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夏も終わり、儚くも蝉は次の夏を迎えたり、迎えられずに果てたりしている。 木枯らしが冷たく、所々に落ち葉が点々としている。 日によっては手袋を付けてる方が温かいかも知れないな。 幸い、今日はたまに吹く風が冷たいだけでブレザーを着てると問題は無い。 「でさー、あの芸能人は何だって話だよなー」 「だよねぇ。面白いけど、たまに下手な割り込みするんだよねー」 私は今、唯と一緒に帰っていた。 唯とは芸能人やファッション関係で話すと、何気に気が合う。 2人で笑いあってると、寒さを忘れる。 一陣の風が吹いた。 びゅおおおおお…… ……ごめん、嘘吐きました。 「うぐっ、さ、さぶっ!」 思わず両手で自分を抱きしめて身悶えする。 「ぅぅぅ…、ってそんな時こそ!」 私同様苦しんでいた唯が、急にぴこーん、と音が鳴りそうな閃きを見せる。 なんだなんだ? 鞄のファスナーを開けて、手探りでアルモノを取り出した。 「ブークロちゃんの出番ですなっ!」 な! 「ふふん、最近寒いから鞄に入れてたのだよー。使わなかったけどね」 したり顔で、唯は右手に装着し始めた。 「ずるいぞぉ!」 私は思わず飛び掛かった。 「な、何をする、りっちゃん隊員!ココは戦場!準備は万端にするのが常で…」 「戦場なら取ったモン勝ちじゃぁ~!」 抵抗する唯から、付けてなかった左手の方だけを奪取した。 「あー!」 唯の悲嘆を無視して、私はそれに左手を通す。 ほほーう、流石手袋。素晴らしいっ! 「うー…ブークロちゃんが……」 「ありがとな、唯♪」 道路沿いの木の葉が揺れ始める。 またかよ…。 びゅおおおおお…… 「あぐっ…さ、寒い!くそ!」 「ひ、左手がぁ……冷たい……」 またそれぞれ、身体を震わせながら風が止むのを待った。 私は空いた右手、唯は逆に左手に息を掛けて、せかせかと温める。 程好く温まったトコロで、私はもこもこの左手で右手を揉む。 「いやぁ、ブークロちゃん大活躍だなぁ♪」 「うぐぅー…りっちゃん!」 恨めしそうに見る唯が、途端に私の名を呼ぶ。 私は少し驚いた。左手は唯から遠ざけて。 「手、繋ごっ?」 唯は左手を差し伸べてきた。 「な、ななななな何でそんな恥ずかしい事せにゃならんのだ!」 「えー、恥ずかしいかなぁ」 顔に熱を持ってるのを感じる。って何で私は照れてるんだ!? これじゃ、目の前で不思議に思ってる唯より恥ずかしいじゃないかっ! 「私はいつも憂とやってるからかなぁ」 唯は左手を自分の頬に、そっと触れさせる。 当然だが、びくっ、と身を強張らせて冷たさを実感しているようだ。 「うう…冷たいねぇ、私の左手ぇ」 涙目で左手に話し掛けている。なんだ、パペットマペットか?懐かしいな。 その光景を見てると、むず痒くなって来た。 「……ほら」 私は素肌を露にしてる右手を出す。 すると、唯は瞳を輝かせて私の右手を左手で掴んだ。 「あー、大して変わらないねぇ」 どっちが温かい、冷たい、とかそういう温度は感じなかった。 同じ熱を持った手を握り合う。 横の道路を過ぎ去っていく車を何となく見てると、唯がこっちを見ていた。 ……にやにやしながら。 「りっちゃん、顔赤いよー?手繋ぐの照れてるのかなー?」 「なっ!」 思わず引っ叩いてやろうかと思ってしまった。 唯から顔を背けて、二度三度横に頭を振って左手でごしごしと拭う。 「これで大丈夫か?」 「うん、寒いから鼻が赤いけどね」 そりゃお前もだ。 「彼氏とかいたら、こういう風に繋いだりするのかなぁ?」 「っ!げほげほっ!」 唯の思わぬ発言にむせた。 「な、何を言い出すんだよっ」 「えー、だってさ、ほら」 唯が道路を挟んで反対側の歩道を指差す。 仲良さそうにカップルが歩いている―――恋人繋ぎで。 私はあの一本一本絡める指を見ていると、無性に気持ち悪くなる。 自分で指を絡めたのを上から見ると、どれがどっちの指か分からなくなる。 気持ち悪い、というか怖い、が正しいのかな。 「ねぇねぇ、私達もやってみない?」 唯がすんごい笑顔で提案してくる。 驚きを通り越して、冷ややかになってきた。 「何でだよ、私達はカップルじゃないぞー?」 「いーじゃん別にー。カップル繋ぎ、ってのは誰かが決めただけだしさっ」 唯ペースに呑まれてしまう。 唯は私に有無を言わせず、一旦手を離してから"カップル繋ぎ"に変えてきた。 「あ、コッチの方が温かいかも!」 私は同じにしか感じません。 口には出さないけどな。 遂に唯は鼻歌を歌いながら行軍し始める。おいおい。 会話出来る様子じゃないので、右手は繋ぎながら晩ご飯なんだろーなー、とか考えていた。 「あっ!」 唯の声に、その考えも塞き止められる。 そして、唯はショーウィンドウに走り出す。手を繋いだまま。 「うおっ」 私は唯に引っ張られてバランスを崩し掛けた。 慌てて左手でバランスを取り戻す。 「おい、唯引っ張るなよ」 「え、あ。ごめんごめん」 手繋いでたのを忘れていたようだ。 「ほら、これ見てよ。りっちゃん♪」 唯がショーウィンドウを指差す。 ガラスの向こうには、1つ、ウェディングドレスがマネキンに着せられていた。 ジューンブライドでもないのに、何でこの時期にやってるのかは知らない。 「キレーだねぇ…」 凄いうっとりしている。 「私達も、将来ああいうの着るんだよね」 「どうだろうなー、唯は主婦業出来ないから貰い手ないんじゃないの?」 「むっ、やろうと思ったら出来るよ!憂の料理は美味しいからやらないけどっ!」 「どーだか」 私はウェディングドレスに視線を向ける。 純白のドレスに、薄いベール。 横に並ぶのは……… 「想像してるの?」 またもや塞き止められる。またにやにやしてる。 「うっ、うっさい!してないしてない!」 「どーだか」 さっきの私の口調で、私に言い返してきやがった。 「してないってーの!って、唯。髪にゴミ付いてるぞ」 唯の耳の上辺りの髪に埃が付いていた。 「え、ホント?」 傍から見たら、唯の茶色い髪に白い埃は目立つ。 唯はショーウィンドウのガラスを使って、それを確認して取り除いた。 「そういやさ、りっちゃん」 「何だ?」 唯が右手の平をガラスに密着させる。 「テレビで見たんだけど、ガラスじゃないけど鏡の反射率って、100パーセントじゃないんだってさ」 「へぇー。でも私達はこうして映ってるじゃん」 ガラスってのは要は鏡の反射率、を落としたようなものだ。 よく見ると、ガラスの向こうに見える店内には、姿見がある。 少し横にズレると、綺麗に私達がそれに映る。 「ほら」 「だよねー、でもさやっぱり100パーセントじゃないんだって」 「じゃあ何が欠けてるっていうんだよ」 唯が目を凝らして、奥の姿見を睨み付ける。 額をガラスに当てるぐらいの距離になると、吐息でガラスが曇っていく。 「んー……何だろうなぁ……寂しさとか?」 「はぁ?」 枯れ葉が目の前に落ちていく。 「自分の顔を鏡で見ているとさ、泣き顔でも"こんな顔してたのかー"って笑えてこない?    小さい頃、私は自分の泣いた顔洗おうと思って洗面所行ったら、ふと見ちゃってさ。    真赤な目とか、への字になった口とか、今みたいに赤くなった鼻の頭が面白くって、ついつい笑っちゃったよ」 はぁ、と息をガラスに吐いて、何を思ったか"さびしさ"と曇った部分に書く。 そして、その文字ごと白く曇った部分を消した。 「ほら、ガラスでも"さびしさ"は消えるよー」 …って、おい。 「それだと、"うれしさ"も"たのしさ"も消えるだろ」 「! あ、そっか。そうだねー」 りっちゃん頭いー。と言ってくるが、それはどうなんだ。 「じゃあ、りっちゃんは何だと思う?」 唯はこっちに話を振って来る。 「んー、何だろうな」 ふと、真剣に考えてしまった。 「あれ、お姉ちゃん。律さん」 後ろから声を掛けられて、ビックリした。 憂ちゃんが手に買い物袋を持って立っている。 「あ、憂っ。晩ご飯のお買い物?今日はなぁに?」 「今日はお鍋だよ」 「マシュマロ豆乳?チョコカレー?」 「い、いや、普通のお鍋だよ。…あ、律さんもどうですか?」 急に振って来られたから、少しどきっ、とした。 「え、いいの?」 「はい。寒いですし、きっと温かいですよ♪」 それじゃあ、と私はお邪魔させて貰う事にした。 「そういや、手なんか繋いで仲良しですね」 「えへへ、私とりっちゃんは大の大大親友だからね」 手袋を付けた右手でピースサインをする。 「… そうだなっ」 唯の微笑みに、にっ、と歯を見せて笑った。 ぶおっ!っと風がまた吹き、それに私達は目を瞑った。 「寒さが欠けてくれても良さそうだね」 唯はそう言った。 この寒さや温かさが欠けてくれると、今こうやって唯達といる状況も欠けるから、それは勘弁したい。 平沢姉妹に挟まれながら私はそう思った。 >出展 >【けいおん!】田井中律はドスコイ可愛い34【ドラム】
夏も終わり、儚くも蝉は次の夏を迎えたり、迎えられずに果てたりしている。 木枯らしが冷たく、所々に落ち葉が点々としている。 日によっては手袋を付けてる方が温かいかも知れないな。 幸い、今日はたまに吹く風が冷たいだけでブレザーを着てると問題は無い。 「でさー、あの芸能人は何だって話だよなー」 「だよねぇ。面白いけど、たまに下手な割り込みするんだよねー」 私は今、唯と一緒に帰っていた。 唯とは芸能人やファッション関係で話すと、何気に気が合う。 2人で笑いあってると、寒さを忘れる。 一陣の風が吹いた。 びゅおおおおお…… ……ごめん、嘘吐きました。 「うぐっ、さ、さぶっ!」 思わず両手で自分を抱きしめて身悶えする。 「ぅぅぅ…、ってそんな時こそ!」 私同様苦しんでいた唯が、急にぴこーん、と音が鳴りそうな閃きを見せる。 なんだなんだ? 鞄のファスナーを開けて、手探りでアルモノを取り出した。 「ブークロちゃんの出番ですなっ!」 な! 「ふふん、最近寒いから鞄に入れてたのだよー。使わなかったけどね」 したり顔で、唯は右手に装着し始めた。 「ずるいぞぉ!」 私は思わず飛び掛かった。 「な、何をする、りっちゃん隊員!ココは戦場!準備は万端にするのが常で…」 「戦場なら取ったモン勝ちじゃぁ~!」 抵抗する唯から、付けてなかった左手の方だけを奪取した。 「あー!」 唯の悲嘆を無視して、私はそれに左手を通す。 ほほーう、流石手袋。素晴らしいっ! 「うー…ブークロちゃんが……」 「ありがとな、唯♪」 道路沿いの木の葉が揺れ始める。 またかよ…。 びゅおおおおお…… 「あぐっ…さ、寒い!くそ!」 「ひ、左手がぁ……冷たい……」 またそれぞれ、身体を震わせながら風が止むのを待った。 私は空いた右手、唯は逆に左手に息を掛けて、せかせかと温める。 程好く温まったトコロで、私はもこもこの左手で右手を揉む。 「いやぁ、ブークロちゃん大活躍だなぁ♪」 「うぐぅー…りっちゃん!」 恨めしそうに見る唯が、途端に私の名を呼ぶ。 私は少し驚いた。左手は唯から遠ざけて。 「手、繋ごっ?」 唯は左手を差し伸べてきた。 「な、ななななな何でそんな恥ずかしい事せにゃならんのだ!」 「えー、恥ずかしいかなぁ」 顔に熱を持ってるのを感じる。って何で私は照れてるんだ!? これじゃ、目の前で不思議に思ってる唯より恥ずかしいじゃないかっ! 「私はいつも憂とやってるからかなぁ」 唯は左手を自分の頬に、そっと触れさせる。 当然だが、びくっ、と身を強張らせて冷たさを実感しているようだ。 「うう…冷たいねぇ、私の左手ぇ」 涙目で左手に話し掛けている。なんだ、パペットマペットか?懐かしいな。 その光景を見てると、むず痒くなって来た。 「……ほら」 私は素肌を露にしてる右手を出す。 すると、唯は瞳を輝かせて私の右手を左手で掴んだ。 「あー、大して変わらないねぇ」 どっちが温かい、冷たい、とかそういう温度は感じなかった。 同じ熱を持った手を握り合う。 横の道路を過ぎ去っていく車を何となく見てると、唯がこっちを見ていた。 ……にやにやしながら。 「りっちゃん、顔赤いよー?手繋ぐの照れてるのかなー?」 「なっ!」 思わず引っ叩いてやろうかと思ってしまった。 唯から顔を背けて、二度三度横に頭を振って左手でごしごしと拭う。 「これで大丈夫か?」 「うん、寒いから鼻が赤いけどね」 そりゃお前もだ。 「彼氏とかいたら、こういう風に繋いだりするのかなぁ?」 「っ!げほげほっ!」 唯の思わぬ発言にむせた。 「な、何を言い出すんだよっ」 「えー、だってさ、ほら」 唯が道路を挟んで反対側の歩道を指差す。 仲良さそうにカップルが歩いている―――恋人繋ぎで。 私はあの一本一本絡める指を見ていると、無性に気持ち悪くなる。 自分で指を絡めたのを上から見ると、どれがどっちの指か分からなくなる。 気持ち悪い、というか怖い、が正しいのかな。 「ねぇねぇ、私達もやってみない?」 唯がすんごい笑顔で提案してくる。 驚きを通り越して、冷ややかになってきた。 「何でだよ、私達はカップルじゃないぞー?」 「いーじゃん別にー。カップル繋ぎ、ってのは誰かが決めただけだしさっ」 唯ペースに呑まれてしまう。 唯は私に有無を言わせず、一旦手を離してから"カップル繋ぎ"に変えてきた。 「あ、コッチの方が温かいかも!」 私は同じにしか感じません。 口には出さないけどな。 遂に唯は鼻歌を歌いながら行軍し始める。おいおい。 会話出来る様子じゃないので、右手は繋ぎながら晩ご飯なんだろーなー、とか考えていた。 「あっ!」 唯の声に、その考えも塞き止められる。 そして、唯はショーウィンドウに走り出す。手を繋いだまま。 「うおっ」 私は唯に引っ張られてバランスを崩し掛けた。 慌てて左手でバランスを取り戻す。 「おい、唯引っ張るなよ」 「え、あ。ごめんごめん」 手繋いでたのを忘れていたようだ。 「ほら、これ見てよ。りっちゃん♪」 唯がショーウィンドウを指差す。 ガラスの向こうには、1つ、ウェディングドレスがマネキンに着せられていた。 ジューンブライドでもないのに、何でこの時期にやってるのかは知らない。 「キレーだねぇ…」 凄いうっとりしている。 「私達も、将来ああいうの着るんだよね」 「どうだろうなー、唯は主婦業出来ないから貰い手ないんじゃないの?」 「むっ、やろうと思ったら出来るよ!憂の料理は美味しいからやらないけどっ!」 「どーだか」 私はウェディングドレスに視線を向ける。 純白のドレスに、薄いベール。 横に並ぶのは……… 「想像してるの?」 またもや塞き止められる。またにやにやしてる。 「うっ、うっさい!してないしてない!」 「どーだか」 さっきの私の口調で、私に言い返してきやがった。 「してないってーの!って、唯。髪にゴミ付いてるぞ」 唯の耳の上辺りの髪に埃が付いていた。 「え、ホント?」 傍から見たら、唯の茶色い髪に白い埃は目立つ。 唯はショーウィンドウのガラスを使って、それを確認して取り除いた。 「そういやさ、りっちゃん」 「何だ?」 唯が右手の平をガラスに密着させる。 「テレビで見たんだけど、ガラスじゃないけど鏡の反射率って、100パーセントじゃないんだってさ」 「へぇー。でも私達はこうして映ってるじゃん」 ガラスってのは要は鏡の反射率、を落としたようなものだ。 よく見ると、ガラスの向こうに見える店内には、姿見がある。 少し横にズレると、綺麗に私達がそれに映る。 「ほら」 「だよねー、でもさやっぱり100パーセントじゃないんだって」 「じゃあ何が欠けてるっていうんだよ」 唯が目を凝らして、奥の姿見を睨み付ける。 額をガラスに当てるぐらいの距離になると、吐息でガラスが曇っていく。 「んー……何だろうなぁ……寂しさとか?」 「はぁ?」 枯れ葉が目の前に落ちていく。 「自分の顔を鏡で見ているとさ、泣き顔でも"こんな顔してたのかー"って笑えてこない?    小さい頃、私は自分の泣いた顔洗おうと思って洗面所行ったら、ふと見ちゃってさ。    真赤な目とか、への字になった口とか、今みたいに赤くなった鼻の頭が面白くって、ついつい笑っちゃったよ」 はぁ、と息をガラスに吐いて、何を思ったか"さびしさ"と曇った部分に書く。 そして、その文字ごと白く曇った部分を消した。 「ほら、ガラスでも"さびしさ"は消えるよー」 …って、おい。 「それだと、"うれしさ"も"たのしさ"も消えるだろ」 「! あ、そっか。そうだねー」 りっちゃん頭いー。と言ってくるが、それはどうなんだ。 「じゃあ、りっちゃんは何だと思う?」 唯はこっちに話を振って来る。 「んー、何だろうな」 ふと、真剣に考えてしまった。 「あれ、お姉ちゃん。律さん」 後ろから声を掛けられて、ビックリした。 憂ちゃんが手に買い物袋を持って立っている。 「あ、憂っ。晩ご飯のお買い物?今日はなぁに?」 「今日はお鍋だよ」 「マシュマロ豆乳?チョコカレー?」 「い、いや、普通のお鍋だよ。…あ、律さんもどうですか?」 急に振って来られたから、少しどきっ、とした。 「え、いいの?」 「はい。寒いですし、きっと温かいですよ♪」 それじゃあ、と私はお邪魔させて貰う事にした。 「そういや、手なんか繋いで仲良しですね」 「えへへ、私とりっちゃんは大の大大親友だからね」 手袋を付けた右手でピースサインをする。 「… そうだなっ」 唯の微笑みに、にっ、と歯を見せて笑った。 ぶおっ!っと風がまた吹き、それに私達は目を瞑った。 「寒さが欠けてくれても良さそうだね」 唯はそう言った。 この寒さや温かさが欠けてくれると、今こうやって唯達といる状況も欠けるから、それは勘弁したい。 平沢姉妹に挟まれながら私はそう思った。 >出展 >【けいおん!】田井中律はドスコイ可愛い34【ドラム】 #comment_num2(below,log=コメント/ある秋の日)

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