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&bold(){456 名前:奏[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 23:41:54 ID:7RNoFN3h} 澪が旅立つその日、私は澪と二人で駅前のベンチに座っていた。 「まさかアメリカだなんてな」 「ホント、最初は信じられなかったよ」 ある日、音楽室にスーツ姿の男の人が来てこう言ったな。秋山さんをスカウトしたいって。 まあ、澪の実力とルックスならスカウトされたって当然だとは思ったよ。 ただその人が澪にアメリカで音楽の勉強させたいって言ったときはさすがに悩んでたな。 その姿をみて私は最後のひと押しをしてやろうと必死に説得したんだ。頑張ってこいって。 もちろん寂しくないといえばウソになる。でもこんなの誰もが掴めるチャンスじゃない。 私は澪が物凄く大きな舞台で歌う姿を見たいと思ったんだ。 とても恥ずかしがりやだった澪が、大勢の前で歌う姿をいつも後ろから見てて 何ていうんだろう。成長してるな、って思ってたんだ。 子供が成長していく親の気持ちってこんな感じなのかなって思いながら。 子供なんていったら澪は怒るだろうけどさ。 他愛のない会話、そして沈黙の時間が繰り返され時間は無常にも過ぎていった。 「……そろそろ時間だ。それじゃバイバイ、律」 「あ、そうか……じゃあな」 振り返ることなく私から離れていく澪。おい、私。これでよかったのか?伝えたいことは全て言えたのか? ……いや、 「澪!」 私の呼び掛けに澪は足を止めたがなかなかこちらを振り返らない。数秒後、澪は意を決したように振り返った。 「何だ?」 その声は震え顔は涙でグシャグシャだった。すぐに振り返らなかったのはおそらくその顔を見られたくなかったのだろう。 その顔を見て私も涙が溢れそうになったが、必死にこらえて思いを伝えた。 「澪と一緒に過ごせて楽しかったよ。一緒に遊んで、一緒に勉強して、一緒に音楽やって。  いつも澪には助けられてばっかだったな。部長らしいこともほとんどしないでいつも苦労かけてホントゴメン」 もうダメだった。涙が止まらない。言葉もうまく出てこない。そんな私に優しく語りかけるように澪が話し出した。 「そんなことないよ。私に音楽を勧めてくれたのは律だったよね。音楽の、いや、律のおかげで私は成長できたって信じてる。  これは成長したからこその別れなんだ。いや、別れなんかじゃない。またきっと、絶対会えるんだから」 言い終えると澪は私に近づいてこう言ってくれた。 「さっきはバイバイって言っちゃってたね。ゴメン、間違えてた。またね、律」 私はグシャグシャの顔で笑顔をつくって返事をした。 「ああ、またな」 #image(奏01.jpg,width=300,height=225,blank) 一人になった駅前で私は口ずさんでいた。私たちの曲『ふわふわ時間』を。 確かに近くにはいなくなったのかもしれない。 だけど、歌と思い出が私たちを結び付けてくれている。寂しくなんかない。 瞳閉じれば浮かんでくるんだ、澪の顔が。 澪は一歩踏み出したんだ、負けてられないな。 そう決心し、私は新たな一歩を踏み出した。 ※モチーフ 「奏」/スキマスイッチ >出典 >【けいおん!】田井中律は乙女可愛い29【ドラム】 このSSの感想をどうぞ #comment_num2(below,log=コメント/奏)
&bold(){456 名前:奏[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 23:41:54 ID:7RNoFN3h} 澪が旅立つその日、私は澪と二人で駅前のベンチに座っていた。 「まさかアメリカだなんてな」 「ホント、最初は信じられなかったよ」 ある日、音楽室にスーツ姿の男の人が来てこう言ったな。秋山さんをスカウトしたいって。 まあ、澪の実力とルックスならスカウトされたって当然だとは思ったよ。 ただその人が澪にアメリカで音楽の勉強させたいって言ったときはさすがに悩んでたな。 その姿をみて私は最後のひと押しをしてやろうと必死に説得したんだ。頑張ってこいって。 もちろん寂しくないといえばウソになる。でもこんなの誰もが掴めるチャンスじゃない。 私は澪が物凄く大きな舞台で歌う姿を見たいと思ったんだ。 とても恥ずかしがりやだった澪が、大勢の前で歌う姿をいつも後ろから見てて 何ていうんだろう。成長してるな、って思ってたんだ。 子供が成長していく親の気持ちってこんな感じなのかなって思いながら。 子供なんていったら澪は怒るだろうけどさ。 他愛のない会話、そして沈黙の時間が繰り返され時間は無常にも過ぎていった。 「……そろそろ時間だ。それじゃバイバイ、律」 「あ、そうか……じゃあな」 振り返ることなく私から離れていく澪。おい、私。これでよかったのか?伝えたいことは全て言えたのか? ……いや、 「澪!」 私の呼び掛けに澪は足を止めたがなかなかこちらを振り返らない。数秒後、澪は意を決したように振り返った。 「何だ?」 その声は震え顔は涙でグシャグシャだった。すぐに振り返らなかったのはおそらくその顔を見られたくなかったのだろう。 その顔を見て私も涙が溢れそうになったが、必死にこらえて思いを伝えた。 「澪と一緒に過ごせて楽しかったよ。一緒に遊んで、一緒に勉強して、一緒に音楽やって。  いつも澪には助けられてばっかだったな。部長らしいこともほとんどしないでいつも苦労かけてホントゴメン」 もうダメだった。涙が止まらない。言葉もうまく出てこない。そんな私に優しく語りかけるように澪が話し出した。 「そんなことないよ。私に音楽を勧めてくれたのは律だったよね。音楽の、いや、律のおかげで私は成長できたって信じてる。  これは成長したからこその別れなんだ。いや、別れなんかじゃない。またきっと、絶対会えるんだから」 言い終えると澪は私に近づいてこう言ってくれた。 「さっきはバイバイって言っちゃってたね。ゴメン、間違えてた。またね、律」 私はグシャグシャの顔で笑顔をつくって返事をした。 「ああ、またな」 #image(奏01.jpg,width=300,height=225,blank) 一人になった駅前で私は口ずさんでいた。私たちの曲『ふわふわ時間』を。 確かに近くにはいなくなったのかもしれない。 だけど、歌と思い出が私たちを結び付けてくれている。寂しくなんかない。 瞳閉じれば浮かんでくるんだ、澪の顔が。 澪は一歩踏み出したんだ、負けてられないな。 そう決心し、私は新たな一歩を踏み出した。 ※モチーフ 「奏」/スキマスイッチ >出典 >【けいおん!】田井中律は乙女可愛い29【ドラム】 このSSの感想をどうぞ #comment_num2(below,log=コメント/奏)

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