唯「バイハザ!」 第3章


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時刻は午後7時を回っていた。
辺りは暗く、回りの光は街灯だけという世界。その中を一台の車が走り抜ける。

律「むぎ、ここを左でいいんだよな?」

紬「えぇ、その先を真っ直ぐよ」

律も運転に慣れて来たのかウィンカーまでつけるようになっていた。

唯「街の人達みんなゾンビになっちゃたのかな…」

憂「これだけ走り回ってるのに人一人みませんね…」

律「確かに妙だな。学校前にはあんなにいたのに…」

澪「携帯はどこも通じないし…一体何が何やらわからないな」

紬「私の家のパソコンや電話は衛生電波だからきっと繋がると思うわ。今のこの街の状況がわかるかもしれない」

律「さすがだな。こんな時頼りになるぜお嬢様!」

ポタ……ポタ……ポタポタ…ポタポタ……

澪「雨だ…、律、ワイパー」

律「ん?あぁ。これかなと」

ウィーン、ウィーン……

澪「こんな状態で更に雨なんてな…。」

唯「和ちゃん大丈夫かな……」

水滴で見えなくなった窓を眺める……
きっと大丈夫…だよね、和ちゃん

ようやく紬の家についた。
律「しかしどんだけ広いんだよ!端から正門に来るまで車で5分は走ったぞ!」

紬「言い過ぎよりっちゃん//家に誰かいればいいんだけど…」

ウィーン

車の窓を開けそこから「紬です」
としゃべると頑丈そうな正門が開いた

律「まっ…まさか」

澪「声紋センサー…初めて見た」

唯「嘘?!あの映画とかにある?あれって声真似とかじゃ無理なのかなぁ!コホン、紬です♪」
憂「いくら似てても無理だよお姉ちゃん」

唯「だよね~」

そうして車は紬邸へと進んで行く…。本当の惨劇はここから始まるとも知らず

律「ふ~やっぱり車は凄いな。雨が降ってたのに全く濡れないで移動出来るなんて素晴らしすぎる」

澪「もうしちゃダメだぞ!」

律「次はちゃんと免許取ってからにするから大丈夫だって」

唯「でもりっちゃん運転上手かったよね!うちのお母さんより全然上手!」

憂「お母さんすぐエンストするもんね。オートマ買えば良かったっていつも言ってるよ~」

澪「律はゲームセンターで車のゲームとか上手いもんな」

律「へっへ~ん。いっつも弟とレーシングゲームしてる成果かな!」

紬「……えっ?」

紬邸
洋館1Fエントランスホール

律「うひゃ~ひっろいな~ホテルじゃんこれもう」

紬「私はお父様を探して来ます。皆さんは階段を登って右の部屋でくつろいでいて。ご飯とかの準備が出来たらまた呼びに行くから」

澪「そうだな…さすがに色々ありすぎて疲れた…横になりたい」

唯「そうだね…」

律「私も運転で疲れたし休ませてもらうとするか」

4人は二階へ向けて歩き出す。

紬「みんなゆっくり休んでね……」



キャアアアアアア

律「な、なんだっ」

誰かの叫び声で目が覚める。ここは……そうだ、むぎの家で…

律「さっきの叫び声はむぎか!?」

隣で寝ている澪を譲り起こす

律「澪!唯も!起きろ!」

唯「うい~……あいす~……」
憂「ご飯食べてからだよぉ……ムニャムニャ」

律「寝言で会話してる……」

澪「ふわふわたいむ~」
律「……。」モミモミ

澪「ん……」

律「(やわらけっ。いいな~澪は。私なんてぺたんこなのに)」モミモミ
澪「や…ぁ…ん」
律「よしこうなりゃ直に」
澪「やめんか!」

ゴス

律「澪が起きないのが悪いんだぞっ!」

澪「だからって胸揉むやつがあるか!」

唯「澪ちゃん!」

澪「ん?」

唯「後で私にも触らせてね!」

澪「おい」

全員起こす必要もないと思い憂を部屋に残し三人で声の聞こえた方へ向かう

律「確かこの辺りから聞こえてきたんだよな~」

澪「食事の広間みたいだな」

唯「テーブルながーい!端と端に座ったら何言ってるのかわからないよね」

律「端と端に座る必要性がわからん」

澪「この奥かな?」

アンティークな置時計を過ぎその奥へ向かう

そこは外国の一部屋を想像するような部屋だった。
日本にはなさそうなものばかりが並んでいる。

特に一番奥の暖炉には目を奪われる。
赤々と燃える火がみんなの体を照らす……

その手前に、寝そべっている人、更にそれに覆い被さる様に…いや、まるで…

ぐにゃ…ぐちゃ…

「食って…る…?」

誰かがそう言った
誰だろう、もう声さえわからない

紬「お父様……お父様ぁ!」

一体どっちのことだろう……食われている方か食っている方か……
どっちも嫌だな…

ウァィ……アァァォ……

食べるのをやめこちらを振り向く。
腐食しきった顔に似合わない黒い燕尾服。

紬「斎藤……」

彼は執事か何かだろうか…、その斎藤と呼ばれた人物は少しづつこちらへ歩を進めてくる

新しい餌と勘違いしてるのか

恐怖からか勝手に体が後ずさる。便利なもんだ

澪「に、逃げないと……」

もっともな意見だ。

唯「う、うん!」

おぉ~ぉ~みんな思ったよりまともそうだな。

私は吐き気で動けないよ、動いてるけど

紬「みんなこっちよ!」

むぎがどこかへ走りって行く。

追いかけないと、

駄目だ、そんな気力も起こらないや

澪「律!」

律「なら……倒さなきゃな」

鉄のドラムスティックを取り出し構える

律「何なんだよ……何なんだよお前ら!!!」

向かってくるゾンビの後ろに素早く回り込む

律「うわああああ!」
ゴスっ

延髄に一発、

律「うあぁ!」

更にもう一発

ぐにゃりと鈍い嫌な音が響く

そのまま倒れこむゾンビ

それを見下ろしながら息を整える律

律「はあ……はあ……」

「うがあああ!」

律「嘘っ!?」

ゾンビは律の足にしがみつきその足を……


律「きゃああああああああ!」

律「離れろぉ!」

律はそのゾンビの顔を思いっきり蹴つり飛ばした

腐っていた首が吹っ飛び地面に転がる

バイオハザード妙技、サッカーボールである
銃圧などで無理矢理倒れさせた敵や死に真似をしている敵にわざと捕まると言う荒業
ほとんどダメージを食らわないと言うのと必ず倒すと言う恐ろしい力を秘めている
銃弾の節約に非常に重宝される

律「はあ…はあ…」

澪「律……」

紬「お父様……!」

ぐしゃぐしゃになった死体の前に座り込む紬

その死体を優しく抱き締めた

自分が血だらけになるとか……そんなことを考えてる時点で私は冷たい人間なんだなって思った。

すすり泣く声が部屋中に響き渡る……

紬「おとぅ……様…なんで…なんでっ」

紬はポケットからハンカチを出すと死体の顔をぬぐう
幸い顔は原型をとどめており血を拭った顔死んでるとは思えないほど綺麗だった

紬「確かにお父様は…昔から厳しくて…辛い時もあった。けど…こんな風に死んでいい人じゃなかった……」

澪「むぎ……」

唯「むぎちゃん……」ぎゅ……

唯「立派なお父さんだったんだね…」

紬「うん…」

唯「大好きだったんだね…」なでなで

紬「う…ん……」

唯「お父さんもむぎちゃんのこと大好きだったと思うよ」

紬「うぅ…ん……ゆいちゃあ…」

ぎゅっ……

唯「よしよし……」


律「……」

本当優しさだと思った。上辺だけじゃなく、むぎはお父さんを、唯はむぎを…本気で…思ってるんだ

私はどうなんだろう…
本気で、本当に、みんなを守りたいと願ったのだろうか…

唯「澪ちゃん、りっちゃん、憂を起こしてみんなでご飯の準備してくれないかな?」

唯「みんなお腹減ってると思うんだ。私はむぎちゃんと一緒に二人を…だから、ね?」

律「唯……こう言っちゃなんだがこれを見た後にご飯ってのは…」

唯「りっちゃん、お願い」

律「……わかった」
こんな真剣な顔した唯初めて見た…

澪「じゃあ行こうか」

澪が律を連れてキッチンへ向かう

澪「唯、むぎを頼む」

唯「うん。うんと美味しいもの作ってね!」

澪は憂を起こしに行きその間に私はキッチンの様子を見る役目になった。

律「こう言う危ない仕事は私の役目…か」

何か変だった。
あのシーンを見てから……
怖くなったんだろうか、自分はああなりたくないと

みんなを守る、なんて所詮一時の感情で、やっぱり自分が可愛くて仕方ない

そんな人間なんだろうか……

それをずっと考えていた

澪「律~?」

律「……」

澪「なんだいるじゃないか。返事しないと何かあったのかって心配するだろ?」

律「ごめん…」

澪「憂ちゃん、よろしくね。私達も何か出来ることがあったら手伝うからさ」

憂「はい。とりあえず材料見てから……。あ、あの……こう言うのも変ですけど簡単に食べ物を食べていいんでしょうか…」

澪「え…加熱処理すれば大丈夫…なんじゃないの?」

憂「確かに加熱処理すれば大体は大丈夫ですけど…」

律「ん~どれどれ。」

冷蔵庫に入っているリンゴを律はそのままかじる

律「ん~美味い。大丈夫大丈夫」

澪「ばっ…律なにやってるんだ!今私達は感染してないのが奇跡なんだぞ?!それを…」

律「どのみち食べ物が食べれないと長く持たないだろ…」

澪「それはそうだけど…」

憂「確かに律さんの言ってることも正しいです…。このままずっと食べないといずれは飢え死にしてしまいます…」

澪「……でも…」

憂「しっかり加熱処理をした料理を作りますから多分大丈夫ですよ!」

澪「…まあこのまま食べないってわけにもいかないしな…憂ちゃんに任せるよ」

憂「はいっ」

澪「でもなぁ律さっきみたいな行動は…あれ?」

さっきまでいた所に律の姿はなかった

律のやつ……

律「……。」

澪「律~黙って出ていくことないだろう?憂ちゃんも心配してたぞ」

律「そう…」

澪「なんかあった…とは聞かないよ。みんな同じなんだから。律だけ甘えさせるわけにはいかない。」

律「厳しいな…澪は」

澪「確かにこの状況は異常だ…けど私達は私達だけの命じゃもうないだろ?梓や和……むぎのお父さんだってそうだ。ここで死んだら……みんなが報われない。私達に生きろと助けてくれたみんなに…」

律「澪……」

澪「さっきのことだけじゃないんだろ?話してみてよ…律」

律「私って冷たい人間なんだなって、思った。」

澪「律が?」

律「うん」

澪「何言ってんだよ!ここまで来れたのも律がいたから…」

律「でも…梓も…和も…私…守れなかった」
瞳いっぱいに涙を浮かべて
彼女は言った

澪「律……」

バカだなぁ……

人のためにこんなに想ってこんなに泣いて…そんな人間が心が冷たいわけないだろう

澪は黙って律を抱き込んだ

澪「律……ありがとう。そしてごめんな」

律「ふぇ…?」

澪「私昔から律はずっと強くて…大きい存在だったから気づかなかったんだ」

澪「律は昔から私の憧れだったんだ。」

律「私が?」

澪「いつもみんなの人気者で…明るくて…私はずっと見てることしか出来なかった。でも律はそんな私をいっつも構ってくれて…それが恥ずかしかったけど嬉しかったんだ」

律「……私もずっと澪が羨ましかったんだよ」

澪「私が?」

律「綺麗な髪に綺麗な瞳……澪は知らなかったかもしれないけど幼稚園から今までずっと澪はみんなの憧れの的だったんだぜ?」

澪「嘘っ」

律「はっは、私達お互いをお互い羨ましがってたんだな」ニコ

澪「みたいだな」ニコ

律「ありがとう、澪。」

澪「私も律に何回も助けられたからな、お互い様だ」

律「澪、生きるぞ!」

澪「当たり前だろ!ライブ…やるんだろ!」

律「おぉ!さ~て憂ちゃんを手伝いに行くか!」

澪「あぁ」

生き抜く、必ず

二人はそう誓いまた歩き出した

共に

律「う~いちゃん」

憂「あっ律さん。もう少しで出来ますからカレーライス」

律「おぉぉカレー!ナイスナーイス!」

澪「はしゃぎすぎだぞ律。私は二人を呼んで来るね」

憂「はい」



憂「ふふ、ご機嫌ですね律さん」

律「そうかな?」

憂「ニコニコしてるじゃないですか♪」

律「え~本当に?自分じゃわからないけどな~」

憂「ふふ。あっお皿並べてもらえますか?」

律「あいよ~」

皿を持ち食堂へ行く律

憂「梓ちゃんを見殺しにしたくせに……」

憂はその後ろ姿を睨み付けていた

澪「二人とももういいのか?」

紬「はい、唯ちゃんが色々手伝ってくれたから」

唯「斎藤さんもお父さんもきっと天国へ行けたはずだよ」

澪「だな。唯、ありがとう。」

唯「うん♪」

紬「じゃあご飯にしましょうか♪」

澪「あぁ」

澪(唯、本当に今じゃ軽音部になくてはならない存在だな。あんだけ悲しんでたむぎが笑顔を見せるなんて)

紬「ご飯を食べたらネットで調べてみましょうか」

澪「そうだな。何かわかるといいんだけど…」

紬「そうね…」

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