Skip to: Site menu | Main content


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

 バスツアー初日は、一言で言うならあっという間の一日だったとしか言いようがない。
色々ありすぎてここでは紹介しきれないけど、ファンの人たちと一緒になっきぃや舞ちゃん、舞美ちゃんの誕生日をお祝い出来たのは本当に嬉しかった。
泣き虫ななっきぃや案外涙もろい舞美ちゃんが泣いたのはわかるんだけど、あの舞ちゃんまで泣いたのは意外だったかな。
鬼の目にも涙とはよく言うけど、舞ちゃんの涙を一番見ているはずの僕もあの表情にはちょっぴりドキッとしてしまった。
案外、可愛い顔して泣くんだよね、あいつってさ。
大抵は泣く寸前までいって、涙がこぼれないで切なそうな表情して終わりなんだから、今回はよっぽど嬉しかったんだろうな。
ベッドの上でごろごろと横になりながら、僕は自然と舞ちゃんの嬉しそうな顔ばかり思いだしていた。
なっきぃだって、舞美ちゃんだってよく見ていたはずなのに、思い出せるのは舞ちゃんの表情だけ。
何だっていうんだ、さっきから舞ちゃんのことばっかり考えているなんて、舞美ちゃんへの想いはどこへいったっていうんだ。
あぁ、僕に何があったのか自分でもよくわからないや。
思わず、手近にあった枕を被って、ベッドにうつ伏せになる。

「うぅ~うぅ~うぅ~」
「さっきから唸ってるけど、何かあった?」

 胸のモヤモヤが消えないおかげで僕は唸り声をあげていたみたいで、隣のベッドで読書に耽るなっきぃから声をかけられた。
読書の邪魔だったかなと謝ろうと枕から顔をあげてなっきぃの顔をみると、なっきぃが優しそうな顔で微笑んでいた。

「何でもない。大したことないんから、心配しないでいいよ」
「ふぅん、大したことないって割に結構声でてたよ。ちょっとちょっとちょっとぉ~何か悩みでもあるんじゃない?」

 ギクッて声に出しそうなくらいに、なっきぃの勘の良さには驚いた。

「今、焦ったでしょ。顔が強張ってたよ。ってことはぁ~本当に悩み事があるんだ。さては、恋の悩みとか・・・なわけないか」
「そ、そ、そんなことないって。全然違うから。あははは」

 とにかくなっきぃに言い当てられたことに驚いていたから、慌てて平気な振りをしてごまかした。
こっちが必死にごまかしているのに、なっきぃはそれを見透かしたと言わんばかりにニヤニヤ笑っている。

「あぁ~ごまかしたな。もうわかりきっているのにさ。千聖の考えていることは全部お見通しだ」

 人差し指を僕に向けてきた仕草は、まるでどこぞのドラマのラストシーンを思わせるなりきりぶりだ。
なっきぃってよろセンで先生を担当してから、お笑いにも今までのような照れや恥ずかしさがなくなってきた。
僕は個人的になっきぃのよろセンは最高に面白かったと思うだけに、変なケチがついてしまったのが残念でならない。

「なっきぃ、それ伝わりにくいって。どれだけの人が元ネタわかるっていうのさ」
「オホン、いいの。千聖はわかったんだから。さてさて、そろそろお悩み相談してくれてもいいんじゃない?」
「うぅ~無理無理。絶対に話したくない。サイテーとか思われそうだもん」

 気持ちが二人の間で揺れてるなんて知られたら、きっとなっきぃは酷い男だって思うに決まってる。
なんて考えていたのに、現実は小説より奇なりだった。
開いていた本を閉じ、みつめてくるその表情は、青春ドラマの主人公みたく輝いている。

「ふっふ~ん、よし決めた。千聖、今日はお風呂に一緒に入ろう」

 ・・・は?
僕の中で一瞬時は止まり、頭がしばらくして動き出し、なっきぃの言葉をようやく理解する。
次に僕が取った行動、それは叫ぶことだった。

「え、えぇ~!! マジで?」
「もうそんな声で叫ばないで。マジだよ。あったり前じゃん。お風呂で悩んでることとか全てを裸にするの。そうすれば、悩みも一気に解決」
「で、でもさ、僕って男の子だし一緒に入るのはまずくない?」
「何を今更言うかな。前はお風呂に入りながら、テレビ電話で話したこともあるでしょ」

 僕としては、なっきぃが裸を見られるのが恥ずかしいと思って断ったつもりなのに、なっきぃは案外そうでもないのか。
意外な気がするけど、確かになっきぃが言う通りに少し前までは僕もお風呂の中でテレビ電話で話していたことがある。
あの時はまだメンバーを女の子だって意識していなかったから、何事もなく話していられたけど、今はそうもいかない。
僕らはあの頃よりも大人になったから、一緒に入ると不味いことしか起こらない予感しかしないのだ。

「さぁ、お風呂セットの準備できたらいくよ」
「ほ、本当に入るの?」
「では、行くよ」
「ちょ、ちょっと、待ってよぉ~」

 抵抗する間もなく僕はお風呂場へ連れられ、みるみるうちになっきぃに脱がされていくのだった。

←前のページ   次のページ→