らメンバーも癒してくれるすごい力を持っているけど、こんな時には全くの無効化だ。
皆との温度差がありすぎて、今は舞美ちゃんがやけに浮いてしまっている。

「いいんじゃない。ねぇ~千聖?」
「えぇ!? ちさとはどう答えればいいの。ちょっとわかんないって」

 えりかちゃんが僕を指名すると、舞美ちゃんの二つの眼がしっかり僕を捉えて離さない。
僕もどういうことなのか、さっぱり状況が飲み込めないからおどおどして、男の子なのに情けない。
こんな様子では舞美ちゃんに頼りにされないぞ、しっかりしろ。
舞美ちゃんはリーダーと言ったって、家では末っ子で甘えたがりなんだから、家では長男の僕が支えてあげるべきなんだ。
なるべき自然さを装って、「ちさとはどう答えていいかわからないな。雅ちゃんはどう?」と話を振ってみた。
すると、雅ちゃんは無茶ぶりをするな、とあの猫目を鋭くさせて一睨みしてきた。

「そうかもね。ちぃも一人で来られるようにならないとダメじゃん。この後のロケどこでやるか聞いてるんだから」

 えりかちゃんたちにとって、舞美ちゃんが現れるのは都合が悪かったんだろうな。
それだけは雅ちゃんの態度もみたから、何となくわかる。
合同コンサートのエッチなことをここでしようとしてたっていうのか。
もし、悪い予感が現実になっていたら、ここでズボンを下ろされて男の子かどうか確認したくないか、千奈美ちゃんを誘惑しようとしていたんだ。
舞美ちゃんがいなかったから、もう既にそんな状態になっていてもおかしくなかったんだ。
舞美ちゃん、ありがとう!!

「でさ~えりかちゃんが話したいことって何? どんな用事なのか考えてもわからないんだよね」

 千奈美ちゃんは顎に手をおき、考えるふりをした後、お手上げだと両手を持ち上げてみせた。
呼びだされた本人にも未だに用事がどんなものか、知らされないまま話が進んでいたのだった。
今更えりかちゃんたちは冗談でもそんなことはない、とは言えないよね。

「それはちょっと話しづらいことでさ、どうしようか。ね、雅さん?」
「え、えぇ? 何何?」

 雅ちゃんはまたもや急にふられて、ちょっとどころではなく驚いているようだ。

「あ、あぁ~そうそう。やっぱり舞美抜きで三人で話しあってもらおうよ。じゃあ、私は舞美と席はずすね」
「え、ちょ、ちょっと~私まだ話聞いてない。ちょっと~」

 雅ちゃんは咄嗟に判断して、舞美ちゃんを引き離した方がいいと考えたのか、どこかに連れ去ってしまった。
えりかちゃんは舞美ちゃんがいなくなったのをみて、ホッとした様子でにっこりとほほ笑んだ。

「舞美には悪いけど、やじうめコンビっていったって限界はあるんだよね。さて、千奈美、本題に入ろうか?」
「うん。舞美がいない方がいいならそれでもいいけどさ。ただ、舞美の悪口とかなら許さないよ」
「そういうんじゃないって。千奈美が知りたがってた千聖ちゃんが男の子かどうかの確認を一緒にしようよってさ」

 えりかちゃんに後ろから抱き締められ、頭にえりかちゃんの胸が当たる感触がある。
つい、いやらしい妄想はやめろっていうのに、頭では次々に浮かんでくるからどうしようもない。
僕は抵抗する力をなくし、千奈美ちゃんの顔もまともにみられなくなって、俯いた。
真剣にならなくてはいけない場面で、僕は自分が男としてのどうしようもない性に逆らえないのが悲しかった。

←前のページ   次のページ→