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 一日のスケジュールをこなし、私たちはそれぞれの部屋に散っていった。
その時に愛理に「舞美ちゃん、唇は気をつけた方がいいよ。ケッケッケ」と見送られた。
キスには気をつけて、って意味なのかもしれないけれど、それ以外にも意味のある言葉だったのかもしれない。
でも、私には何のことかわからず、考えてもわからないのでちっさーとは普段通りに接することにした。
そうじゃないとお姉さんの私が慌ててる姿をみられて、またからかいの種になりそうで嫌なのだ。
ちっさーが告白した後もせっかく今まで通りに接してくれているのだから、それまで無駄になっては意味がない。

「うぅ~ん、今日は疲れた。いっぱい体動かしたからくったくただよ」
「舞美ちゃんもはりきってたもんね。雪遊びなんか僕らよりも楽しそうだったし」
「そんな事ないよ。ちっさーだって舞ちゃんといつもみたいにプロレスごっこしてたじゃん」
「あれは一方的だよ。舞ちゃんが僕を押さえ込んで、そのまましばらく身動き取れなかったんだ」
「舞ちゃん、加減を知らないっぽいもんね」

 私が笑いながらそう言うと、ちっさーは笑い事じゃないよと拗ねて抗議してきた。
舞ちゃんの成長具合には驚かされっぱなしで、ちょっと前までちっさーと並んだかなと思ったのがあっという間に抜いてしまった。
だから、体が大きくなった分、前よりも簡単に押さえ込まれてしまうみたいでかわいそうになる。
ちっさーは男の子だからなのか、一時期は伸びた身長がここのところはあまり伸びていない。
この分だと舞ちゃんが大きくなってきて、なっきぃと栞菜を抜くのはいつの日になるんだろうな。
大きくなったちっさーなんて想像できないけれど、大きくなったら顔も凛々しくなってカッコイイかもしれない。

「本当に舞ちゃんも遊びと本気の区別をつけてほしいよ。雪の中はすっごく冷たいんだ、死ぬほど」
「ほどほどが一番だし、あんまり激しいようだったら注意しておいてあげる。ね、だからもう怒らないの」
「うん、平気。今、ちょっとだけムキになっちゃっただけ」

 無理しちゃってさ、本当は結構怒っていたくせに。
ちっさーもちっさーで悪戯っ子だし、舞ちゃんとふざけあっては喧嘩しては仲直りを繰り返している。
今回は舞ちゃんがやりすぎただけで、次回はちっさーがやりすぎることだって考えられるのだしお相子かな。
こういうところはやっぱりまだまだ子供だね、ちっさーは。
ちっさーが急に大人しくなったりしたら、それはそれで心配だった私も、お兄ちゃんみたいな事はしないと安心した。
考えすぎだったのかもしれない、私が好きだからってそればっかりはしてないよね。
ここは自信過剰すぎた、と反省しておこう。

「あ、そうそう舞美ちゃんさ、今日のバスガイドの衣装似合ってたよ。とっても可愛かった」

 一旦会話が切れたが、一呼吸置いたくらいでちっさーが突然こんな事を言い出した。
ちっさーがさりげなくを装って私に『可愛い』だなんて褒め言葉を投げ掛けてきた。
普段言い慣れない言葉を言っているからか、ちょっと照れが見え隠れするのが私でもわかる。
全く、そんなところだけませちゃって、この子は。

「ありがとう。ちっさーだって似合ってたよ。可愛いバスガイドさんだったじゃん」
「か、からかうなよな。僕だって可愛いって言われたら、まぁ・・・」

 可愛いって言われたから、可愛いと返してみたら顔を赤くして俯いてしまうちっさーはやっぱりまだ可愛い。
男の人だと頼りがいのある凛々しい人を想像するから、ちっさーは男の人というには私の中では早い。
このまま男の子って呼びたいけれど、いつかいなくなっちゃうのかな・・・大きくなってしまうから・・・
ずっと一緒に皆で活動したいって宣言した私が不安になっても仕方ないのに、やっぱり不安は消え去ってくれない。

「ちっさー、今夜も一緒に寝る?」
「ふぇ!?ちょっと、それって・・・いいの?」
「うん、だってちっさーはエッチな事なんてしないでしょ。たまにはいいじゃん、お姉さんと寝るのもさ」
「で、でも・・・僕が男の子ってわかっちゃったんだし、気まずくないの?」
「大丈夫、ちっさーを信じてるから」

 別に深い意味があったわけじゃない、信じてるといえば私に下手に手出しを出来なくさせられるとか考えていないし。
私にはまだ弟みたいなものだから、ちっさーを信じてるのだ。
この弟が成長して私たちの前からいなくなる、いつか現実になってしまうかもしれないものを考えたくない。
私はちっさーの感触をこの手に残しておきたいのだろう、だから一緒に寝ようと誘ったのだ。
馬鹿なのかもしれないけれど、ちっさーはずっと思い出の中と変わらないでいてくれると思っていた。
私たちに残された時間がどれだけなのかわからないから。

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