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&bold(){480 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/07/01(水) 01:21:51 ID:+HqMCewa}
「うー、さぶさぶ」
冬の日の明朝、寒さで鼻を赤くしながら白い吐息を弾ませる。少女―――田井中律は玄関の扉を足で乱暴に開けて外に出ると、家のポストを覗き込む。新聞紙が入っているのを確認すると、それを両腕で抱え込む。数秒の間を置いてもう一度ポストを覗き込む。
しかしそこには何もない。
辺りを見回す。誰もいない・・・と思った瞬間、人影が視界の隅にちらりと映った。
「あいつ・・・」
その人物は律の幼馴染みの隊だった。
幼稚園から中学までは一緒だったが、隊は男なので女子高に行った律とは別々の高校になってしまったのだ。
「お、おっす。おはよ」
「ん?」
隊は声を掛けてきた相手の顔を見る。
(誰だこの人?そういえばここ律の家だよな・・・てことは高校の友達が泊まりに来ててその子とか?とりあえず挨拶されたから返事しておくか)
「おはようございます。寒いですね」
敬語を使われ律の表情が変化する。
&bold(){487 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/07/01(水) 01:26:15 ID:+HqMCewa}
「おいおい、何で敬語なんだよ?しかも他人行儀ぶっちゃって。それとも私の事を忘れたって言うのかー?」
「あれ、もしかして律?」
「当たり前だろぉ~?私じゃないなら誰だって言うんだよー」
律が笑いながら隊の肩をバンバン叩く。中々痛い。
「ああそうか、前髪下ろしてたのか。いやー、下ろしてる姿を見たのはかなり久しぶりだからな、一瞬誰かと思ったよ」
前髪を下ろしたという言葉に反応した律は、ピタリと動きを止めた。
(もしかして、あの手紙書いたのって・・・)
そんな事を考えていると、律の顔が次第に赤く染まって行く。
(き、聞いてみたい・・・でも、もし違ったら・・・うがー!!)
律の中で好奇心と羞恥心の壮絶な戦いが始まった。しかし結果は羞恥心の大勝利。プライドの高い律がそんな事を聞けるはずがないのだ。
「おい、大丈夫か?顔が赤いぞ?」
心配になった隊は右手で律の前髪を掻き上げると顔を近付け、律のあらわになった額に自分の額をピタッとくっ付けた。
「――――!!?」
突然の行動に律は顔さらに赤くし、声にならない声を発した。
&bold(){496 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/07/01(水) 01:29:16 ID:+HqMCewa}
目の前には隊の顔。少し視線を下にずらすとそこは唇。あと5cm程前に突き出せば・・・などと考えながらごくりと唾を飲む。変な事を想像したせいか、胸の鼓動が高くなる。
「ん、ちょっと熱いぞ。ちゃんと温かくしておけよ」
隊は顔を離すと、首に巻いていたマフラーを外して律の首に巻き付ける。
「これでよし」
隊は律の頭をポンポンと叩く。律は突然溢れ出そうになった涙をぐっと堪える。
「さて、俺はそろそろ行くぞ。あ、そうだ。・・・これやるよ」
隊はポケットから飴を取り出し、律に渡した。
「じゃーな、聡によろしく言っといてくれ」
「あっ・・・」
律は歩き出そうとした隊の腕ギュッと掴む。
「こ、これ・・・マフラーどうすんだよ?」
「それもやるよ。温かくしておかないと風邪引くからな」
「じゃ、じゃあ今度遊ぼーぜ。連絡するからさ」
「おう、楽しみにしてるよ」
隊は手を軽く振ると、そのまま歩き出した。
その姿を見て律は胸が苦しくなった。どうしてこんな切ない気持ちになるんだろう・・・と。
そんなのは・・・決まっている・・・
律は貰った飴を袋から取り出すと、中身を口に放り込んだ。
&bold(){498 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/07/01(水) 01:31:52 ID:+HqMCewa}
「うまいな・・・うますぎて涙が出て来そうだぜ・・・ったくあのバカ、何であんなに優しいんだよ・・・あんだけ優しいんならそろそろ私の気持ちにも気付けっての・・・」
震えた声で律は呟く。再び込み上げてくる物を堪えようとするが上手く行かず、一粒の滴が瞳から零れ落ちる。
律はあわてて涙を手で拭う。巻かれたマフラーを両手でいとおしそうに握りしめ、顔をほころばせると、口の中の飴玉をコロコロと転がしながら、律は家の中へと入っていった。
//――――SSここまで――――
//以下スペースにコピペしたSSの出展元記述
//――――以下出展元――――
【けいおん!】田井中律は勘違い可愛い32【ドラム】
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1246339229/
//――――出展元ここまで――――
//――――出展元書き方例――――
//【けいおん!】田井中律【ドラム】parn1
//http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1238676911/
//――――出展元書き方例ここまで――――
//
//コメントフォームつけたい場合は以下先頭の「//を消去」
//#comment_num2(below)
&bold(){480 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/07/01(水) 01:21:51 ID:+HqMCewa}
「うー、さぶさぶ」
冬の日の明朝、寒さで鼻を赤くしながら白い吐息を弾ませる。少女―――田井中律は玄関の扉を足で乱暴に開けて外に出ると、家のポストを覗き込む。新聞紙が入っているのを確認すると、それを両腕で抱え込む。数秒の間を置いてもう一度ポストを覗き込む。
しかしそこには何もない。
辺りを見回す。誰もいない・・・と思った瞬間、人影が視界の隅にちらりと映った。
「あいつ・・・」
その人物は律の幼馴染みの隊だった。
幼稚園から中学までは一緒だったが、隊は男なので女子高に行った律とは別々の高校になってしまったのだ。
「お、おっす。おはよ」
「ん?」
隊は声を掛けてきた相手の顔を見る。
(誰だこの人?そういえばここ律の家だよな・・・てことは高校の友達が泊まりに来ててその子とか?とりあえず挨拶されたから返事しておくか)
「おはようございます。寒いですね」
敬語を使われ律の表情が変化する。
&bold(){487 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/07/01(水) 01:26:15 ID:+HqMCewa}
「おいおい、何で敬語なんだよ?しかも他人行儀ぶっちゃって。それとも私の事を忘れたって言うのかー?」
「あれ、もしかして律?」
「当たり前だろぉ~?私じゃないなら誰だって言うんだよー」
律が笑いながら隊の肩をバンバン叩く。中々痛い。
「ああそうか、前髪下ろしてたのか。いやー、下ろしてる姿を見たのはかなり久しぶりだからな、一瞬誰かと思ったよ」
前髪を下ろしたという言葉に反応した律は、ピタリと動きを止めた。
(もしかして、あの手紙書いたのって・・・)
そんな事を考えていると、律の顔が次第に赤く染まって行く。
(き、聞いてみたい・・・でも、もし違ったら・・・うがー!!)
律の中で好奇心と羞恥心の壮絶な戦いが始まった。しかし結果は羞恥心の大勝利。プライドの高い律がそんな事を聞けるはずがないのだ。
「おい、大丈夫か?顔が赤いぞ?」
心配になった隊は右手で律の前髪を掻き上げると顔を近付け、律のあらわになった額に自分の額をピタッとくっ付けた。
「――――!!?」
突然の行動に律は顔さらに赤くし、声にならない声を発した。
&bold(){496 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/07/01(水) 01:29:16 ID:+HqMCewa}
目の前には隊の顔。少し視線を下にずらすとそこは唇。あと5cm程前に突き出せば・・・などと考えながらごくりと唾を飲む。変な事を想像したせいか、胸の鼓動が高くなる。
「ん、ちょっと熱いぞ。ちゃんと温かくしておけよ」
隊は顔を離すと、首に巻いていたマフラーを外して律の首に巻き付ける。
「これでよし」
隊は律の頭をポンポンと叩く。律は突然溢れ出そうになった涙をぐっと堪える。
「さて、俺はそろそろ行くぞ。あ、そうだ。・・・これやるよ」
隊はポケットから飴を取り出し、律に渡した。
「じゃーな、聡によろしく言っといてくれ」
「あっ・・・」
律は歩き出そうとした隊の腕ギュッと掴む。
「こ、これ・・・マフラーどうすんだよ?」
「それもやるよ。温かくしておかないと風邪引くからな」
「じゃ、じゃあ今度遊ぼーぜ。連絡するからさ」
「おう、楽しみにしてるよ」
隊は手を軽く振ると、そのまま歩き出した。
その姿を見て律は胸が苦しくなった。どうしてこんな切ない気持ちになるんだろう・・・と。
そんなのは・・・決まっている・・・
律は貰った飴を袋から取り出すと、中身を口に放り込んだ。
&bold(){498 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/07/01(水) 01:31:52 ID:+HqMCewa}
「うまいな・・・うますぎて涙が出て来そうだぜ・・・ったくあのバカ、何であんなに優しいんだよ・・・あんだけ優しいんならそろそろ私の気持ちにも気付けっての・・・」
震えた声で律は呟く。再び込み上げてくる物を堪えようとするが上手く行かず、一粒の滴が瞳から零れ落ちる。
律はあわてて涙を手で拭う。巻かれたマフラーを両手でいとおしそうに握りしめ、顔をほころばせると、口の中の飴玉をコロコロと転がしながら、律は家の中へと入っていった。
>出典
>【けいおん!】田井中律は勘違い可愛い32【ドラム】