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「ねぇ、千聖は私と舞ちゃんのどっちを好きなの?」

 ぐいっと顔を近づけ、舞美ちゃんは瞬きもしないでじっと僕の顔をみつめ続けてくる。
いつ見ても舞美ちゃんはとても綺麗だから、みていると何も言えなくなってきてしまう。
やっぱり僕の一番大事な人は舞美ちゃんで決まりだな、うん。

「ちょっと~お姉ちゃんはどいてよね。千聖は舞を選ぶんだもんね。ねぇ~千聖」

 僕が舞美ちゃんをみつめてニヤニヤしていると、今度は舞ちゃんが割り込んできた。
少し怒っているのか目がつり上がり、舞美ちゃんにいつプロレス技をかけてもおかしくない。
そんなことになったら二人とも傷つくわけだから、僕としては二人が争わないよう止めに入るしかない。
でも、僕を取りあって女の子たちが争うって展開も、そう悪くはないからちょっとは眺めていたい気もする。
それもとびっきりの美少女二人なわけだし。

「あ、何ニヤけているのかな? さては、舞美ちゃんでいやらしいこと考えてるんでしょ? 変態」
「いたたた・・・ほっぺたつねらないでよぉ~」

 自分でも一瞬とはいえ、つまらない想像したことは認めるけど、ほっぺたがちぎれそうな強さでつねることはないのに。
舞ちゃんは本当に加減ってものを知らないから困る。

「舞、千聖がかわいそうでしょ。やめてあげなよ」
「お姉ちゃんは千聖をそんなに好きでもないんだし、いいじゃん。千聖は舞のなんだしぃ~」
「千聖は舞のものじゃなくて、皆の千聖でしょ。それに好きでもないなんてことはないよ」

 舞美ちゃんは僕がつねられているのに見かねて、止めに入ってくれたのだけど、舞ちゃんに勢い負けしている。
舞ちゃんって口で言いあうとメンバーの中で誰にも負けない自信があるから、口の片側をあげて嫌な笑いを浮かべている。

「最後が声が小さくてよく聞こえなかったよ。ふふん、その程度の思いってことなんでしょうけど」
「そ、そんなことないもん・・・わ、私だって、千聖を・・・」
「はいはい、お姉ちゃんはメンバー皆大好きだもんね。ま、舞みたいに恋愛の相手としては見られないだろうけどさ」

 もう完全に舞ちゃんが圧倒している、そう僕が思ったとき、舞美ちゃんが大きな声で叫んだ。

「そ、そんなことないもん・・・千聖を男として好きだもん」
「ま、舞美ちゃん・・・」

 いつか舞美ちゃんから聞きたいと思っていた言葉が、今日期せずして聞けることになろうとは嬉しくて涙が止まらない。
またニヤけてきてしまった。

「で、舞美ちゃんにまでここまで言わせたってことはわかってるんでしょうね? さぁ、どちらにするか答えて」

 僕が幸せな気分に浸っているのも束の間、舞ちゃんが残酷にもどちらかを選べとまたつめよってきた。
ぼ、僕は・・・どっちかを選べと言われても、はっきりと答えようがない。
だって、どっちの女の子も大好きなんだ。
舞美ちゃんには舞美ちゃんの良さがあって、舞ちゃんには舞ちゃんの良さがある。
わかっているからこそ、選ぶのが大変なんだ。

「さぁ、どっちにするの?」
「答えるまでは座るの禁止だ。さぁ、どっちにするのか答えを・・・」


「おい、岡井。で、答えはどっちなんだ?」
「えぇ~とぉ~わかんないです」
「はっきりと言え。お前のしゃべり方だと聞き取りづらいんだよ」

 今、目の前にある黒板の問題に答えろ、と先生から指されてしまった僕は、二択のうちどちらにするのか悩みっぱなしだ。
厳しいなぁ~数学の問題は特に苦手だから、僕には今の状況は地獄に思えてしようがない。
答えは選びようがない僕には、さっきの妄想くらい数学の問題も面白いといいのにと思えてくる。

「ったく、お前ってやつは。授業中に歌詞カードみつめてブツブツ言ってたかと思うと、今度は答えられないか」
「す、すみません。本当にすみません」
「わかった、もういい。座ってろ。かわりに・・・」

 本当は答えられるようにならないといけないんだよな。
答えを先伸ばしにしたってしようがないのは僕だってわかっているけど、今はまだどっちも好きでいいじゃないか。
二人とも魅力的な女の子なんだもん。
僕は空に浮かぶ雲を眺めながら、ぼぉ~っとそんなことを考えていたのに、また怒鳴られてしまった。

「岡井!! 座れとは言ったがサボれとは言ってないぞ。黒板みないならまたさすからな」
「は、はい。すみません。集中します」

 教室からどっと笑い声が湧きあがる。
舌を出してえへへと言いながら、僕が苦笑いをして誤魔化す。
そんなある日の僕の授業風景なのでした。

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