Skip to: Site menu | Main content


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

 2月7日といえば、絶対に忘れちゃならない、舞ちゃんと舞美ちゃんの誕生日だ。
2日前にはなっきぃの誕生日があって、僕ら℃-uteにとっては大事な日が連続してある。
プラスして、今年は7,8日と千葉の房総半島でキューティー観光社のバスツアーが行われるから、おめでたづくしだ。
ファンの人たちは過ぎてはいても、きっとなっきぃの誕生日も祝ってくれるはずだから、三人とも大喜びだろうな。
もちろん、メンバーも祝うに決まっているんだけど、僕はプレゼントに何を渡そうか迷っている。
さりげなく何が欲しいか聞くのがベストだって桃ちゃんからアドバイスされたから、そっと聞いてみようっと。
まずは誕生日が一番先のなっきぃにターゲットを絞り、二人きりになれるチャンスを狙って聞いてみた。

「ねぇねぇ、なっきぃってさ~今度の誕生日何が欲しい?」
「う~ん、いきなりだねぇ~どうしたの?」
「なるべく欲しいものをプレゼントしてあげたくてさ。それに、なっきぃは今年の春で中学卒業だし、それも兼ねてってことでさ」
「そうなんだよね~もう今年で卒業しちゃうんだよ。早いものだよねぇ~だってさ、中学に入学したのが昨日のことみたいだもん」

 僕がさりげなぁ~くプレゼントの話題を振ってみたつもりなのに、なっきぃが”卒業”のキーワードにピンときたらしく、とっても嬉しそうに思い出を語りだしてしまった。
あれれ、僕が聞きたかったのは学校の話じゃなくて、プレゼントに何が欲しいかなんだけどな・・・

「中学って、小学校と違って担当ごとに先生が変わるじゃない?」
「うん、違うね。国語には国語の先生がいて、数学には数学の先生って担当の教科があるからね」
「それに戸惑ったところはあったかな。あれ、先生どこ行っちゃうのっていうさ。まだ授業あるよねって(笑)」
「あははは、自習でいいの? みたいなね。僕は中学に入ってから勉強難しくなったから、先生が変わったのに驚いてる暇なかったな」
「難しくなったよね、本当に。私も勉強難しくなって、全然授業についていけてないもん」

 だんだん僕の頭の片隅に追いやられてしまったプレゼントは、この後会話に出てくることはなかった。
僕もなっきぃも学校の話題で盛り上がりすぎて、気づけばガッタスの練習再開の時間になっていた。

「なっきぃ、頑張るよね。℃-uteとガッタスを両立していくのって並みの体力じゃやっていけないよ」
「そんなことないよ。千聖だって頑張ってるじゃん」

と、僕を軽く肘で小突いた後に

「まぁ、千聖は男の子だから、これくらい頑張れないとだよね。キュフフ」

 と、小さな声で耳元で囁いてきた。
キュフフと笑ったなっきぃの顔が近くて、ちょっと胸がドキッとしてしまったけど、僕は笑い返してそのまま走った。
今、僕たち二人は今年初めてのガッタスの練習に参加していて、久々にフットサルが出来る嬉しさから今日はちょっとテンションが高い。
今日はと言いつつ、いつもテンションが高いのが僕ら℃-uteなんだけど。

「はいはい、お二人さんとも笑ってないでしっかり走る。頑張っていいくよ!!」
「はぁ~い」

 僕らに注意をして追いぬき、そのままスピードを落とさずに走り去っていくのはBerryz工房のキャプテンこと清水佐紀ちゃん。
℃-uteではまだ僕となっきぃ、今日は練習に参加していない舞美ちゃんを含めて三人のメンバーがガッタスに所属している。
でも、佐紀ちゃんはBerryz工房で唯一残ったガッタスメンバーだから、ちょっぴり寂しいんじゃないかなと思う。
それを見せないで張り切って練習に参加しているあたり、さすがはキャプテンだなと素直に尊敬する。
佐紀ちゃんの頑張る姿に刺激を受けた僕は、徐々にではあるけれど、その後の練習では自分なりに勘が取り戻せた気がした。
ボールを夢中で追いかけているうちに練習は終わり、監督たちとのミーティングに入った。
今思えば、この時に石川さんのプチ誕生日祝いをしていたのだから、ここで思い出せばよかったものをと何度も後悔してしまう。
全く無念なんだが、僕は『石川さんお誕生日おめでとう』と祝う気持ちだけで、そこまで気がつきもしなかった。
さらには帰りの電車では僕らが埼玉県民なこともあり、二人きりになる時間まであったのに何もいかせなかった。
何故なら、ゲームをやって、その後は・・・

「そうだ、今日も帰りにゲームで対戦しようっか。今日は千聖に負けないからね」
「ふっふ~ん、いいよ。なっきぃのお相手をしてあげましょう。ほっほっほ」

 舞ちゃんとプロレスごっこで遊ぶ僕も、今日はさすがに体が疲れているみたいだ。
ゲーム画面をしっかり見ているつもりが、キャラクターが分身しているかのようにぼやけて見える。
しかも、瞼の上と下がくっついたり離れたりしだして、これは僕が眠いってサインを体が発信してきているのか。
ダメだ、ゲームに負けたりなんかしたくない・・・んだ・・・

「千聖、さっきから全然動いてないけどどうしたの? もしかして私に勝負を譲ってくれる気になったとか? でも、そんなお情けはいりませんけど」

 なっきぃが僕が寝ていると気付いたのは、もう間もなくのことだった。
僕がゲーム機を掴んだまま、なっきぃの肩に頭をもたれかけてきたので、声をかけたところ全く返事がない。
おかしいと思い、顔を覗きこんでみたら、僕が眠っていたのだそうだ。

「もぉ~眠っちゃってるんじゃない。仕方無いな、この子は」

 親切にもなっきぃは、僕を起こさないように気をつけてゲーム機の電源を切ってカバンにしまってくれたという。
しかもお互いが別れるまでそのままにしてくれたんだから、本当に優しくていい子だと思う。
舞美ちゃんといる時は甘えん坊さんになるくせに、僕ら年下といる時はしっかり者のお姉さんになるんだから、なっきぃって面白い。

「じゃあ、千聖またね。しっかり帰りなよ。今度は私が起こしてあげられないんだから」
「うん、気をつける。なっきぃも電車で寝たりしないようにね。ぎゃははは」
「はいはい。それじゃあ次に会うのはコンサートかな。またね」

 なっきぃと別れ、僕はあやうく寝過してしまいそうになりつつも、無事に家に着くことが出来た。
肝心のプレゼントのことを聞き出せていないことに気づいたのは、ある人からの電話がきてからだった。
気づいたというよりも、僕の大事な相談相手に気づかされてしまったのが正しいのだけど。

「あんた馬鹿ぁ?」

 受話器から張り裂けんばかりの大声で怒鳴られ、思わず受話器を耳から離してしまった。
電話の相手は、普段から甲高い声でうるさいので、怒るとさらに甲高くなって超音波で攻撃されたみたいに耳が痛くなる。

「こらっ、桃ちゃんうるさい!! あんまり叫ぶな。耳が痛くてヤバいだろう」
「あんたが怒らせるようなことを言うからでしょう。聞くって言って、聞いてこなかったなんて情けないじゃん」
「情けない言うな。これでも頑張った方なんだからな」
「へぇ~頑張ってこれですか」

 いちいち棘のある桃ちゃんの言葉に、さすがの僕でもイラッときてしまう。

「嫌味なやつぅ~。チャンスはまだあるんだ、これからだよ。まだ誕生日まではあるし、問題ないって」
「そう言って誕生日になって、結局何も用意しないのが今から想像できちゃうんだよね」
「じゃあ、桃ちゃんがなっきぃに聞いてよ。僕は桃ちゃんが聞いてきたものを用意するから」
「あのね~それじゃあ意味がないじゃない。あんたが聞いてプレゼントを用意するのが常識でしょう。聞くのもプレゼントのうちだと思ってさ、聞きなさい」

 結局、桃ちゃんに相談して得られた答えは『本人に聞くしかない』ことだった。
あたり前過ぎて、最初から相談する意味あったのかと疑問に思うけど、やっぱり本人にしかわからないことは本人に聞くしかないのだ。
そう決意を改めた僕は、横浜のコンサートでリベンジを誓ったものの、見事失敗に終わった。
エルダの先輩たちの卒業を兼ねたアリーナコンサートだった為、すっかりそれどころじゃなくなっていた、ってこれはいいわけだな。
なっきぃどころか舞ちゃん、舞美ちゃんのプレゼントも聞けないまま、とうとう僕はバスツアーの日を迎えるのだった。

トップページ   次のページ→