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何時ごろだっけか? 俺は会社の酷い命令に文句を言いつつ、グアムで仕事をしていた。 そして、半年が経ち、12月の27日だ。 「そう怒るなよ、律。クリスマスまでには帰るからさ」 「ぜ、絶対だからな!」 俺の愛しの女の最後の言葉。 それから半年、俺が連絡先を送れなかったというドジを踏んだせいで全く連絡が取れなかった。 しかも、クリスマスはとうに終わり、彼女は烈火の如く、怒っていることだろう。 仕方ない・・・。余り金に余裕はないんだが・・・。 話が変わるが、俺は幼少の頃から勉強などに追われていたため、全くといっていいほど、買い物やゲーム等の 娯楽を楽しんだことがなかった。 だから、買い物にはいつも誰かに行かせるか、付いてこさせた。 そして、そのパートナーは大抵、律だ。たまに秋山が付いてくることもあったが・・・。 さて、結論から言うと、俺はとあるデパートに秋山を連れてきていた。 理由は無論、怒っているであろう、律を鎮めるためにケーキなるものを買いにいくためだ。 「久し振りだな」 黒いロングヘアの美人が俺にそう言った。 また胸が大きくなったか? 「秋山か?高校以来だが・・・凄く綺麗になったな」 「そ、それはどうも////」 「その照れ屋はまだ治ってないみたいだな。さて・・・」 俺は、冷め切ってしまったコーヒーを一気に飲むと、店を出る。 「律にケーキ買うんだろ?あいつは生クリームたっぷりのが好きだぞ」 秋山は俺にそう助言した。言われた通り、生クリームを沢山使ったケーキをレジに持っていった。 チラッ ん?今、何か視線を・・・・。 「おーい、勝手に先先行くなよ。」 「あぁ、悪い。今日はついてきてくれたし、なにか奢ってやろう」 まさか、俺が律以外の女に飯を奢ることになるとはな。 嫌ではないから良かったが・・・。 「ところで、●●ってさ、どんな仕事してんの?」 飯を食ってる時、秋山がそう言ってきた。 「・・・別に・・。どこぞの建築関係の仕事だ。」 俺は不満そうに答える。俺は23にもなってまだ感情がすぐ表に出ているようだ。 そのせいで先輩からは気難しい奴と思われ、後輩からはビビられていた。 「仕事、楽しくないのか?」 「微妙だな。特にこの半年、携帯の画面からしか律の顔が見れなかったときは。何の為に汗水垂らして仕事してるのか 分からないくらいだったさ」 秋山はスパゲティを飲み込むと冷やかすように言った。 「●●ってホントに律のことが好きなんだな」 「自分でもなんでこんなに好きなのか分からないね。ところで、他のみんなは元気か?」 その後は、秋山のワンマントークだった。 平沢は相変わらずダラけまくってるが、何故か大学の成績は上位だ、とか、琴吹はこの前、父親の友人の御曹司と結婚した、 とか・・・。 全く、俺がいない半年の間にこんなにもこいつらは変わってたのか・・・。 あのジジイには特別手当を要求しないとダメだな・・・。 俺はふと腕時計に目をやった。 時間は9時を指していた。 「そろそろ帰るか・・・」 「そうだな。仕事、頑張れよ」 「あぁ」 俺と秋山の帰る方向は逆だ。 なぜなら律は高校を出て直ぐに、一人暮らしを始めた。 厳密に言うなら、俺の家に高校出て直ぐにもぐりこんできた。 「●●は忙しいだろ?だから、掃除とかしといてやるからさ!ねー頼むよー」 こんな頼み方するやつが他にいるなら教えてもらいたいね、全く。 それ以降は大学の講義がある日でも寝るのが朝だ、という日が結構当たり前になってしまった。 なぜかって? そんな事を聞くのは野暮というものだろう。 俺は、鞄とケーキの入った箱を持ちながら信号が変わるのを待っているとき、それを思い出し、思わず吹いてしまった。 信号が変わるのを待っているとき、また時間が気になり、携帯を開く。 そこには最愛の女性がニッカリ笑っている。 家に着けばこの画像ももういらないな・・・。 信号が変わる。 俺は再び歩き出し、信号を過ぎて数百メートル先のマンションに入っていった。 302 と書かれた部屋に鍵を入れる。 扉を開けようとすると鍵がかかっていた。 「・・・鍵くらい閉めとけよな・・・。」 俺は再度鍵を入れた。 今度こそ、扉は開いた。が、家の中は真っ暗だった。 玄関には確かに小さな白いスニーカーがあるのに、だ。 念のため、言っておくがブレーカーは正常だ。 俺は黙って台所まで行き、ケーキを冷蔵庫に封印。 上着をそこら辺に脱ぎ捨て、家にいるはずの人間を探した。 家中を探した結果、その人間は洗面所の洗濯機の横に縮こまっていた。 しかも、グスグス言いながら・・・。 「とりあえず、ただいま・・・。どうしたんだ?」 律は顔を上げずに何か喋った。 「・・・・・たの?」 「ん?」 「さっき、どこに、いたの?」 まだ俺は律が何が言いたいのか分からなかった。 「デパートでケーキ買ってた。クリスマスには・・・間に合わなかったけど、泣くことはないだろ・・・」 「違う!!!」 彼女は突如、赤い目をこちらに向けてきた。 何をやったのか分からないが、カンカンに怒っている。 ・・・これはクリスマスが原因じゃないな、という結論に辿るのに時間はかからなかった。 「・・・誰と、いたんだよ・・・」 また顔を膝に沈め、消え入りそうな声で聞いてくる。 なるほど、見てたなこいつ。 「秋山だ。お前と一緒に食べるケーキを思案してもらっていた。お前が考えているようなことは絶対にない」 「・・・」 2分ほど経っただろうか、律は硬直している。 そして、俺が肩に触れようとしたとき バチン! いきなり、ビンタか・・・ 「バカ!もう知るか」 今の発言で俺ひっぱたかれるようなこと言ったか? 彼女は怒声を俺に浴びせると俺の家から出て行った。 俺はリビングに戻り、彼女が実家には戻れないことを知った。 なぜなら財布が炬燵の上に置きっぱなしだからである。 「・・・」 まだヒリヒリする頬をさすりながら俺は彼女を追った。 俺は上着を2枚持つと、直ぐに彼女を追った。 冬の夜、雪がさらさら降り続く中、俺は公園で律を見つけた。 冬にも関わらず、無駄な努力を続けている噴水の前のベンチで律は泣いていた。 凄く、胸が痛くなる。 俺は律の隣りに腰掛けるといった。 「とりあえず、聞いてくれよ」 「・・・浮気の話なんて聞きたくない」 「浮気じゃないって言ってる。」 「じゃあ・・・グスン・・・なんで、あたしと一緒に買い物行ってくれなかったんだよ・・・」 「俺が家に戻るまでは隠しておきたかった」 律は俺を睨みつける。うん、全く信じてもらってないな。 っていうか、信用してくれないと、こっちも地味に傷つくんだよ・・・。 「じゃあ、この半年なんで連絡の1つもよこさなかったのさ!?」 「・・・・・・・そりゃ・・・その」 律はやっぱりと小声で言うと、俺から人一人分離れる。 「連絡メモるの忘れてた」 そして、暫しの沈黙。まさか、俺がメモを忘れるとは思ってなかったのだろう。 「へ?」 そんな間抜けな声を出す。 「じゃあ、本当に浮気じゃないの?」 はぁ・・・この言葉、本当にくるよ・・・・。 俺は律に携帯を投げてよこす。 律は携帯を開いた瞬間、吹いた。 泣いてたんちゃうんかいwww 「これでもまだ俺が浮気するなんて言うか?」 「・・・ストーカーかよ・・・」 「全部、家での”モノ“だけどな。こればっかりは見せたくなかったんだがな」 「・・・あっはっはっはっは!!」 そりゃ、笑うだろうな・・・。 おなかを抱えて笑う律。 携帯のディスプレイには寝ている律が写っていた。 微妙に着衣が乱れてるのがエロい、とか言うコメントをこっそりしたのは内緒。 グアムのホテルで寝る時、携帯開きっぱなしで寝てたってのは更に内緒。 俺は彼女が笑い出して調子にのった。 「データフォルダなんてもっとヤバいぞ?見るか?」 「いーよ!もう分かったから!」 律はそれから少しの間、笑い続けていた。 変態だな、とか言いながら。 今更俺のクールな表情は携帯のせいで意味を持たないと知りながらも、あえてクールに勤めることにした。 「帰るぞ」 律が後ろから囁く。 「帰るぞ、だってさ。かっこつけちゃって」 俺は彼女のもとによると、カチューシャを奪った。 「俺とお前の家に戻るなら返してやる」 そう聞くと、律は俺に並んで歩き出した。 さりげなく、手を繋いで。 そして、さりげなく1本のマフラーを自分と律の首に巻きつけて・・。 公園を少し出たところの信号を待ってるときに律は口を開く。 「さっきは・・・悪かったな」 さっきのビンタのことだろうか。 俺は少し律で遊ぶことにした。 「やだ」 「へ?」 「やだと言った。色々償ってもらおうかな・・」 「あのー、今から嫌な予感がバリバリするんですけど・・・」 「1月の5日だったか・・・。もうジジイから召集食らっててな。それまで、一緒に過ごしていたい」 律はそれを聞くと、ニヤケ顔になる。言わなきゃよかったか? 「あたしと一緒に居たいんだー、●●って甘えんぼだなー、携帯の件といい・・・」 「ほー、携帯見せなきゃならん状況になったのはどこの早とちりちゃんのせいだっけ?」 律はまた真面目な顔になる。 俺はそっとカチューシャを元に戻した。 俺は・・・ここぞという時に言わんでいいことまで言ってしまうらしい。 「ほんと・・・ごめん」 俺は・・・ここぞという時に言わんでいいことまで言ってしまうらしい。 大事な事だから2回言った。 俺には成績が優秀だということ以外はそんなに魅力がない。 むしろ、欠点だらけだ。 手が出るのは早い。口は悪い。空気は読まない。 なのに、これだけこいつは自分を愛してくれてる。 浮気したと思って俺の為に涙してくれてる。 こいつの前だけは俺は優しくあるべきだ、といつも思う。 俺は律を抱きしめた。 冬の夜、夜道を歩く人は少なかった。 人目を気にするわけじゃないが、以前にこれをやってガラの悪い奴らに絡まれたことがあるから自重していた。 「許さない訳あると思うか?」 信号が変わると、俺は彼女の腰に手を回し、家に戻っていった。 つづく >出展 >【けいおん!】田井中律はシンバル可愛い44【ドラム】 このSSの感想をどうぞ #comment_num2(below,log=コメント/律祭り)
何時ごろだっけか? 俺は会社の酷い命令に文句を言いつつ、グアムで仕事をしていた。 そして、半年が経ち、12月の27日だ。 「そう怒るなよ、律。クリスマスまでには帰るからさ」 「ぜ、絶対だからな!」 俺の愛しの女の最後の言葉。 それから半年、俺が連絡先を送れなかったというドジを踏んだせいで全く連絡が取れなかった。 しかも、クリスマスはとうに終わり、彼女は烈火の如く、怒っていることだろう。 仕方ない・・・。余り金に余裕はないんだが・・・。 話が変わるが、俺は幼少の頃から勉強などに追われていたため、全くといっていいほど、買い物やゲーム等の 娯楽を楽しんだことがなかった。 だから、買い物にはいつも誰かに行かせるか、付いてこさせた。 そして、そのパートナーは大抵、律だ。たまに秋山が付いてくることもあったが・・・。 さて、結論から言うと、俺はとあるデパートに秋山を連れてきていた。 理由は無論、怒っているであろう、律を鎮めるためにケーキなるものを買いにいくためだ。 「久し振りだな」 黒いロングヘアの美人が俺にそう言った。 また胸が大きくなったか? 「秋山か?高校以来だが・・・凄く綺麗になったな」 「そ、それはどうも////」 「その照れ屋はまだ治ってないみたいだな。さて・・・」 俺は、冷め切ってしまったコーヒーを一気に飲むと、店を出る。 「律にケーキ買うんだろ?あいつは生クリームたっぷりのが好きだぞ」 秋山は俺にそう助言した。言われた通り、生クリームを沢山使ったケーキをレジに持っていった。 チラッ ん?今、何か視線を・・・・。 「おーい、勝手に先先行くなよ。」 「あぁ、悪い。今日はついてきてくれたし、なにか奢ってやろう」 まさか、俺が律以外の女に飯を奢ることになるとはな。 嫌ではないから良かったが・・・。 「ところで、●●ってさ、どんな仕事してんの?」 飯を食ってる時、秋山がそう言ってきた。 「・・・別に・・。どこぞの建築関係の仕事だ。」 俺は不満そうに答える。俺は23にもなってまだ感情がすぐ表に出ているようだ。 そのせいで先輩からは気難しい奴と思われ、後輩からはビビられていた。 「仕事、楽しくないのか?」 「微妙だな。特にこの半年、携帯の画面からしか律の顔が見れなかったときは。何の為に汗水垂らして仕事してるのか 分からないくらいだったさ」 秋山はスパゲティを飲み込むと冷やかすように言った。 「●●ってホントに律のことが好きなんだな」 「自分でもなんでこんなに好きなのか分からないね。ところで、他のみんなは元気か?」 その後は、秋山のワンマントークだった。 平沢は相変わらずダラけまくってるが、何故か大学の成績は上位だ、とか、琴吹はこの前、父親の友人の御曹司と結婚した、 とか・・・。 全く、俺がいない半年の間にこんなにもこいつらは変わってたのか・・・。 あのジジイには特別手当を要求しないとダメだな・・・。 俺はふと腕時計に目をやった。 時間は9時を指していた。 「そろそろ帰るか・・・」 「そうだな。仕事、頑張れよ」 「あぁ」 俺と秋山の帰る方向は逆だ。 なぜなら律は高校を出て直ぐに、一人暮らしを始めた。 厳密に言うなら、俺の家に高校出て直ぐにもぐりこんできた。 「●●は忙しいだろ?だから、掃除とかしといてやるからさ!ねー頼むよー」 こんな頼み方するやつが他にいるなら教えてもらいたいね、全く。 それ以降は大学の講義がある日でも寝るのが朝だ、という日が結構当たり前になってしまった。 なぜかって? そんな事を聞くのは野暮というものだろう。 俺は、鞄とケーキの入った箱を持ちながら信号が変わるのを待っているとき、それを思い出し、思わず吹いてしまった。 信号が変わるのを待っているとき、また時間が気になり、携帯を開く。 そこには最愛の女性がニッカリ笑っている。 家に着けばこの画像ももういらないな・・・。 信号が変わる。 俺は再び歩き出し、信号を過ぎて数百メートル先のマンションに入っていった。 302 と書かれた部屋に鍵を入れる。 扉を開けようとすると鍵がかかっていた。 「・・・鍵くらい閉めとけよな・・・。」 俺は再度鍵を入れた。 今度こそ、扉は開いた。が、家の中は真っ暗だった。 玄関には確かに小さな白いスニーカーがあるのに、だ。 念のため、言っておくがブレーカーは正常だ。 俺は黙って台所まで行き、ケーキを冷蔵庫に封印。 上着をそこら辺に脱ぎ捨て、家にいるはずの人間を探した。 家中を探した結果、その人間は洗面所の洗濯機の横に縮こまっていた。 しかも、グスグス言いながら・・・。 「とりあえず、ただいま・・・。どうしたんだ?」 律は顔を上げずに何か喋った。 「・・・・・たの?」 「ん?」 「さっき、どこに、いたの?」 まだ俺は律が何が言いたいのか分からなかった。 「デパートでケーキ買ってた。クリスマスには・・・間に合わなかったけど、泣くことはないだろ・・・」 「違う!!!」 彼女は突如、赤い目をこちらに向けてきた。 何をやったのか分からないが、カンカンに怒っている。 ・・・これはクリスマスが原因じゃないな、という結論に辿るのに時間はかからなかった。 「・・・誰と、いたんだよ・・・」 また顔を膝に沈め、消え入りそうな声で聞いてくる。 なるほど、見てたなこいつ。 「秋山だ。お前と一緒に食べるケーキを思案してもらっていた。お前が考えているようなことは絶対にない」 「・・・」 2分ほど経っただろうか、律は硬直している。 そして、俺が肩に触れようとしたとき バチン! いきなり、ビンタか・・・ 「バカ!もう知るか」 今の発言で俺ひっぱたかれるようなこと言ったか? 彼女は怒声を俺に浴びせると俺の家から出て行った。 俺はリビングに戻り、彼女が実家には戻れないことを知った。 なぜなら財布が炬燵の上に置きっぱなしだからである。 「・・・」 まだヒリヒリする頬をさすりながら俺は彼女を追った。 俺は上着を2枚持つと、直ぐに彼女を追った。 冬の夜、雪がさらさら降り続く中、俺は公園で律を見つけた。 冬にも関わらず、無駄な努力を続けている噴水の前のベンチで律は泣いていた。 凄く、胸が痛くなる。 俺は律の隣りに腰掛けるといった。 「とりあえず、聞いてくれよ」 「・・・浮気の話なんて聞きたくない」 「浮気じゃないって言ってる。」 「じゃあ・・・グスン・・・なんで、あたしと一緒に買い物行ってくれなかったんだよ・・・」 「俺が家に戻るまでは隠しておきたかった」 律は俺を睨みつける。うん、全く信じてもらってないな。 っていうか、信用してくれないと、こっちも地味に傷つくんだよ・・・。 「じゃあ、この半年なんで連絡の1つもよこさなかったのさ!?」 「・・・・・・・そりゃ・・・その」 律はやっぱりと小声で言うと、俺から人一人分離れる。 「連絡メモるの忘れてた」 そして、暫しの沈黙。まさか、俺がメモを忘れるとは思ってなかったのだろう。 「へ?」 そんな間抜けな声を出す。 「じゃあ、本当に浮気じゃないの?」 はぁ・・・この言葉、本当にくるよ・・・・。 俺は律に携帯を投げてよこす。 律は携帯を開いた瞬間、吹いた。 泣いてたんちゃうんかいwww 「これでもまだ俺が浮気するなんて言うか?」 「・・・ストーカーかよ・・・」 「全部、家での”モノ“だけどな。こればっかりは見せたくなかったんだがな」 「・・・あっはっはっはっは!!」 そりゃ、笑うだろうな・・・。 おなかを抱えて笑う律。 携帯のディスプレイには寝ている律が写っていた。 微妙に着衣が乱れてるのがエロい、とか言うコメントをこっそりしたのは内緒。 グアムのホテルで寝る時、携帯開きっぱなしで寝てたってのは更に内緒。 俺は彼女が笑い出して調子にのった。 「データフォルダなんてもっとヤバいぞ?見るか?」 「いーよ!もう分かったから!」 律はそれから少しの間、笑い続けていた。 変態だな、とか言いながら。 今更俺のクールな表情は携帯のせいで意味を持たないと知りながらも、あえてクールに勤めることにした。 「帰るぞ」 律が後ろから囁く。 「帰るぞ、だってさ。かっこつけちゃって」 俺は彼女のもとによると、カチューシャを奪った。 「俺とお前の家に戻るなら返してやる」 そう聞くと、律は俺に並んで歩き出した。 さりげなく、手を繋いで。 そして、さりげなく1本のマフラーを自分と律の首に巻きつけて・・。 公園を少し出たところの信号を待ってるときに律は口を開く。 「さっきは・・・悪かったな」 さっきのビンタのことだろうか。 俺は少し律で遊ぶことにした。 「やだ」 「へ?」 「やだと言った。色々償ってもらおうかな・・」 「あのー、今から嫌な予感がバリバリするんですけど・・・」 「1月の5日だったか・・・。もうジジイから召集食らっててな。それまで、一緒に過ごしていたい」 律はそれを聞くと、ニヤケ顔になる。言わなきゃよかったか? 「あたしと一緒に居たいんだー、●●って甘えんぼだなー、携帯の件といい・・・」 「ほー、携帯見せなきゃならん状況になったのはどこの早とちりちゃんのせいだっけ?」 律はまた真面目な顔になる。 俺はそっとカチューシャを元に戻した。 俺は・・・ここぞという時に言わんでいいことまで言ってしまうらしい。 「ほんと・・・ごめん」 俺は・・・ここぞという時に言わんでいいことまで言ってしまうらしい。 大事な事だから2回言った。 俺には成績が優秀だということ以外はそんなに魅力がない。 むしろ、欠点だらけだ。 手が出るのは早い。口は悪い。空気は読まない。 なのに、これだけこいつは自分を愛してくれてる。 浮気したと思って俺の為に涙してくれてる。 こいつの前だけは俺は優しくあるべきだ、といつも思う。 俺は律を抱きしめた。 冬の夜、夜道を歩く人は少なかった。 人目を気にするわけじゃないが、以前にこれをやってガラの悪い奴らに絡まれたことがあるから自重していた。 「許さない訳あると思うか?」 信号が変わると、俺は彼女の腰に手を回し、家に戻っていった。 つづく >出展 >【けいおん!】田井中律はシンバル可愛い44【ドラム】 このSSの感想をどうぞ #comment_num2(below,log=コメント/少し遅めのクリスマス)

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