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 僕はあの日オナニーをして以来、舞美ちゃんを妄想のネタに使うのはやめた。
罪悪感はあったものの、それでもあんなに気持ちよかったオナニーはあの一回だけだったといえる。
今日、一緒に寝るなんて事は考えたら、オナニーをした方が興奮が静まるのは確実だ。
確実だけど、その方法を取ると妄想のネタに登場するのは舞美ちゃんになってしまい、また罪悪感でいっぱいになりそうだ。
純粋な舞美ちゃんを汚すなんて真似、僕には出来ないし、したくないんだ。
好きだからこそ、僕みたいな子供でもそんな真似はしてはいけないと思う。
お風呂からあがると、逸る気持ちを抑えて、しっかりと体を拭いた。
僕がお風呂をあがって髪を拭いている仕草をみて、なっきぃがこんな事を言っていた。
『ちっさーが髪拭いていると、まるで仔犬が体を震わせて乾かしてるみたいだよ』、とか冗談交じりに笑っていた。
そんなに犬好きだからって、自分まで犬に似た行動を取るようになっちゃうものなのかな。
ホント、やめてほしい、とか言ってしまったが、これは愛理の持ちネタだったっけ。
最近は愛理ともよくいる事が多いから、あの台詞もうつっちゃったのか。
でも、今日は久々にあの黒くて長い綺麗な髪の甘い匂いとか嗅げちゃうんだな、ちょっと変態くさいけど。
栞菜じゃないけど、舞美ちゃんていい匂いするんだよなぁ。
あれ、匂いを嗅ぐとかやっぱり犬っぽいな、僕。
犬好きにも程があるかな、ここまで行動が動物と同じっていうのもいい加減にしないとね。

 僕は鼻歌交じりにお風呂からあがり、ニヤけた顔をして舞美ちゃんのベッドの方へ近づいていった。
こんな顔、誰にも見られたくないな、変態っぽいし。
さて、舞美ちゃんはベッドで横になっているけど、まだ寝ていないよね。

「舞美ちゃん、お風呂から上がったよ」
「あ、う、うん。ちっさー、あのね、今日は・・・」
「そうだ、あのさ、今日は僕も舞美ちゃんと同じシャンプー使ってみたんだよ。だから、匂いも一緒だよ」
「そ、そうなんだ。あれ、私のお気に入りなんだよ」
「うん、僕もあの匂いのする時は思わずクラッときちゃうもん。いいシャンプーだよね」
「あのね、ちょっと聞いてほしい事があるの。実は」
「何、ずっと背中向けていきなり変顔でもして僕を笑わせようってつもり? 変顔なら僕も負けないよ」
「ち、違うの。ちゃんと私の話を最後まで聞いてよ。真剣な話なんだから」
「真剣な内容でもないでしょ、変顔なんてさ。よぉし、ちょっと待っててよ」
「ちっさー!!私は真剣だって言ってるでしょ。あのね、今日は自分のベッドで寝てほしいの」
「え!?いやいや、待ってよ。今日は舞美ちゃんから誘ってくれたんじゃないか。僕も期待してたのに」
「今日はとにかくダメになったの。それにちっさーは男の子なんだし、年頃の女の子と寝たらまずいよ。
 私だって、今までは女の子だと思ってたから許したけど、よく考えたら男の子だしまずいかなって」

 突然の事で、僕は一瞬何の事を言われているのかさっぱり理解出来なかった。
浮かれていたのは僕一人で、舞美ちゃんはちっともそうではなかったという事なのか。
お風呂に入っている間、部屋に残された舞美ちゃんはそんな事を考えていたなんて信じたくない。
男の子でもいいって言ってくれていた筈なのに、ここにきて『それにちっさーは男の子なんだし』は聞きたくなかった。
僕が男の子だからダメってなんだよ、ちっさーはちっさーだからずっと℃-uteにいていいって言ってくれたじゃないか。
あれは嘘だったっていうのか、あの時は状況的に言ってしまった言葉のあやだっていうのか。
舞美ちゃんはメンバーの中でも誰よりもメンバー想いだから、こんな明らかに拒絶の言葉を言われるとは思わなかった。
やっぱり僕なんかじゃ舞美ちゃんとは釣り合わない、と見えない壁が立ち塞がって語ってきているようだ。

「ごめんね、私から言い出した事だったのにさ。でも、ちっさーもそれはわかってね。嫌いになったとかじゃないから」
「じゃ、じゃあ、何でそんな事をこんな土壇場で言い出すんだ。舞美ちゃんらしくないよ」
「ごめん、ごめんね、ちっさー。今日はダメなの」
「酷いよ。僕が一人馬鹿みたいじゃないか。舞美ちゃんの馬鹿」
「ちっさー・・・」

 僕はもう何も考えたくもなかった。
目から零れ落ちる大粒の涙を拭きもしないで、自分のベッドに潜り込んだ。
まだ子供すぎたんだな、僕は。
たかが舞美ちゃんと一緒のベッドで寝る事でこんなに浮かれる事が出来るなんて、道化もいいところだ。
声を漏らして泣いたりしたら、舞美ちゃんは罪悪感を抱いてしまう。
僕は声を外に漏れないように口を手で塞ぎながら、ひたすら眠気があっという間に夢の世界へ連れていってくれる事を望んだ。
舞美ちゃん、あの言葉は嘘だったの?
君は嘘を平気でつけるような人間じゃないと思うから、真実が知りたいよ。
僕が男の子だからって拒否するような人じゃない筈だと、また舞美ちゃんを信じさせてほしいんだ。


 ちっさー、あなたの涙ぐんだ声が聞こえるたびに耳を塞いでしまいたくなりました。
私があなたを泣かせたっていうのに、その声を聞くと胸が苦しくなってくるから聞きたくなんてなかった。
でもね、この方があなたにはいいの。
こんな酷いお姉さんと一緒にいてもいい事なんてないから。
早くあなたが眠りについてくれると私も眠れるのに、すぐには寝てくれないんだね。
これも身勝手な私の考えだね、本当に酷いお姉さんに惚れちゃったんだよ、君は。
私を忘れて別の女の子を好きになって、それでも℃-uteに残ってほしいなんて都合良すぎかな。
あなたにはいなくなってほしくないの、でも、これ以上心も身体も近くにいたら怖い。
私もあなたの事を意識してしまうから。


 次の日、僕は無理をして笑顔を作って、お仕事を頑張ってこなした。
舞美ちゃんが起きた時に、いつも通りに接してくるのに僕が傷ついたからって表に出すわけにはいかない。
それにバスツアーは応援してくれる人たちに対して、日頃の恩返しなんだから暗い顔は出来ない。
そんな顔をしたら、変な心配をかけてしまう事になる。
そう、笑顔、笑顔と心の中で何度も繰り返し唱えて、不自然な笑顔にならないよう気をつけた。

 僕が悩んだ時に頼れるのはいつも愛理で、なっきぃには甘えるばかりだった。
舞美ちゃんの事は愛理が詳しいけど、まだ頼りになる人物がいた事をすっかり忘れていた事に気づいた。
舞美ちゃんとは同じ歳で、抜けていて面白い事ばかりして、料理も出来て、優しい綺麗なお姉さん。
梅田えりかこと僕らのえりかちゃんだ。
僕は今まで頼りにしなくて悪かったかなと思い、ずっと一緒にやってきたメンバーなのだし全てを明かそうと思う。
そうした上で、舞美ちゃんとの事を相談してみよう。
愛理とは違った答えが返ってくるかもしれない。
えりかちゃん、言ったら何て顔をするかな、驚くんだろうけど。
レッスンの合間をみつけ、僕はえりかちゃんと栞菜を呼び出す事に決めた。

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