「SS/短編-俺律/律「俺、あのさ…」」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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&bold(){883 名前: 律「俺、あのさ・・」1/3 Mail: sage 投稿日: 2009/07/07(火) 20:51:02 ID: 85oUczRo }
律「大食い大会に参加しよう!」
そう律が言い出したのは夏真っ盛りの7月のことであった。
こんな真夏に大食い大会なぞ開こうとした主催者の思考が全く読めないまま、ただ俺は律の話に耳を傾けていた。
俺「で、何の大食い大会だって?アレか、やっぱり夏だから西瓜とかカキ氷とか・・」
律「んー・・・と、”かきふらい”だってよ。」
俺「 」
律「あっはははwwこんな真夏に揚げ物大食いなんて凄いなーww」
どうしてこうなった・・と自問自答(細かく言うと答えてはいない)を脳内で繰り返し訴えつついると、
律「ま、俺ならなんとかなるだろ。自称いくら食っても太らない男だもんなぁー」
俺「ッ!?・・・まだ覚えてたのかよ、それ」
何を隠そう、俺は大して運動神経が言い訳でもなく、かといってスタイル抜群な訳でもないのに何故か太らないのである。自慢できるようなことでも無いのかも知れないが。
律「あれだけ堂々と宣言されちゃそりゃ覚えてるって・・。ふふ、お前みたいな奴、私の学校にもいるんだぜ?」
ほう、それは是非あってみたい。さぞ俺とは違って運動神経抜群のモデル推薦されそうなグラマーなんだろうな・・。
律「ぃよーし!そうと決まったら特訓開始だ!まずは私の作るかきふらいを崇め奉りながら食べるがいぃーっ!」
俺「それ特訓って言うんですかりっちゃん博士!?」
律「・・・と思ったけどやっぱ止めた!・・大会前に食いすぎて嫌いになっちゃったらどうしようもないもんな。」
やけに引っ込んでるな、律の奴・・そう想い続けていたはずが、なんとなく、ぽろりと口から言葉がこぼれた。
俺「なあ、律」
律「ん?」
俺「もし優勝・・いや、まあそれなりにいい記録が出せたならさ」
俺「律の作ったかきふらいが食べてみたいな。」
律「・・ふぇ?」
俺「だーかーらー、もし俺がいい記録出せたら律が料理してくr─」コンッ
刹那、律のするどいデコピンが俺のデコにヒットした!
俺「いでっ!何すんだよ!」
律「ばっ馬鹿言うな!私だって料理くらい出来るわー!!」
俺「いや・・まだ何も言ってないぞ俺」
律「とにかくっ!参加するからには絶対優勝だぞ優勝!キャベツ1年分は私達のモノだ!」
俺「俺に利益ねェー!!」
&bold(){887 名前: 律「俺、あのさ・・」2/3  Mail: sage 投稿日: 2009/07/07(火) 20:51:51 ID: 85oUczRo }
月日は流れて、大会当日。
真夏日というのはこういう日のことを指すんだな、そう思えるほどの日本晴れだった・・。
律「くぅーっ暑い!照りつける太陽が山盛りのキャベツを照らしているぜ!」
俺「あーあぢい照りつける太陽とかきふらいが俺を照らしているぜ」
律「言葉と裏腹に随分沈んでるな、おい・・」
俺「ったりめーだ!予想はしてたけどなんでこんな真夏日に馬鹿みたいにフライを暴食せねばならんのだ!」
律「耐えろ、耐えるんだ俺・・その先には黄緑色の栄光が待ってるんだぜ」
俺「黄緑色の栄光1年分より1㍑の水の方が数倍嬉しいんだが」
そんなやり取りを交わしているうちに、大会の開会式?やら何かが始まった。律は客席の方へ颯爽と歩いていった。くそう、一人涼みやがって。
長ーいテーブルに参加者が座っていき、こんな田舎町には合わない感じのシェフやら執事やらが料理を持ってきた。主催者はどこぞのお偉方なのだろうか。
そして、試合開始の鐘が鳴った─
あっという間の出来事だった。いくら食っても太らないということは、普通の人よか多めに食えるというのはマジだったらしい。
殆どの人が机に突っ伏しているのに対して、俺とその他数名は未だも食い続けていた。額に玉のような汗を浮かべて。
そういう俺も俺で、限界が近づいてきた。ヤバイ、フラフラする・・
いや、まだだ。
せめて倒れるのは・・律特製のかきふらいを食ってからだ。
それまで俺は・・・。
&bold(){888 名前: 律「俺、あのさ・・」3/3  Mail: sage 投稿日: 2009/07/07(火) 20:52:55 ID: 85oUczRo }
律「おい俺、俺!」
律「目ぇ覚ませよ!おい、俺!」
・・うーん・・俺俺うるさい・・詐欺か何かか?・・
俺「はっ」
律「あ・・っ」
俺「よ、よう律、おはよ。・・・家まで運んできてくれたのか?さんきゅ─」
律「このバカっ!」
俺「──。」
目じりに涙を浮かべた律の言葉に押し倒されそうになっていた。
律「あんた・・余裕そうな表情浮かべてたのに・・いきなりイスごとぶっ倒れないでよ・・っ。」
律「私だけじゃなくて主催の人も心配してたのよ・・もう・・恥かかせないでよこのバカ・・」
俺「律・・」
やっぱ途中で倒れたか。いくら特殊な体質だろうとちょっと無理が過ぎたのかもな。
でも。
俺「律、あのさ・・」
律「・・?」
俺「最後に1個だけ、そのバカの願いを聞いてくれるか?」
律「な・・なんだよ」
俺「・・昼寝してたら腹減っちゃった。律、なんか作ってくれよ、料理」
律「俺・・」
律「・・う・・・カ・・」
俺「ん?」
律「なんでもないっ!で、何が食べたいの?」
俺「んー・・律に任せるよ」
俺「・・あいよ。」ニコッ
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