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SS/短編-けいおん!メンバー/澪/ボクノート」(2009/07/15 (水) 20:32:20) の最新版変更点

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◆ボクノート◆ 梅雨。耳を澄ますと、外では雨がポツポツと音を立てている。 この季節のジメッとした空気が嫌いな私は、何を思ったのか 机に向かってシャーペンを握り、一枚の便せんと睨めっこをしていた。 律(くっそ〜・・・言葉なんて全然出てこねえよぉ・・・) 私をこんな行動に走らせたのは、澪との何気ないやり取りがきっかけだった。               *** 『キミを見てるといつもハートDOKI☆DOKI 揺れる思いはマシュマロみたいにふわ☆ふわ』 律「しっかし・・・」 澪「・・・」 律「何度聞いても、澪の書く詞の内容はぶっ飛んでるなぁ(笑)」 澪「だから嫌だって言ったのに・・・」 律「まあまあ。でもさ・・・」 澪「何よぉ・・・?」 律「澪は結果的に、この詞を短期間のうちに作り上げて来たわけじゃん?」 澪「うん・・・。まあ、あの時はそんなに時間はかからなかったけど・・・   本当のトコは、ムギのメールからヒントを貰ったって感じかな」 律「なるほどねぇ〜。インスピレーションって奴か・・・   やっぱ・・・そういうのってさ、凄い才能だと思うんだよな」 澪「え・・・何言うのよ、急に・・・」 律「ほら、澪は小学校の頃も作文で賞を貰ったりとかさ?」 澪「う、うん・・・」 律「色んな言葉がパッと浮かぶなんて、なかなか凄いと思うぜ」 澪「・・・じゃあ、律も一度書いてみなよ」 律「へ?わ、私が!?」 澪「そう。難しく考えないでさ・・・詞なんて、ありのままで良いんだよ」 律「うぅ・・・。よし!じゃあ、澪がそこまで言うならやってやらあ!」 澪「ふふっ。そうこなくっちゃな!」               *** そんな調子の良い事を言ってみたはいいものの、一向にペンは進んでいかない。 元々ガサツで澪のように"これぞ"っていう特技も無い私にとって、 こういう作業は無理難題としか言いようが無かった。 律(ありのまま・・・か。ありのままの私・・・) 考えれば考えるほど、想いはどんどん膨らむもの。 だけど、それは膨らんでく一方で言葉にして吐き出すことすらできない。 律「うえ!もうこんな時間かよ・・・!」 十数時間経っても、書いて消して・・・の繰り返し。 私の周りには、紙くずばかり散らばっていた。 イスの背もたれに寄りかかり天井を眺めていると、澪の言葉が頭のなかをよぎる。 澪『ありのまま・・・というかさ、"綺麗に書こう"とか"格好良く見せよう"とか   詞ってそういう事じゃないと思うんだ。なんだろう・・・自分が胸の奥で想ってること。   大切なものだとか、好きな人だとか・・・少しずつ言葉を紡いでいくのが良いんじゃないか?』 そういえば、学園祭や新歓のライブで披露した曲の詞を振り返ってみると なんだか背中が痒くなるような・・・そんな甘酸っぱい片想いの様相が浮かんでくる。 "澪のヤツ、誰かに恋でもしてるのか?"と私が疑ってしまう程だった。 もう一度、辺りに投げ捨てた紙くずを手にとってみる。 今こうして、もがきながら言葉を紡いでるのも全部"ありのまま私の姿"なんだろうか・・・ 律「よし!もういっちょやってみっか!」               *** 次の日、私はやっとの思いで詞を書き上げた。 他のみんなにバレないよう、こっそりと紙を澪のベースケースのポケットに忍ばせる。 あまり慣れない事をやった気恥ずかしさなのか、この日はずっと胸の動悸が激しかった。 律(どんな反応すんのかなぁ、アイツ) 多少面白半分で書いたものとは言え、期待は増していく。 その時、携帯に着信があった。澪からだった。 律「もしもし?読んでくれた?」 澪「りつぅ〜」 律「ん、どした?」 澪「律まで私のコト馬鹿にするんだなぁ〜(泣)」 律「え?な、なにが?なんかマズかった・・・か?」 澪「こんなんじゃお嫁に行けないよぉ・・・グスン」 なんの事だかサッパリわからず、 私は澪に渡した紙と全く同じコピーを手に取って読み返してみる。 大きな手を握る 無邪気で小さな手 笑顔の君が見たいから ボクはずっと笑った 君の涙すくえるほど 大きくないけれど この広い真っ白な世界 ずっと歩こう (澪のやつ、そこまで自分の手が大きいこと気にしてたのか・・・?) >出典 >【けいおん!】田井中律はドスコイ可愛い34【ドラム】
◆ボクノート◆ 梅雨。耳を澄ますと、外では雨がポツポツと音を立てている。 この季節のジメッとした空気が嫌いな私は、何を思ったのか 机に向かってシャーペンを握り、一枚の便せんと睨めっこをしていた。 律(くっそ〜・・・言葉なんて全然出てこねえよぉ・・・) 私をこんな行動に走らせたのは、澪との何気ないやり取りがきっかけだった。               *** 『キミを見てるといつもハートDOKI☆DOKI 揺れる思いはマシュマロみたいにふわ☆ふわ』 律「しっかし・・・」 澪「・・・」 律「何度聞いても、澪の書く詞の内容はぶっ飛んでるなぁ(笑)」 澪「だから嫌だって言ったのに・・・」 律「まあまあ。でもさ・・・」 澪「何よぉ・・・?」 律「澪は結果的に、この詞を短期間のうちに作り上げて来たわけじゃん?」 澪「うん・・・。まあ、あの時はそんなに時間はかからなかったけど・・・   本当のトコは、ムギのメールからヒントを貰ったって感じかな」 律「なるほどねぇ〜。インスピレーションって奴か・・・   やっぱ・・・そういうのってさ、凄い才能だと思うんだよな」 澪「え・・・何言うのよ、急に・・・」 律「ほら、澪は小学校の頃も作文で賞を貰ったりとかさ?」 澪「う、うん・・・」 律「色んな言葉がパッと浮かぶなんて、なかなか凄いと思うぜ」 澪「・・・じゃあ、律も一度書いてみなよ」 律「へ?わ、私が!?」 澪「そう。難しく考えないでさ・・・詞なんて、ありのままで良いんだよ」 律「うぅ・・・。よし!じゃあ、澪がそこまで言うならやってやらあ!」 澪「ふふっ。そうこなくっちゃな!」               *** そんな調子の良い事を言ってみたはいいものの、一向にペンは進んでいかない。 元々ガサツで澪のように"これぞ"っていう特技も無い私にとって、 こういう作業は無理難題としか言いようが無かった。 律(ありのまま・・・か。ありのままの私・・・) 考えれば考えるほど、想いはどんどん膨らむもの。 だけど、それは膨らんでく一方で言葉にして吐き出すことすらできない。 律「うえ!もうこんな時間かよ・・・!」 十数時間経っても、書いて消して・・・の繰り返し。 私の周りには、紙くずばかり散らばっていた。 イスの背もたれに寄りかかり天井を眺めていると、澪の言葉が頭のなかをよぎる。 澪『ありのまま・・・というかさ、"綺麗に書こう"とか"格好良く見せよう"とか   詞ってそういう事じゃないと思うんだ。なんだろう・・・自分が胸の奥で想ってること。   大切なものだとか、好きな人だとか・・・少しずつ言葉を紡いでいくのが良いんじゃないか?』 そういえば、学園祭や新歓のライブで披露した曲の詞を振り返ってみると なんだか背中が痒くなるような・・・そんな甘酸っぱい片想いの様相が浮かんでくる。 "澪のヤツ、誰かに恋でもしてるのか?"と私が疑ってしまう程だった。 もう一度、辺りに投げ捨てた紙くずを手にとってみる。 今こうして、もがきながら言葉を紡いでるのも全部"ありのまま私の姿"なんだろうか・・・ 律「よし!もういっちょやってみっか!」               *** 次の日、私はやっとの思いで詞を書き上げた。 他のみんなにバレないよう、こっそりと紙を澪のベースケースのポケットに忍ばせる。 あまり慣れない事をやった気恥ずかしさなのか、この日はずっと胸の動悸が激しかった。 律(どんな反応すんのかなぁ、アイツ) 多少面白半分で書いたものとは言え、期待は増していく。 その時、携帯に着信があった。澪からだった。 律「もしもし?読んでくれた?」 澪「りつぅ〜」 律「ん、どした?」 澪「律まで私のコト馬鹿にするんだなぁ〜(泣)」 律「え?な、なにが?なんかマズかった・・・か?」 澪「こんなんじゃお嫁に行けないよぉ・・・グスン」 なんの事だかサッパリわからず、 私は澪に渡した紙と全く同じコピーを手に取って読み返してみる。 大きな手を握る 無邪気で小さな手 笑顔の君が見たいから ボクはずっと笑った 君の涙すくえるほど 大きくないけれど この広い真っ白な世界 ずっと歩こう (澪のやつ、そこまで自分の手が大きいこと気にしてたのか・・・?) >出典 >【けいおん!】田井中律はドスコイ可愛い34【ドラム】 このSSの感想をどうぞ #comment_num2(below,log=コメント/ボクノート)

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