テスト最終日、午前に下校できるのはありがたいのだが、如何せん真夏日な為少し気だるい。
校門まであと数メートルという所で、誰かに肩を掴まれた。
律「ねぇ!学校のプールに行かないか?」
僕と同じクラスの田井中律だった。僕は彼女に好意を抱いているが、
彼女は全く気づかずにこうやって僕に話しかけてくれる。
僕「ぷ、プール?なんだってまた?」
律「暑いからだよ!ほら、行くぞ!」
僕「わかったわかった・・・」
こうして律の勢いに乗せられて、プールまで来てしまった。まぁ、律といれるのは嬉しいのだが。
律「プーーーールだぁーーーーーーーーーー!」
彼女は叫びながらプールサイドを走り回る。
僕「あんまりはしゃぐなよwてか、走ったら余計暑いだろw」
律「あ、それもそうかwって・・・うわっ!」
滑りやすいプールサイドで急に走るのをやめたせいで、彼女は転んでしまう・・・前に
僕「あっぶねぇ!」 ドサッ!
僕は彼女の下に滑り込んで、何とか事なきをえた。
律「いってて・・・って、おい!大丈夫か?!」
僕「いたた・・・うん、ちょっと擦りむいただけだ・・・けど・・・」
律「?・・・あーーー!ぱ・・・パンツ見たのか?!」
僕「み・・・ミテナイミテナイ」
律「じゃぁ、何色だった?」
僕「えっと、YES SKY BLUE」
律「見たんじゃないかーー!」
僕「え・・・あっ、ごめん!っていうか、見られたくないなら早くどけって!」
律「ま、いいや・・・」
彼女はそう言って、ホースを手に取った。彼女が何をするつもりなのか分からず、
座ったままの僕の鼻の下は、先ほどの出来事のせいで伸びていた。
その顔面めがけて、何か冷たい液体がぶつかってきた。
僕「つめて!」
律「へっへーん!どうだー、お返しだこのヤロー!」
僕「律、お前ー!」
僕は蛇口から伸びているもう一本のホースを手にとって、水を出す。そしてそれを律に向ける。
律「わっわぁ、ちょ、冷たいって!」
僕「お返しのお返しだー!」
律「だったら、お返しのお返しのお返しダー!」
水しぶきの中で律の子どもみたいにはしゃぐ笑顔が見える。もう、どうにでもなっていい。
夏空の下、僕は開き直った。
何十分こうしていたのだろうか。僕も律も、制服から水が滴っている。
律「あー!涼しい!って、制服ビチョビチョじゃないか!」
僕「どうしよっか?」
律「どうしようかじゃねー!」
僕「律が最初に始めたんだろw」
律「そうだっけ?☆」
僕「まったく・・・仕方ない。律、今日は僕のチャリの後ろに乗れよ。」
我ながら大胆だと思う。好きな子を後ろに乗せるなんて。でも、律は嫌な顔一つせずに、
りつ「やったー!ありがとう!」
この笑顔は無防備な天子の笑顔だ。
僕「この気温だし、家に着く頃には制服も乾くだろ。」
律「そうだな!」
道中・・・
律「今日は本当にありがとうな!」
僕「いいっていいって。お、そうだ。律、アイス買ってくるからちょっと待ってて。」
律「私も一緒に行く!」
僕と律は途中、コンビニに寄った。この頃には制服も乾いていた。
コンビニから出ると、
律「溶けちゃうから、ここで食べようぜ!」
僕「それもそうだな。」
彼女は満面の笑みでアイスを袋から取り出す。
律「アイスウメーーー!今日は最高の一日だ!」
ふと彼女の唇にクリームが付いているのが目に入った。
僕「律!」
律「えっ?」
気がつくと、僕は律の唇を奪っていた。
僕「あ・・・ごめん・・・」
律「な・・・なにしてんだよ!」
律のさっきまでの幸せそうな笑みは消え去り、今にも泣きそうな表情に変わっていた。
待っていたのは絶望の展開かと思われたが・・・
律「本当は・・・プールでお前に気持ちを伝えようと思ってたんだ。なんで・・・先を越すんだよ!」
僕「僕も・・・律がすきだったから・・・」
律「・・・じゃぁ・・・抱きしめて・・・くれる?」
こんな暑い日に人間と密着したらもっと暑苦しくなるはずなのに、なぜか心地よい夏の日だった。
出典
【けいおん!】田井中律は蛇口T可愛い35【ドラム】
最終更新:2009年07月07日 02:13