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私が小学生の頃だ。 いつもと同じように私は、公園で遊んでいた。 ただ、澪は母さんとの用事があるそうで私は珍しく独りだった。 他の子と遊んでも良かったが、たまには独りでもいいかな、と思ったんだろう。 何気なく、無人のブランコに飛び掛り、思いっきり漕いだ後で空を見上げる。 果てしなく遠い空が近づいたり遠のいたりする、そんな光景が好きだった。 「なにしてるの?」 ブランコが止まりそうな時に声を掛けられた。 私はどきっ、として見上げていた顔を正面に戻した。 「………そら、みてたんだよ」 不信感を滲み出しながら、そう答えると彼女も下唇に人差し指を当てながら空を見る。 「キレーだねぇ」 嬉しそうにそう答える。 私は、怪訝な表情に気付いてないのか?と思いながら、その子を見ていた。 「なんの用?」 そう聞くと、彼女は私の横の空席のブランコに座る。 「さっき、ぎゅぉー!ってこいでたでしょ?どうやるのかなって」 体全身を使って、ぎゅぉー!を表現する。 「わたし ぜんぜんこげなくてさ」 私はブランコの木の板の上に立った。 木の板を吊り上げてる2本の鎖を両手で握り締めながら、その手を腕ごと振る。 「こーやって…」 多少振れ始めると、私は今度は膝を使って勢いをつける。 「ひざを使って…」 45度くらいは前後に振れていたと思う。 横目に写る、彼女は賞賛と羨望の眼差しを向けていた。 私はそれが妙に嬉しくなり、滅多にしないのに、思いっきりそこから飛翔した。 「わー!」 彼女の喜びが声になった。 私は空に浮き、暫くして地に着いた。 振り向いてブランコの見ると、拍手されていて恥ずかしくも嬉しかった。 「んじゃ、やってみたら?」 「うんっ」 そう言って彼女は、板の上に立ち上がり「うんしょうんしょ」とやるが、一向に進まず。 「むずかしいね」 1分もしない内に息が切れていた。 「前にいったときに、ひざを使うんだよ」 私はさっき使ったブランコに座り、彼女を見ていた。 「あーそっかー」 少し、上手くなった。 「あ、ちょっと前にすすんだね!」 満面の笑みを私に向ける。 澪の笑顔が、それと被った。 「りっちゃーん!」 ふと、遠くから呼ばれた。 その方向を見ると、澪が母さんと一緒に立ち並んで、手を振ってた。 紹介しようと思い、横にいる子の方を見ると、もう横にはいなかった。 辺りを見渡すと、彼女は既に澪とは反対側の道に出て帰ろうとしていた。 「ありがとー」 一度振り返って手を振って来る。私も手を振り返すと、その先にいた眼鏡を掛けた子と一緒に路地に入っていった。 「なんだったんだろ…」 ぽつん、と呟いてから、澪がいる事を思い出し、ブランコから降りた。 きぃきぃ、と揺れる横のブランコを見ると、下に何かが落ちてた。 「なんだろ」 黄色い輪ゴムだった。多分あの子のだろう。 澪の元に駆け寄り、拾ったモノを見せる。 「これは髪を留めるゴムね」 澪の母さんが答えた。 私は"髪を留める"という発想がなかったので、不思議に思った。 「ほら、こーやって」 カチューシャを取られ、私の前髪を束ねてゴムで留められる。 「ほら、りっちゃんは黄色が似合うわね」 「ホント、りっちゃんかわいいよ♪」 澪が褒めてきたので、妙に嬉しかった。 帰り道、「どうしたの?」と、澪の母さんが聞いてくる。 「さっき遊んでた子がおとしたから」と、答える。 「あらそう、んじゃあ今度返してあげないとね」 「うんっ」 私は束ねた髪を指で摘みながら家に帰った。 空も秋色に染まり、私達―――軽音部5名と、和は帰路についていた。 「ねぇねぇ!」 唯が急に好奇心旺盛な声を出す。 部活も終わって、久々に根詰めたお陰で、みんなくたくたなハズなんだけどな。 ほら、烏も鳴いてる。 「どうしました?」 代表して梓が聞く。 「ブランコって漕げる?」 唯が指差す方向には、誰もいないブランコがあった。 「懐かしいわねー、私はそこまで焦げないわ」 和が生徒手帳をポケットに入れつつ言う。 「私は漕げなくはないけど、あのスピード感がダメだな…」 澪が少し怯えて答える。 「澪、いっぺん揺れてる木の板に頭ぶつけかけたもんなー」 寸前で頭を下げて難を逃れた思い出は、澪にはキツく残ってるだろう。 「い、言うな!あれ凄い怖かったんだぞ!」 「あらあら。私はブランコは座って、後ろから押して貰ってたわね」 「私もです。男の子が靴飛ばししてるのが、どうやってたのか不思議でしたね」 「りっちゃんは?」 「私は漕げるけど」 「じゃあ、靴飛ばしで対決しないっ?」 アイス1つ賭けて!、という付け足しの言葉に私は駆られた。 「いよっし!女に二言なしだぞ!」 私は澪にカバンを預けて、唯より先にブランコに乗った。 「あれ、革靴じゃないのか?」 澪がぽつん、と呟く。 「いよっしゃー!りっちゃん、負けないぞ!」 と言って、唯も和にカバンとケースを預けた。 唯がこっちに向かってくる前に私は思いっきり勢いをつけて、ブランコを漕ぎ始めた。 「……先輩達、スカートって事忘れてますよね」 梓が少し顔を赤らめて言った。 「…ま、周りに誰もいないし、いいんじゃない」 和は溜め息を吐く。 「唯ちゃん、えらく自信有り気だったわね」 「ああ、小さい頃にね『シショーにであった!』とか言ってたから」 和が公園の入口の小さい階段に腰を下ろす。 「ししょー?って、師匠弟子の?」 「多分」 澪もギターに気をつけながら座る。 「一人でいつもと違う公園で遊びに行った時に、いたんだってさ。遠くて、その後唯のお母さんに怒られてたけど」 「へー。師匠って事はブランコ上手なんですかね」 「ま、ちっちゃい唯が言ってただけだからね。あの子、自分より上手いと目輝かせるから」 「でぃやー!!」 律の右足から靴が投じられ、地面でワンバウンドして2,3回転して止まった。 「へへん、これでアイスは私のもんだろ」 ゆっくりと律のブランコが勢いをなくす。 「流石律先輩、豪快ですね」 梓が感心する。 「本人の前で言ったら、それ弄られる発言だぞ」 「ふふん、私を舐めちゃいけませんぞ!りっちゃん隊員!そりゃあ!」 唯の放った靴も綺麗な放物線を描き、同様にワンバウンドして地面を転がり―――― 『あ。』 唯や律、だけでなく、傍観した4人も声をあげた。 転がった靴は、律の靴の横に並んで静止した。 「…………同点、ですか」 「…そう、だな」 呆然としてた律は、首を横に振って、靴の元へケンケンで行って履く。 「なんの!もっかいだ!」 「流石に帰るぞ」 澪が律の元に歩み、首根っこを摘んで公園を出て行く。 「ぐあっ、み、澪!敵前逃亡は兵士の恥――」 「お前は学生だろっ!」 「ほら、唯も帰るわよ」 「うう…まさかの結果に……アイス……」 唯も靴を履いて、家に帰った。 >出典 >【けいおん!】田井中律は1234可愛い40【ドラム】 このSSの感想をどうぞ #comment_num2(below,log=コメント/ブランコ)

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