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 私がりーちゃんの胸を揉み、りーちゃんが私のお尻を撫でていると、ふとドア越しにちっさーの影がみえた。
タオルを置いて、すぐにリビングに立ち去ることができず、石像のように立ち尽くしている。
愛しのちっさーはすぐそこにいるのに、りーちゃんは気付かずに私のお尻を撫でているばかりだ。
あんまりはしゃいでいると、お風呂場は滑りやすいだけに怪我をする危険もあるので、これくらいにしておこう。
ちっさーには丁度いい刺激になったはずだし、作戦とするなら十分なくらいだ。
私はりーちゃんに滑って怪我をすると大変だから、と言い聞かせ、普通に洗いあうことにした。
りーちゃんにしたって、ちっさーを意識すれば夜のお楽しみが増えそうなので、私は数センチ程度ドアを開けた。
隙間から覗くと、ちっさーはタオルを抱きしめて私たちの脱ぎ捨てた衣類に目を留めている。
ふふっ、気になって仕方ないんだね。

「ちっさー」
「う、うわぁ。び、びっくりさせるなよな。タ、タオルもってきたよ」
「ありがとう。適当においておいて。私たちはもう少し入ってるから、部屋で待ってていいよ」
「う、うん。じゃ、じゃあね」

 ちっさーはタオルを投げ捨てるように置き、振り返りもせずに走って行った。

「さぁ、綺麗にして早く出よう。あいつ、顔赤くして出てってやんの」
「愛理は意地悪だね。千聖からかったらダメだよ」
「はぁ~い」

 私たちが一通り体を洗い流し、お風呂場から出ると、ちっさーがうちの母からやたらと質問攻めにあっていた。
小さな椅子にも関わらず、体を縮ませて窮屈そうに座るものだから、椅子が大きくみえてしまう。
普段は元気に大きな声で話すちっさーも、うちの母相手になると緊張して小さな声でボソボソと話している。
私がお待たせ、と声をかけて会話を中断させると、彼もホッとした顔をした。

「お母さん、夕飯は我が家特製の炊き込みご飯お願いね」
「はいはい。大したものじゃないけど、二人ともどうぞ召し上がってね」
「謙遜しなくていいよ。うちの炊き込みご飯食べたいって二人とも言ってくれてたんだから」
「愛理がおいしいってインタビューでも答えていたから、気になってたんです。是非食べてみたいって前からいってたんです」

 ちっさーが同調してくれ、すっかりご機嫌になった母はキッチンに戻って夕飯を準備しはじめた。
その間、ちっさーにはシャワーを浴びてくるように言っておき、私たちは夕飯の支度を手伝った。
私もりーちゃんも料理には慣れているので、支度には思ったよりも手こずらずに済んだ。
包丁さばきがなかなか様になっていたりーちゃんを、母はいいお嫁さんになるね、と褒めていた。
りーちゃんはにっこりとほほ笑み、私に「褒められちゃった」と一言呟き、包丁で野菜を切りだした。
将来的に私たちもいずれかは結婚するとは思うけれど、それでも自分の花嫁姿は想像ができない。
何となく実感が湧かない。
花婿はどんな人がいいのか、試しに背が高くて、かっこよくて、優しくて、頼れる人を想像してみた。
そんな人はいないなと諦めがちな私には、一瞬にして夢から現実に戻されてしまった気分だ。
背が高くなくてもいい、かっこ悪くてもいい、ただ、優しくて頼れる人ならそれでいい。
果たしてそんな相手がいるのか、と思い浮かべている私の頭にちっさーが浮かんだ。

「うちのおすずをいじめるな」

 DVDマガジンの撮影中にメンバー全員で行った枕投げ大会。
その最中、私が的になって当てられたのをみて、彼だけが助けようと頑張ってくれた。
いつもは小さくて頼りない背中が、枕投げの時だけは大きな包容力のあるものにみえた。
消灯された後、隣で眠る彼を見守りながら眠りについた私。
気づけば、隣でぐっすりと眠り、寝息をたてる彼の頬を撫でていた。
たまには彼に労いの言葉を一つでもかけてあげるべきだろう、と思い、ありがとうと囁いた。
眠っている彼には聞こえなくても、私にはお礼の言葉が伝えられただけでよかった。
ちっさー、男らしいところをみせてくれた君は悪くはなかったぞ。
これだけで私は君に惚れたりはしないけれどね、ケッケッケ。

「お風呂、とっても広くて綺麗で興奮しちゃったよ~いいね」

 頭を拭きながらリビングに戻ってきた彼と、我が家特製の炊き込みご飯を食べることにした。
食卓に並んだ夕飯のおかずに、ちっさーは身を乗り出して眺めている。
彼も食いしん坊さんだが、食いしん坊というなら私はそこは負けない自信がある。
さすがに舞美ちゃんの記憶には負けてしまったが、私もりーちゃんも十四人中三位に入る好成績を残している。
食べることに関して言えば、ベリキュー内でも三本の指に入る二人がここにいるのである。
そうなると、釜の中にたっぷりとあったご飯も食事開始から三十分以内に完食していた。
これには母も目を剥いて驚いていた。
育ち盛りではあるが、女の子三人(うち一名は男であるが)が食べきるとは思ってもいなかったらしい。

「さて、あとは寝るだけなんだけどね。ちっさー、君は真ん中にお布団敷こうか」
「え、えぇ~僕が真ん中なのぉ?」

 夕飯の片づけが終わると、三人で私の部屋まで戻ってきていた。
修学旅行気分を味わおうともちかけ、私たちは床に布団を敷いて寝ることにしたのだ。
その方が私にとっては都合が大変いいのだが、今はまだ内緒だ。

「不満? りーちゃんはちっさーが真中の方がいいよね?」
「うん。その方がいいな。千聖は真ん中で決まりね」

 ぶつぶつと文句はいうものの、私たちに逆らえず、彼は私とりーちゃんの間に布団を敷き始めた。
三人だけではイマイチ盛り上がりにかける為、枕投げなどはせずに電気を消して話すことになった。
トランプなどのゲームも案にはあがったが、この三人で集まるとそれよりも話す方が楽しかったりする。
人生の半分の六年もの付き合いがある、同じ年の三人だけしかわからない繋がりがあるのだ。
私たちはうつ伏せに寝転がり、お互いの顔を暗闇の中みつめあいながら、語り始めた。
ふふっ、さぁ夜のお楽しみの時間ですぜい、お二人さん。

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