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 横浜の街を男の子と並んで歩くなんて、とってもロマンチックで胸躍る展開なのにそうはならない。
なれるはずがない。
たとえるなら、いとこの男の子に憧れのお姉さんとして好かれていたのが、久しぶりに会ってみたら別のいとこを好きになっていた、というところか。
千聖もいつまでも子供ではないのだから、好きな女の子ができて当然だし、私がそれを束縛する理由があってはならない。
なのに、そう割り切れない自分が二人の恋路の応援を拒否している。

 二人がうまくいけば、きっと私から離れていってしまう気がして、心配でたまらない。
相思相愛だけにお互いの気持ちがわかったら、すぐにでも結ばれるだろう。
恋人となった二人が、私がいくらメールをしても相手をしてくれないことや休日に会ってもくれない、そんな気がするのだ。
二人の性格を考えればそれはありえない、と言い聞かせても自分には悪い方向にしか先が予想できない。
どうしてこうも私って人間はネガティブなんだろう、そう思わずにはいられなかった。

「ねぇ、千聖はいつまでも変わらずに私をお姉ちゃんって思ってくれる?」
「え? そ、そりゃ~まぁね。桃ちゃんはいつまでも僕のお姉ちゃんだよ。大丈夫」

 駅から離れ、ネオンの光が届かない場所まで歩いてきていた。
小さい私たちではそんな場所を歩くのが心許ないけど、星の光をじっくりと見上げるにはこちらの方が都合がいい。
ネオンのギラついた光よりも、弱々しくても温かい自然の光が今はほしかった。

「本当かなぁ。あんた、最近だとえりかちゃんによくお姉ちゃんって抱きついてるじゃん」
「なぁんだ、桃ちゃんも結構みてるんだね。えりかちゃんはえりかちゃんだよ。エッチなのがたまにキズだけどさ」
「私なんかよりもよっぽどお姉ちゃんらしいもんね。えりかちゃんはえりかちゃんって言っても、えりかちゃんの方がいいんでしょ?」
「やけに引っかかる言い方だなぁ~大丈夫だって。桃ちゃんは友達みたいなお姉ちゃんでいいじゃない」

 友達、か。
お姉ちゃんの前に友達がつくんだ。
えりかちゃんには本当のお姉ちゃんと接してるみたいに甘えたりするくせに。
いくら℃-uteのメンバーでいつも一緒でも、キッズに入りたての頃みたいに甘えてきてほしい。
桃ちゃん、桃ちゃんって飽きるくらいに言ってほしい。
口では友達みたいなお姉ちゃん、と言ったところで私なんかよりも℃-uteのメンバーをとるくせに。
舞美にしたってそうだ。

「彼氏が出来ても、桃との友情は変わらないよ。ずっと友達」

 女同士の友情って脆いってよく聞くよね、と話を振ったときに聞かせてくれた言葉である。
舞美は恥ずかしさを感じても、最後までやり遂げる意志の強い子だ。
私も舞美にあわせて、「やだぁ~嬉しいこと言ってくれるじゃん。桃も一緒だからね」と返しておいた。
嘘をつくので下手な舞美のまっすぐな言葉を忘れることができそうにない。

 なのに、私は二人とも去ってしまわないか心配でならないからこそ、こうして念を押しての確認に入っているのだ。

「千聖、友達なら友達で困ったことがあったら相談しろよぉ。舞美のことなら私がよく知ってるんだからさ」

 不安を押し殺し、私はありったけの力で自然な笑顔になるよう努めていた。
少しでもお姉ちゃんらしく振舞おうと精一杯の努力だった。

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