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 りーたんはえほんにでてくるまほうのせかいがだいすきなおんなのこです。
まほうにはゆめがいっぱいつまっていて、りーたんのおねがいをすべてかなえてくれるからです。
じぶんもまじょになれたらいいな、そうおもってまいにちつえをふっておまじないをとなえます。
ちちんぷいなんておまじないではけっしてありません。
りーたんはじぶんでかんがえたおまじないをとなえるのです。
らーめんらーめんみそらーめん、わたしのおねがいをきいて♪
だいすきなたべもののなまえをとって、おまじないをつくったのでとてもおぼえやすいです。
だから、おまじないをまちがえたことなんかいちどもありません。
でも、いまだにりーたんのおねがいをかなえてくれたことはないのです。
それでもりーたんはめげずにおまじないをとなえます。
さてさて、おまじないはかなうのでしょうか?




「りーちゃん、何を読んでるの?」

 私、鈴木愛理を含めた八人は『ベリキュー』の撮影をする為、都内のスタジオにやってきていた。
新曲の衣装を着たメンバーたちが休憩している中、親友のりーちゃんだけが本に夢中になっている。
彼女のことだから、読んでいる本の内容といえば、魔女に関係するものだと思う。
私が身を乗り出して覗いてみると、案の定魔女が登場する児童文学を読書中だったみたいだ。
彼女はソファにうつ伏せに寝転がり、首だけを動かして振り向いてくれた。

「ん~これは魔女が出てきて活躍するお話で大好きなの。しかもね、いつもは悪役なのにこれは悪役じゃないの」

 無邪気に微笑む顔にはまだ幼さをほのかに残すものの、顔の造りは既に大人の女性とそう変わらない。
私やちっさーと同じ十四歳なのに色気は、中学生のそれとは思えないほどなのだ。
顔だけでなく体も出るところは出て、という具合だから、太股はむっちりとした肉付きをしている。
それに雪のように真っ白な肌なのだから、男でなくともそそられるものがある。
私にそっちの気はなくとも、この無自覚なエロスには無防備すぎてたじろいでしまう。
とくに無自覚なあたりが私には許せないところで、色気を出そうとしても出ない私からしたら奪いたいくらいだ。
写真集でカメラマンの方に「愛理ちゃん、もっと挑発的に」とか色気がほしいといわれるけど、
私自身が喉から手が出るほどほしいというのに、撮影で突然要求されて応えられるはずがない。
じっとみつめる私に何故みつめるのという表情をして、首を傾げた。

「自分から質問しておいて、その反応は酷いよ。ちゃんと聞いてた?」
「き、聞いてたよ。その魔女が活躍するお話は面白いの?」
「面白いから読んでるの。魔女はね、本当はいい人が多いんだから。絵本の世界は酷いよね」

 口を尖らせ、怒りを隠そうともしないりーちゃんは、どこか私に同意を求めているような気がした。
私に魔女の善し悪しなんてわかりっこないのだけど、ここは同意しておこう。

「りーちゃんの言う通りだと思うな。魔女だっていい人はいたよね」
「わかってくれる? 愛理はいつも私の味方だと思ってた。よかった~仲間だね」

 私が同意した途端、目を輝かせ、にっこりと微笑んでくる。
コロコロと変わる表情の変化が、りーちゃんの喜怒哀楽のわかりやすい性格をよく表している。
彼女にはあまり裏表が感じられず、そこが子供といえば子供といえるが、肉体とのギャップとなって面白い。
こういうのをアンバランスなんだろうな、と思いつつ、やはり私もそこが萌えてしまうのだ。
いけない、萌えなんて言葉を使うことになるとは思わなかった。

「りーちゃんはどんな魔法が使いたいとかあるの?」
「それは~えへへへ、内緒。だって、言っちゃったら効かなくなっちゃうもん。おまじない」
「おまじないなんてかけてたの? いつ?」

 かけた相手なんてきくまでもなく、スカートを穿きこなすあの少年にかけているに決まっている。
そして、かけたおまじないも彼とうまくいきますように、なんていうのが妥当な線だろう。
私がここで今まで以上の食い付きの良さをみせたからか、りーちゃんはすこぶるご機嫌になったようだ。
魔女関係の話題なら彼女はお題を振らなくとも、ずっと話していられるだけの愛と情熱を持っている。
それにプラスして、ちっさーが加わるとなれば、もはや手がつけられないのは想像に難くない。

「う~ん、去年のマンション以来ずっとかな。ちょっと、私って照れ屋じゃん。だから、おまじないかけてたの」
「そんなに前から?」
「そうだよ。一緒のグループにいる愛理が羨ましいなぁ~。自分でも意外と告白には臆病なのかな」

 本当にこの娘は自分が醸し出す雰囲気に無自覚すぎる。
これだけの色気がある娘はなかなかいないというのに、ちっさーはちっさーで鈍いにも程がある。
舞美ちゃんにはりーちゃんに匹敵する色気があるとは思えない。
なのに、ちっさーは舞美ちゃんを選んだのは、色気以外の部分が大きいのだろうか?
つい先日、彼の誕生日に部外者ながらちょっかいを出した私はまた悪戯心が芽生えてきた。
だって、こんなに可愛い子を無視してるなんて、あの鈍感はおかしい。
さぁて、今度はどうしてやろうかな。
私は舞ちゃんとじゃれあうちっさーを横目で見遣り、ついニヤけてしまった。

「ケッケッケッケ」
「愛理、ちょっと怖いよ・・・」

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