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 この時の僕はどうかしていたんだと思う。
年頃のキレカワなお姉さん二人が、下着姿になって目の前にいて、頭が正常に働かなくなっていた。
ほんの少し前にはあった罪悪感や舞美ちゃんや舞ちゃんに対する想い、そういうものが薄れていっていた。
だからこそ、今になって思い出すと胸に重くのしかかるものがこみ上げてくるんだ。
えりかちゃんたちがエッチな事をしてきた時、どうして強く拒否をすることができなかったんだろう。
出来ていれば、僕はここまですることはなかったのに、それが今はとても悔やまれて仕方ない。
ただ、結果から先に言えば、僕はえりかちゃんたちとエッチはしなかった。
したくなかったのかといわれれば、僕はしたかったんだと思う。
でも、しなかったのは僕の意志よりも運よくそこに現れた人物のおかげであるところが大きい。

「お~い、ちさと~どこ行ったの? ちさとぉ~そろそろリハーサルが再開するよ」

 舞ちゃんの声が、急に僕たちのいる部屋にまで響いてきた。
僕は丁度その時、雅ちゃんに誘われるがまま、紐パンの紐を取ろうと指で摘んでいたのだ。
そこで舞ちゃんの声がしたものだから、びっくりして僕は後ろを振り返っていた。
驚いたのはえりかちゃんも雅ちゃんも同じらしく、二人が固まってしまい、ここにきて初めて緊張した顔をみせた。
雅ちゃんは下着姿だし、えりかちゃんにしたら下は何も身につけていない状態になるから慌てるのは当然だ。
さすがに舞ちゃんに見られるかもしれないと思ったら、えりかちゃんは無言でいつの間にかジャージごと下着を穿いていた。
雅ちゃんは緊張してそれどころではなく、身動き一つとれずに固まっている。

「ど、どうする? 舞ちゃんの声がするよ。ここみつかったらヤバくない?」
「ま、まぁね。でも、声を出さなければ平気でしょ。二人とも静かにね」と人差し指を立てて、合図をするえりかちゃん。

 雅ちゃんは黙って頷き、舞ちゃんが早くここを立ち去るのを待っているようだ。
僕にしても、どうしていいかわからず、さっきまでとは別の意味で鼓動が激しくなるのがわかった。
舞ちゃんにこんな自分を見られたくなんかない。
何故だろうな、舞ちゃんには自分が穢れてしまったとは思ってほしくなかった。
舞ちゃんにも同じ考えを抱いているのは、やはり酷くご都合主義というものなんだろう。
いずれは舞ちゃんも僕でなくとも、誰か好きな人とキスをして、抱き合ったりするようになるのにだ。
舞ちゃんにはずっと子供でいてほしいなんて、傲慢な人間だな、僕は。

「舞ちゃん・・・ごめんね・・・」
「何か言った?」
「う、ううん。何でもない」

 僕は必死になって、叫びだしたい衝動を抑えて、じっと時が経つのを待った。
それでも舞ちゃんに対する想いが溢れてくるのは、僕が舞ちゃんを大事にする想いが強いからだ。
少し前の僕は祈っていたじゃないか、助けてほしいって、その願いを神さまが聞き入れてくれた証だ。
好奇心に負けて、えりかちゃんたちとエッチな事をしている場合じゃないはずさ。
二人が側にいなくて手が空いていたら、僕は今にも自分の頭を殴りたかった。
沈黙して時間が経つの待つ僕らに、一向に平和な時間が訪れてはくれない。
舞ちゃんの声はどんどん大きくなるばかりで、こちらに近づいてくるのが僕にはわかった。

「ちさとぉ~リハーサルサボるのはナシだぞ。コラぁ~ちさとぉ~出て来い。チビ助」

 舞ちゃんが声を張り上げて、僕らの部屋の方まで近づいてくる。
もう我慢が出来なくなっていた僕は、二人にごめんねと謝って、ズボンをあげながら立ち上がった。

「ごめん、二人とも。僕、行かなくっちゃ。舞ちゃんが呼んでる。えりかちゃん、元気出してね。
 雅ちゃん、僕、雅ちゃん見てこんなにドキドキしたの初めてだよ。ちょっと緊張しちゃった」
「ちょ、ちょっと、行くの? ダメだよ、待ちなって。今いったら、私たちまで見つかっちゃうでしょ」
「大丈夫。僕が舞ちゃんと行っちゃえば、二人も後から出てこられるでしょ。今日はえぇと、ありがとう」

 僕は振り向かず、足早に部屋から出て行った。
二人が呼び止める声が聞こえたけど、背中越しに手を振って別れた。
たぶん、振り向いたらまた誘惑に負けそうになっていただろうから、ドアを開けてすぐに舞ちゃんの顔が見られてほっとした。

「ちさと、どこにいたんだよ。探したんだからね。馬鹿」
「舞ちゃんだ。あ~舞ちゃんだ。うわぁぁ~感動。ありがとうね、舞ちゃん」

 後先構わずに僕は舞ちゃんに抱きついていた。
舞ちゃんのまだ子供らしい体つきに感動するって言うと変態みたいだけど、感動してしまった。
舞ちゃんだ、何て懐かしいんだ。

「ちょ、ちょっと、ちさと・・・ど、ど、どうしたんだよ。は、離しなよね。誰かに見られたら大変じゃん」
「平気だって、ここには僕と舞ちゃんだけだよ」

 舞ちゃんは肝が据わっているというか、物事には動じないタイプだと思っていたのに、案外そうでもないらしい。
僕が抱きついてから、何だかソワソワしていて、落ち着きがない。
ちょっと顔が赤くなっているし、瞳を潤ませてじっとしている。
本気で嫌がっている時は女の子のくせにやたらと暴力的で、力で僕の事を抑え込んでくる。
今はそれがないのだから、嫌がっているわけではなさそうだ。
よかった、僕はこんな不安定な気持ちでいて、舞ちゃんの顔が見られて心の底からホッとできた。
僕の相棒っていえば、世界中どこを探したって、舞ちゃんだよね。
舞ちゃんしかいないんだ。

「ち、ちさと、リハーサル戻ろうよ。遅れたら、私まで怒られちゃうでしょ。離しなよ」
「いいって、舞ちゃんの分まで僕が怒られてあげるよ。あ、そうそう。今日は機嫌がいいから、利子なしで奢ってあげる」
「それ、本当? なら、いいよ。ちさとがいいって言うまでこうしててあげるから」
「何だ、舞ちゃんが嫌ならいいよ。早くジュース買って戻ろうよ」
「べ、別にぃ~ちさとがこうしてたいって言うからこうしてあげてるの。久々なんだし遠慮しなくていいから」

 僕がジュースを買いに行こうと急かした途端、舞ちゃんは慌ててこのままでいいと言ってきた。
嫌そうな顔はしていけないけど、言葉だとイマイチ判断がつかないから離れようとしていたのに、難しい人だな。
よく見たら、うっとりしたような顔をしている。
じゃあ、舞ちゃんが一番こうしていたいんじゃないか。
素直じゃない奴。

「ちさと、ジュースを奢るとか軽々しく皆の前で言うなよ。私がカツアゲしているみたいだからさ」
「えぇと、実際そんなもんだと思うよ。舞ちゃんがちゃんとお金返してくれたことないしさ」
「ちょっと~それ言ったら、マジで許さないんだからね。あんた、お仕置きするよ」

 ふくれっ面で拳を上げて威嚇してくる舞ちゃんに、僕はこれが自分の日常なんだと安心してきた。
気の迷いだとは思わないけれど、えりかちゃんの誘惑に負けていたら僕は℃-uteの面々とまともに顔をあわせられなかった。
隅っこで転寝を打つ舞美ちゃんの姿を見ながら、何ともいえない罪悪感もあった。
舞美ちゃん、君を好きな気持ちを一瞬でも忘れてごめんね。
僕、次はしっかりするからね。

「ちさとぉ~よそ見してたでしょ。私の言うことをちゃんと聞いてないのか。お仕置きされたい?」
「無理無理。怖いなぁ~舞ちゃんは。もっと女の子らしくなりなって」
「あんた、それ絶対に許さない。馬鹿。お仕置き決定!!」

 舞ちゃんが後ろから羽交い絞めにしてくる感覚を味わいながら、もう何度目かわからない感謝を口にした。
舞ちゃん、ありがとう。

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