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俺「参ったな、土砂降りになっちまったじゃねぇか…。   これだからこの季節は好きじゃないんだよな」 凄惨とも言えるような夕立ちの中、俺は傘も差さず自転車で必死こいて律の家を目指していた。 俺「雨宿りって口実でいいか。丁度土砂降りだしな」 田井中家のチャイムを鳴らす。 何度もやってきた動作のはずなのに、今日は何故だか心臓が跳ねる。 俺「律ー。俺だー。結k…、じゃなくてちょっと雨宿りさせてくれー」 律「なんだ俺かよ。どうしたのずぶ濡れじゃん」 俺「なんだとはなんだ。   それよりも傘持ってなからちょっくら雨宿りさせてくれ」 律「いいよー。取り敢えずシャワーでも浴びな。それじゃ風邪引いちまうよ」 俺「浴びてもいいなら浴びるけど、着替えどうするんだ?」 律「あっ…。私のシャツでも…、ってそんなわけにもいかないか。俺って身長高いもんね」 俺の唯一とも言える取り柄を認めて貰ってちょっと嬉しい。 律「シャワー浴びてて。私がコンビニ行って買ってくるから」 俺「いや、やっぱりいいや。律に手間かけさせるくらいなら濡れたままの方がいいし。   それより渡したいものがあるんだけど」 それに男物買うのは恥ずかしくないのか? 俺だったら恥ずかしいぞ。 律「何だって!?私の気遣いが受け取れないとでも言うのか!?」 俺「いや、そう言うわけじゃないんだが。兎に角話を聞いてくr」 律「今は俺の体の方が重要なの!」 俺「分かった、分かったからチョークスリーパーをほどいてくれ…」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 俺「ふぅ、サッパリした」 律「な、私の言う通りにしてよかっただろ?」 確かにその通りだ。 いくら夏とは言え、あれだけずぶ濡れになれば風邪も引きかねないし。 因みに、濡れた服は洗濯して乾燥機にて乾燥中である。 そうだ、忘れないうちに… と言うよりも、本来の目的はこっちだ。 俺「なぁ律、渡したいものがあるんだけど」 律「え?何?何?」 俺「焦らない焦らない」 俺は徐に鞄から小さい包みを取り出す。 夕立ちによって少し湿ってしまっているが、そんなことは今関係ないのだろう。 律の目に期待が滲んでいるのが手に取るように分かる。 律「開けてもいい?」 俺「当然。律にあげるために買って来たんだから」 律「何だかキザなセリフだな」 俺「うるさい」 何か律が赤面しているような気がした。 "律のために"って言われて嬉しさ半分恥ずかしさ半分と言ったところか。 律「あ…。これ…」 俺「気に入った?」 思いの外丁寧に包装を剥がした律。 俺からのプレゼントの中身は彼女が予想していなかった物みたいだ。 律「だって、何で知ってるの?俺には言ってないのに…」 俺「俺には律のことなら手に取るように分かるさ」 律「バカ俺…」 律の使ってるLAMYが壊れたと聞いたのはつい最近。 澪ちゃんから教えられたんだ。 それで律は昔使ってたシャーペン引っ張りだして我慢してるって。 それくらいLAMYを気に入ってたんだ。 だから俺は新しい黄色のLAMYをプレゼントした。 律の好きな色は黄色だし、何より律の喜ぶ顔が見たかった。 律「私がLAMYと黄色好きなこと知ってたんだ…」 俺「そりゃ、律の彼氏だからな」 律「うん…。…ありがと、俺…」 俺「…」 そんな素直に言われると照れるじゃねーか。 律「あー、俺顔真っ赤だぞー」 俺「そう言う律は半べそだな」 律「ぇうっ…。そっ、そんじゃんじゃねーぞ!」 俺「はいはい、照れ隠ししない。ね?」 そっと律を抱き寄せる。 ほのかに薫る女の子の匂い。 あぁ、これ風呂にあったシャンプーの薫りだったんだな。 俺「そんなに泣くなよ。俺まで泣きたくなるじゃないか」 律「だって…。俺が細かいところまで目を配ってくれてたなんて知らなかったから…」 俺「律だって仲間思い、彼氏思いの可愛い女の子じゃないか…」 律「…っ!」 あーあー、更に赤くなっちゃった。 そんなウブなところも可愛いんだけど。 律「もー!俺のバカー!」 ポカポカと彼女らしくない弱い手つきで俺の胸を叩く律。 さて、そろそろ洗濯物が乾く頃合いかな― >出展 >【けいおん!】田井中律はナース服可愛い61【ドラム】 このSSの感想をどうぞ #comment_num2(below,log=コメント/空の雫)

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