唯「バイハザ!」 第1章

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唯「バイハザ!」 第1章」(2009/07/09 (木) 21:27:10) の最新版変更点

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次のニュースです。 S県のK市が謎の感染症により封鎖されると言う事態がありました。 感染の原因は不明でどんな感染症なのかも未だ情報が入っていません。また情報が入り次第お伝えします。 ピッ 唯「憂~遅刻遅刻~遅刻するよ~!」 憂「お姉ちゃんが寝坊したからでしょー?もうっ」 唯「ごめんごめんっ」 玄関で姉妹仲良く靴を履き、玄関を出て鍵を閉める。 鍵を閉めるのはいつもしっかり者の憂の役目だった そう、今日もいつも通りの筈だった 筈なのに…… 放課後───── 唯「ごめ~ん遅れた!」 律「ごめ~んじゃないぞ唯~。部活をなんと心得るか!」 唯「すみませんでありますりっちゃん隊長!」 律「うむ、次から気をつけるように」 澪「掃除当番だったのか?」 唯「いや…ちょっと…なんて言うか…また赤点とっちゃって…」モジモジ 唯「てへっ」 律「てへっ☆っじゃないだろおい」 澪「また当分は部活禁止か…」 唯「大丈夫だよ!すぐにぱぱーっと終わらせるからさ!」 律「どうやら…」 律「しかしムギのやつ遅いな~唯ならともかくムギが赤点なんてありえないだろうし」 唯「りっちゃん物凄く失礼だよ!私に!」 澪「ムギはクラス委員だからそれで遅くなってるんじゃないかな」 噂をすればなんとやらで階段から誰かの足音が二つ 紬「ごめんなさい遅くなって」 梓「遅くなりました。掃除当番だったので。むぎ先輩とさっきそこであったんです。」 澪「二人ともお疲れさま」 律「じゃあみんな揃ったことだし!」 唯「お茶にしよっか!」 澪「あれ?」 梓「練習は…」 紬「今日はチーズカスタードレモンレフォンにしたの。お母様が教えてくれて私も作ってみたんだけれど…どう?」 律「むぎ、私は常々思っていたんだ…」 唯「りっちゃん…」 紬「えっ……」 律「本当にけいおん部入ってくれてありがとぉぉぉうんめぇぇぇよこれ本当」 唯「ありがとぉむぎちゅわぁん!美味しいよー!」 澪「お菓子ありきの関係かよ!まあ確かにこのレフォン凄く美味しいよ。さすがむぎだ」 梓「凄いですむぎ先輩!」 紬「ふふ、みんなありがとう//」 律「さ~て練習やるぞー!」 唯「おぉー!」 律「~♪っと。唯もだいぶ合わせられる様になったなぁ!」 唯「毎日ギー太弾いてるからね!」 梓「確かに上手くなりましたよね唯先輩。」 澪「私達最後のライブまで残り二ヶ月だし唯を見習わなきゃな」 紬「私達最後のライブ……か」 このメンバーでいられる時間も残り少なくなっていた。 学園祭のライブが終わればもう活動目標がなくなる。 何より三年生は受験の為部活にも来れない 梓一人で軽音部を続けさせるのは余りにも酷な話だった。 みんなもわかっているであろう、来年には軽音部がなくなることを 学園内───────。 シュー…シュー… 「始めるぞ」 シュー…シュー… 「ラジャア。しかし何故ここを発信源に?」 「街の中心と言うことと後は上の意向だ」 「これで3件目の実験…か」 「感染レベルBに設定、空気感染で約48時間でこの街の人間は全員ゾンビ化ってところだ」 「気が乗りませんね毎度」 「仕方ないさ。これが我々アンブレラの仕事だ」 ピッ 地獄へのスイッチは押された 「作業員は全員速やかに退避、繰り返す…」 「始まるぞ…バイオハザードが」 律「さ~ていっぱい練習もしたし帰るとするか!」 唯「私くたくただよぉ」 澪「帰りにお茶でもしてくか」 紬「澪ちゃんから言うなんて珍しいわね」 梓「あっ、じゃあ駅前に新しく出来たところにしませんか?あそこのケーキ美味しいってクラスのみんなにも評判ですよ」 唯「ケーキ!ケーキ!」 律「でかした梓!」 澪「全く二人とも…」 紬「まあまあ、今日はいっぱい練習したんだからたまには、ね」 その時軽音部のドアが開いた キィィ……ガシャン…… 「…………」 唯「あっ!和ちゃん」 和「全く……まさか三年連続忘れるなんてね…。今回は吹奏楽部がその時全国大会だからその時間を軽音部の時間に回すからって言ったらリハーサルしようリハーサル!って言ってたのに体育館の使用申請用紙が出てないのは気のせいかしら?律」 律「あっちゃあ…そうだった…」 澪「りぃつぅ…!前にあれほどちゃんと出しとけって言っただろ!?和も暇じゃないんだからわざわざ何回も何回も同じこと言わせないであげてよ!」 律「なんだよその言い方…あ~そうかそうか。クラスで唯一の大切な友達だったね~」 澪「なっ。」 紬「二人ともやめて!」 唯「そうだよ!」 和「私の為にありがとう、澪。忙しいのは事実だけど毎年の事だから慣れたわ」 澪「けど…」 律「ふんっ…。安心しろよ澪。どーせこれが最後なんだからさ」 澪「律!!!」 唯「りっちゃん…」 梓「……。」 その時だった───。 キャアアアアアア 一同「!」 和「どうしたのかしら」 紬「私見てきます!」 梓「わっ、私も」 二人はそうして軽音部を出ていこうとしたその時、先にドアが開いた。 「ウゥゥ……」 唯「さわ……ちゃん先生?」 顔が青い……。良く人を気遣う言葉で顔色が悪いと比喩することがある。 確かに見た目で褐色があまり良くない時も人間には多々あるがこの「青い」はその人間の体調レベルではいい表せないほどだった。 現に唯以外の5人は誰も声を出せずただ唯の言った言葉の答えを待っていた さわちゃん「ウゥゥァ……」 ゆったり、とした足取りで6人に向かってくる。 唯への返答はない 唯「ま、またコスプレ?でもさすがにゾンビのコスプレは怖いよぉ?ほ、ほら、澪ちゃん震えてるよっ」 澪「……」カタカタカタ 澪は微塵も震えていなかった。いや、震えることすら億劫になるほど恐怖心を煽られていたのだ。 怖さ、より自分の死への防衛本能が対象から目を離すことを許さなかった。だがその恐怖を現実かどうか区別するために歯を高速で震えさせたがためにカタカタカタしていた さわちゃん?「ウゥゥァ……アァグゥ……」 それでも歩を進めるのをやめない。 さすがに事の異常を察したのが6人は後ろへとジリジリ後退し始めた。 唯「さ、さわちゃん!ふざけるのもいい加減にしてよ!」 律「そうだよ……いくらなんでもシャレになってな……」 さわちゃんゾンビ「ウゴォォォ!」 その瞬間さわちゃんが飛び掛かってきた! 唯「きゃあっ」 唯は思わず腰に掛けていた相棒、ギー太を壁にした。 ゾンビ「ウガァ!」 どう考えても演技にしてはやりすぎだ……。 みんなもそれは感じていた。 そもそも腐食部分がリアル過ぎる。膝の辺りなど皮が削げ落ち肉が覗いている。 和「いい加減に……」 親友のピンチにいち早く反応したのは和だった。 手元に持っていた学園祭用の分厚いファイルで、 和「してください!」 さわちゃんを殴り倒す。 横からの強い力でバランスを失ったさわちゃんの足首は豆腐をミキサーでかけたようにぐにゃりと曲がり地面に倒れこんだ ピクッピクッ 律「お、おい……なんだよ……これ」 和「私に言われてもわかんないわよ…」 唯「さわちゃん先生…」 澪「パクパク……」 梓「ひっ……」 紬「もしかして…。今朝ニュースでやってた感染症なんじゃ…」 澪「!!?」 律「感染…症?」 梓「それ私も見ました…。謎の感染症で街が封鎖されたって…まさか……」 紬「可能性は高いわ……。この腐食具合といい…まるで…」 唯「ゾン…ビ」 和「……。ともかくここを出ましょう。こうしてても拉致があかないわ」 一同はそれに頷き軽音部の部室を後にした。 念のためにそれぞれ武器になりそうな物を持って行くことになった。 律は鉄のドラムスティック 梓「何でそんなもの持ってるんですか…?」 律「家ではこれでイメトレしてるんだ。」 梓「何で鉄…」 律「ほら、普段重たいもので練習した方がさ!木のスティック持った時に3倍の力が出せるじゃん!」 梓「あなたはピッ○ロさんですか」 澪「それがいつも走り気味のドラムの原因か」 澪はベース 澪「パクパク……」 律「金魚の真似か?」 澪「パクパク……」 律「駄目だこりゃ」 唯はギー太 唯「ごめんよぉギー太……でも私を守るためなら本望だよね」 紬は さすがにキーボードは武器にならないだろうと軽音部のロッカーに一本だけ入っていたホウキをチョイス 紬「私だけ楽曲関係ない……」 梓もギター 梓「……本当はこんなことに使いたくないんだけど…場合が場合だから……」 和は今のところファイル 和「見事に誰とも合わないわね……もうみんな帰ったのかしら。とりあえず職員室に行きましょう」 和の言う通りに階段を降り職員室を目指す一同。 F1 職員室前廊下 和を先頭にキョロキョロしながら階段を降りる6人。 唯「もし本当に感染症だったら私達も……」 律「確かに…」 律は制服の袖を捲ると腕などを見回す。 梓「怖いです…」 和「どのレベルでの感染かで変わって来るわね。でも空気感染ならもう既に私達に何らかの変化があってもおかしくないわ。さわこ先生に最後に会ったのは昼休みでその時は特に変わった様子はなかった つまり発症したのは昼休みの午後1時から今の午後5時の間ってことになるわね」 唯「さすが和ちゃん詳しいね!」 和「生物学好きがこんな所で役に立つなんてね。皮肉だわ」 和「失礼します…」 ガラガラ… 和「誰もいないわね」 律「ほ、本当に?」 唯「いない…ね」 梓「……怖いです」 澪「パクパク」 紬「どこへ行ったんでしょう」 和「そう言えば確か……。」 和が奥の校長室へ進んで行く 唯「和ちゃんどうしたの?」 それを小走りで追いかける軽音部メンバー。まるで母鴨を追いかける雛である。 カチャン、チャキ 和「念のため、ね。校長先生日本刀趣味で助かったわ」 和「(しかも運良く真剣……ね。)」 唯「それ…どうするの?」 和「護身用よ。さっきみたいに襲われたら困るでしょ。さわこ先生も多分まだ生きてる…。また襲ってこないとは限らないし」 唯「それできったらさわちゃん先生死んじゃうよ…?」 和「そうかもね…。」 唯「和ちゃん…」 和「私だって嫌よ!こんなこと!でも何かが起こってるのは事実で現実なの!あのさわこ先生見たでしょ!?正気とはとても思えなかった!」 唯「……でも」 律「いや、和の言う通りだ。私達は置かれた立場をまるでわかっちゃいない」 唯「りっちゃん…」 律「感染症にしろ何にしろ私達はこんなとこで死ぬわけにはいかないだろ?みんなで最後の学園祭ライブやるんだからさ!」 紬「りっちゃん…」 梓「律先輩…」 澪「パクパク」 律「澪!いい加減現実と向き合え!」 ゆっさゆっさ 澪「……う、うあああああ」ダッダッダッ 律「澪!?」 澪は職員室から飛び出して行った。 律「澪の奴…!私は澪を追いかける。他のみんなは学校に他に誰かいないか放送で呼びかけて見てくれ。私も澪と一緒に行くから」 4人はこくりと静かに頷いた。 律「澪……」 澪「……」ブルブル… これは夢だ夢なんだ…。 だから怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない。 タッ…タッ…タッ…タッ 誰かが歩いてくる、 澪「……律?」 ガン!ガン!ガン! ウゴォォォ! 澪「律じゃ……ない……。怖いよぉっ……」 女子トイレの一番奥で必死に踞る 澪「助けて……律……」 律「ったく澪のやつどこ行った~」 澪が震えてそうな所と言えば……。 律「トイレくらいしか思い付かないな~」 ガンッ!ガンッ! 律「……」 二階の女子トイレから音がする。 律「こえぇ……、怖い……」 勝気だが律も所詮は一女子高生にしか過ぎない。さっきの一件で律への恐怖心は有り余る程だった。 だが、 律「でも…澪は、私が守らないと」 昔からそうだった。 澪を守って来たのはずっと私で、でも高校を出て大学へ行けば澪にも彼氏ができたりして…それは私の仕事じゃなくなる だから、今だけは 澪「うぅ……」 いつも私は律に頼りっぱなしだ……。 さっき体育館の申請用紙を出してないだけで怒っていた私が情けない…。 いつもあんなに強気なのにこんな時になるとすぐ律を頼るのは私の悪い癖だ…。 でも… ガンッガンッガン! 澪「やっぱり怖いよ…律……」 「いつも言ってるだろ?澪は私が守るって」 澪「えっ……」 律「どりゃああああ!」 考えなしにただ突っ走る。 構えた鉄のドラムスティックを掲げ、 澪を襲う化物に一発くれてやる───。 女子トイレの一番奥の扉の前にその化物はいた。 それは前は私達の顧問で面白くて綺麗なさわこ先生……だった。 でも今は違う、目も白目で肌から肉が覗き足首は明後日の方向にねじ曲がっている 躊躇なくドラムスティックを延髄に叩き込む 「ウグゥ……」 さすがのゾンビでもこれは利いたのか前のめりになって倒れ込む。 律「澪!いるんだろ!早く!」 ガチャッ…… 澪「う、うん」 澪「律……なんで…」 律に手をひかれながら聞いた。 律「澪センサーが反応したんだよ。な~んてな」 澪「ばか…」 そうじゃない…聞きたいのは私が何であそこにいたのがわかったとか…そんな表面上なことじゃないんだ 澪「律…なんでいつも私を…」 律「言わなくても澪が言いたいことはわかるよ。でもそれはわざわざ聞くことじゃないよ」 澪「えっ……」 律「澪は私が守るって私が決めたことだから。ずっと昔からね。私自身が決めてることだから」 澪「りつぅ……」
次のニュースです。 S県のK市が謎の感染症により封鎖されると言う事態がありました。 感染の原因は不明でどんな感染症なのかも未だ情報が入っていません。また情報が入り次第お伝えします。 ピッ 唯「憂~遅刻遅刻~遅刻するよ~!」 憂「お姉ちゃんが寝坊したからでしょー?もうっ」 唯「ごめんごめんっ」 玄関で姉妹仲良く靴を履き、玄関を出て鍵を閉める。 鍵を閉めるのはいつもしっかり者の憂の役目だった そう、今日もいつも通りの筈だった 筈なのに…… 放課後───── 唯「ごめ~ん遅れた!」 律「ごめ~んじゃないぞ唯~。部活をなんと心得るか!」 唯「すみませんでありますりっちゃん隊長!」 律「うむ、次から気をつけるように」 澪「掃除当番だったのか?」 唯「いや…ちょっと…なんて言うか…また赤点とっちゃって…」モジモジ 唯「てへっ」 律「てへっ☆っじゃないだろおい」 澪「また当分は部活禁止か…」 唯「大丈夫だよ!すぐにぱぱーっと終わらせるからさ!」 律「どうやら…」 律「しかしムギのやつ遅いな~唯ならともかくムギが赤点なんてありえないだろうし」 唯「りっちゃん物凄く失礼だよ!私に!」 澪「ムギはクラス委員だからそれで遅くなってるんじゃないかな」 噂をすればなんとやらで階段から誰かの足音が二つ 紬「ごめんなさい遅くなって」 梓「遅くなりました。掃除当番だったので。むぎ先輩とさっきそこであったんです。」 澪「二人ともお疲れさま」 律「じゃあみんな揃ったことだし!」 唯「お茶にしよっか!」 澪「あれ?」 梓「練習は…」 紬「今日はチーズカスタードレモンレフォンにしたの。お母様が教えてくれて私も作ってみたんだけれど…どう?」 律「むぎ、私は常々思っていたんだ…」 唯「りっちゃん…」 紬「えっ……」 律「本当にけいおん部入ってくれてありがとぉぉぉうんめぇぇぇよこれ本当」 唯「ありがとぉむぎちゅわぁん!美味しいよー!」 澪「お菓子ありきの関係かよ!まあ確かにこのレフォン凄く美味しいよ。さすがむぎだ」 梓「凄いですむぎ先輩!」 紬「ふふ、みんなありがとう//」 律「さ~て練習やるぞー!」 唯「おぉー!」 律「~♪っと。唯もだいぶ合わせられる様になったなぁ!」 唯「毎日ギー太弾いてるからね!」 梓「確かに上手くなりましたよね唯先輩。」 澪「私達最後のライブまで残り二ヶ月だし唯を見習わなきゃな」 紬「私達最後のライブ……か」 このメンバーでいられる時間も残り少なくなっていた。 学園祭のライブが終わればもう活動目標がなくなる。 何より三年生は受験の為部活にも来れない 梓一人で軽音部を続けさせるのは余りにも酷な話だった。 みんなもわかっているであろう、来年には軽音部がなくなることを 学園内───────。 シュー…シュー… 「始めるぞ」 シュー…シュー… 「ラジャア。しかし何故ここを発信源に?」 「街の中心と言うことと後は上の意向だ」 「これで3件目の実験…か」 「感染レベルBに設定、空気感染で約48時間でこの街の人間は全員ゾンビ化ってところだ」 「気が乗りませんね毎度」 「仕方ないさ。これが我々アンブレラの仕事だ」 ピッ 地獄へのスイッチは押された 「作業員は全員速やかに退避、繰り返す…」 「始まるぞ…バイオハザードが」 律「さ~ていっぱい練習もしたし帰るとするか!」 唯「私くたくただよぉ」 澪「帰りにお茶でもしてくか」 紬「澪ちゃんから言うなんて珍しいわね」 梓「あっ、じゃあ駅前に新しく出来たところにしませんか?あそこのケーキ美味しいってクラスのみんなにも評判ですよ」 唯「ケーキ!ケーキ!」 律「でかした梓!」 澪「全く二人とも…」 紬「まあまあ、今日はいっぱい練習したんだからたまには、ね」 その時軽音部のドアが開いた キィィ……ガシャン…… 「…………」 唯「あっ!和ちゃん」 和「全く……まさか三年連続忘れるなんてね…。今回は吹奏楽部がその時全国大会だからその時間を軽音部の時間に回すからって言ったらリハーサルしようリハーサル!って言ってたのに体育館の使用申請用紙が出てないのは気のせいかしら?律」 律「あっちゃあ…そうだった…」 澪「りぃつぅ…!前にあれほどちゃんと出しとけって言っただろ!?和も暇じゃないんだからわざわざ何回も何回も同じこと言わせないであげてよ!」 律「なんだよその言い方…あ~そうかそうか。クラスで唯一の大切な友達だったね~」 澪「なっ。」 紬「二人ともやめて!」 唯「そうだよ!」 和「私の為にありがとう、澪。忙しいのは事実だけど毎年の事だから慣れたわ」 澪「けど…」 律「ふんっ…。安心しろよ澪。どーせこれが最後なんだからさ」 澪「律!!!」 唯「りっちゃん…」 梓「……。」 その時だった───。 キャアアアアアア 一同「!」 和「どうしたのかしら」 紬「私見てきます!」 梓「わっ、私も」 二人はそうして軽音部を出ていこうとしたその時、先にドアが開いた。 「ウゥゥ……」 唯「さわ……ちゃん先生?」 顔が青い……。良く人を気遣う言葉で顔色が悪いと比喩することがある。 確かに見た目で褐色があまり良くない時も人間には多々あるがこの「青い」はその人間の体調レベルではいい表せないほどだった。 現に唯以外の5人は誰も声を出せずただ唯の言った言葉の答えを待っていた さわちゃん「ウゥゥァ……」 ゆったり、とした足取りで6人に向かってくる。 唯への返答はない 唯「ま、またコスプレ?でもさすがにゾンビのコスプレは怖いよぉ?ほ、ほら、澪ちゃん震えてるよっ」 澪「……」カタカタカタ 澪は微塵も震えていなかった。いや、震えることすら億劫になるほど恐怖心を煽られていたのだ。 怖さ、より自分の死への防衛本能が対象から目を離すことを許さなかった。だがその恐怖を現実かどうか区別するために歯を高速で震えさせたがためにカタカタカタしていた さわちゃん?「ウゥゥァ……アァグゥ……」 それでも歩を進めるのをやめない。 さすがに事の異常を察したのが6人は後ろへとジリジリ後退し始めた。 唯「さ、さわちゃん!ふざけるのもいい加減にしてよ!」 律「そうだよ……いくらなんでもシャレになってな……」 さわちゃんゾンビ「ウゴォォォ!」 その瞬間さわちゃんが飛び掛かってきた! 唯「きゃあっ」 唯は思わず腰に掛けていた相棒、ギー太を壁にした。 ゾンビ「ウガァ!」 どう考えても演技にしてはやりすぎだ……。 みんなもそれは感じていた。 そもそも腐食部分がリアル過ぎる。膝の辺りなど皮が削げ落ち肉が覗いている。 和「いい加減に……」 親友のピンチにいち早く反応したのは和だった。 手元に持っていた学園祭用の分厚いファイルで、 和「してください!」 さわちゃんを殴り倒す。 横からの強い力でバランスを失ったさわちゃんの足首は豆腐をミキサーでかけたようにぐにゃりと曲がり地面に倒れこんだ ピクッピクッ 律「お、おい……なんだよ……これ」 和「私に言われてもわかんないわよ…」 唯「さわちゃん先生…」 澪「パクパク……」 梓「ひっ……」 紬「もしかして…。今朝ニュースでやってた感染症なんじゃ…」 澪「!!?」 律「感染…症?」 梓「それ私も見ました…。謎の感染症で街が封鎖されたって…まさか……」 紬「可能性は高いわ……。この腐食具合といい…まるで…」 唯「ゾン…ビ」 和「……。ともかくここを出ましょう。こうしてても拉致があかないわ」 一同はそれに頷き軽音部の部室を後にした。 念のためにそれぞれ武器になりそうな物を持って行くことになった。 律は鉄のドラムスティック 梓「何でそんなもの持ってるんですか…?」 律「家ではこれでイメトレしてるんだ。」 梓「何で鉄…」 律「ほら、普段重たいもので練習した方がさ!木のスティック持った時に3倍の力が出せるじゃん!」 梓「あなたはピッ○ロさんですか」 澪「それがいつも走り気味のドラムの原因か」 澪はベース 澪「パクパク……」 律「金魚の真似か?」 澪「パクパク……」 律「駄目だこりゃ」 唯はギー太 唯「ごめんよぉギー太……でも私を守るためなら本望だよね」 紬は さすがにキーボードは武器にならないだろうと軽音部のロッカーに一本だけ入っていたホウキをチョイス 紬「私だけ楽曲関係ない……」 梓もギター 梓「……本当はこんなことに使いたくないんだけど…場合が場合だから……」 和は今のところファイル 和「見事に誰とも合わないわね……もうみんな帰ったのかしら。とりあえず職員室に行きましょう」 和の言う通りに階段を降り職員室を目指す一同。 F1 職員室前廊下 和を先頭にキョロキョロしながら階段を降りる6人。 唯「もし本当に感染症だったら私達も……」 律「確かに…」 律は制服の袖を捲ると腕などを見回す。 梓「怖いです…」 和「どのレベルでの感染かで変わって来るわね。でも空気感染ならもう既に私達に何らかの変化があってもおかしくないわ。さわこ先生に最後に会ったのは昼休みでその時は特に変わった様子はなかった つまり発症したのは昼休みの午後1時から今の午後5時の間ってことになるわね」 唯「さすが和ちゃん詳しいね!」 和「生物学好きがこんな所で役に立つなんてね。皮肉だわ」 和「失礼します…」 ガラガラ… 和「誰もいないわね」 律「ほ、本当に?」 唯「いない…ね」 梓「……怖いです」 澪「パクパク」 紬「どこへ行ったんでしょう」 和「そう言えば確か……。」 和が奥の校長室へ進んで行く 唯「和ちゃんどうしたの?」 それを小走りで追いかける軽音部メンバー。まるで母鴨を追いかける雛である。 カチャン、チャキ 和「念のため、ね。校長先生日本刀趣味で助かったわ」 和「(しかも運良く真剣……ね。)」 唯「それ…どうするの?」 和「護身用よ。さっきみたいに襲われたら困るでしょ。さわこ先生も多分まだ生きてる…。また襲ってこないとは限らないし」 唯「それできったらさわちゃん先生死んじゃうよ…?」 和「そうかもね…。」 唯「和ちゃん…」 和「私だって嫌よ!こんなこと!でも何かが起こってるのは事実で現実なの!あのさわこ先生見たでしょ!?正気とはとても思えなかった!」 唯「……でも」 律「いや、和の言う通りだ。私達は置かれた立場をまるでわかっちゃいない」 唯「りっちゃん…」 律「感染症にしろ何にしろ私達はこんなとこで死ぬわけにはいかないだろ?みんなで最後の学園祭ライブやるんだからさ!」 紬「りっちゃん…」 梓「律先輩…」 澪「パクパク」 律「澪!いい加減現実と向き合え!」 ゆっさゆっさ 澪「……う、うあああああ」ダッダッダッ 律「澪!?」 澪は職員室から飛び出して行った。 律「澪の奴…!私は澪を追いかける。他のみんなは学校に他に誰かいないか放送で呼びかけて見てくれ。私も澪と一緒に行くから」 4人はこくりと静かに頷いた。 律「澪……」 澪「……」ブルブル… これは夢だ夢なんだ…。 だから怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない。 タッ…タッ…タッ…タッ 誰かが歩いてくる、 澪「……律?」 ガン!ガン!ガン! ウゴォォォ! 澪「律じゃ……ない……。怖いよぉっ……」 女子トイレの一番奥で必死に踞る 澪「助けて……律……」 律「ったく澪のやつどこ行った~」 澪が震えてそうな所と言えば……。 律「トイレくらいしか思い付かないな~」 ガンッ!ガンッ! 律「……」 二階の女子トイレから音がする。 律「こえぇ……、怖い……」 勝気だが律も所詮は一女子高生にしか過ぎない。さっきの一件で律への恐怖心は有り余る程だった。 だが、 律「でも…澪は、私が守らないと」 昔からそうだった。 澪を守って来たのはずっと私で、でも高校を出て大学へ行けば澪にも彼氏ができたりして…それは私の仕事じゃなくなる だから、今だけは 澪「うぅ……」 いつも私は律に頼りっぱなしだ……。 さっき体育館の申請用紙を出してないだけで怒っていた私が情けない…。 いつもあんなに強気なのにこんな時になるとすぐ律を頼るのは私の悪い癖だ…。 でも… ガンッガンッガン! 澪「やっぱり怖いよ…律……」 「いつも言ってるだろ?澪は私が守るって」 澪「えっ……」 律「どりゃああああ!」 考えなしにただ突っ走る。 構えた鉄のドラムスティックを掲げ、 澪を襲う化物に一発くれてやる───。 女子トイレの一番奥の扉の前にその化物はいた。 それは前は私達の顧問で面白くて綺麗なさわこ先生……だった。 でも今は違う、目も白目で肌から肉が覗き足首は明後日の方向にねじ曲がっている 躊躇なくドラムスティックを延髄に叩き込む 「ウグゥ……」 さすがのゾンビでもこれは利いたのか前のめりになって倒れ込む。 律「澪!いるんだろ!早く!」 ガチャッ…… 澪「う、うん」 澪「律……なんで…」 律に手をひかれながら聞いた。 律「澪センサーが反応したんだよ。な~んてな」 澪「ばか…」 そうじゃない…聞きたいのは私が何であそこにいたのがわかったとか…そんな表面上なことじゃないんだ 澪「律…なんでいつも私を…」 律「言わなくても澪が言いたいことはわかるよ。でもそれはわざわざ聞くことじゃないよ」 澪「えっ……」 律「澪は私が守るって私が決めたことだから。ずっと昔からね。私自身が決めてることだから」 澪「りつぅ……」 [[第2章>唯「バイハザ!」 第2章]]

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