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唯「りっちゃんおいーす。」 律「…ああ、唯。おっす。」 唯「どうしたのー?何か元気ないね。」 律「何でもないよ…。」 今日は珍しくりっちゃんのご機嫌がナナメです。 昨日の部活の時は元気いっぱいだったのに、お家で何かあったのかな? 〜その日の部活〜 唯「…というわけで、今日のりっちゃんなんか変なんだよ〜。」 紬「朝からずっとなのよね。心配だわ。」 梓「あんな律先輩見ていると、調子狂っちゃいますね…。」 澪「うーん、多分アレなんだろうな…。」 唯「澪ちゃん博士!何か心当たりが!?」 澪「そ、その呼び方はやめてよ…。うん、多分なんだけど、   弟と喧嘩したんだと思う。」 梓「律先輩の弟さんって、この前一緒に映画に行ったって言ってた…?」 澪「うん、あの二人は男女の姉弟にしては凄い仲がいいんだけど、   時々喧嘩して口も利かなくなるんだよな。原因は大抵どうでもいい事なんだけどね。」 唯「そうなんだー。あのりっちゃんが怒るなんて想像できないやー。」 紬「いつも近くにいる弟さんとの間だから、やっぱり色々あるんじゃないかしら?」 梓「そうですね。私は一人っ子だから余り分からないんですけど…。」 澪「唯なら気持ち分かるんじゃないか?あ、でも相手が憂ちゃんだもんなー。   喧嘩する理由が無さそうだ。」 唯「えー、そんな事ないもん。私だって…」 律「ゴメン、何か調子出ないから帰るわ。」 梓「あ、はい、お疲れ様です…」 唯「りっちゃん…。ゴメン!あたしも帰る!」 澪「お、おい唯!」      ◆ ったく、昨日の夜から散々だ。 聡の奴、何であんな事を…あーもう、思い出しただけでイライラする。 ******************************************************************************** 聡『ねーちゃん!音うるさいよ!』 律『な、何だよいきなり…電ドラ叩いてるだけじゃん。   まだ夕飯前だし、いつもやってる事じゃんか…。』 聡『いつもうるさかったんだよ!もういい加減にしてくれよ!』 律『ど、どうしたんだよ急に…』 聡『大体、女の癖にドラムなんかやってんじゃねーよ!』 律『はぁ?何だよその言い方は。私が何やろうが勝手だろ!』 聡『あ、いや、そういう意味で言ったんじゃなくて…』 律『そんなに私のやる事が気に入らないんだったらもういいよ!出てけ!』 ******************************************************************************** …そのまま聡を部屋から追い出して鍵を掛け、ステレオの音量を上げた。 寸前、部屋の外から「ゴメン、姉ちゃん…」っていう声が小さく聞こえたが、 その声に応えられるほど、冷静ではなかった。 当然、朝食の時も一切口を利かず、今に至るというわけだ。 3つ下の弟、聡と私は、自分で言うのも何だけど仲がいいと思う。 中学生の弟と、高校生の姉。普通だったらそれなりの距離があって しかるべきだと思うが、私たちはそんな事はお構いなく、休日には よく二人で遊びに行ったりもする。 私は別にブラコンじゃないし、聡もシスコンってわけじゃないと思う。 でも、たった二人の姉弟だし、そういう風に一緒に過ごせる事が、 私は嬉しくてしょうがなかった。 もちろん、下らない事で喧嘩することはしょっちゅうなんだけど…。 でも、今回のはちょっと毛色が違った…気がする。 −女の癖にドラムなんかやってんじゃねーよ!− 聡の口から、「女の癖に」なんて言葉を聞いたのは初めてだった。 私たちの間に「男と女」の壁なんて無いと思っていた。 性別の垣根なんか、血の繋がりの強さに比べたらちっぽけなものだと、 そう思っていた。なのに。なのに…。 唯「りっちゃん?」 律「うおっ!ゆ、唯?」 唯「えへへ、りっちゃんが心配でついて来ちゃった。」 …私が考え事をしていたせいでもあるけど、足音一つしなかったぞ。 唯は時々超人的な力を発するから怖いんだよな。 唯「ねえりっちゃん、弟さんと喧嘩したの?」 ほら、まただ。こいつには神が与えた何かがあるのか? 律「何で分かるんだよ?」 唯「わ、ホントにそうなんだ。澪ちゃんに聞いたんだけどね。りっちゃんがご機嫌ナナメな時は大抵そうだって。」 なるほど。澪なら分かるか。 律「で、何で私について来たんだよ。」 唯「だからりっちゃんが心配だったんだってばー。それに、私も妹いるし、気持ち、わかるから。」 律「いや、お前が憂ちゃんと喧嘩しちゃだめだろ。罰当たりもいいところだぞ。」 唯「むー、りっちゃんまでそんな事言うの??あたしたちだって姉妹喧嘩くらいするもん。」 律「あはは、ゴメンゴメン。で、どんな理由で喧嘩するんだ?」 唯「一番覚えてるのはね、確かあたしが中二の時だったかな…」 ******************************************************************************** 憂『お姉ちゃん!アイスはご飯食べてからだってば!』 唯『えー、いいじゃんういー。一個だけだってばー。』 憂『いつもそうやって言うんだから。ダメだったらダメだよ!』 唯『ちぇっ、憂のけちー。』 ******************************************************************************** 律「…それで?」 唯「ん?それで終わりだよ?その日は一緒にお風呂入って、一緒にアイス食べて、   一緒に寝たんだー♪」 律「唯…それは喧嘩とは言わない。ただのお前の我儘だ。」 …おかしいと思った。あの完璧少女憂ちゃんが、唯と同レベルで喧嘩なんかするわけないもんな。 唯「んー、そうなのかなー。でも、憂にケチ、って言った時、憂がすっごく   悲しそうな顔をしてさ、その顔を見た時に、あ!絶対謝んなきゃ!って思って   すぐ謝ったんだよ。そしたら憂の顔がパッて明るくなって、すぐ仲直りしたんだー。」 そこまで聞いて、夕べの事を思い出した。 あの時、聡は謝ろうとしてたんじゃなかったっけ。何で謝らなかったんだろう。 …違う。私が”謝らせなかった”んだ。 自分の言った事を瞬時に後悔し、謝ろうとした聡の言葉を遮り、感情のままに 怒鳴り散らして、聡を部屋から追い出した。 唯たちの場合は、すぐに素直に謝ろうと思える唯と、それをちゃんと受け入れてあげて、 姉に対して絶対に意地を張ったりしない憂ちゃんだからこそ、喧嘩らしい喧嘩にならずに済むんだ。 聡は、すぐに素直に謝ろうとした。それに対して、私は…。 律「唯、ゴメン。急ぎの用事思い出したからここで。じゃな!」 唯「え、り、りっちゃん!?」      ◆ 家に着いた。全力で走ってきたから、ちょっと息が苦しい。 聡の部屋は…電気がついてるな。 部屋に戻り、カバンを置くと、3回深呼吸をしてから廊下に出た。 コンコン 聡「…なに?」 律「聡?律だけど、入ってもいい?」 十秒くらいの沈黙の後、鍵が開く音がした。 律「お、またCD増えてるじゃん、後でパソコンに入れさせてよ。」 聡「…何の用だよ。」 律「いや、別に用って程の事じゃないんだけどさ、何というかその…」 聡「用が無いんだったら出てってよ。」 イラッ …ダメだダメだ。ここで深呼吸、っと。唯や憂ちゃんを見習うんだ、律。 謝りたいときには素直に謝る。たった一人の弟だろ。 律「その、昨日は、ゴ、ゴメンな。」 聡「…何で姉ちゃんが謝るんだよ。」 律「い、いやさ、昨日私が聡を追い出す前に、聡が謝ろうとしてた事、気付いてたんだ。   でもイライラしてたから、そのままワーッとぶちまけちゃって、謝るタイミングを   奪っちゃったから…」 そこまで言って聡を見て、仰天した。 聡の目に、涙がいっぱい溜まっている。弟が泣くのを見るのは、こいつが中学生になってからは初めてだ。 聡「何で、何で姉ちゃんが先に謝るんだよ…っ!っく、オ、オレがっ、…姉ちゃんにひどい事を   言っちゃったのに…。ずっと、ずっと謝ろうと思ってっ、…たのに…っ。」 律「聡…。」 気が付くと、私は聡の頭に腕を回し、抱き締めていた。高校生の姉と、中学生の弟。 もうこんな事を平気で出来るような歳じゃないんだけど、そんな気恥ずかしさより、 今はただ、目の前にいる弟が愛おしくてしょうがなかった。 聡「うわああん、ごめん、姉ちゃん、ごめんなさい!…っく」 律「いいよ。もう怒ってないから。男の子なんだから、もう泣くなって。」 聡「そんな…こと言われたってっ、もう、姉ちゃんにずっと口利いてもらえないっ、のかと   思って…、怖くて…。」 律「…本当にゴメンね。そんな事は絶対無いから。あんたは、聡は私のたった一人の弟だもん。   大好きだよ、聡。」 こんな恥ずかしい事が平気で言えるなんて。平沢姉妹の影響受けちゃったかな。私も。 聡「女の癖にドラムやるな、なんて言ってごめんね、姉ちゃん。昨日は学校で友達と喧嘩してて、   すごいイライラしてたんだ。オレ、ドラム叩いてる姉ちゃん、カッコいいと思ってるし、   好きだよ。」 こいつも平沢姉妹の影響を受けてるのか?ていうか会ったことないか。 よし、せっかくだからとことん影響を受けてやるか。 律「聡、さっきの言葉、撤回するよ。」 聡「…?さっきの言葉って?」 律「男の子なんだから泣くな、って奴だよ。女がドラム叩いていいんだったら、男が泣いたって   別にいいよな。今日は姉ちゃんの胸で思いっきり泣いていいぞ。   …泣き終わったら、仲直りしような。」 聡「姉ちゃん…ヒック」 聡はその後10分位泣き続け、その間私はずっと聡の頭を撫でてやっていた。 おそらく友達とサッカーでもしてきたのだろう。その頭からは汗の匂いがしたが、 律にとっては不思議と心地よい匂いだった。      ◆ 律「よし、聡、今日は姉ちゃんと一緒に風呂入るか!」 聡「…!な、何言ってんだよ!入るわけないだろ!小学生じゃないんだぞ!」 それもそうか。我ながらちょっと大胆すぎたな。 律「じゃ聡、先入っていいよ。姉ちゃん、コンビニでアイス買ってくるから、   一緒に食べよう!聡はチョコチップでいいよな?」 聡「う、うん、いいけど、どうしたんだよ姉ちゃん?」 律「仲直りの儀式みたいなもんだよ。あと、今日は久しぶりに一緒に寝ない?」 聡「はぁ?なんか今日姉ちゃんおかしいよ?」 律「いいじゃんいいじゃん、昔はいつも同じ布団で寝てたんだからさー。   あとで私の部屋に枕持って来いよな!じゃ、行って来まーす!」 今日の仲直りの事、軽音部のみんなにちゃんと言っておかないとな。 一番は…やっぱ唯だな。 終わり >出典 >【けいおん!】田井中律は姉御肌可愛い31【ドラム】
唯「りっちゃんおいーす。」 律「…ああ、唯。おっす。」 唯「どうしたのー?何か元気ないね。」 律「何でもないよ…。」 今日は珍しくりっちゃんのご機嫌がナナメです。 昨日の部活の時は元気いっぱいだったのに、お家で何かあったのかな? 〜その日の部活〜 唯「…というわけで、今日のりっちゃんなんか変なんだよ〜。」 紬「朝からずっとなのよね。心配だわ。」 梓「あんな律先輩見ていると、調子狂っちゃいますね…。」 澪「うーん、多分アレなんだろうな…。」 唯「澪ちゃん博士!何か心当たりが!?」 澪「そ、その呼び方はやめてよ…。うん、多分なんだけど、   弟と喧嘩したんだと思う。」 梓「律先輩の弟さんって、この前一緒に映画に行ったって言ってた…?」 澪「うん、あの二人は男女の姉弟にしては凄い仲がいいんだけど、   時々喧嘩して口も利かなくなるんだよな。原因は大抵どうでもいい事なんだけどね。」 唯「そうなんだー。あのりっちゃんが怒るなんて想像できないやー。」 紬「いつも近くにいる弟さんとの間だから、やっぱり色々あるんじゃないかしら?」 梓「そうですね。私は一人っ子だから余り分からないんですけど…。」 澪「唯なら気持ち分かるんじゃないか?あ、でも相手が憂ちゃんだもんなー。   喧嘩する理由が無さそうだ。」 唯「えー、そんな事ないもん。私だって…」 律「ゴメン、何か調子出ないから帰るわ。」 梓「あ、はい、お疲れ様です…」 唯「りっちゃん…。ゴメン!あたしも帰る!」 澪「お、おい唯!」      ◆ ったく、昨日の夜から散々だ。 聡の奴、何であんな事を…あーもう、思い出しただけでイライラする。 ******************************************************************************** 聡『ねーちゃん!音うるさいよ!』 律『な、何だよいきなり…電ドラ叩いてるだけじゃん。   まだ夕飯前だし、いつもやってる事じゃんか…。』 聡『いつもうるさかったんだよ!もういい加減にしてくれよ!』 律『ど、どうしたんだよ急に…』 聡『大体、女の癖にドラムなんかやってんじゃねーよ!』 律『はぁ?何だよその言い方は。私が何やろうが勝手だろ!』 聡『あ、いや、そういう意味で言ったんじゃなくて…』 律『そんなに私のやる事が気に入らないんだったらもういいよ!出てけ!』 ******************************************************************************** …そのまま聡を部屋から追い出して鍵を掛け、ステレオの音量を上げた。 寸前、部屋の外から「ゴメン、姉ちゃん…」っていう声が小さく聞こえたが、 その声に応えられるほど、冷静ではなかった。 当然、朝食の時も一切口を利かず、今に至るというわけだ。 3つ下の弟、聡と私は、自分で言うのも何だけど仲がいいと思う。 中学生の弟と、高校生の姉。普通だったらそれなりの距離があって しかるべきだと思うが、私たちはそんな事はお構いなく、休日には よく二人で遊びに行ったりもする。 私は別にブラコンじゃないし、聡もシスコンってわけじゃないと思う。 でも、たった二人の姉弟だし、そういう風に一緒に過ごせる事が、 私は嬉しくてしょうがなかった。 もちろん、下らない事で喧嘩することはしょっちゅうなんだけど…。 でも、今回のはちょっと毛色が違った…気がする。 −女の癖にドラムなんかやってんじゃねーよ!− 聡の口から、「女の癖に」なんて言葉を聞いたのは初めてだった。 私たちの間に「男と女」の壁なんて無いと思っていた。 性別の垣根なんか、血の繋がりの強さに比べたらちっぽけなものだと、 そう思っていた。なのに。なのに…。 唯「りっちゃん?」 律「うおっ!ゆ、唯?」 唯「えへへ、りっちゃんが心配でついて来ちゃった。」 …私が考え事をしていたせいでもあるけど、足音一つしなかったぞ。 唯は時々超人的な力を発するから怖いんだよな。 唯「ねえりっちゃん、弟さんと喧嘩したの?」 ほら、まただ。こいつには神が与えた何かがあるのか? 律「何で分かるんだよ?」 唯「わ、ホントにそうなんだ。澪ちゃんに聞いたんだけどね。りっちゃんがご機嫌ナナメな時は大抵そうだって。」 なるほど。澪なら分かるか。 律「で、何で私について来たんだよ。」 唯「だからりっちゃんが心配だったんだってばー。それに、私も妹いるし、気持ち、わかるから。」 律「いや、お前が憂ちゃんと喧嘩しちゃだめだろ。罰当たりもいいところだぞ。」 唯「むー、りっちゃんまでそんな事言うの??あたしたちだって姉妹喧嘩くらいするもん。」 律「あはは、ゴメンゴメン。で、どんな理由で喧嘩するんだ?」 唯「一番覚えてるのはね、確かあたしが中二の時だったかな…」 ******************************************************************************** 憂『お姉ちゃん!アイスはご飯食べてからだってば!』 唯『えー、いいじゃんういー。一個だけだってばー。』 憂『いつもそうやって言うんだから。ダメだったらダメだよ!』 唯『ちぇっ、憂のけちー。』 ******************************************************************************** 律「…それで?」 唯「ん?それで終わりだよ?その日は一緒にお風呂入って、一緒にアイス食べて、   一緒に寝たんだー♪」 律「唯…それは喧嘩とは言わない。ただのお前の我儘だ。」 …おかしいと思った。あの完璧少女憂ちゃんが、唯と同レベルで喧嘩なんかするわけないもんな。 唯「んー、そうなのかなー。でも、憂にケチ、って言った時、憂がすっごく   悲しそうな顔をしてさ、その顔を見た時に、あ!絶対謝んなきゃ!って思って   すぐ謝ったんだよ。そしたら憂の顔がパッて明るくなって、すぐ仲直りしたんだー。」 そこまで聞いて、夕べの事を思い出した。 あの時、聡は謝ろうとしてたんじゃなかったっけ。何で謝らなかったんだろう。 …違う。私が”謝らせなかった”んだ。 自分の言った事を瞬時に後悔し、謝ろうとした聡の言葉を遮り、感情のままに 怒鳴り散らして、聡を部屋から追い出した。 唯たちの場合は、すぐに素直に謝ろうと思える唯と、それをちゃんと受け入れてあげて、 姉に対して絶対に意地を張ったりしない憂ちゃんだからこそ、喧嘩らしい喧嘩にならずに済むんだ。 聡は、すぐに素直に謝ろうとした。それに対して、私は…。 律「唯、ゴメン。急ぎの用事思い出したからここで。じゃな!」 唯「え、り、りっちゃん!?」      ◆ 家に着いた。全力で走ってきたから、ちょっと息が苦しい。 聡の部屋は…電気がついてるな。 部屋に戻り、カバンを置くと、3回深呼吸をしてから廊下に出た。 コンコン 聡「…なに?」 律「聡?律だけど、入ってもいい?」 十秒くらいの沈黙の後、鍵が開く音がした。 律「お、またCD増えてるじゃん、後でパソコンに入れさせてよ。」 聡「…何の用だよ。」 律「いや、別に用って程の事じゃないんだけどさ、何というかその…」 聡「用が無いんだったら出てってよ。」 イラッ …ダメだダメだ。ここで深呼吸、っと。唯や憂ちゃんを見習うんだ、律。 謝りたいときには素直に謝る。たった一人の弟だろ。 律「その、昨日は、ゴ、ゴメンな。」 聡「…何で姉ちゃんが謝るんだよ。」 律「い、いやさ、昨日私が聡を追い出す前に、聡が謝ろうとしてた事、気付いてたんだ。   でもイライラしてたから、そのままワーッとぶちまけちゃって、謝るタイミングを   奪っちゃったから…」 そこまで言って聡を見て、仰天した。 聡の目に、涙がいっぱい溜まっている。弟が泣くのを見るのは、こいつが中学生になってからは初めてだ。 聡「何で、何で姉ちゃんが先に謝るんだよ…っ!っく、オ、オレがっ、…姉ちゃんにひどい事を   言っちゃったのに…。ずっと、ずっと謝ろうと思ってっ、…たのに…っ。」 律「聡…。」 気が付くと、私は聡の頭に腕を回し、抱き締めていた。高校生の姉と、中学生の弟。 もうこんな事を平気で出来るような歳じゃないんだけど、そんな気恥ずかしさより、 今はただ、目の前にいる弟が愛おしくてしょうがなかった。 聡「うわああん、ごめん、姉ちゃん、ごめんなさい!…っく」 律「いいよ。もう怒ってないから。男の子なんだから、もう泣くなって。」 聡「そんな…こと言われたってっ、もう、姉ちゃんにずっと口利いてもらえないっ、のかと   思って…、怖くて…。」 律「…本当にゴメンね。そんな事は絶対無いから。あんたは、聡は私のたった一人の弟だもん。   大好きだよ、聡。」 こんな恥ずかしい事が平気で言えるなんて。平沢姉妹の影響受けちゃったかな。私も。 聡「女の癖にドラムやるな、なんて言ってごめんね、姉ちゃん。昨日は学校で友達と喧嘩してて、   すごいイライラしてたんだ。オレ、ドラム叩いてる姉ちゃん、カッコいいと思ってるし、   好きだよ。」 こいつも平沢姉妹の影響を受けてるのか?ていうか会ったことないか。 よし、せっかくだからとことん影響を受けてやるか。 律「聡、さっきの言葉、撤回するよ。」 聡「…?さっきの言葉って?」 律「男の子なんだから泣くな、って奴だよ。女がドラム叩いていいんだったら、男が泣いたって   別にいいよな。今日は姉ちゃんの胸で思いっきり泣いていいぞ。   …泣き終わったら、仲直りしような。」 聡「姉ちゃん…ヒック」 聡はその後10分位泣き続け、その間私はずっと聡の頭を撫でてやっていた。 おそらく友達とサッカーでもしてきたのだろう。その頭からは汗の匂いがしたが、 律にとっては不思議と心地よい匂いだった。      ◆ 律「よし、聡、今日は姉ちゃんと一緒に風呂入るか!」 聡「…!な、何言ってんだよ!入るわけないだろ!小学生じゃないんだぞ!」 それもそうか。我ながらちょっと大胆すぎたな。 律「じゃ聡、先入っていいよ。姉ちゃん、コンビニでアイス買ってくるから、   一緒に食べよう!聡はチョコチップでいいよな?」 聡「う、うん、いいけど、どうしたんだよ姉ちゃん?」 律「仲直りの儀式みたいなもんだよ。あと、今日は久しぶりに一緒に寝ない?」 聡「はぁ?なんか今日姉ちゃんおかしいよ?」 律「いいじゃんいいじゃん、昔はいつも同じ布団で寝てたんだからさー。   あとで私の部屋に枕持って来いよな!じゃ、行って来まーす!」 今日の仲直りの事、軽音部のみんなにちゃんと言っておかないとな。 一番は…やっぱ唯だな。 終わり >出典 >【けいおん!】田井中律は姉御肌可愛い31【ドラム】 #comment_num2(below,log=コメント/きょうだい喧嘩)

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