SS > 短編-俺律 > 閉鎖空間の中で


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369 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/06/06(土) 03:31:46 ID:efkdCmZz
しまった。言うべきではなかった。
律は呆気にとられたその顔を、次第に紅潮させていった。
つい出てしまった『好きだ』の言葉。
それは夕日の中の彼女が、あまりにも魅力的だったから。
いつもの帰り道が、この時ばかりは二人を残して人類が絶滅したSF世界に感じられた。

「い・・・いきなり何言ってんだよ・・・」

律はスカートの端をきゅっとつかんだまま、懸命に声を出した。
今の彼女は、ひどく弱々しく見えた。
ここで、俺はハッと我に帰る。

「すっすまん!何でもないんだ・・・忘れてくれ」
「・・・・・・・」
「ほら言葉のあやっていうかさ!」
「・・・・・・・私は」
「え?」
「私も・・・あんたが・・・」

踏み切りのサイレンが、けたたましく鳴り響く。
今、律は、何を、なんて言ったんだ。
サイレンはいよいようるさく鳴り響く。
君は、何を。

目が覚めると、そこにはいつもの代わり映えしない天井。
大きく俺はため息をついた。
わかってるさ。
現実の君は、いつもニコニコ笑っている。
モニターの向こうで笑っている。
俺の問いには答えずに、笑っている。
でもそれだけで俺は十分なんだ。

あの時君は、何を言おうとしたの?
それだけは知りたくて、俺は今日も床につく。

ねえ、りっちゃん。


出典
【けいおん!】田井中律はキャベツうめぇ16【ドラム】
ツールボックス

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